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第一四五回

衆第二〇号

   公共工事に係る契約の適正化に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、公共工事に係る請負契約に関し、一般競争を原則とするとともに、一般競争参加者の資格を定め、入札保証証券及び履行保証証券の提出を義務付け、情報を公開する等の措置を講ずることにより、公共工事に係る契約の適正化を図り、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「公共工事」とは、国若しくは地方公共団体又は特殊法人その他の公共団体のうち政令で定めるものが発注する土木建築に関する工事をいう。

2 この法律において「契約」とは、公共工事についての請負契約をいう。

 (一般競争)

第三条 公共工事を発注する者(以下「発注者」という。)は、契約を締結する場合においては、第七条第一項に規定する場合を除き、公告して申込みをさせることにより競争に付さなければならない。

2 前項の競争(以下「一般競争」という。)は、入札の方法により行わなければならない。

3 第一項の公告は、その入札期日の前日から起算して少なくとも十日前に官報、新聞紙、掲示、インターネットその他の方法により行わなければならない。ただし、緊急の必要がある場合においては、その期間を五日までに短縮することができる。

4 前項に定めるもののほか、第一項の公告について必要な事項は、政令で定める。

 (一般競争参加者の資格)

第四条 発注者は、次の各号のいずれかに該当する者を一般競争に参加させることができない。

 一 建設業法(昭和二十四年法律第百号)第三条第一項の建設業の許可を受けていない者又は同法第二十八条第三項若しくは第五項の規定により建設業について営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

 二 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第九条に規定する指定暴力団員(以下この号において「指定暴力団員」という。)又は指定暴力団員が役員若しくは支配人その他これに準ずるものとして政令で定める使用人である者

 三 共同企業体(工事を共同して請け負うことを目的として二以上の者が結成する組織をいう。以下同じ。)であってその構成員に前二号のいずれかに該当する者を含むもの

2 発注者は、次の各号のいずれかに該当すると認められる者を一般競争に参加させないことができる。

 一 次のイからヘまでのいずれかに該当する者であってその事実があった後二年を経過しないもの

  イ 契約の履行に当たり故意に工事を粗雑にした者

  ロ 公共工事に関し公正な競争の執行を妨げた者又は公共工事に関し公正な価格を害し若しくは不正の利益を得るために連合した者

  ハ 落札者(第六条の規定により契約の相手方とする者をいう。以下同じ。)が契約を締結すること又は契約者が契約を履行することを妨げた者

  ニ 第十一条の規定による監督又は検査の実施に当たり職員の職務の執行を妨げた者

  ホ 正当な理由がなくて契約を履行しなかった者

  ヘ イからホまでのいずれかに該当する事実があった後二年を経過しない者を、契約の履行に当たり、役員とし、又は支配人その他の使用人として使用した者

 二 前号に該当する者が役員又は支配人その他の使用人である者

 三 共同企業体であってその構成員に前二号のいずれかに該当する者を含むもの

 四 第一号又は第二号に該当する者を入札代理人として使用する者

 (入札保証証券)

第五条 発注者は、第三条第一項の規定により一般競争に付そうとする場合においては、当該一般競争に加わろうとする者をして、保険事業者(保険業法(平成七年法律第百五号)第三条第一項又は第百八十五条第一項の免許を受けて保険業を行う者をいう。以下同じ。)との間において、当該一般競争に係る契約の締結を保証することを委託する保証委託契約を締結させるとともに、当該保証委託契約に基づいて当該保険事業者が当該一般競争に係る契約の締結を保証することを約する保証証券を提出させなければならない。

2 前項の規定による保証委託契約は、落札者となった委託者が発注者と契約を締結しない場合に保険事業者が保証金額を支払う保証契約を発注者と締結することを委託することを内容とするものでなければならない。

3 前項の保証金額は、一般競争に加わろうとする者の見積もる契約金額に発注者が定める割合を乗じて得た額に相当する金額とする。

 (一般競争における契約の相手方の決定)

第六条 一般競争に付した契約については、発注者は、最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとする。ただし、次に掲げる場合は、政令で定めるところにより、申込みをした他の者のうち最低の価格をもって申込みをした者を当該契約の相手方とすることができる。

 一 契約の相手方となるべき者の申込みに係る価格又はその者の有する技術上若しくは財務上の能力によっては、その者により当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認められる場合

 二 契約の相手方となるべき者と契約を締結することが公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがあって著しく不適当であると認められる場合

2 発注者は、前項の規定にかかわらず、契約の相手方となるべき者の申込みに係る価格が見積価格(発注者が見積もる契約金額をいう。以下同じ。)を著しく超えると認めるときは、政令で定めるところにより、その者を契約の相手方としないことができる。

