衆議院

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第一四二回

衆第三号

   国家公務員の倫理の保持に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条―第四条)

 第二章 国家公務員倫理規程(第五条)

 第三章 贈与等の報告及び公開(第六条―第九条)

 第四章 国家公務員倫理審査会(第十条―第十五条)

 第五章 雑則(第十六条―第十九条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、国家公務員の職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより、職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する国民の信頼を確保することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「職員」とは、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第二項に規定する一般職に属する国家公務員及び同条第三項に規定する特別職に属する国家公務員(同項第十三号から第十五号までに掲げる職員を除く。)であって常勤のものをいう。

 (職員の責務)

第三条 職員は、国民全体の奉仕者であることを自覚し、公正な職務の執行に当たるとともに、常に公私の別を明らかにし、職務や地位を私的な利益のために用いてはならない。

 (国会報告)

第四条 政府は、毎年、国会に、職員の職務に係る倫理の保持に関する状況及び職員の職務に係る倫理の保持に関して講じた施策に関する報告書を提出しなければならない。

   第二章 国家公務員倫理規程

第五条 政府は、職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為を防止し、公務に対する国民の信頼を確保するため、職務に関係のある業者等との接触に関し職員の遵守すべき事項、職員の職務に係る倫理の保持に資するための研修の実施に関する事項その他職員の職務に係る倫理の保持を図るために必要な事項を定めた規程(以下「国家公務員倫理規程」という。)を定めるものとする。

2 内閣総理大臣は、国家公務員倫理規程の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。国家公務員倫理規程を変更しようとするときも、同様とする。

3 政府は、国家公務員倫理規程を定めたときは、これを国会に報告しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

   第三章 贈与等の報告及び公開

 (贈与等の報告)

第六条 行政機関(法律の規定に基づき内閣に置かれる各機関、内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関として置かれる各機関及び内閣の所轄の下に置かれる機関並びに会計検査院をいう。以下同じ。)に置かれる官房、局その他の内部部局に置かれる課の所掌事務を分掌する係の長の官職として政令で定める官職及び政令で定めるところにより当該官職を占める職員が支給を受ける俸給(一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)その他職員の給与に関する法令の規定に基づいて支給を受ける俸給をいう。以下同じ。)の額として政令で定める額(以下この条において「基準俸給額」という。)と当該官職以外の官職を占める職員が支給を受ける俸給の額とを比較し、基準俸給額に相当し、又は基準俸給額を超える額の俸給の支給を受けることとなる職員の官職として政令で定める官職(以下「本省係長級以上官職」という。)を占める職員は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる事項を記載した贈与等報告書を、毎年、四月一日から同月三十日までの間に、各省各庁の長(内閣総理大臣、各省大臣、人事院総裁及び会計検査院長並びに各外局の長並びにその委任を受けた者をいう。以下同じ。)に提出しなければならない。

 一 前年中に親族以外の者から、贈与により財産を取得した場合(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により贈与により取得したものとみなされる場合を含む。以下同じ。)又はその者と職員の職務との関係に基づいて提供する人的役務に対する報酬として政令で定める報酬の支払を受けた場合(当該取得又は当該支払の時において本省係長級以上官職を占めていた場合に限り、かつ、当該贈与又は当該報酬の価額が一件につき二千円を超える場合に限る。) 当該贈与又は当該報酬の価額、年月日及び基因となった事実並びに当該贈与をした者又は当該報酬を支払った者の氏名(その者が会社その他の法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。以下同じ。)である場合には、名称。次号において同じ。)及び住所

 二 前年中に親族以外の者から、その者と職員の職務との関係に基づいて当該職員の配偶者若しくは生計を一にする子が贈与により財産を取得した場合又はその者と職員の職務との関係に基づいて当該職員の配偶者若しくは生計を一にする子が提供する人的役務に対する報酬として政令で定める報酬の支払を受けた場合(当該取得又は当該支払の時において当該職員が本省係長級以上官職を占めていた場合に限り、かつ、当該贈与又は当該報酬の価額が一件につき二千円を超える場合に限る。) 当該贈与又は当該報酬の価額、年月日及び基因となった事実並びに当該贈与をした者又は当該報酬を支払った者の氏名及び住所

2 各省各庁の長は、前項の規定により贈与等報告書の提出を受けたときは、当該贈与等報告書の写しを国家公務員倫理審査会に送付しなければならない。

 (資産等の報告)

第七条 職員は、行政機関に置かれる官房に置かれる官職であって、当該行政機関の所管行政に関する重要事項の企画立案に参画し、及び関係事務を総括整理するものとして政令で定める官職又は政令で定めるところにより当該官職を占める職員が支給を受ける俸給の額として政令で定める額(以下この条において「基準俸給額」という。)と当該官職以外の官職を占める職員が支給を受ける俸給の額とを比較し、基準俸給額に相当し、若しくは基準俸給額を超える額の俸給の支給を受けることとなる職員の官職として政令で定める官職(以下「官房審議官級以上官職」という。)に任命されたとき(職員が当該任命の日の前日において官房審議官級以上官職を占めていた場合を除く。)は、当該任命された日(以下「就任日」という。)において有する次の各号に掲げる資産等について、当該資産等の区分に応じ当該各号に掲げる事項を記載した資産等報告書を、同日から起算して百日を経過する日までに、各省各庁の長に提出しなければならない。

