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平成二十年六月六日受領
答弁第四三二号

  内閣衆質一六九第四三二号
  平成二十年六月六日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員石関貴史君提出八ッ場ダム問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員石関貴史君提出八ッ場ダム問題に関する質問に対する答弁書



一の1について

 お尋ねの「数字が決まった時期」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、昭和六十一年七月に作成した特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)第四条第一項の規定に基づく八ッ場ダムの建設に関する基本計画(以下「基本計画」という。)においては、八ッ場ダムの建設される地点における計画高水流量毎秒三千九百立方メートルのうち、毎秒二千四百立方メートルの洪水調節を行うこととしている。

一の2について

 八ッ場ダムの洪水流出計算モデルの係数については、一級河川利根川水系吾妻川(以下「吾妻川」という。)の群馬県渋川市村上地先において、昭和三十四年八月、昭和五十六年八月、昭和五十七年八月及び昭和五十七年九月の洪水時における流量の観測値等により検証している。

一の3について

 お尋ねの「洪水流量観測」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、高水流量観測を指すのであれば、吾妻川の群馬県吾妻郡東吾妻町大字三島地先(以下「岩島地点」という。)においては、建設省関東地方建設局八ッ場ダム工事事務所(当時)が昭和五十六年から高水流量観測を開始している。

一の4について

 岩島地点において「洪水ピーク流量が毎秒一〇〇〇m3を超えた」と思われる洪水を観測した時間帯、流量の観測値のうち最大のもの(以下「最大観測値」という。)及び洪水時の八ッ場ダム上流域の流域平均の三日雨量は、昭和五十六年八月二十三日午前三時八分から同日午前八時八分までで最大観測値が毎秒約千四百七立方メートルであり三日雨量が約二百七十九ミリメートル、昭和五十七年九月十二日午後十一時五分から翌日午前零時十五分までで最大観測値が毎秒約千百二十六立方メートルであり三日雨量が約二百十七ミリメートル、平成十年九月十六日午前八時から同日午前十一時までで最大観測値が毎秒約千三百七十三立方メートルであり三日雨量が約二百七ミリメートル、平成十三年九月十日午後三時一分から同日午後四時四分までで最大観測値が毎秒約千二百七十一立方メートルであり三日雨量が約三百四十一ミリメートル、平成十九年九月七日午前二時二分で最大観測値が毎秒約千十立方メートルであり三日雨量が約三百二十三ミリメートルとなっている。
 また、八ッ場ダム地点における計画降雨量は三日雨量で三百五十四ミリメートルであり、八ッ場ダム地点から上流の流域面積は約七百八平方キロメートル、岩島地点から上流の流域面積は約七百四十七平方キロメートルである。

二の1について

 国土交通省において、昭和二十二年九月の洪水時と同程度の降雨量及び同洪水時の降雨パターンを基に、一級河川利根川水系利根川(以下「利根川」という。)の八斗島地点における流出計算を行った結果によれば、八斗島地点上流にダムがない場合の洪水のピーク流量は毎秒二万二千百七十立方メートル、既設の六ダム(相俣ダム、藤原ダム、奈良俣ダム、矢木沢ダム、薗原ダム及び下久保ダムをいう。以下同じ。)はあるが八ッ場ダムがない場合の洪水のピーク流量は毎秒二万四百二十一立方メートル、既設の六ダムに加えて八ッ場ダムがある場合の洪水のピーク流量は毎秒二万四百二十一立方メートルである。
 なお、国土交通省において、昭和二十二年九月の洪水時と同程度の降雨量で、同洪水時を含む過去に生起した三十一の洪水時の降雨パターンを基に、八斗島地点における流出計算を行った結果によれば、そのうち二十九の洪水時の降雨パターンについて、八ッ場ダムは洪水のピーク流量に対する調節効果を有している。

二の2について

 お尋ねの「最近三〇年間の洪水について八ッ場ダムがあった場合の八斗島地点での治水効果を計算したもの」は、国土交通省が現時点で把握している限りでは存在しない。

二の3について

 お尋ねの「八斗島地点以外で利根川における八ッ場ダムの治水効果を、最近三〇年間の洪水について計算したもの」については、国土交通省が現時点で詳細を把握しているものは存在しない。

