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第一六二回

閣第七四号

   構造改革特別区域法の一部を改正する法律案

 構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)の一部を次のように改正する。

 第十一条を第十一条の三とし、第四章中同条の前に次の見出し及び二条を加える。

 (監獄法等の特例)

第十一条 地方公共団体が、その設定する構造改革特別区域内に特定行刑施設(監獄法(明治四十一年法律第二十八号)第一条第一項に規定する監獄のうち、当該構造改革特別区域内にある関係機関及び関係団体との緊密な連携が確保されていることその他の事情を勘案し、その施設の運営に民間事業者の能力を活用することとしても同法その他の法律の規定による被収容者の収容及び処遇に関する事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがなく、かつ、これを促進することにより将来にわたるその安定的な運営に資するものとして法務大臣が定める要件に該当するものをいう。以下この条及び別表第一号において同じ。)が所在し、かつ、当該構造改革特別区域内における雇用機会の増大その他地域経済の活性化を図るため、当該特定行刑施設において当該構造改革特別区域内に事務所又は事業所を有する民間事業者の能力を活用した運営が促進されることが必要であると認めて内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、当該特定行刑施設の長は、当該特定行刑施設の所在地を管轄する矯正管区の長(以下この条において「管轄矯正管区長」という。)の登録を受けた法人(当該構造改革特別区域内に事務所又は事業所を有するものに限る。)に、当該特定行刑施設並びにこれに付設された労役場及び監置場における事務のうち、次に掲げるものの全部又は一部を委託して行うことができる。

 一 収容の開始に際して行う被収容者の着衣及び所持品の検査、健康診断(結核予防法(昭和二十六年法律第九十六号)第四条第一項の規定によるものを含む。第四号において同じ。)、写真の撮影並びに指紋の採取の実施

 二 受刑者の分類のための調査の実施

 三 被収容者の行動の監視及び施設の警備(被収容者の行動の制止その他の被収容者に対する有形力の行使を伴うものを除く。)

 四 被収容者の着衣、所持品及び監房の検査並びに健康診断の実施(第一号に掲げるものを除く。)

 五 被収容者に課す作業に関する技術上の指導監督及び職業訓練の実施

 六 被収容者による文書及び図画の閲読の許否の処分をするために必要な検査の補助

 七 被収容者に係る信書の発受の許否の処分をするために必要な検査の補助(信書の内容に触れる者には当該信書の発受に係る個人を識別することができないようにすることその他の個人情報の適正な取扱いを確保するための方法として法務大臣が定める方法によるものに限る。)

 八 被収容者の携有する物の領置及び被収容者に対する差入れの許否の処分をするために必要な検査の実施

 九 被収容者の領置物(金銭を除く。)の保管

 十 その他前各号に掲げる事務に準ずるものとして政令で定める事務

2 前項の登録は、法務省令で定めるところにより、委託を受けて同項各号に掲げる事務を行おうとする法人の申請により、その事務の範囲を限って行う。

3 管轄矯正管区長は、前項の規定による申請をした法人が次に掲げる要件のすべてに適合しているときは、その登録をしなければならない。

 一 当該申請に係る事務を適正かつ確実に遂行するに足りる知識及び能力並びに経理的基礎を有する者であること。

 二 第六項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者でないこと。

 三 役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。第五項において同じ。)のうちに次のいずれかに該当する者がないこと。

  イ 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産手続開始の決定を受け復権を得ない者

  ロ 禁錮以上の刑に処せられ、又は第八項の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者

  ハ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者

4 特定行刑施設の長は、第一項の規定による委託をしたときは、その委託を受けた法人(以下この条において「受託者」という。)に対し、当該委託に係る事務(当該事務の適正な実施を確保するために受託者が行うべき監査の事務を含む。以下この条において「委託事務」という。)の実施の基準その他必要な事項を示すものとする。

