衆議院

メインへスキップ



第一六二回

参第六号

   原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の一部を改正する法律案

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第四章 調査及び研究(第四十条)」を

第三章の二 在外被爆者に対する援護等(第三十九条の二―第三十九条の十一)

 

 

第四章 調査及び研究(第四十条)

に改める。

 第十一条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 前項の認定の申請に当たっては、医師の意見書その他厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。

 第二十四条中第四項を第五項とし、第三項を第四項とし、第二項の次に次の一項を加える。

3 前項の認定の申請に当たっては、厚生労働省令で定める医師の診断書を添付しなければならない。ただし、厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

 第二十六条中第四項を第五項とし、第三項を第四項とし、第二項の次に次の一項を加える。

3 前項の認定の申請に当たっては、厚生労働省令で定める医師の診断書を添付しなければならない。ただし、厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

 第二十七条第五項中「第三項」を「第四項」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項中「前項」を「第二項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。

3 前項の認定の申請に当たっては、厚生労働省令で定める医師の診断書を添付しなければならない。ただし、厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

 第二十八条中第六項を第七項とし、第五項を第六項とし、第四項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。

4 前項第一号に係る同項ただし書の認定の申請に当たっては、厚生労働省令で定める医師又は歯科医師の診断書を添付しなければならない。ただし、厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

 第三十条第二項中「前項」を「前三項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項中「第二十四条第二項」を「前二項に規定するもののほか、第二十四条第二項」に改め、同項を同条第三項とし、同項の前に次の二項を加える。

  第二十四条第二項の認定を受けた者は、厚生労働省令で定めるところにより、定期的に、都道府県知事に対し、第十一条第一項の認定に係る負傷又は疾病の状態について、厚生労働省令で定める医師の診断書を添付して、これを届け出なければならない。ただし、厚生労働省令で定める場合は、医師の診断書を添付することを要しない。

2 第二十八条第三項第一号に係る同項ただし書の認定を受けた者は、厚生労働省令で定めるところにより、定期的に、都道府県知事に対し、同項第一号の身体上の障害の状態について、厚生労働省令で定める医師又は歯科医師の診断書を添付して、これを届け出なければならない。ただし、厚生労働省令で定める場合は、医師又は歯科医師の診断書を添付することを要しない。

 第三十一条中「この条」を「この項」に改め、同条に次の一項を加える。

2 介護手当の支給の申請に当たっては、厚生労働省令で定める医師又は歯科医師の診断書その他厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。ただし、厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

 第三十二条に次の一項を加える。

2 葬祭料の支給の申請に当たっては、死亡診断書又は死体検案書を添付しなければならない。ただし、厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

 第三章の次に次の一章を加える。

   第三章の二 在外被爆者に対する援護等

 (在外被爆者等に対するこの法律の適用)

第三十九条の二 第一条各号に掲げる者であって日本国内に居住地及び現在地を有しないものに対する援護等の措置については、この章の定めるところによる。

2 この法律の規定は、前章第二節及び第五節の規定を除き、被爆者健康手帳の交付を受けようとする者であって日本国内に居住地及び現在地を有しないもの(次条及び第三十九条の九第一号において「在外手帳交付希望者」という。)、被爆者であって日本国内に居住地及び現在地を有しないもの(以下「在外被爆者」という。)並びに在外被爆者が死亡したときにその葬祭を行う者に適用があるものとする。

 (被爆者健康手帳)

第三十九条の三 在外手帳交付希望者に対する第二条の規定の適用については、同条第一項中「その居住地(居住地を有しないときは、その現在地とする。)の都道府県知事」とあり、及び同条第二項中「都道府県知事」とあるのは、「厚生労働大臣」とする。

 (健康診断)

第三十九条の四 厚生労働大臣は、在外被爆者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、健康診断を行うように努めなければならない。

2 第八条及び第九条の規定は、前項の規定による健康診断について準用する。

 (健康診断費の支給)

第三十九条の五 厚生労働大臣は、在外被爆者が前条第一項に規定する健康診断を受けることができない場合として厚生労働省令で定める場合であって、当該在外被爆者が外国において同項に規定する健康診断以外の健康診断を受けた場合において、必要があると認めるときは、その者に対し、政令で定めるところにより、健康診断費を支給することができる。

 (認定)

第三十九条の六 在外被爆者に対する第十一条の規定の適用については、同条第二項中「医師の意見書」とあるのは、「医師の意見書又は厚生労働省令で定める外国において医師に相当する資格を有する者の意見書」とする。

 (医療費及び一般疾病医療費の支給)

