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答弁本文情報

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平成二十九年六月九日受領
答弁第三五一号

  内閣衆質一九三第三五一号
  平成二十九年六月九日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員阿部知子君提出再生可能エネルギーの電力系統接続に係る空容量ゼロ問題等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出再生可能エネルギーの電力系統接続に係る空容量ゼロ問題等に関する質問に対する答弁書



一について

 再生可能エネルギーの導入については、平成二十四年七月の電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号。以下「再生可能エネルギー特別措置法」という。)の施行後、平成二十八年十二月末までに再生可能エネルギー発電設備の導入量が約二・六倍に増加しているように、着実に再生可能エネルギーの導入拡大が進んでいる。一方で、太陽光発電中心の導入が進んだ結果、国民負担上昇の懸念等の課題が顕在化していると承知している。そのため、平成二十八年五月に成立した電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第五十九号。以下「改正法」という。)においては、入札制度の導入、中長期的な調達価格の目標の設定等の再生可能エネルギー発電設備の効率的な導入を促す仕組み等を盛り込んでいる。こうした取組に加え、研究開発や規制制度改革を組み合わせ、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制の両立に向け、着実に取組を進めていくこととしている。

二について

 御指摘の「空容量ゼロ問題及び接続費用負担問題」については、電力系統への接続を希望する事業者が電力系統に接続できる必要があると考えている。
 また、両問題への対策については、電力広域的運営推進機関及び一般送配電事業者において、電力系統への接続の円滑化に向けて、特別高圧の電力系統の増強に係る工事に必要な工事費負担金を共同で負担する事業者を募集するプロセス(以下「電源接続案件募集プロセス」という。)が導入され、また、電力系統の利用状況に関する情報及び工事費負担金に含まれる送変電設備の標準的な単価の公表等が実施されている。

三の1から3までについて

 御指摘の「優先した接続義務」の意味するところが必ずしも明らかではないが、改正法による改正前の再生可能エネルギー特別措置法(以下「旧法」という。)第五条は、旧法第六条第一項の規定による経済産業大臣の認定を受けた再生可能エネルギー発電設備について電力系統への接続を求められた場合に、旧法第二条第一項に規定する電気事業者に当該接続を義務付けることを規定したものであり、再生可能エネルギー発電設備を他の電源よりも優先的に接続することを義務付ける規定ではない。

三の4について

 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第十七条第四項においては、一般送配電事業者は、その供給区域において実質的な制度的独占が担保されているため、その制度的独占の弊害から電気の利用者の利益を保護する観点から、電源の種類にかかわらず電力系統への接続を求められた場合は、正当な理由がなければ、当該接続を拒んではならない旨を規定しており、あらゆる電源の電力系統への接続は公平に扱われることとされている。

四について

 個別の事業判断の実態調査は行っていないが、容量が不足する電力系統に接続する場合、「発電設備の設置に伴う電力系統の増強及び事業者の費用負担等の在り方に関する指針」(平成二十七年十一月六日資源エネルギー庁電力・ガス事業部公表。以下「指針」という。)及び電源接続案件募集プロセスに従って必要な電力系統の増強を行うための工事費を支払えば電力系統への接続を可能とするなど、適切な電力系統への接続ルールを整備したところである。

五について

 一般送配電事業者においては、「系統情報の公表の考え方」(平成二十四年十二月資源エネルギー庁電力・ガス事業部公表)を踏まえて、電力系統の利用状況に関する情報及び工事費負担金に含まれる送変電設備の標準的な単価の公表等を実施していると承知している。

六について

 再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制の両立を図るという改正法の趣旨に鑑みれば、より実施の確度の高い事業を支援することが重要である。御指摘の「系統制約により空容量がゼロとされている地点で計画されている事業」の意味するところが必ずしも明らかではないが、改正法による改正後の再生可能エネルギー特別措置法第九条第三項に規定する再生可能エネルギー発電事業計画に係る経済産業大臣の認定を受ける前の事業を意味するのであれば、実施の確度の低い事業を支援することとなり、適当ではないと考えている。

七の1について

 電力広域的運営推進機関において、旧一般電気事業者十社に対し、平成二十六年度における系統連系の接続申込に対する回答状況について調査を行ったところである。この調査によれば、工事費負担金を発電設備の容量で除した単価で見ると、当該単価が低いほど、接続の契約に至る件数は多いとされている。

七の2について

 電力広域的運営推進機関では、経済産業大臣が認可した業務規程に基づき、発電事業者からの求めに応じて、一般送配電事業者の示した電力系統の増強に係る工事の内容について検証し、必要に応じて一般送配電事業者に再検討を求めることとしている。

七の3について

 指針は、発電事業者が電力系統の増強によって得られる受益の大きさに応じて、費用の負担を求めるものであり、発電事業者に過大な特定負担を求め得るという指摘は当たらない。

八について

 工事費負担金は、個々の設備ごとの事情に応じて金額が異なるが、調達価格は、国民負担の抑制の観点から、再生可能エネルギー発電設備による再生可能エネルギー電気の供給を調達期間にわたり安定的に行うことを可能とする価格として、当該供給が効率的に実施される場合に通常要すると認められる費用等を基礎として定めるものとされているところである。

九について

 電源接続案件募集プロセスについては、現在、多くの地点で進行中と承知しており、今後、実態を踏まえ必要に応じて対策を検討してまいりたい。

十について

 一般送配電事業者である東京電力パワーグリッド株式会社においては、法令に基づき、電力系統の維持や整備を含めて、一般送配電事業を適切に運営することが求められている。



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