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全国戦没者追悼式における横路衆議院議長追悼の辞
(平成22年8月15日)


横路衆議院議長は、日本武道館で行われた全国戦没者追悼式で、次のとおり、追悼の辞を述べ献花しました。

全国戦没者追悼式における議長追悼の辞


天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、全国戦没者追悼式が挙行されるにあたり、謹んで追悼の辞を申し述べます。

あの日、真夏の太陽がカッカと照りつけ、セミがしきりと鳴いていた、烈日の下に戦争に敗れたことを知らされたと、ある作家は書き残しています。それから六十五年の歳月が経ちました。

太平洋の海原で、アジアの山野で、シベリアで、広島長崎沖縄で、そして空襲下の国内各地で、三百万余りの同胞が亡くなられたことを思い返すとき、その痛ましさにいまなお胸にこみあげるものを禁じえません。近隣諸国あわせて、二千万人といわれる犠牲者の方々。その惨禍の大きさに茫然自失するほかありません。

国の内外すべての戦禍に斃れた方々の御霊に衷心より哀悼の誠をささげますとともに、最愛の肉親を失い、悲しみと苦難の戦後を生き抜いてこられたご遺族のみなさまに、お悔やみを申し上げます。

戦没学生の手記を編んだ「きけわだつみのこえ」の本のなかに、「死んだ人びとは、還ってこない以上、生き残った人びとは、何が判ればいゝ?」という言葉があります。

私は、戦没者二百四十万人のうち、まだ百十五万柱もの遺骨が故国へ戻ってきていないことに心が痛みます。北の冷たい大地に、南のジャングルに、いまなおどんな思いで眠っておられるのでしょうか。激戦の硫黄島では、二万余りの戦死者の、まだ六割の遺骨が灼熱の洞窟の中で、そのままになっています。

国家が始めた戦争で国のためにたったひとつの大切な命を失った方々の遺骨は、かなう限り故国に戻っていただかなければなりません。それは国の責任です。わたしたち生き残った者の責任です。そのためにわたしたちは全力を尽くすことをお誓いいたします。

今日の世界では、なお民族や宗教を背景とする紛争が絶えることなく続いています。核の脅威、テロの脅威にさらされています。

しかし、わたしたちは生き残った者の責任として、永久平和へのたゆみない歩みを続けなければなりません。最大の核保有国である米国のオバマ大統領が昨年四月、プラハで「核兵器のない世界」をめざす演説をしたことは画期的なことでした。今年八月六日の広島の原爆の日には、潘基文国連事務総長が参列いたしました。「地位や名声に値するのは核兵器を持つ者ではなく、これを拒む者」だと述べ、「核兵器のない世界」の夢の実現を語りました。

世界はいま、わずかながら、戦争のない世界への希望の灯がともったように思われます。その灯をさらに輝かせること、それに向けてわが国が一歩一歩努力していくこと、それがさきの大戦の戦没者の遺志を継いでいくことにほかならないと思います。

時はともすると、人々の記憶を奪ったり、惨禍を美化したり、真実を覆い隠したりします。今日、この日は、日本国民があの戦争の歴史を忘れ去ることのないように、そのためにあるのです。

日本国憲法の平和の理念を改めて胸に誓い、戦没者の御霊の安からんことを祈って、追悼の言葉といたします。



平成二十二年八月十五日



衆議院議長  横路孝弘
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