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平成二十年六月二十四日受領
答弁第五六一号

  内閣衆質一六九第五六一号
  平成二十年六月二十四日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員近藤昭一君提出「木曽川水系連絡導水路事業」の事業目的と環境影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員近藤昭一君提出「木曽川水系連絡導水路事業」の事業目的と環境影響に関する質問に対する答弁書



第一の一の(1)及び(2)について
 前々回答弁書(平成十九年六月二十二日内閣衆質一六六第三七八号)二の(一)について及び前回答弁書(平成二十年一月十一日内閣衆質一六八第三七二号)一の(1)についてで述べたとおり、個々の渇水について統計学上の発生確率を計算することは困難であることから、お尋ねについてお答えすることはできない。
第一の一の(3)について
 御指摘のような「異常大渇水」の場合における検討は行っていないが、平成六年に発生した規模の渇水において、緊急水として木曽川水系連絡導水路を通じて行う一級河川木曽川水系長良川(以下「長良川」という。)への導水(以下「緊急放流」という。)によって、長良川中流部にある三か所のアユ等の産卵場のうち一か所で、必要と考えられる流量が確保されること等の河川環境の改善効果があると考えている。
第一の二の(1)について
 木曽三川魚類検討会(以下「魚類検討会」という。)は、和田吉弘中部学院大学短期大学部副学長、駒田格知名古屋女子大学家政学部教授、安藤志郎美濃加茂市立山手小学校長及び後藤宮子長良川魚類研究者・関市の水生生物研究者の四名の委員で構成されていた。また、魚類検討会の議事の概要については、請求があれば開示すべきものと考えている。
第一の二の(2)について
 長良川に関しては、学識経験者等から構成される「河川における魚類生態検討会」(座長:水野信彦愛媛大学教授)の報告書において、産卵に必要な水深がカジカについては二十センチメートル、ウグイについては三十センチメートル、アユについては三十センチメートルとされたこと、魚類検討会における検討の結果、カワヨシノボリの産卵に必要な水深が三十センチメートルとされたこと等を踏まえ、それぞれの生息箇所において産卵に必要な水深を確保するよう正常流量(漁業、流水の清潔の保持、動植物の生息・生育地の状況等を総合的に考慮して定められた維持流量及び流水の占用のために必要な水利流量の双方を満足する流量をいう。以下同じ。)を設定したものである。
第一の三の(1)について
 名古屋市の工業用水として平常時に長良川を経由して行う一級河川木曽川水系木曽川(以下「木曽川」という。)への導水(以下「常時放流」という。)による長良川への影響については、これまで行った水質、動植物等についての現地調査等の分析を行い、必要とされる調査を引き続き実施するとともに、学識経験者による意見等を踏まえながら、今後、検討してまいりたい。
第一の三の(2)の@について
 現時点では、木曽川上流ダム群(味噌川ダム、阿木川ダム及び新丸山ダムをいう。以下同じ。)の新規利水容量及び不特定容量に係る貯水量の合計が五十パーセント以下に低下し、かつ、木曽川木曽成戸地点(以下「木曽成戸地点」という。)における流量が毎秒四十立方メートルを下回った時から、常時放流分に加え、最大で毎秒四立方メートルの緊急放流を実施する予定である。具体的な放流地点については、現在、検討を行っているところであり、お答えすることは困難である。
第一の三の(2)のAについて
 お尋ねの「頻度」については、昭和五十四年から平成十年までの二十年間の木曽川の流況において、木曽川上流ダム群の新規利水容量及び不特定容量に係る貯水量の合計が五十パーセント以下に低下し、かつ、木曽成戸地点の流量が毎秒四十立方メートルを下回ったと推測される年は二か年であることから、おおむね十年に一回程度となるが、具体的な運用は今後検討することとしている。また、第一の三の(2)の@についてで述べたとおり、常時放流分に加え、最大で毎秒四立方メートルの緊急放流を実施する予定である。
第一の三の(2)のBについて
 最大で毎秒四立方メートルの緊急放流による長良川への影響については、これまで行った水質、動植物等についての現地調査等の分析を行い、必要とされる調査を引き続き実施するとともに、学識経験者による意見等を踏まえながら、今後、検討してまいりたい。
第二の一について
 木曽成戸地点の塩素イオン濃度が海水より濃くなることはないものと考えている。
 なお、前回答弁書一の(4)の@の(ア)及び(イ)並びにAについてで述べたとおり、御指摘の「グラフ」は、木曽川大堰からの放流量と塩素イオン濃度の関係を示し、木曽成戸地点の流量がおおむね毎秒五十立方メートル以上であれば、ヤマトシジミの生息に悪影響を及ぼさないと考えられる塩素イオン濃度を満足できていることを確認したものである。
第二の二について
 前回答弁書一の(3)の@及びAについてで述べたとおり、平成六年に木曽川で発生したような瀬切れが防止されること、木曽川の中流部のアユ等の産卵場で必要と考えられる流量が確保されること、平成六年に木曽川で発生したようなヤマトシジミの斃死等の現象が改善されること、平成六年に木曽川及び長良川で発生したような水質悪化が改善されること等河川環境の改善効果があると考えており、木曽川水系連絡導水路事業(以下「導水路事業」という。)は必要な事業であると認識している。
第三の一について
 木曽川水系においては、異常渇水時に瀬切れが発生するなど、魚類等の生息・生育環境に影響が生じていることから、導水路事業を含む河川整備に当たっては、流水等を動植物の生息・生育に重大な影響を与えない状態に保全し、多様な生息・生育環境を保全・復元するため、正常流量の確保に努めることとしており、木曽川水系河川整備基本方針においても、動植物の生息地・生育地の保全については、多様な動植物を育む瀬・淵やワンド、河岸、河畔林、河口干潟等の定期的なモニタリングを行いながら、生物の生活史を支える環境を確保できるよう良好な自然環境の保全に努めるとともに、木曽川の中・下流域においては、イタセンパラ等の生息地となるワンドの保全に努めることとしている。
第三の二及び三について
 御指摘の「結果としてイタセンパラをより一層絶滅に追いやるという危惧」の根拠が必ずしも明らかでないが、木曽川水系では、異常渇水時には瀬切れが発生するなど、魚類等の生息環境に影響が生じていることから、河道や流水の状態を動植物の生存に重大な影響を与えない状態に保全し、多様な生息・生育環境を保全・復元するための流量が必要であると考えている。
第四の一及び二について
 導水路事業については、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)等を参考に、当該事業の実施が環境に及ぼす影響について評価を行うこととしているが、環境影響評価法の対象事業には該当しないことから、必ずしも環境影響評価法等に定められたすべての手続が求められるものではないと考えており、その詳細については現在検討中である。
第四の三について
 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかでないが、第四の一及び二についてで述べたとおり、導水路事業については、環境影響評価法等を参考に、当該事業の実施が環境に及ぼす影響について評価を行うこととしている。


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