 一 土地(信託している土地(自己が帰属権利者であるものに限る。)を含む。) 所在、面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続(被相続人からの遺贈を含む。以下同じ。)により取得した場合は、その旨

 二 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利の目的となっている土地の所在及び面積並びに相続により取得した場合は、その旨

 三 建物 所在、床面積及び固定資産税の課税標準額並びに相続により取得した場合は、その旨

 四 預金(当座預金及び普通預金を除く。)、貯金(普通貯金を除く。)及び郵便貯金(通常郵便貯金を除く。) 預金、貯金及び郵便貯金の額

 五 金銭信託 金銭信託の元本の額

 六 有価証券(証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項及び第二項に規定する有価証券に限る。) 種類及び種類ごとの額面金額の総額(株券にあっては、株式の銘柄、株数及び額面金額の総額)

 七 自動車、船舶、航空機、美術工芸品その他の動産(取得価額が百万円を超えるものに限る。) 品目及び数量

 八 ゴルフ場の利用に関する権利 ゴルフ場の名称

 九 貸付金(生計を一にする親族に対するものを除く。) 貸付金の額

 十 借入金(生計を一にする親族からのものを除く。) 借入金の額

2 就任日後引き続き官房審議官級以上官職を占めている職員は、その就任日後毎年新たに有することとなった前項各号に掲げる資産等であって十二月三十一日において有するものについて、当該資産等の区分に応じ同項各号に掲げる事項を記載した資産等補充報告書を、その翌年の四月一日から同月三十日までの間に、各省各庁の長に提出しなければならない。

3 各省各庁の長は、第一項の規定により資産等報告書の提出を受けたとき又は前項の規定により資産等補充報告書の提出を受けたときは、当該資産等報告書又は当該資産等補充報告書の写しを国家公務員倫理審査会に送付しなければならない。

 (給与外収入等の報告)

第八条 官房審議官級以上官職を占める職員(前年一年間を通じて官房審議官級以上官職を占めていた職員に限る。)は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる事項を記載した給与外収入等報告書を、毎年、四月一日から同月三十日までの間に、各省各庁の長に提出しなければならない。ただし、次の各号に掲げる金額の合計額が五万円に満たない場合は、この限りでない。

 一 前年中に支払を受けた給与以外の収入(一般職の職員の給与に関する法律その他職員の給与に関する法令の規定に基づいて支払を受ける給与に係る収入以外の収入(各種所得(所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条第一項第二十一号に規定する各種所得(退職所得を除く。)をいう。以下同じ。)の金額の計算の基礎とされるものに限り、第六条第一項第一号に規定する贈与及び報酬に係る収入を除く。)をいう。)がある場合 当該収入の金額、年月日及び基因となった事実並びに当該収入を支払った者の氏名(その者が会社その他の法人である場合には、名称。次号において同じ。)及び住所

 二 前年中に職員の職務との関係に基づいて当該職員の配偶者又は生計を一にする子が支払を受けた収入(各種所得の金額の計算の基礎とされるものに限り、第六条第一項第二号に規定する贈与及び報酬に係る収入を除く。)がある場合 当該収入の金額、年月日及び基因となった事実並びに当該収入を支払った者の氏名及び住所

2 各省各庁の長は、前項の規定により給与外収入等報告書の提出を受けたときは、当該給与外収入等報告書の写しを国家公務員倫理審査会に送付しなければならない。

 (報告書の保存及び閲覧)

第九条 前三条の規定により提出された贈与等報告書、資産等報告書及び資産等補充報告書並びに給与外収入等報告書は、これらを受理した各省各庁の長において、これらを提出すべき期間の末日の翌日から起算して五年を経過する日まで保存しなければならない。

2 何人も、各省各庁の長に対し、前項の規定により保存されている贈与等報告書、資産等報告書及び資産等補充報告書並びに給与外収入等報告書の閲覧を請求することができる。

   第四章 国家公務員倫理審査会

 (設置)

第十条 総理府に、国家公務員倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

 (所掌事務等)

第十一条 審査会は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 第六条第一項、第七条第一項及び第二項並びに第八条第一項の規定による報告書に関し調査を行い、必要があると認めるときは、各省各庁の長に対し、監督上必要な措置を講ずるよう求めること。

