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平成三十年四月二十日提出
質問第二四六号

麻生副総理兼財務大臣の「セクハラ発言報道」に関する質問主意書

提出者  尾辻かな子




麻生副総理兼財務大臣の「セクハラ発言報道」に関する質問主意書


 週刊誌報道によれば、麻生財務大臣は二〇一八年四月十二日にホテルニューオータニで行われた記者との懇親会で、「次官のセクハラ、さすがに辞職なんじゃないですかね」と発言した記者に対し、以下のように発言したとされている。
発言1 だったらすぐに男の番(記者)に替えればいいだけじゃないか。なあそうだろ?
発言2 ネタをもらえるかもってそれでついていったんだろ。触られてもいないんじゃないの。
発言3 だから、次官の番をみんな男にすれば解決する話なんだよ。
 男女雇用機会均等法では以下を定めている。
第六条 事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。
 一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)
 また、女性活躍推進法においては、自社の女性の活躍に関する状況に関して、状況把握、課題分析を行うことになっている。その項目の一つとして、「職場風土・性別役割分担意識」が設定され、具体的には、「セクシュアルハラスメント等に関する各種相談窓口への相談状況」が項目として挙げられている。また、女性活躍推進法の参議院内閣委員会の附帯決議では、「十五 男女を問わず職業生活を営む上で障害となる、あらゆるハラスメントに一元的に対応する体制の整備について、事業主の措置を促すことを検討するとともに、ハラスメントの防止に向けて、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法等関連する法律の改正を積極的に検討すること。」とされている。
 女性の活躍をうたい、働き方改革を重要課題に掲げる安倍内閣において、副総理大臣が民間企業に対し均等法違反を推奨し、また女性活躍推進法の附帯決議に逆行するよう求めたとすれば、大きな問題と考える。
 以下、質問する。

問一 麻生副総理兼財務大臣が、右記発言1、2、3のような発言をしたのは事実か。また、政府は麻生大臣が右記発言をしたかどうか調査したか。
問二 この席に、河野太郎外務大臣が同席していたのは事実か。そうであれば、河野外務大臣は麻生副総理兼財務大臣が、右記発言1、2、3のような発言をしたのを聞いているか。また、政府は河野大臣が右記発言を聞いているかどうか調査したか。
問三 財務次官の「番記者」を誰にするかという配置について、事業主は、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならないと定められている(男女雇用機会均等法 第六条第一号)。もしも法を遵守すべき閣僚が、民間報道機関の社員に対し、女性であることを理由に配置を換えるような発言をした場合は、男女雇用機会均等法違反を推奨した疑いがある。政府の見解を明らかにされたい。
問四 また参議院内閣委員会は、男女を問わず職業生活を営む上で障害となる、あらゆるハラスメントに一元的に対応する体制の整備について、事業主の措置を促すことを検討するよう求めている(女性活躍推進法 参議院内閣委員会・附帯決議)。もしも法を遵守すべき閣僚が、民間報道機関の社員に対し、女性であることを理由に配置を換えるような発言をした場合は、女性であることが職業生活上の障害となっていることを認めた上で、女性活躍推進法の附帯決議に逆行するような措置を事業者に推奨した疑いがある。政府の見解を明らかにされたい。
問五 麻生副総理の発言1、2、3が事実だとすれば、男女雇用機会均等法違反を推奨したことになるのではないか。
問六 麻生副総理の発言1、2、3が事実だとすれば、女性活躍推進法の附帯決議に逆行するような措置を事業者に推奨したことになるのではないか。
問七 安倍政権の掲げる「女性の活躍」にとって、ハラスメント対策は喫緊の課題となるはずだが、麻生副総理の発言1、2、3が事実だとすれば、「女性の活躍」に逆行することになるのではないか。
問八 人事院がホームページに掲載している「セクシュアル・ハラスメントとは」「これってセクシュアル・ハラスメント? 理解度チェック」に挙げられた事例の中で、セクハラに該当するものは何か。また、同「これってセクシュアル・ハラスメント? 意識度チェック」に挙げられた項目の中で、セクシュアル・ハラスメントの観点から問題があるものはどの項目と考えるか。政府見解を明らかにされたい。とくに、以下の項目について政府見解を明らかにされたい。
  1 「宴会などで場が盛り上がるのであれば、性的な話題を取り上げても構わないと思う。」
  2 「職場環境が悪くならなければ、卑猥な冗談を言うくらいは構わないと思う。」
  3 「飲み会などで、部下などの異性関係について話し合うのは、必要な情報交換であり、問題ないと思う。」
  4 「仕事の内容によっては、対外交渉は男性向き、総務系統は女性向きというように、性別による適性があると思う。」
問九 問八の観点から、女性記者に対し「キスしていい?」等の発言を行い、女性記者を不快にさせた福田事務次官の発言が事実であれば、セクシュアル・ハラスメントに相当するか。
問十 麻生副総理の発言1にあるような、「だったらすぐに男の番(記者)に替えればいいだけじゃないか。」という意見と、政府見解は同じか。同発言は、上記チェックリスト「仕事の内容によっては、対外交渉は男性向き、総務系統は女性向きというように、性別による適性があると思う。」に該当すると思うが、政府見解を明らかにされたい。
問十一 麻生副総理の発言2にあるような、「セクハラと受け取られる発言を同席した女性に対し行ったとしても、身体に触れていなければセクハラには相当しない」という意見と、政府見解は同じか。同発言はセクシュアル・ハラスメントに相当すると思うが、政府の見解を明らかにされたい。
問十二 平成三十年四月十六日に財務省が発表した「福田事務次官に関する報道に係る調査について」のなかで、福田財務次官からの聴取結果として、「時には女性が接客をしているお店に行き、お店の女性と言葉遊びを楽しむようなことはある。」という表現がある。問題の音声データだけでなく、聴取結果で話した「言葉遊び」という表現自体がセクシュアル・ハラスメントだと考えるが、政府も同じ認識か。
問十三 報道されている福田財務次官の発言によれば、「前後の会話を確認すればセクハラにはならない」という認識であると考えられるが、政府の見解も同様か。
問十四 今回の問題は、福田財務次官が「人事院規則にのっとった責務」をはたしていないことが問われているのであって、女性社員が名乗りでる必要性はないと考えるが、財務省は、今回の調査で何を明らかにしたいのか。具体的に明らかにされたい。そもそも何を明らかにしたいかが不透明であるにもかかわらず、「被害者本人が名乗り出なければ明らかにならない」としたことは、被害者をさらに追い詰めることになるが、そのような認識は政府にあるか。

 右質問する。



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