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平成三十年五月七日提出
質問第二七二号

遺伝子組み換え表示制度検討に関する質問主意書

提出者  大河原雅子




遺伝子組み換え表示制度検討に関する質問主意書


 食品表示関係法制度を一元化して制定された「食品表示法」(平成二十五年法律第七十号)に基づく表示基準が、消費者庁の下で順次検討されている。就中、遺伝子組み換え表示に関しては、現行表示制度がEU(欧州連合)等諸外国と比較して立ち遅れているとの消費者団体等の声が従前よりあり、平成二十九年四月に設置された「遺伝子組み換え表示制度に関する検討会」(以下「検討会」という。)での議論に注目が集まっていたところである。然るに、約一年間の検討会での検討の結果は、現行表示制度をほとんど改善しないのみならず、「遺伝子組み換えでない」表示の実施を困難にするというもので、消費者庁の下に置かれた検討会の姿勢と検討内容、結論に関して、消費者庁の性格と食品表示法の立法趣旨に鑑み、些か疑義を生ずるものであるので、以下、質問する。

一 検討会の委員と関係者ヒアリングの人選は、どのような基準と過程で行なわれたか、明らかにされたい。特に消費者代表とされる委員及び陳述人には、立場及び発言が必ずしも消費者代表と言い難い方もいたため、どのような候補の中から、どのような基準で選定されたか明らかにされたい。
二 食品表示法には「基本理念」として、表示による情報提供について「消費者の権利であることを尊重する」とうたっている。しかし、検討会の議論は事業者側の主張に基づく実施可能性が重視され、消費者側の意見を尊重する姿勢に乏しかったとの指摘がある。毎回の検討会運営について、事前に座長とどのような打ち合わせを行なったのか、具体的に明らかにされたい。
三 現行制度で表示免除とされている食用油・醤油等、製品においてDNAを検出し難い食品について、社会的検証によって表示義務を課すことに関して、検討会では取り上げられなかった。トレーサビリティシステムの確立または、原料原産地表示制度で採られているような帳票の確認等の手段による確認で実施を求める意見があったが、事務局が引き取って具体的な検討をすることなく、実施困難と結論した理由と経過を具体的に説明されたい。
四 混入限度を現行五%からの引き下げを要望する消費者側の意見に対して、事業者側のコストアップを理由とする反対意見に基づいて、引き下げ実施をしないと決めたことに関し、具体的な試算と消費者の意向調査等の検討を行なうことなく、実施困難と結論した理由と経過を具体的に説明されたい。
五 「遺伝子組み換えでない」表示を不検出基準とする意見が消費者側委員から出されたのは、現行混入限度が五%と高いことが一つの理由と思量する。然るに、混入限度を議論することなく、不検出基準の是非のみを議論したため、結果として「遺伝子組み換えでない」表示が微量混入の可能性を考えると実施困難となることに関して、事務局は実施に当たっての問題点とシミュレーションなど、委員が適切な判断を行なうための情報提供をどのように行なったか説明されたい。また混入限度の見直しという選択肢をなぜ提起し、議論しなかったのか、説明されたい。
六 食用油・醤油等は遺伝子組み換えの表示対象外であり、「遺伝子組み換えでない」表示も困難になると、遺伝子組み換えに関わる表示がなくなり、消費者は選択の手段がなくなる。豆腐や納豆などに関しても、これまで付けられていた「遺伝子組み換えでない」表示がなくなると、遺伝子組み換えになったのかと誤認することも考えられる。こうした問題点に関して、消費者の権利として尊重すべき消費者庁は、どのように考えるのか、見解を求める。また院内学習会で東京都の調査により二十八件中二十件が不検出であったと説明があったが、この調査結果をもって不検出基準が実施可能のように言うのは些か乱暴ではないか。より詳細な調査結果はあるか、実施可能性についてより丁寧に説明されたい。
七 検討会に先立って消費者庁が欧州で実施した調査報告は具体的であり、現行表示制度の見直しのために示唆に富むものであった。検討会では「食料を自給し、トレーサビリティシステムのある欧州は事情が異なる」という事業者側の主張を取り入れ、調査報告を無視するに到ったことは不可解である。食料自給に関しては、韓国のように欧州等からの輸入も考えられるし、トレーサビリティシステムも検討の余地がないわけではなく、またそれ以外の社会的検証も可能であるからである。わざわざ調査報告をしながら、無駄になってしまった理由と経過、なぜ上記の検討が行なわれなかったのか、理由を説明されたい。
八 検討会では欧州と韓国の調査報告があったが、台湾の報告がなく、情報を求める声があった。制度検討を実施する上で重要な情報と考えるが、比較的短期間でも可能な調査も行なわないで、不十分な情報のままで結論した理由について説明されたい。
九 食用油・醤油等の食品に関して、遺伝子組み換え表示は製品で検査してDNAを検出不能として表示免除とし、「遺伝子組み換えでない」表示については原料に遡って検査をするということは、明らかに矛盾している。原料に遡った検査によって「遺伝子組み換えでない」表示が監視できるのであれば、遺伝子組み換え表示も同様に監視可能なはずである。可能でないと考えるのであれば、その理由を具体的に説明されたい。
十 我が国はEUと経済連携協定(EPA)を締結することになっているが、遺伝子組み換え表示について少しでも近づけることを検討しなかったのか、説明されたい。また食料自給を目指すべきとは言え、輸入するにしても、できるだけリスクを分散することが食料安保の観点で望ましいと考えるが、将来的なEUからの穀物等の輸入に関して、どのように検討されているか説明されたい。

 右質問する。



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