衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十年三月二十一日受領
答弁第一七四号

  内閣衆質一六九第一七四号
  平成二十年三月二十一日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員山井和則君提出国民年金の過払い保険料等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山井和則君提出国民年金の過払い保険料等に関する質問に対する答弁書



一について

 国民年金の六十歳以上の任意加入被保険者の数は、平成十八年度末時点において二十七万千五百七十七人である。

二について

 国民年金法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百四号。以下「平成十六年改正法」という。)による改正前の国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)附則第五条の任意加入被保険者制度においては、同制度に加入するかどうかは被保険者の任意であるという性格上、六十五歳到達等の場合を除き、本人が申し出た場合に限り被保険者の資格を喪失させることとされており、保険料納付済期間の月数が満額の年金額の支給要件である月数に達した場合であっても、本人からの資格喪失の申出がなければ、加入を継続させ、保険料を収納することとなっていたことから、社会保険庁としては、お尋ねの事例が制度上生じ得ることは承知していた。
 しかしながら、お尋ねの時点において、具体的な事例を把握していたかどうかについては、現時点では確認できない。

三について

 平成十六年改正法による任意加入被保険者制度の改正の施行日である平成十七年四月一日前においては、保険料納付済期間の月数が満額の年金額の支給要件である月数に達した場合であっても、本人からの資格喪失の申出がなければ、加入を継続させ、保険料を収納することとなっており、法律上の根拠がなく受領していた保険料ではないため、当該保険料を還付することとはなっていなかったものである。

四について

 社会保険事務所においては、実際に納めた保険料納付済期間等の月数と老齢基礎年金の額の計算の基礎となった保険料納付済期間等を確認することができるため、年金受給者本人は、両者の月数の差から、お尋ねの点について確認することが可能である。

五について

 お尋ねについては、現時点で集計することは困難であるが、現在六十歳以上の任意加入被保険者のうち保険料納付済期間が四十年を超える者について、その人数を集計するプログラムを開発すること等は技術的には可能であると考えている。

六について

 社会保険方式を採用している我が国の公的年金制度においては、給付と負担の関係が明確であることが重要であると考えるが、二についてで述べたとおり、任意加入被保険者制度において、給付に反映しない保険料を納めていたとしても、本人からの資格喪失の申出がなければ、加入を継続させ、保険料を収納することとしていたため、本人にその事実を知らせていないものである。

七について

 御指摘のような事例の有無については、承知していない。

八について

 「ねんきん特別便」については、既に一部の年金受給者本人に送付しており、また、基礎年金番号により管理されている記録を本人に送付して、当該記録の内容に間違いがないか、また、他に年金加入期間がないかについて確認していただくためのものであるため、御指摘のような年金額に反映されていない保険料がある場合に、その事実について記載することは現時点では考えていない。

九及び十について

 平成十六年改正法においては、国民年金法附則第五条に規定する任意加入被保険者が有する同法第二十七条各号に掲げる月数を合算した月数が、四百八十月に達した場合には、満額の老齢基礎年金の受給権を取得するという目的を既に達成していることから、当該被保険者の資格を喪失させ、保険料の納付を要しないこととしたものであり、四百八十月を超えて納付された保険料であって、その納付が平成十七年四月以降のものに係る分については、その保険料相当額を還付することとしている。

十一について

 御指摘の事例があるとは、承知していない。

十二及び十三について

 国民年金法及び厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)において、法律上の根拠なく受領していたことが判明した保険料についての取扱いについて定めた規定は設けられていないが、このような保険料については民法上の一般原則に基づき、不当利得として還付しているところであり、御指摘のような特別な制度を設ける必要はないものと考える。

十四から十六までについて

 基礎年金制度は、老後生活の基礎的な部分に対応した全国民共通の給付を二十歳以上六十歳未満の現役世代全体で公平に支える仕組みであり、国民年金法第七条第一項により、二十歳から六十歳に達するまでの四十年間は国民年金の被保険者とされ、また、同法第八十八条第一項により、被保険者には保険料の納付義務が課されている。このように、二十歳から六十歳に達するまでの間保険料を納付し続けることは、同法により求められているものである。
 一方、基礎年金の年金額の計算に当たっては、同法が施行された昭和三十六年四月一日当時、既に二十歳を超えていた昭和十六年四月一日以前に生まれた者については、六十歳に達するまでの間に四十年間分の保険料を納付することはできないことから、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号)附則第十三条により、同法附則別表第四に定められた月数(その者が生まれた年度に応じた、三百月から四百六十八月までの月数)につき保険料を納付すれば、四十年間保険料を納付した場合と同じ満額の年金額を受給できることとする経過措置が設けられている。これは、年金額の計算に関する経過措置であり、二十歳から六十歳に達するまでの間の保険料納付義務に変更を加えたものではなく、その保険料は法律上の根拠なく納付されたものではないため、これを還付することとはしていないものである。
 また、お尋ねの人数については、これを把握するシステムとなっていないため、お答えすることは困難である。

十七について

 国民年金又は厚生年金保険の受給権者(以下「年金受給権者」という。)の年金の裁定を変更する処理(以下「裁定変更処理」という。)の申出を行う者は多数おり、その申出がねんきん特別便に基づくものであるか否かを確認することが困難であるため、お尋ねの時期についてお答えすることは困難である。
 なお、裁定変更処理については、その申出を社会保険事務所で受け付けてから、社会保険業務センターに進達し、同センターにおいてこれを完了するまで、現在、六か月程度を要しているところであるが、今後、裁定変更処理の迅速化のため、同センターの体制の強化を図り、原則として、社会保険事務所からの進達から三か月以内の処理を目指すこととしている。

十八について

 社会保険庁としては、各社会保険事務所に対し、裁定変更処理について、六か月程度の期間を要し、また、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律(平成十九年法律第百十一号)に基づく給付の支給が見込まれる場合には、その増額分の支給額を確定する処理について、更に三か月から四か月の期間を要している旨を年金受給権者に対し説明するよう、各社会保険事務所を指導しているところであるが、今後とも、適切に対応するよう指導してまいりたい。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.