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平成三十年六月八日提出
質問第三六九号

DDHの航空機運用能力向上に係る調査研究に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




DDHの航空機運用能力向上に係る調査研究に関する質問主意書


 平成三十年四月二十七日、防衛省は民間の造船会社に委託した「DDHの航空機運用能力向上に係る調査研究」を発表した。DDHはヘリコプター搭載護衛艦のことで、本調査の想定するものは具体的には「ひゅうが」「いずも」型護衛艦のことを指すと承知している。
 同年五月、自由民主党政務調査会は、「新たな防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画の策定に向けた提言」を公表した。六月一日、この提言は自由民主党の中谷元防衛大臣、若宮前防衛副大臣が安倍総理に面会し手渡された。
 この提言は自由民主党という政党の提言であるものの、わが国の安全保障上の重要な論点を含んでおり、その重要性については論をまたない。いくつかの提言、考え方については政府の見解がこれまで十分示されていないものが含まれており、この提言から派生する疑問点について、政府の見解を確認することは所属政党に関係なく、国会議員の責務であると考える。
 これらのことを踏まえ、以下質問する。

一 平成三十年三月二日、参議院予算委員会で小野寺防衛大臣は、「現状においても、「ひゅうが」及び「いずも」型護衛艦は、その艦上において哨戒ヘリ及び輸送ヘリという複数の機種の同時に運用することを想定」していると述べた上で、「護衛艦において運用する機数及び機種数を増加させ、長期間継続的に運用することを想定した場合に必要となる整備や燃料補給等に必要な艦内及び艦上の装備品や設備について調査」を行っていることを明らかにした。この調査では、「「ひゅうが」及び「いずも」型の護衛艦について、変化する安全保障環境や急速な技術革新に対応できるのか、どの程度の拡張性を有しているのか、最新の航空機のうちどのようなものが離発着可能なのかなど、現有艦の最大限の潜在的能力を客観的に把握する」ためのものであるものの「護衛艦「いずも」を今後どのように運用していくか、F35Bを自衛隊が導入するか否か、護衛艦「いずも」にF35Bを搭載させるか否かということについては何ら決まっておりません」と発言した。現時点においても、「いずも」型護衛艦にSTOVL機(短距離離陸・垂直着陸機)であるF35Bを搭載されるか否かは決定されていないという理解でよいか。
二 「DDHの航空機運用能力向上に係る調査研究」においては、「「ひゅうが」、「いずも」においては、回転翼有人機、これヘリコプターでありますが、これだけを現在運用しておりますが、運用していない有人の固定翼機や無人の回転翼機、固定翼機といった新しいカテゴリーの機体について調査を行っております。新型機種としては、こういう意味で、このカテゴリーごとに調査をしており、具体的には、米軍が運用しているものとして、まず固定翼有人機のうち艦艇に離発着できる短距離離陸・垂直着陸機の代表例としてF35B、それから回転翼無人機の代表例としてMQ8Cファイアースカウト、固定翼無人機の代表例としてRQ21Aブラックジャックを調査」したという理解でよいか。
三 二に関連して、「DDHの航空機運用能力向上に係る調査研究」で検証した機体について、「今後の結論を予断せずに様々な基礎的な情報収集をするものであり」「自衛隊がこれらの機体を導入することを前提としているわけではありません」との見解は変わりないか。
四 平成二十九年十二月二十七日、ロイター通信は、「二〇一九年度から始まる新たな中期防衛力整備計画に向け、政府は「いずも」型護衛艦を戦闘機が発着できる空母に改修する検討に入った。垂直に離着陸できる米海兵隊の「F35B」戦闘機の運用を想定するとともに、航空自衛隊が同型機を導入することも視野に入れている」もので、「有事の際に日本国内の滑走路が長距離ミサイルなどで破壊され、戦闘機が使用できなくなることに備える」ためと報じているが、ロイター通信の報じていることは事実誤認であるとの理解でよいか。
五 自由民主党の提言では、「陸上の航空基地が損害を受けた場合の代替滑走路としての機能(基地機能の分散及び抗堪性の向上)、列島線防衛のための平時・有事の防空任務あるいは災害時の救援活動の拠点としての機能(輸送、医療、自治体も含む航空機の運用)等、専守防衛の範囲内の様々な用途に用いる「多用途運用母艦」について、具体的な運用構想や既存艦艇の改修を含めた導入のあり方等の検討を進め、早期の実現を図りつつ、これに搭載・運用することも可能なSTOVL機(F−35B等)を取得する」と明示しているが、これまでの防衛大臣の答弁を修正させるもので、むしろロイター通信が昨年十二月に報じている内容と合致している。平成三十年三月二日の参議院予算委員会での防衛大臣の答弁は不正確で、ロイター通信の当該報道は正しかったのではないか。政府の見解如何。
六 「ひゅうが」及び「いずも」型の護衛艦については、「DDHの航空機運用能力向上に係る調査研究」で検証した機体を鑑みれば、陸上の航空基地が損害を受けた場合の代替滑走路としての機能(基地機能の分散及び抗堪性の向上)の保有が検討されているという理解でよいか。
七 いわゆる「空母」は空母打撃群の主要艦であり、空母打撃群は一隻の航空母艦と複数の護衛艦艇、潜水艦や補給艦で編成される。空母打撃群の編成についてはその時点の軍事技術と要求される任務に応じて変化するもので、一隻の海上自衛隊のDDHの改修が行われ、STOVL機のF35Bの離発着が可能になったとしても戦力投射能力を持つとはいえず、それを直ちに「空母化」であると指摘することは軍事的合理性に欠ける。しかしながら、防衛省が将来的に「陸上の航空基地が損害を受けた場合の代替滑走路としての機能」を「ひゅうが」及び「いずも」型の護衛艦に保有させようと考えているとすれば、大きな運用上の方針転換であり、注視しなければならない。防衛省は将来的に「陸上の航空基地が損害を受けた場合の代替滑走路としての機能」を「ひゅうが」及び「いずも」型の護衛艦に保有させようと研究しているという理解でよいか。

 右質問する。



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