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第一五四回

参第一一号

   特定有害物質による建築物の居室内の空気汚染の防止等に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 規制等(第三条―第八条)

 第三章 雑則(第九条―第十三条)

 第四章 罰則(第十四条―第十六条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、建築物の新築、増築若しくは改築又は建築物若しくはその居室の大規模の修繕若しくは模様替(建築物又は居室の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕又は模様替をいう。)(以下「建築物の建築等」という。)について、特定有害物質による建築物の居室内の空気の汚染の防止及びその除去のために必要な規制を行うことにより、建築物の居室内における空気環境を保全し、もって国民の健康の保護を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「特定有害物質」とは、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレンその他の建築物の建築等に際し使用される建築材料(塗料、防腐剤、防虫剤その他の材料を含む。以下同じ。)に含まれる化学物質であって、建築物の居室内に放散されることにより人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。

2 この法律において「建築物」、「居室」、「主要構造部」、「建築主」又は「工事施工者」とは、それぞれ建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条に規定する建築物、居室、主要構造部、建築主又は工事施工者をいう。

   第二章 規制等

 (規制基準)

第三条 規制基準は、建築材料から建築物の居室内に放散される特定有害物質について、政令で定める。

2 前項の規制基準は、建築材料から建築物の居室内に放散される特定有害物質の濃度について、人の健康に与える影響を勘案して、特定有害物質の種類に応じて定める許容限度とする。

 (建築主等の義務)

第四条 建築主及び工事施工者は、建築物の建築等をする場合においては、当該建築物の居室内に建築材料から放散される特定有害物質の濃度を規制基準に適合するものとしなければならない。

 (工事完了後の検査)

第五条 建築主は、建築物の建築等(政令で定めるものを除く。)に係る工事が完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築物の居室内に建築材料から放散される特定有害物質の濃度が規制基準に適合するものであることについて、都道府県知事(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市、同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市その他政令で定める市町村又は特別区にあっては、当該市町村又は特別区の長。以下同じ。)に対し検査を申請しなければならない。

2 前項の規定による申請は、建築物の建築等に係る工事が完了した日から四日以内に都道府県知事に到達するように、しなければならない。ただし、申請をしなかったことについて国土交通省令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

3 前項ただし書の場合における検査の申請は、その理由がやんだ日から四日以内に都道府県知事に到達するように、しなければならない。

4 都道府県知事が第一項の規定による申請を受理した場合においては、都道府県知事は、その申請を受理した日から七日以内に、当該申請に係る検査をしなければならない。

5 都道府県知事は、前項の規定による検査をした場合において、申請に係る建築物の居室内に建築材料から放散される特定有害物質の濃度が規制基準に適合していることを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、建築主に対して検査済証を交付しなければならない。

6 都道府県知事は、第四項の規定による検査をした場合において、申請に係る建築物の居室内に建築材料から放散される特定有害物質の濃度が規制基準に適合しないことを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨及びその理由を記載した通知書を建築主に交付しなければならない。

7 前各項に定めるもののほか、第四項の規定による検査の方法その他同項の規定による検査に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。

 (勧告及び命令)

第六条 都道府県知事は、第四条の規定に違反して建築物の建築等が行われたと認めるときは、当該建築物の建築等に係る建築主又は工事施工者に対し、相当の期限を定めて、当該建築物又はその居室の修繕又は模様替その他必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、相当の期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

 (報告及び検査)

第七条 都道府県知事は、前二条の規定の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、建築主若しくは工事施工者に対し、必要な報告をさせ、又はその職員に、建築物若しくは建築物の敷地に立ち入り、建築物、建築材料、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。

2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (学校等の建築物)

第八条 学校、病院、官公庁施設その他の不特定又は多数の者が利用する建築物の建築主及び工事施工者は、建築物の建築等(建築物の居室以外の部分の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕又は模様替を含む。)をする場合においては、第四条の規定によるほか、必要に応じ、当該建築物の居室以外の部分について、当該部分に建築材料から放散される特定有害物質の濃度を人の健康に重大な影響を与えないものとするよう努めなければならない。

   第三章 雑則

 (研究の推進等)

第九条 国は、特定有害物質が建築物の居室内における空気環境及び人の健康に及ぼす影響についての研究、建築材料から放散される特定有害物質の測定についての研究その他特定有害物質による建築物の居室内の空気の汚染の防止又はその除去に関する研究を推進し、その成果の普及に努めるものとする。

 (国及び地方公共団体の施策)

第十条 国は、特定有害物質による建築物の居室内の空気の汚染の防止及びその除去を促進するために必要な資金の融通又はあっせん、資料の提供その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

2 国は、特定有害物質による建築物の居室内の空気の汚染の防止及びその除去に関する国民の理解を深めるよう啓発及び知識の普及に努めるものとする。

3 地方公共団体は、国の施策に準じて、特定有害物質による建築物の居室内の空気の汚染の防止又はその除去を促進するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 (社会資本整備審議会の意見の聴取)

第十一条 国土交通大臣は、第二条第一項又は第三条第一項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ、社会資本整備審議会の意見を聴かなければならない。

 (経過措置)

第十二条 この法律の規定に基づき政令又は国土交通省令を制定し、又は改廃する場合においては、それぞれ、政令又は国土交通省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

 (政令への委任)

第十三条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。

   第四章 罰則

第十四条 第六条第二項の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。

第十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。

 一 第五条第一項の規定による申請をせず、又は虚偽の申請をした者

 二 第七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者

第十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して、前二条の違反行為をした場合においては、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第十一条及び附則第四条の規定は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行前に工事の着手のあった建築物の建築等については、この法律の規定は適用しない。

 (検討)

第三条 政府は、この法律の施行後十年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (国土交通省設置法の一部改正)

第四条 国土交通省設置法(平成十一年法律第百号)の一部を次のように改正する。

  第十三条第一項第三号中「及び建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)」を「、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)及び特定有害物質による建築物の居室内の空気汚染の防止等に関する法律(平成十四年法律第▼▼▼号)」に改める。

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