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答弁本文情報

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平成二十九年二月二十四日受領
答弁第七三号

  内閣衆質一九三第七三号
  平成二十九年二月二十四日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員福田昭夫君提出消費が増えなくても激しいインフレが起きるのかという疑問に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員福田昭夫君提出消費が増えなくても激しいインフレが起きるのかという疑問に関する質問に対する答弁書



一及び六について

 お尋ねの「消費は拡大しないままで、激しいインフレが突然現在の日本で起きるのか」及び「消費の拡大もない時に突然激しいインフレに見舞われた」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、御指摘の「激しいインフレ」については、先の答弁書(平成二十八年三月十八日内閣衆質一九〇第一七四号)八についてでお答えしたとおり、ハイパーインフレーションは、戦争等を背景とした極端な物不足や、財政運営及び通貨に対する信認が完全に失われるなど、極めて特殊な状況下において発生するものである。
 政府としては、財政運営及び通貨に対する信認が失われることのないよう、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一五」(平成二十七年六月三十日閣議決定)第三章に定めた「経済・財政再生計画」に沿って引き続き財政健全化の取組を着実に進めてまいりたい。

二から四までについて

 お尋ねについては、企業の商品の値上げに関する特定の行動を仮定した御質問であることからお答えすることは差し控えたい。
 なお、通貨の信認が失われることによる激しいインフレは、通貨一単位当たりの購買力が低下することによって発生するため、「もし一箇所も把握できていないとしたら、通貨の信認が失われると激しいインフレが起きるという政府の主張は間違いだ」といった御指摘は当たらない。

五について

 お尋ねについては、仮定の御質問であることからお答えすることは差し控えたい。

七について

 先の答弁書(平成二十九年二月三日内閣衆質一九三第三〇号。以下「前回答弁書」という。)一から八までについてでお答えした「財政運営及び通貨に対する信認が著しく損なわれる結果、金利の急騰や激しいインフレが生じ」については、我が国の通貨に対する内外からの信頼の低下を通じて、金利の高騰や激しいインフレが生じる旨を述べたものであり、御指摘の「円が暴落し、輸入物価が上昇しインフレになる」といった特定の経路を念頭に置いたものではない。
 お尋ねの「巨額の外貨を保有する日本の現状」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
 前回答弁書一から八までについてでお答えしたとおり、御指摘の「コンバート」を行えば、財政運営及び通貨に対する信認が著しく損なわれる結果、金利の急騰や激しいインフレが生じ、経済・財政・国民生活に重大な影響が及ぶおそれがあるため、政府としては、御指摘の「コンバート」を行うつもりはない。

八について

 「無制限の指し値オペを続ければ金利は固定され急騰するわけがないが同意するか」とのお尋ねについては、日本銀行の金融政策運営に関するものであり、同行の自主性を尊重する観点から、お答えすることは差し控えたい。同行は、二パーセントの「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利の操作を内容とする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」(平成二十八年九月二十一日日本銀行政策委員会・金融政策決定会合決定)を継続するとしており、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に沿って、同行が適切に対応されるものと認識している。
 なお、国債の金利は、金融政策のみならず、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであり、その動向について言及することは市場に無用の混乱を生じさせかねないことから、国債の金利の動向に関するお尋ねにお答えすることは差し控えたい。

九について

 前回答弁書一から八までについてでは、「一般論としては、無利子・無期限の債券に経済的価値を認めることは難しい」旨を述べており、一般的に、日本銀行券や貨幣が無価値であるとは考えていない。

十及び十六について

 デフレ脱却と持続的な経済成長の実現は、政府の重要な政策課題であり、安倍内閣の経済財政政策により、デフレではないという状況となり、雇用・所得環境も確実に改善していると考えている。政府としては、引き続き、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けて、金融政策、財政政策及び構造改革を総動員することとしている。

十一について

 御指摘の「財政状況を一つの数量的基準を用いて測ることは困難である」とは、例えば国・地方の債務残高のGDP比について、一つの数量的基準をもってその厳しさをお答えすることは困難であることを述べたものである。

十二について

 「中長期の経済財政に関する試算」(平成二十九年一月二十五日経済財政諮問会議提出。以下「一月試算」という。)では、経済再生ケースにおいて、国・地方の債務残高対名目GDP比が平成二十九年度に百八十八・五パーセント程度、平成三十七年度に百六十九・六パーセント程度となる姿をお示ししている。
 御指摘の「わざと誤解を招き、明らかに国民を騙そうとする意図が見える表現」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれている」に関しては、前回答弁書等において、国・地方の債務残高がGDPの二倍程度に膨らむとともに、国・地方の債務残高の累増が見込まれる旨を述べたものであり、一月試算において国・地方の公債等残高が増加する試算結果となっていることと整合的なものとなっている。

十三について

 お尋ねの「計量経済モデルの変数・方程式リストや乗数」の公表時期については未定である。

十四について

 潜在成長率は、算出の方法や用いるデータの改定等により、推計値は異なるものであることから相当の幅をもって見る必要がある。その上で、平成二十三年基準改定等を反映した「二〇一六(平成二十八)年七〜九月期四半期別GDP速報(二次速報値)」(平成二十八年十二月八日内閣府公表)に基づく潜在成長率の試算値はプラス〇・八パーセントとなり、「二〇一六(平成二十八)年七〜九月期四半期別GDP速報(一次速報値)」(平成二十八年十一月十四日内閣府公表)に基づく試算値であるプラス〇・四パーセントと比べ、上方改定となったが、これは、基準改定を通じて、各種の推計手法の開発や、より詳細な基礎統計の取り込みのほか、「国際基準(二〇〇八SNA)」に対応したことなどにより、直近のGDP成長率が上方改定されたため、足下のGDPのトレンドの伸びが上向き、全要素生産性の伸びとして潜在成長率の推計に反映された結果であり、「総需要を増やせば潜在成長率は増えることを示した」との御指摘は当たらない。したがって、「財政を拡大すれば、潜在成長率が低くても経済は発展する事が出来ることが証明された」とは考えていない。

十五について

 一月試算は、政府の掲げる経済再生と財政健全化のこれまでの進捗状況とともに、今後、目標実現のために必要となる取組の検討に必要な基礎データを提供するため、デフレ脱却・経済再生に向けた経済財政政策の効果が着実に発現することで、日本経済がデフレ前のパフォーマンスを取り戻す経済再生ケースと、経済が足下の潜在成長率並みで将来にわたって推移するベースラインケースの二つのケースを比較考量できるようお示ししているものである。
 したがって、これらのケースとは異なる前提で数値を試算する予定はない。

十七について

 政府としては、平成二十五年一月二十二日に政府及び日本銀行が共同で公表した「内閣府、財務省、日本銀行「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」」にもあるように、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、政府及び同行の政策連携を強化し、一体となって取り組んできたところであり、こうした安倍内閣の経済財政政策により、デフレではないという状況となり、雇用・所得環境も確実に改善していると考えている。
 その上で、同行は、二パーセントの「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利の操作を内容とする「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続するとしており、平成二十八年十月十二日の衆議院予算委員会において、黒田東彦同行総裁は、経済、物価及び金融情勢を踏まえ、必要な場合には追加緩和を行う旨の答弁をしているものと承知している。
 デフレ脱却と持続的な経済成長の実現は、政府及び同行共通の重要な政策課題であり、引き続き、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けて、同行とも緊密に連携しつつ、金融政策、財政政策及び構造改革を総動員し、一体となって取り組んでいく。



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