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平成二十年二月五日受領
答弁第二八号

  内閣衆質一六九第二八号
  平成二十年二月五日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員鈴木宗男君提出近年の冤罪事件を受けて警察庁が公表した「警察捜査における取調べ適正化指針」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員鈴木宗男君提出近年の冤罪事件を受けて警察庁が公表した「警察捜査における取調べ適正化指針」に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 警察庁が平成二十年一月に作成した「警察捜査における取調べ適正化指針」においては、警視庁及び道府県警察本部の総務又は警務部門に取調べに関する監督を担当する所属(以下「本部監督担当課」という。)を置くとともに、本部監督担当課及び警察署の総務又は警務部門に取調べに関する監督を担当する監督担当者を置き、取調べに係る不適正行為につながるおそれのある行為(以下「監督対象行為」という。)の有無を確認すること等により、取調べに関する監督を行うこととしている。監督担当者は、取調べ状況を把握した上、監督対象行為がなされた可能性があると認めたときは、関係書類の閲覧、捜査主任官等からの報告聴取、取調べの外形的状況の確認等の調査を行い、当該調査結果を書面に記録するとともに、監察部門等に通報し、懲戒処分等に活用することとしている。取調べに関する監督の実施状況については、定期的又は随時に都道府県公安委員会に報告することとしている。
 また、犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第二号)第百八十二条の二第一項の規定により、身柄を拘束されている被疑者又は被告人を取り調べた場合に作成が義務付けられている取調べ状況報告書について、身柄を拘束されていない被疑者又は被告人を取り調べた場合にも作成を義務付けることとしている。
 さらに、取調べ時間の管理の厳格化を図るため、取調べは、やむを得ない理由がある場合のほか、深夜に又は長時間にわたり行うことを避けなければならないこととするとともに、一定の時間帯等に取調べを行おうとするときは、警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長の事前の承認を受けなければならないこととすることとしている。
 これらに加えて、取調べ状況の把握を容易にするため、取調べ室の整備の充実を図るほか、捜査に携わる者の意識向上を図るため、教養の充実、勤務成績の処遇への的確な反映、監督対象行為を認めた場合の厳正な対処等を実施することとしている。
 なお、「警察捜査における取調べ適正化指針」の全文については、警察庁のホームページに掲載されている。

三について

 警察庁としては、監督担当者は警察官を含む警察職員とする方向で検討中である。

四について

 警察庁としては、都道府県警察において犯罪の捜査を直接担当しない総務又は警務部門に取調べに関する監督を担当させ、必要な体制を整備することにより、監督対象行為の有無の確認、監督対象行為が行われた場合における監察部門等への通報等が適切に行われるものと考えているが、御指摘のようなことがないよう、都道府県警察に対し、制度の趣旨の周知及び必要な指導の徹底を図ってまいりたいと考えている。

五及び六について

 一及び二についてで述べたとおり、警察庁としては、監督担当者が、取調べ状況を把握し、監督対象行為がなされた可能性があると認めたときは、所要の調査を行い、当該調査結果を書面に記録することを義務付けることとしている。また、四についてで述べたとおり、警察庁としては、都道府県警察において犯罪の捜査を直接担当しない総務又は警務部門に取調べに関する監督を担当させ、必要な体制を整備することにより、監督対象行為の有無の確認、監督対象行為が行われた場合における監察部門等への通報等が適切に行われるものと考えている。これらにより、監督担当者が、取調べについての苦情に対して適正な調査を行うとともに、適切な判断を行うことができるよう、都道府県警察に対し、制度の趣旨の周知及び必要な指導の徹底を図ってまいりたいと考えている。

七について

 取調べの全過程について録音・録画を義務付けることについては、衆議院議員鈴木宗男君提出富山県における冤罪判決に関する再質問に対する答弁書(平成十九年十月三十日内閣衆質一六八第一三八号)七及び八についてで述べたとおり種々の問題があるので、慎重な検討が必要であると考えている。

八について

 お尋ねについては、例えば、被疑者が、録音・録画により記録された取調べにおける供述の一言一句、その際の動作や表情等が後に再生され、近親者、知人等取調官以外の第三者がこれを視聴することとなる場合があり得ることを意識し、自己のプライバシーにわたる事項等を供述することをためらい、取調官との信頼関係を築くことが困難になるケース、組織犯罪の被疑者が、取調べの録音・録画の記録を視聴した犯罪組織の関係者から報復等を受けることを恐れ、当該犯罪組織の実態や当該犯罪組織における上位者の関与状況等を取調官に対して供述することができなくなるケース等が考えられる。



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