衆議院改革に係る諸問題については、衆議院議会制度に関する協議会(以下「議会制度協議会」という。)を中心に検討が進められている。
議会制度協議会は、第51回国会昭和41年3月10日の議院運営委員会の決定により設置された。同協議会は、議長の諮問機関として、議院運営委員会の委員長、理事等で構成され、議長及び副議長出席のもと、構成員相互の間で、その時の当面の問題ばかりでなく、議会制度全般の問題について、時には党派の立場を離れて大所高所の観点から率直な意見の交換を行っている。
議会制度協議会においては、これまでに、「国会法の改正問題」、「議院の運営上の問題」、「政治倫理の問題」、「国会の制度改革の問題」等議会制度に関わる各般の問題について幅広く協議されてきた。
最近では、河野議長から、「秘書問題」、「議員互助年金問題」について検討するよう諮問された。
国会議員の秘書に関する問題に関しては、平成16年2月13日の議会制度協議会において河野議長より、平成3年の櫻内元議長並びに平成15年の綿貫前議長による諮問機関であった二度の国会議員の秘書に関する調査会のそれぞれの答申を踏まえ、諮問された。
議会制度協議会では、たび重なる秘書給与の不正流用、詐取を巡る問題が起こったことを受け、国民の国会議員に対する信頼を回復するという見地から、現行の公設秘書制度の見直しについて、定年制、給与制度、兼職の禁止、近親者の採用、寄附、透明性の確保等の項目に関して、法制化するもの、議院運営委員会の申合せで行うもの、各党が内規で独自に対処するものなどを検討し、3月30日には、答申案を取りまとめ、議長に答申した。4月9日の議院運営委員会では、国会議員の秘書について、その採用制限及び兼職禁止、議員秘書に対する寄附の勧誘又は要求を禁止する等の措置を講ずる「国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案」を委員会提出法律案とすることに決定し、透明性確保の観点から、議員秘書の勤務実態等について各会派が情報の公開を進めるものとして「議員秘書の氏名等の公表に係る各会派申合せ」を決定した。
(参考)
議員秘書の氏名等の公表に係る各会派申合せ
衆議院議員の公設秘書(以下「議員秘書」という。)の氏名等の公表について、次の事項を確認し、申合せを行う。
一、各会派は、その所属議員に係る議員秘書について、別に定める共通の様式により、氏名、議員秘書の区分、議員秘書に係る議員の氏名、議員秘書が当該議員の三親等内の血族の場合における続柄、勤務地及び採用年月日を公表すること。
二、各会派は、議員秘書の氏名等の公表を、衆議院事務局庶務部議員課内に設けられる閲覧場所において行うこと。
三、各会派は、議員秘書の氏名等を当該議員秘書が退職するまでの間公表することとし、議員秘書の氏名等の公表に係る書類は、当該議員秘書に係る議員の在任期間中、衆議院事務局庶務部議員課内において保存すること。
四、各会派は、議員秘書の氏名等の公表を、今国会中のできるだけ早い時期に行うこと。
議員互助年金問題に関しては、平成16年2月13日の議会制度協議会において、河野議長より諮問された。その後各党間において検討され、4月9日に各党の国会対策委員長から河野衆議院議長、倉田参議院議長の両議長に対し、国会議員互助年金問題について、両院議長のもとに諮問機関を設置してほしい旨の要請があり、両院議長が協議した結果、学識経験者6人で組織される国会議員の互助年金等に関する調査会が設置され、6月16日には初会合を開いた。調査会は、国会議員互助年金制度に関する諸問題について調査、検討し、その意見を両院議長に答申するものとされている。
(参考)
国会議員の互助年金等に関する調査会
1 調査会の設置
衆議院議長及び参議院議長(以下、「両院議長」という。)の下に、国会議員の互助年金等に関する調査・検討等を行うため、有識者による諮問機関を置く。
2 構成
(1) 調査会は、委員6名をもって組織する。
(2) 委員は、議員以外の学識経験のある者のうちから、両院議長がこれを委嘱する。
(3) 調査会に座長を置く。
(4) 座長は、委員の推薦によって、これを定める。
3 諮問事項
国会議員互助年金制度等に関する諸問題について。
4 諮問期間
概ね6か月
5 運営
(1) 調査会の招集は、座長が行う。
(2) 調査会の会議は、座長が主宰する。
6 参考意見の聴取
調査会は、議員その他必要と認めた者から参考意見を聴取することができる。
7 答申
調査会は、諮問事項について調査、検討し、その意見を両院議長に答申するものとする。
8 調査会の事務
調査会の事務は、衆議院及び参議院の事務局がこれを掌る。
国会議員の互助年金等に関する調査会委員名簿
委員 中島 忠能 前人事院総裁
同 貝塚 啓明 中央大学教授
同 中島 勝 政治評論家
同 渡部 記安 立正大学大学院教授
同 大石 眞 京都大学大学院教授
同 猪口 邦子 上智大学法学部教授