三の1及び2について

 八ッ場ダムの暫定水利権(ダム等水源開発施設の建設を勘案し許可された水利権をいう。以下同じ。)の名称、許可を受けている者、水量及び当初許可年月日(同一の名称で最も早く暫定水利権の許可を受けた年月日をいう。)は、平成十九年度末現在、次のとおりである。
 (1) 東部地域水道用水供給事業、群馬県知事、毎秒〇・四二八立方メートル(非かんがい期)、平成九年十月十七日
 (2) 藤岡市水道、藤岡市長、毎秒〇・二三五立方メートル(通年)、昭和四十三年九月三十日
 (3) 埼玉県水道(大久保)、埼玉県知事、毎秒三・七五〇立方メートル(非かんがい期)、毎秒〇・六七〇立方メートル(通年)、昭和四十八年六月三十日
 (4) 埼玉県水道(吉見)、埼玉県知事、毎秒〇・四八二立方メートル(非かんがい期)、平成十七年三月三十一日
 (5) 東京都水道(朝霞)、東京都知事、毎秒〇・五五九立方メートル(非かんがい期)、昭和六十二年五月一日
 (6) 千葉県水道(矢切)、千葉県知事、毎秒〇・四七〇立方メートル(非かんがい期)、昭和五十四年三月三十一日
 (7) 県西広域水道(水海道系)、茨城県知事、毎秒〇・〇三六立方メートル(通年)、平成十三年六月十二日
 (8) 県南広域水道(利根川)、茨城県知事、毎秒〇・五〇七立方メートル(通年)、昭和五十五年三月三十一日
 (9) 東毛工業用水道、群馬県知事、毎秒〇・二〇八立方メートル(非かんがい期)、昭和五十二年七月十九日
 (10) 千葉地区工業用水道、千葉県知事、毎秒〇・四七〇立方メートル(通年)、昭和五十一年二月二十日
 (11) 群馬用水、独立行政法人水資源機構理事長、毎秒〇・五六四立方メートル(非かんがい期)、平成十二年十月三十日
 (12) 埼玉県水道(行田)、独立行政法人水資源機構理事長、毎秒四・三一五立方メートル(非かんがい期)、昭和五十九年六月六日

三の3について

 平成十三年八月に実施された取水制限において、三の1及び2についてで述べた八ッ場ダムの暫定水利権のうち、埼玉県水道(大久保)及び埼玉県水道(行田)については、お尋ねの「安定水利権とは異なる取水制限」を実施している。当時、埼玉県水道(大久保)の暫定水利権は水量が毎秒三・〇〇八立方メートル(非かんがい期)、毎秒〇・六九八立方メートル(通年)で、埼玉県水道(行田)の暫定水利権は水量が毎秒一・六六六立方メートル(非かんがい期)、毎秒一・〇六八立方メートル(通年)であり、このうち埼玉県水道(大久保)の毎秒〇・六九八立方メートル(通年)及び埼玉県水道(行田)の毎秒一・〇六八立方メートル(通年)について、安定水利権の取水制限率が十パーセントであったのに対して、二十パーセントの取水制限率となっていた。

四の1について

 現在、手続を行っている基本計画の変更に当たっては、八ッ場ダムの建設に伴い新設される発電所の最大出力を一万千七百キロワット、年間可能発生電力量を四万九百九十二メガワット時と見込んでいる。

四の2について

 東京電力株式会社から提出された河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第二十三条に基づく許可の申請書における最大発電力は、川中発電所が一万四千キロワット、松谷発電所が二万三千五百キロワット、原町発電所が二万六千五百キロワット、箱島発電所が二万三千百キロワット、金井発電所が一万四千二百キロワット、渋川発電所が六千八百キロワットである。
 また、「年間平均発電量」については、国土交通省は、河川法第二十三条に基づく許可の条件として、実際の取水量について報告を受けているが、実際の発電量について報告を受けることとはしていないことから、把握していない。

五の1について

 お尋ねの「カスリーン台風再来時の八ッ場ダムの治水効果を前提にした場合」における八ッ場ダムの洪水調節に係る便益については算出していないため、お答えすることは困難である。なお、利根川上流域は過去の降雨の特性が多様であることから、過去に生起した三十一の洪水時における降雨パターンを用いて、年超過確率二百分の一の洪水が生起した場合における洪水調節効果を計算すること等により、八ッ場ダムの洪水調節に係る便益を八千二百七十六億円と算出しているところである。
 また、お尋ねの「洪水想定氾濫区域図」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、利根川水系においては平成三年に「直轄河川防御対象氾濫区域図」を作成し、公表しているところであり、これは計画高水位より低い沿川の地域等が浸水すると仮定して洪水時に浸水する可能性がある区域を図示したものであり、「八ッ場ダムがある場合とない場合」について、計算に基づき作成したものではない。

五の2について

 八ッ場ダムの河川の水量確保に係る便益は、八ッ場ダムにより吾妻川に維持流量を確保することによる景観改善等の効果を算定したものであり、観光客数及び沿川居住世帯数に、近隣のダムで実施したアンケート調査結果に基づいて設定した支払意思額(河川の水量を確保するための取組に対して個人や世帯が支払ってもよいと考える金額をいう。)を乗じること等により算出したものである。
 便益の計算に使用した観光客数は、約七百三十九万人であり、平成十三年度における吾妻町(当時)、長野原町、草津町、嬬恋村及び六合村の年間の観光客数を合計したものである。

五の3について

 川中発電所及び松谷発電所に関する水利権の許可期間は、平成二十三年度末までであり、東京電力株式会社からの申請があれば、必要な審査を行い、更新を判断することとなる。



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