第三十九条の七 在外被爆者に対する第十七条の規定の適用については、同条第一項中「緊急その他やむを得ない理由により、指定医療機関以外の者」とあるのは「外国の医療機関等」と、「指定医療機関から」とあるのは「指定医療機関又は厚生労働大臣の定める基準により指定医療機関に相当するものと認められる外国の医療機関等から」とする。

2 在外被爆者に対する第十八条の規定の適用については、同条第一項中「緊急その他やむを得ない理由により被爆者一般疾病医療機関以外の者」とあるのは「厚生労働大臣の定める基準により当該負傷若しくは疾病につき必要な医療を行うことができるものと認められる外国の医療機関等」と、「又は当該医療が法令の規定により国若しくは地方公共団体の負担による医療に関する給付として行われたとき」とあるのは「当該医療が法令の規定により国若しくは地方公共団体の負担による医療に関する給付として行われたときその他厚生労働省令で定めるとき」とする。

 (各種手当及び葬祭料の支給)

第三十九条の八 在外被爆者に対する第二十四条から第二十八条まで、第三十条及び第三十一条の規定の適用については、第二十四条第一項及び第二項、第二十五条第一項及び第二項、第二十六条第一項及び第二項、第二十七条第一項、第二項及び第四項、第二十八条第一項から第三項まで及び第六項、第三十条並びに第三十一条第一項中「都道府県知事」とあるのは「厚生労働大臣」と、第二十四条第三項、第二十六条第三項、第二十七条第三項及び第三十条第一項中「医師の診断書」とあるのは「医師の診断書又は外国において医師に相当する資格を有する者の診断書に相当する書類」と、第二十八条第四項、第三十条第二項及び第三十一条第二項中「医師又は歯科医師の診断書」とあるのは「医師若しくは歯科医師の診断書又は外国において医師若しくは歯科医師に相当する資格を有する者の診断書に相当する書類」とする。

2 在外被爆者が死亡したときにその葬祭を行う者に対する第三十二条の規定の適用については、同条第一項中「都道府県知事」とあるのは「厚生労働大臣」と、同条第二項中「死亡診断書又は死体検案書」とあるのは「死亡診断書若しくは厚生労働省令で定める外国において医師若しくは歯科医師に相当する資格を有する者の死亡診断書に相当する書類又は死体検案書若しくは厚生労働省令で定める外国において医師に相当する資格を有する者の死体検案書に相当する書類」とする。

 (各種申請に関する支援事業)

第三十九条の九 国は、外国に医師その他の者を派遣して、次に掲げる申請が適正かつ円滑に行われるようにするために必要な便宜を供与する事業を行うものとする。

 一 在外手帳交付希望者が行う第二条第一項の規定による被爆者健康手帳の交付の申請

 二 在外被爆者が行う健康診断費の支給の申請

 三 在外被爆者が行う第十一条第一項の認定の申請

 四 在外被爆者が行う医療費の支給の申請

 五 在外被爆者が行う一般疾病医療費の支給の申請

 六 在外被爆者が行う医療特別手当の支給に係る第二十四条第二項の認定の申請

 七 在外被爆者が行う特別手当の支給に係る第二十五条第二項の認定の申請

 八 在外被爆者が行う原子爆弾小頭症手当の支給に係る第二十六条第二項の認定の申請

 九 在外被爆者が行う健康管理手当の支給に係る第二十七条第二項の認定の申請

 十 在外被爆者が行う保健手当の支給に係る第二十八条第二項の認定の申請及び同条第三項ただし書の認定の申請

 十一 在外被爆者が行う介護手当の支給の申請

 十二 在外被爆者が死亡したときにその葬祭を行う者であって日本国内に居住地及び現在地を有しないものが行う葬祭料の支給の申請

 (保健、医療及び福祉に関する事業)

第三十九条の十 国は、在外被爆者について、その居住地における保健、医療及び福祉に関し、次に掲げる事業を行うものとする。

 一 在外被爆者の心身の健康に関する相談、在外被爆者の居宅における日常生活に関する相談その他在外被爆者の援護に関する相談に応ずる事業

 二 居宅における日常生活に関する支援及び施設への入所による養護を必要とする在外被爆者に対し、必要な援助及び協力を行う事業

 三 在外被爆者に対する保健、医療及び福祉に関する情報の提供を行う事業

 四 在外被爆者の保健、医療及び福祉に関する人材の養成及び施設の整備について必要な援助及び協力を行う事業

 五 前各号に掲げる事業のほか、在外被爆者がその居住地において保健、医療及び福祉に関する支援を受けることができるようにするための事業

2 国は、日本国内において医療を受けることが特に必要であると認められる在外被爆者に対し、本邦への旅行に要する費用を支給する事業を行うものとする。

 (健康診断等を円滑に行うための環境の整備)

