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平成三十年二月六日受領
答弁第三七号

  内閣衆質一九六第三七号
  平成三十年二月六日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員山井和則君提出営業活動に携わる労働者の具体的事例への裁量労働制の適用の適否等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山井和則君提出営業活動に携わる労働者の具体的事例への裁量労働制の適用の適否等に関する質問に対する答弁書



一について

 御指摘の「課題解決型提案営業」及び「課題解決型の開発提案業務」については、対象業務の基本的な考え方に変更はない。なお、今国会に提出することを検討中の働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(仮称)においては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十八条の四第一項第一号ハの規定について、その範囲を明確にする観点で第百八十九回通常国会に提出した労働基準法等の一部を改正する法律案による改正案から変更することを検討中である。

二から四までについて

 個々の労働者の業務が現行の労働基準法第三十八条の四の規定によるみなし労働時間制度(以下「企画業務型裁量労働制」という。)における同条第一項第一号に規定する対象業務(以下「対象業務」という。)又は労働政策審議会が昨年九月に答申した働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱(以下「法案要綱」という。)において企画業務型裁量労働制の対象に追加することとされた業務(以下「新対象業務」という。)に該当するか否かについては、個別具体的に判断する必要があるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、企画業務型裁量労働制における対象業務については、その要件を同号において「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であつて、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」と規定しており、この要件に該当するものに限り対象業務となる。
 また、法案要綱においては、企画業務型裁量労働制について、「(一)事業の運営に関する事項について繰り返し、企画、立案、調査及び分析を主として行うとともに、これらの成果を活用し、当該事業の運営に関する事項の実施状況の把握及び評価を行う業務」とともに「(二)法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を主として行うとともに、これらの成果を活用し、当該顧客に対して販売又は提供する商品又は役務を専ら当該顧客のために開発し、当該顧客に提案する業務(主として商品の販売又は役務の提供を行う事業場において当該業務を行う場合を除く。)」(以下「課題解決型の開発提案業務」という。)を新対象業務として追加することとされており、この要件に該当するものに限り新対象業務とすることを検討中である。
 なお、これに関し、法案要綱においては、(一)については「事業の運営に関する事項の実施方法の改善を行うものであることを指針に定めること」、(二)については「法人である顧客の事業の運営に関する事項を改善するために行うものであることを指針に定めること」、並びに(一)及び(二)については「既製品やその汎用的な組み合わせの営業は対象業務になり得ないこと及び商品又は役務の営業活動に業務の重点がある業務は該当しないことを指針に定めること」とされており、厚生労働大臣が労働基準法第三十八条の四第一項に規定する委員会が決議する事項について定める同条第三項に規定する指針においてその旨を定めることを検討中である。

五について

 お尋ねの「業務の具体的なイメージ」については、新対象業務に該当するか否かについて、個別具体的に判断する必要があるため、一概にお答えすることは困難である。
 また、お尋ねの「部署名の具体的なイメージ」については、企業組織の在り方は個々の企業ごとに様々であると考えられることから、一概にお答えすることは困難である。

六から九までについて

 企画業務型裁量労働制の対象労働者についての賃金、労働契約の期間、雇用形態、勤続年数及び年齢に関する要件はないが、労働基準法第三十八条の四第一項の規定により、「対象業務を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者」であること等が必要であり、これらの要件に該当する労働者に限り、企画業務型裁量労働制を適用することができる。
 また、法案要綱においては、「対象業務に従事する労働者は、対象業務を適切に遂行するために必要なものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する知識、経験等を有するものに限るものとすること」とされており、これを企画業務型裁量労働制の対象労働者の要件として定めることを検討中である。さらに、新対象業務に係る企画業務型裁量労働制についても、当該要件を満たすことを必要とすることを検討中である。

十及び十一について

 お尋ねの「法人営業」及び「営業」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難であるが、課題解決型の開発提案業務については、法案要綱においては、「法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を主として行うとともに、これらの成果を活用し、当該顧客に対して販売又は提供する商品又は役務を専ら当該顧客のために開発し、当該顧客に提案する業務(主として商品の販売又は役務の提供を行う事業場において当該業務を行う場合を除く。)」とされており、この要件に該当するものに限り課題解決型の開発提案業務とすることを検討中である。

十二及び十六について

 お尋ねの観点からは、統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

十三及び十四について

 労働基準法第三十八条の三及び第三十八条の四の規定によるみなし労働時間制度(以下「裁量労働制」という。)について、これらに規定する要件を満たさず、同法第四章の労働時間に関する規定の適用に当たっての労働時間のみなしの効果が生じないことにより、同法第三十二条又は第三十七条第一項の違反となる場合には、同法第百十九条により、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金の対象となる。
 なお、労働基準監督署の監督指導においても、裁量労働制に不適切な状況があれば、指導を行っているところである。

十五について

 裁量労働制が適正に行われているかどうかについては、労働時間のみならず労働基準法第三十八条の三又は第三十八条の四(以下「労働基準法第三十八条の三等」という。)に規定する要件について、個別具体的に判断する必要があるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

十七について

 求職者がその従事する業務の内容及び労働条件をあらかじめ知った上で就職することは、求職者を保護する観点から必要であることから、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第五条の三第一項において公共職業安定所等は職業紹介等に当たり求職者等に対し、労働条件を明示しなければならないとされており、同条第二項の規定により、求人者は求人の申込みに当たり公共職業安定所等に対し、労働条件を明示しなければならないこととされていることから、労働条件の一部である裁量労働制の適用の有無についても、求人票に明示させているところである。

十八から二十までについて

 職種が営業である求人については、「営業」が具体的に何を指すのかが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難であるが、「新卒」が例えば大学の学部を卒業した労働者であって全く職務経験のない者を指すならば、労働基準法第三十八条の三に規定する要件を満たす場合に、契約社員及び最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)に基づき適用される最低賃金額と同額の賃金額の労働者については、労働基準法第三十八条の三等に規定する要件を満たす場合に、現行の裁量労働制を適用することが可能である。
 なお、企画業務型裁量労働制について、法案要綱においては「対象業務に従事する労働者は、対象業務を適切に遂行するために必要なものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する知識、経験等を有するものに限るものとすること」とされており、これを企画業務型裁量労働制の対象労働者の要件として定めることを検討中である。さらに、新対象業務に係る企画業務型裁量労働制についても、当該要件を満たすことを必要とすることを検討中である。
 公共職業安定所における求人の取扱いに関しては、裁量労働制の導入については、労働基準法第三十八条の三等の規定により、労使協定等を行政官庁に届け出なければならないこととされており、公共職業安定所において求人申込みがあった場合には、労使協定等の届出の有無を求人者に確認し、求人申込みを受理しており、また、求人申込みの内容に法令違反の疑いが生じた場合など、その求人に対して職業紹介を行うことが適当ではない場合には、労働者保護の観点から、職業紹介の保留等の措置を講ずることとしている。
 お尋ねの「裁量労働制の対象とならない職種についての求人」については、当該求人の業務に従事する者に裁量労働制を適用することが不可能であるため、当該求人申込みの内容が法令に違反するものとして、公共職業安定所においては、職業安定法第五条の五ただし書の規定に基づき求人不受理としているところである。



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