 二 前号の調査に関し必要があると認めるときは、各省各庁の長その他の者に対し、必要な報告、情報又は資料の提出を求めること。

 三 職員の職務に係る倫理の保持に関する基本的事項を調査審議し、関係各省各庁の長に意見を述べること。

2 各省各庁の長は、前項第一号の規定による求めに基づき講じた措置について、審査会に報告しなければならない。

 (職権の行使)

第十二条 審査会の委員は、独立してその職務を行う。

 (組織等)

第十三条 審査会は、委員七人をもって組織する。

2 委員のうち三人は、非常勤とすることができる。

3 委員は、人格が高潔で、公務員の職務に係る倫理の保持に関して優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。

4 前項の場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。

5 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。

6 委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

7 内閣総理大臣は、委員が禁治産者、準禁治産者若しくは破産の宣告を受け、又は禁錮以上の刑に処せられたときは、その委員を罷免しなければならない。

8 内閣総理大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、両議院の同意を得て、その委員を罷免することができる。

9 委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

10 委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

11 常勤の委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除き、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

 (会長)

第十四条 審査会に、会長を置き、委員の互選によって常勤の委員のうちからこれを定める。

2 会長は、会務を総理し、審査会を代表する。

3 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する常勤の委員が、その職務を代理する。

 (給与)

第十五条 委員の給与は、別に法律で定める。

   第五章 雑則

 (政令への委任)

第十六条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施に関し必要な事項は、政令で定める。

 (罰則)

第十七条 第六条第一項、第七条第一項若しくは第二項又は第八条第一項の規定に違反して報告書を提出せず、又は虚偽の報告をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 (地方公共団体の講ずる施策)

第十八条 地方公共団体は、この法律の規定に基づく国の施策に準じて、地方公務員の職務に係る倫理の保持のために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

 (特殊法人の講ずる措置)

第十九条 特殊法人は、この法律の規定に基づく国の施策に準じて、当該職員の職務に係る倫理の保持のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第十三条第三項中両議院の同意を得ることに関する部分は、公布の日から施行する。

 (検討)

第二条 政府は、公務員の懲戒処分の種類として降任を加えることを含め、公務員の懲戒処分の在り方について速やかに検討を加え、その結果に基づき、法制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。

 (経過措置)

第三条 平成十一年における第六条第一項の規定による贈与等報告書の提出については、同項第一号及び第二号中「前年中」とあるのは、「この法律の施行の日から平成十年十二月三十一日まで」とする。

第四条 この法律の施行の日において官房審議官級以上官職を占めている職員は、同日において有する第七条第一項各号に掲げる資産等について、当該資産等の区分に応じ当該各号に掲げる事項を記載した資産等報告書を、同日から起算して百日を経過する日までに、各省各庁の長に提出しなければならない。

2 前項の規定に違反して報告書を提出せず、又は虚偽の報告をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

3 第七条第三項、第九条及び第十一条の規定は、第一項の規定により提出された資産等報告書について準用する。

第五条 平成十一年における第八条第一項の規定による給与外収入等報告書の提出については、同項第一号及び第二号中「前年中」とあるのは、「この法律の施行の日から平成十年十二月三十一日まで」とする。

 (裁判所職員臨時措置法の一部改正)

第六条 裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)の一部を次のように改正する。

  本則中「及び裁判官の秘書官」を「、裁判官の秘書官及び倫理審査会(この法律において準用する国家公務員の倫理の保持に関する法律の規定により最高裁判所に置かれる倫理審査会をいう。)の委員」に、「又は「内閣総理大臣」」を「、「内閣総理大臣」、「政府」又は「総理府」」に改め、本則に次の一号を加える。

  八 国家公務員の倫理の保持に関する法律(平成十年法律第▼▼▼号)(第五条第二項、第十八条及び第十九条の規定を除く。)

 (特別職の職員の給与に関する法律の一部改正)

第七条 特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条第十三号の五の二を次のように改める。

  十三の五の二 国家公務員倫理審査会の常勤の委員及び最高裁判所に置かれる倫理審査会の常勤の委員

  第一条第十九号の七を次のように改める。

  十九の七 国家公務員倫理審査会の非常勤の委員及び最高裁判所に置かれる倫理審査会の非常勤の委員

  別表第一中「行政改革委員会の常勤の委員」を

国家公務員倫理審査会の常勤の委員

最高裁判所に置かれる倫理審査会の常勤の委員

 に改める。

 (国家公務員法の一部改正)

第八条 国家公務員法の一部を次のように改正する。

  第八十二条中「左の」を「次の」に改め、同条第一号の次に次の一号を加える。

  一の二 国家公務員の倫理の保持に関する法律(平成十年法律第▼▼▼号)の規定に違反して報告書を提出せず、又は虚偽の報告をした場合

 (自衛隊法の一部改正)

第九条 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)の一部を次のように改正する。

  第四十六条に次の一号を加える。

  四 国家公務員の倫理の保持に関する法律(平成十年法律第▼▼▼号)の規定に違反して報告書を提出せず、又は虚偽の報告をした場合

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