第三十九条の十一 国は、第三十九条の四第一項に規定する健康診断及び同条第二項において準用する第九条に規定する指導並びに前二条に規定する事業が円滑に行われるようにするため、外国に医師その他の者を派遣する場合において当該派遣に関し相手国の理解と協力を得ることができるようにする等必要な環境の整備に努めるものとする。

 第四十二条第一号中「医療特別手当」を「この法律の規定により都道府県知事が行う医療特別手当」に改め、「又はこの法律に基づく命令」を削り、同条第二号を同条第三号とし、同条第一号の次に次の一号を加える。

 二 この法律に基づく命令の規定により都道府県知事が行う医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当、健康管理手当、保健手当、介護手当及び葬祭料その他厚生労働省令で定めるものの支給並びにこの法律に基づく命令の規定により都道府県知事が行う事務の処理に要する費用

 第四十三条第一項中「除く。)」の下に「及び同条第二号に掲げる費用」を加え、同条第三項中「同条第二号」を「同条第三号」に改める。

 第五十条中「広島市」を「この法律又はこの法律に基づく命令の規定により広島市」に改める。

 第五十三条中「第七条」の下に「若しくは第三十九条の四第一項」を、「第九条」の下に「(第三十九条の四第二項において準用する場合を含む。)」を、「第三十七条」の下に「、第三十九条の九若しくは第三十九条の十第一項第一号」を加え、同条に次の一項を加える。

2 前項の規定は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。

 附則第十七条中「あった者」の下に「であって健康診断受診者証の交付を受けたもの(次項に規定するものを除く。)」を加え、同条に次の四項を加える。

2 原子爆弾が投下された際第一条第一号に規定する区域に隣接する政令で定める区域内に在った者又はその当時その者の胎児であった者であって健康診断受診者証の交付を受けたもの(日本国内に居住地及び現在地を有しないものに限る。)は、当分の間、第三十九条の四及び第三十九条の五の規定の適用については、在外被爆者とみなす。

3 健康診断受診者証の交付を受けようとする者は、その居住地(居住地を有しないときは、その現在地とする。)の都道府県知事に申請しなければならない。

4 前項の規定は、健康診断受診者証の交付を受けようとする者であって日本国内に居住地及び現在地を有しないものに適用があるものとし、その適用については、同項中「その居住地(居住地を有しないときは、その現在地とする。)の都道府県知事」とあるのは、「厚生労働大臣」とする。

5 前項に規定する者が行う健康診断受診者証の交付の申請は、当分の間、第三十九条の九の規定の適用については、同条第一号に規定する被爆者健康手帳の交付の申請とみなす。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律による改正後の原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(以下この条において「新法」という。)第三十九条の五の規定は、この法律の施行の日(以下この条において「施行日」という。)以後に在外被爆者が受ける同条に規定する健康診断について適用する。

2 新法第三十九条の七第一項又は第二項の規定により読み替えられた新法第十七条又は第十八条の規定は、施行日以後に在外被爆者が受ける医療について適用する。

3 新法第三十九条の八第一項の規定により読み替えられた新法第三十一条の規定は、施行日以後に在外被爆者が受ける介護について適用する。

4 新法第三十九条の八第二項の規定により読み替えられた新法第三十二条の規定は、施行日以後の在外被爆者の死亡について適用する。

5 前各項に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

 (地方財政法の一部改正)

第三条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。

  第十条第十七号中「経費」の下に「(在外被爆者に係るものを除く。)」を加える。

 (住民基本台帳法の一部改正)

第四条 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。

  別表第二から別表第五まで中「第三十一条の介護手当」を「第三十一条第一項の介護手当」に、「第三十二条の葬祭料」を「第三十二条第一項の葬祭料」に改める。

 (児童扶養手当法による児童扶養手当の額等の改定の特例に関する法律の一部改正)

第五条 児童扶養手当法による児童扶養手当の額等の改定の特例に関する法律(平成十七年法律第九号)の一部を次のように改正する。

  第二項の表中「第二十四条第三項」を「第二十四条第四項」に、「第二十六条第三項」を「第二十六条第四項」に、「第二十七条第四項」を「第二十七条第五項」に改める。


     理 由

 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定は在外被爆者等に適用があることを明らかにし、国外からの被爆者健康手帳の申請、原爆症の認定の申請、医療費及び一般疾病医療費の申請、各種手当の申請等並びに死亡した在外被爆者に係る葬祭料の申請を行うことができるようにするとともに、あわせて、在外被爆者に対する健康診断の実施、在外被爆者の保健、医療及び福祉に関する事業の実施等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   この法律の施行に伴い必要となる経費

 この法律の施行に伴い必要となる経費は、平年度約六十八億円の見込みである。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.