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答弁本文情報

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平成三十年六月十五日受領
答弁第三六三号

  内閣衆質一九六第三六三号
  平成三十年六月十五日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員井出庸生君提出尊い命が失われたカンボジアPKOを評価、検証し、未来の政策に活かすことに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員井出庸生君提出尊い命が失われたカンボジアPKOを評価、検証し、未来の政策に活かすことに関する質問に対する答弁書



一の1について

 国際連合の公表によれば、昭和二十三年以降、平成三十年四月三十日までに、国際連合の統括の下に行われる平和維持活動は現在実施中の十四件を含めて七十一件実施されており、死者数は三千六百十名とされていると承知している。このうち、日本人の死者数は六名である。
 また、お尋ねの日本人の負傷者数については、政府として網羅的に把握することは困難であるが、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号。以下「法」という。)に基づき派遣された我が国要員のうち、敵対行為により負傷した者は、カンボディア国際平和協力業務に文民警察要員として派遣された者のうちの四名である。

一の2について

 平成二十六年九月の「国連PKOに関するハイレベル会合」等において、国際連合の統括の下に行われる平和維持活動に従事する人々が、より複雑かつ危険な環境に直面しているとの認識が示されていると承知しているが、こうした中、政府としては、法に基づき派遣される我が国要員の安全の確保のために最大限の努力を行う必要があると認識している。

二の1について

 「カンボディア国際平和協力業務の実施の結果」(平成五年十一月十二日閣議決定。以下「実施の結果」という。)に記載されているとおり、平成五年五月のカンボジアにおける憲法制定議会選挙の成功に示されたとおり、国際連合カンボディア暫定機構(以下「UNTAC」という。)による活動がカンボジア和平の基礎を作ったことは喜ばしいことであり、我が国として、人的な面も含めこれに対して貢献をなし得たことは誇りであると考えている。こうした我が国の要員・部隊の活動については、カンボジアの官民を含め国際的に高い評価を得ており、我が国においても国民の理解と支持が深まったものと認識している。
 他方、我が国が行った文民警察分野における国際平和協力業務の中で、平成五年五月四日に我が国文民警察要員五名が死傷するという事件(以下「本件事件」という。)が発生したことは極めて残念であったと考えている。

二の2について

 実施の結果に記載されているとおり、治安状況は、一部の地域において、当初より著しく悪化したものであり、本件事件が発生したことは極めて残念であったと考えている。

三の1について

 現時点で確認できる限りでは、カンボディア国際平和協力業務の実施に際しては、現地情勢等必要な情報収集を行ったほか、派遣する我が国要員に対して、法、カンボジアに関する基礎知識、保健衛生、語学等を中心とした研修を行っている。また、停戦監視要員には防弾チョッキを、施設部隊には小型武器、防弾チョッキ及び鉄帽を、文民警察要員には小型武器及び防弾チョッキを、それぞれ要員の安全確保のために必要な装備品として貸与し、又は支給した。さらに、総理府国際平和協力本部事務局(当時)及び我が国大使館が中心となって、我が国要員に対する各種の支援を行っている。なお、選挙要員を派遣したのは平成五年五月十二日であり、本件事件が発生した後である。

三の2について

 現時点で確認できる限りでは、治安状況の悪化を受け、村田自治大臣兼国家公安委員会委員長(当時)を現地に派遣する等して、我が国要員を含むUNTAC要員の安全確保についてUNTACに申入れを行っている。さらに、我が国要員に対し新たな防弾チョッキを支給し、また、衛星回線電話を追加で支給したほか、UNTACのヘリコプター等による輸送能力増強のため国際連合に百十万ドルの緊急拠出を行っている。

三の3について

 我が国要員は、法に基づき派遣されるに際しては、法第十六条の規定により、国際平和協力業務の適切かつ効果的な実施のための研修を受けなければならないこととされており、カンボディア国際平和協力業務について現時点で確認できる限りでは、当該業務に派遣された我が国文民警察要員に対しては、法、カンボジアに関する基礎知識、保健衛生、語学等に係る研修等を実施している。他方、実施の結果に記載されているとおり、安全確保のための知識に関する事前研修の徹底や万一危険に直面した際の対応要領等、研修面、運用面の問題が課題であったと認識している。

三の4について

 実施の結果に記載されているとおり、我が国文民警察要員は、UNTACが州や郡に設置した警察署等に数名ずつ配属されたものであるが、その後、アンピルを含む一部の地域においては、治安状況が当初より著しく悪化したものであり、本件事件が発生したことは極めて残念であったと考えている。