 (随意契約)

第七条 発注者は、契約の目的である工事が特別の技術を要する場合その他契約の性質又は目的により一般競争に付することが適当でない場合及び緊急の必要により一般競争に付することができない場合においては、政令で定めるところにより、随意契約の方法により契約を締結するものとする。

2 発注者は、見積価格が二百五十万円を超えない場合その他政令で定める場合においては、第三条第一項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、随意契約の方法により契約を締結することができる。

 (資料の提出)

第八条 発注者は、一般競争により落札者を決定し、又は随意契約の相手方を決定しようとする場合においては、これらの決定に係る相手方に対し、必要な資料の提出を求めるものとする。

 (契約書)

第九条 発注者は、一般競争により落札者を決定したとき又は随意契約の相手方を決定したときは、政令で定めるところにより、契約の目的、契約金額、履行期限、履行保証に関する事項その他必要な事項を記載した契約書を作成しなければならない。ただし、随意契約の契約金額が百五十万円を超えない場合には、これを省略することができる。

2 前項の規定により契約書を作成する場合においては、契約事務を担当する者として政令で定める者が契約の相手方とともに契約書に記名押印しなければ、当該契約は確定しないものとする。

 (履行保証証券)

第十条 発注者は、契約を締結しようとする場合においては、当該契約の相手方をして、保険事業者との間において、当該契約の履行を保証することを委託する保証委託契約を締結させるとともに、当該保証委託契約に基づいて当該保険事業者が当該契約の履行を保証することを約する保証証券を提出させなければならない。ただし、随意契約の方法により契約を締結しようとする場合は、この限りでない。

2 前項の規定による保証委託契約は、契約の相手方が当該契約の履行をしない場合に保険事業者が保証金額を支払い、又は当該契約に係る工事を完成する保証契約を発注者と締結することを委託することを内容とするものでなければならない。

3 前項の保証金額は、契約金額に発注者が定める割合を乗じて得た額に相当する金額とする。

 (契約履行の監督及び検査)

第十一条 発注者は、契約を締結した場合においては、政令で定めるところにより、契約の適正な履行を確保するため必要な監督をしなければならない。

2 発注者は、政令で定めるところにより、その受ける給付の完了の確認(給付の完了前に代価の一部を支払う必要がある場合において行う工事の既済部分の確認を含む。)をするため必要な検査をしなければならない。

 (情報の公開)

第十二条 発注者は、政令で定めるところにより、入札の経過及び結果を公表しなければならない。この場合において、第六条第一項ただし書又は第二項の規定により契約の相手方となるべき者を契約の相手方としなかったときは、その理由を付記しなければならない。

2 発注者は、随意契約の方法により契約を締結したときは、政令で定めるところにより、随意契約によることとした理由及び随意契約の相手方を決定した理由を付記して、随意契約の内容を公表しなければならない。

3 発注者は、政令で定めるところにより、第八条の規定により提出させた資料を公表しなければならない。

 (政令への委任)

第十三条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。

 (適用区分)

第二条 第三条から第七条までの規定は、平成十二年度以後の年度分に関する契約(地方公共団体等(地方公共団体及び第二条第一項の政令で定める公共団体のうち地方公共団体の出資に係るもの(政令で定めるものに限る。)をいう。次項において同じ。)が締結する契約を除く。以下この項において同じ。)について適用し、平成十一年度以前の年度分に関する契約については、なお従前の例による。

2 第三条から第七条までの規定は、地方公共団体等が締結する契約のうち見積価格が次の各号に掲げる額であるものについては、当該各号に掲げる年度以後の年度分に関する契約について適用し、当該各号に掲げる年度の前年度以前の年度分に関する契約については、なお従前の例による。

 一 十億円以上 平成十二年度

 二 五億円以上十億円未満 平成十三年度

 三 一億円以上五億円未満 平成十四年度

 四 一億円未満 平成十五年度

 (会計法の一部改正)

第三条 会計法(昭和二十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  第二十九条の三第一項中「その他の契約」の下に「(公共工事に係る契約の適正化に関する法律(平成十一年法律第▼▼▼号)第二条第二項の契約を除く。以下この章において同じ。)」を加える。

  第二十九条の十一第一項中「工事又は」を削り、同条第二項中「行なう工事若しくは」を「行う」に改める。

 (地方自治法の一部改正)

第四条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。

  第二百三十四条第一項中「その他の契約」の下に「(公共工事に係る契約の適正化に関する法律(平成十一年法律第▼▼▼号)第二条第二項の契約を除く。以下この節において同じ。)」を加える。

  第二百三十四条の二第一項中「工事若しくは」を削り、「行なう」を「行う」に改める。

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