衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十九年六月二十日受領
答弁第四〇二号

  内閣衆質一九三第四〇二号
  平成二十九年六月二十日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員仲里利信君提出政府と沖縄県が争う「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」解決の前提となる沖縄駐留米軍の抑止力と存在意義についての政府の認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員仲里利信君提出政府と沖縄県が争う「沖縄県名護市辺野古への新基地建設問題」解決の前提となる沖縄駐留米軍の抑止力と存在意義についての政府の認識に関する質問に対する答弁書



一について

 米軍の運用に関することについては、政府としてお答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、政府としては、米軍は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)の目的達成のため、平素から必要な訓練を行っているものと認識している。

二、八から十一まで、十三、十五及び十六について

 沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいているという利点を有している。また、南西諸島のほぼ中央にあり、我が国のシーレーンに近いなど、安全保障上極めて重要な位置にある。こうした地理上の利点を有する沖縄に、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊を統合した組織構造を有し、優れた機動性及び即応性により、幅広い任務に対応可能な第三十一海兵機動展開隊をはじめとする米海兵隊が駐留することにより、例えば、大規模な自然災害発生時において主として災害救援の初期段階における輸送支援、医療支援等を実施すること、様々な緊急事態において民間人の避難活動を実施すること、我が国に対する武力攻撃の発生時又は極東における武力紛争発生時において主として初動対処を実施するとともに、来援する米軍の受入基盤の確保に当たること等が可能となっており、在沖縄米海兵隊は、抑止力の重要な要素の一つとして機能していると認識している。
 このような在沖縄米海兵隊の位置付け及び機能を踏まえれば、御指摘の「佐世保に所在する揚陸艦」と共に行動することのみをもって、在沖縄米海兵隊が沖縄に駐留する必要はないとすることは適当ではないと考える。また、在沖縄米海兵隊の沖縄県外への一括移転については、一般的には、沖縄ほどの地理的優位性が認められない、広大な土地の確保に多大な時間を要するといった問題点があるものと認識している。
 さらに、沖縄の持つ地理的優位性は、沖縄が「ミサイルの射程内に存在する」か否かのみをもって議論されるべきではないと考えている。

三から五までについて

 抑止力とは、侵略を行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識させることにより、侵略を思いとどまらせるという機能を果たすものであると解してきている。日米安保体制の下、在日米軍においては、緊急事態に迅速かつ機動的に対応できる態勢が平時からとられており、このような在日米軍のプレゼンスは、米国が有する核戦力や通常戦力とあいまって、抑止力として機能しているものと考えている。また、地理的な優位性を有する沖縄に、優れた機動性及び即応性を有し、幅広い任務に対応可能な第三十一海兵機動展開隊をはじめとする米海兵隊や、制空や警戒監視等の重要な航空作戦に当たる米空軍といった米軍が駐留することは、日米同盟の抑止力を構成する重要な要素であり、我が国の平和と安全を確保する上で必要なものであると認識している。
 なお、想定される抑止力の対象は、必ずしも特定の国に限られるものではない。

六について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、米軍は、日米安保条約の目的達成のために我が国に駐留していると考えている。

七について

 第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(平成二十一年条約第三号。以下「グアム移転協定」という。)及び第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書(平成二十六年条約第六号)により改正されたグアム移転協定(以下「改正グアム移転協定」という。)に従い、我が国政府は、平成二十一年度に三億三千六百万米ドル、平成二十二年度に四億九千七百八十万米ドル、平成二十四年度に一億千四百三十万米ドル、平成二十六年度に一億九千三百十万米ドル、平成二十七年度に千百三十万米ドル、平成二十八年度に一億千三百十六万米ドルの資金を、米国政府に対し、それぞれ提供したところである。米国政府は、これらの資金を、グアム移転協定及び改正グアム移転協定に従って使用することとなっており、平成二十二年度に約七百九十一万米ドル、平成二十三年度に約八百万米ドル、平成二十四年度に約四千三百十七万米ドル、平成二十五年度に約四千六百四万米ドル、平成二十六年度に約千五百八十万米ドル、平成二十七年度に約二千百三十八万米ドル、平成二十八年度に約三千八百七十五万米ドルを、それぞれ支出したものと承知している。
 また、米国政府も、在沖縄米海兵隊のグアムへの移転(以下「グアム移転」という。)に係る建設経費として、二千十会計年度予算に三億十九万米ドル、二千十一会計年度予算に一億六百七十三万米ドル、二千十三会計年度予算に約二千五百九十万米ドル、二千十四会計年度予算に約八千五百六十七万米ドル、二千十五会計年度予算に約五千六十五万米ドル、二千十六会計年度予算に約一億二千五百六十八万米ドル、二千十七会計年度予算に六千二百二十一万米ドルを計上し、これらの経費のうち一部について契約が締結された旨米側から聞いている。
 お尋ねの「予算の執行状況が当初計画通りであるか」については、「当初計画」が何を指すか必ずしも明らかではないことから、お答えすることは困難であるが、グアム移転については、平成二十五年十月三日付けの日米安全保障協議委員会共同発表において、二千二十年代前半に開始されることが確認されており、日米両政府は、引き続き緊密に協力しながら着実にグアム移転事業を進めているところである。

十二について

 御指摘の「三十一MEUの兵員や物資を輸送する高速船の提供」及び「米国本国に三十一MEUの拠点を移した場合のアジアへの巡回」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、普天間飛行場の辺野古への移設は、米軍の抑止力を維持しながら、同時に同飛行場の危険性を一刻も早く除去するための唯一の解決策であると考えている。

十四について

 本年二月十日に実施された日米首脳会談に際し発出された共同声明においては、アジア太平洋地域において厳しさを増す安全保障環境の中で、米国は、地域におけるプレゼンスを強化することが述べられているほか、マティス米国国防長官は、同月四日に実施された日米防衛相会談において、米国にとってアジア太平洋地域は優先地域であり、米軍の継続したプレゼンスを通してアジア太平洋地域への米国のコミットメントを強化していく旨強調しているものと認識している。また、米国は、平成八年の日米安全保障共同宣言や平成九年に発表した「四年ごとの国防計画の見直し」等において、アジア太平洋地域において約十万人の兵力を維持する方針を掲げたが、平成二十八年末現在においても、アジア太平洋地域において約十万人の兵力を維持していると承知している。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.