三の5について

 一般論としては、法第六条第十三項第一号から第八号までに掲げる場合に該当することとなった場合には、法第八条第一項(第六号)の規定に基づき作成した実施要領に従って国際平和協力業務を中断することとなり、さらに、当該業務に従事する者の海外への派遣の終了に係る実施計画の変更をすることが必要であると認めるとき、又は適当であると認めるときは、法第六条第十三項の規定に基づき実施計画の変更を閣議により決定し、当該派遣を終了することとなる。我が国としては、国際連合平和維持活動等に参加するに当たり、こうした法の規定につき、あらかじめ国際連合等に説明し、理解を得た上で参加しているところである。
 また、お尋ねの「事例」としては、我が国として国際連合平和維持隊に参加するに際しての基本的な五つの原則が満たされなくなったことを理由とするものではないが、平成八年一月から実施してきたゴラン高原国際平和協力業務について、シリア・アラブ共和国内の情勢悪化等を受け、政府として我が国の要員の安全を確保しつつ意義のある活動を行うことが困難との認識に至り、国際連合等との調整を経て、我が国の要員を撤収させることを平成二十四年十二月二十一日に発表し、司令部要員及び部隊要員は平成二十五年一月に、連絡調整要員は同年二月に、それぞれ撤収を完了したものがある。

三の6について

 お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

三の7及び8について

 御指摘の「一部隊員が独自に自動小銃を購入していた事実」については確認されておらず、また、御指摘の「基準」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、政府としては、法に基づき我が国要員を派遣するに際しては、従事する業務の内容、現地の情勢、参加各国の装備の状況等も踏まえ、我が国要員の安全確保のために必要な装備の内容を決定しているところである。

四について

 政府としては、今後とも、国際協調主義に基づく積極的平和主義の下、国際社会において、これまでの国際連合平和維持活動等への協力の実績の上に立ち、我が国の強みを生かし、能力構築支援の強化、部隊及び個人の派遣など、国際平和協力分野において一層積極的に貢献していく考えである。
 一般に、国際連合等から要請があった場合の国際連合平和維持活動等への我が国の参加の検討に当たっては、憲法及び法の枠内で行われるべきこと、我が国国内の支持を受けるものであり、また、国際社会からも評価されるものであること、現地の事情に合わせて要員の派遣が効果的かつ安全に行われるため万全の支援体制を整え得ること、我が国が適切に対応することが可能な分野であること等の観点から、現地調査の結果、国際連合や関係国際機関等の意向等を十分踏まえ、総合的に判断することとしている。
 なお、国際連合等からの派遣要請等については、国際連合等との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。

五の1の(一)及び(三)並びに2について

 お尋ねの「検証作業」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、安全確保の問題については、実施の結果に記載されているとおり、現地の情勢をより一層適時適切に把握するとともに、国際連合側との連絡調整をより緊密にする必要があり、更に具体的な安全対策については、通信等の資機材の充実といった装備面のみならず、安全確保のための知識に関する事前研修の徹底や万一危険に直面した際の対応要領等、研修面、運用面の問題も課題であったと認識している。政府としては、こうした教訓を生かしつつ、法に基づき派遣される我が国要員の安全確保に努めているところであり、引き続き万全を期してまいりたい。

五の1の(二)について

 警察庁において調査した限りでは、お尋ねの「警察庁がまとめた内部文書」については、その作成、処分等に関する記録も含め、同庁において保存されておらず、「いつまでどのように取り扱われ、どのように処分されたのか」とのお尋ねについてお答えすることは困難である。

五の3について

 仮定の質問であり、一概にお答えすることは困難であるが、今後、御指摘の「記録、映像など」を取得することとなった場合には、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)等の関係法令の規定に基づき、適切に対応することとなるものと考えている。

五の4について

 警察庁において調査した限りでは、お尋ねの「総括報告」については、その取得、処分等に関する記録も含め、同庁において保存されておらず、「提出後どのように取り扱われ、いつ、どのように処分されたのか」とのお尋ねについてお答えすることは困難であるが、今後、取得することとなった場合には、公文書等の管理に関する法律等の関係法令の規定に基づき、適切に対応することとなるものと考えている。

六の1について

 本件事件当時、スウェーデンの文民警察要員による我が国文民警察要員に対する助力について、我が国政府からスウェーデン政府に対し深い謝意を既に表明済みである。

六の2について

 本件事件において、高田晴行警視が犠牲になったことは、誠に痛ましく残念であったが、御指摘の「タカタハルユキスクール」については、教育機関として現地に貢献するとともに、我が国とカンボジアの間の関係の促進に寄与しているものと考えている。



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