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平成三十年六月十四日提出
質問第三八九号

再生可能エネルギー発電促進賦課金及び非化石価値取引に関する質問主意書

提出者  長尾秀樹




再生可能エネルギー発電促進賦課金及び非化石価値取引に関する質問主意書


 電力エネルギー源として、再生可能エネルギーは重要度を増し続けている。再生エネルギーの普及のためと、政府は二〇一二年にFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を導入した。以来、毎月送られてくる電気料金の明細書にはFIT賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)があり、国民はそれぞれおよそ十%を上乗せされた金額の消費電気料金を負担している。
 太陽光や水力・風力などの再生可能エネルギーによる発電を普及させていくことは、脱原発と地球温暖化対策の両立に欠かせない。国民としても、東京電力福島第一原発事故を受け、原子力発電を縮小して再生可能エネルギーの普及を促す仕組みであると理解納得するが、再生可能エネルギー発電の普及拡大の実感をともなわないままに国民の負担が増加することを懸念する。
 ここで、今年五月にFIT電源の非化石価値を取引する市場が始動した。CO2(二酸化炭素)を排出しないという環境価値を、証書の形で取引する新たな非化石価値取引制度である。
 そこで、以下質問する。

一 政府は、非化石価値取引市場における非化石証書の売り上げをFIT賦課金に充当し、賦課金の軽減、つまり国民負担の軽減を図る制度としているが、非化石価値取引所での初入札は低調に終わったようで、わずか約六百七十万円の売り上げにとどまっている。賦課金を一銭下げるにも七十億円必要であるとされるが、新たな制度は、実際には負担軽減にどれほど役立つのか、不透明なままでの制度導入ではないか。
二 また、電力小売事業者が証書の値段を上乗せして再生可能エネルギーの電気を販売した場合、賦課金として国民負担は減らせたとしても、最終的には電力を買った企業や国民が再生可能エネルギーに高い料金を払うことになる。単なる負担の付け替えに過ぎないと言えるのではないか。
三 エネルギー需給構造高度化法により、小売電気事業者は供給電力の非化石電源比率を二〇三〇年度に四十四%以上にすることが求められている。非化石電源には再生可能エネルギーと原子力が含まれており、現在検討されているエネルギー基本計画でも非化石電源のシェアを四十四%としている。このうち二十二〜二十四%が再生可能エネルギーである。計画通りであれば、非化石価値取引市場の有無にかかわらず、再生可能エネルギー普及に枠があるのも同然である。非化石価値取引市場を活発にしても、再生可能エネルギーの普及の加速は望めないのではないか。
四 火力発電由来の電力であっても、非化石証書を買えばCO2を減らして公表できる。非化石証書の価格が安ければ、CO2排出量の少ないガスではなく燃料コストの安い石炭で発電することが選ばれ、国全体の温室効果ガスの排出量抑制に逆行しかねないのではないか。
五 そもそも、非化石価値取引市場があることにより、火力発電所由来の電力であっても非化石証書と組み合わせるという手段を利用すれば、CO2を排出しない電力として扱われることは、FIT賦課金の導入が再生可能エネルギーの普及拡大を目的として国民負担をお願いするものであるという本意に反することであり、非化石価値取引市場ではなく、FIT制度のそのものの中で国民負担の軽減に努めるべきではないか。

 右質問する。



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