5 特定行刑施設の長は、受託者又は委託事務従事者(受託者の役員又は職員その他の委託事務に従事する者をいう。以下この条において同じ。)が、第七項若しくは第八項の規定に違反し、前項の規定により特定行刑施設の長が示した事項に違反し、又は委託事務に関し他の法令の規定に違反した場合において、委託事務の適正な実施が害されるおそれがあると認められるときは、受託者に対し、当該委託事務従事者を委託事務に従事させない措置その他の必要な措置をとるべきことを指示することができる。

6 管轄矯正管区長は、第一項の登録を受けた法人が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて委託事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

 一 不正な手段により第一項の登録を受けたとき。

 二 第三項第一号又は第三号のいずれかに該当しないこととなったとき。

 三 この条の規定若しくはこれに基づく命令又は前項の規定による指示に違反したとき。

7 受託者は、第三項第三号イからハまでのいずれかに該当する者を委託事務に従事させてはならない。

8 委託事務従事者又は委託事務従事者であった者は、その委託事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

9 委託事務従事者は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

10 前各項に定めるもののほか、委託事務の実施に関し必要な事項は、法務省令で定める。

11 第八項の規定に違反して委託事務に関して知り得た秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第十一条の二 地方公共団体が、その設定する構造改革特別区域内に特定行刑施設(監獄法第一条第一項に規定する監獄のうち、その施設内に国が開設した病院又は診療所(以下この条において「病院等」という。)の管理を公的医療機関開設者等(当該地方公共団体又は医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十一条に規定する者その他政令で定める者であって当該地方公共団体が指定するものをいう。以下この条において同じ。)に行わせることが当該特定行刑施設並びにこれに付設された労役場及び監置場における被収容者に対する適正な医療の確保に資するものと認めて法務大臣が指定したものをいう。以下この項及び別表第一号の二において同じ。)が所在し、かつ、当該構造改革特別区域内における医療の充実を図るため、当該特定行刑施設の建物の一部、設備、器械及び器具(以下この項において「診療設備等」という。)が被収容者以外の者に対する医療の提供のために利用されることが必要であると認めて内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、国は、公的医療機関開設者等に委託して当該特定行刑施設内の病院等の管理を行わせるとともに、被収容者の診療に支障のない範囲内で、当該公的医療機関開設者等に当該特定行刑施設の診療設備等を被収容者以外の者の診療のために利用させることができる。

2 法務大臣は、前項の委託に係る病院等の管理の適正を期するため、公的医療機関開設者等に対して、当該委託に係る事務又は経理の状況に関し報告を求め、実地について調査し、又は必要な指示をすることができる。

3 第一項の委託に係る病院等の管理の事務に従事する医師その他の従業者又はこれらであった者が、当該事務の遂行に関して知り得た人の秘密を正当な理由がなく漏らしたときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 第十五条及び第十六条を次のように改める。

第十五条及び第十六条 削除

 第十八条第一項中「(昭和二十三年法律第二百五号)」を削る。

 第二十条を次のように改める。

 (私立学校法の特例)

第二十条 地方公共団体が、その設定する構造改革特別区域において、地域の特性に応じた高等学校又は幼稚園における教育の機会を提供するに当たり、その実現を図ろうとする教育の内容、当該教育に必要な教職員の編制並びに施設及び設備、地域における当該教育の需要の状況等に照らし、当該地方公共団体の協力により新たに設立される学校法人(私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人をいう。以下この条において同じ。)が高等学校又は幼稚園を設置して当該地方公共団体との連携及び協力に基づき当該教育を実施することが、他の方法により当該教育の機会を提供するよりも、教育効果、効率性等の観点から適切であると認めて内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、当該教育を実施する高等学校又は幼稚園(以下この条及び別表第十号において「公私協力学校」という。)の設置及び運営を目的とする学校法人(以下この条において「協力学校法人」という。)を設立しようとする者であって第五項の指定を受けたもの(第三項において「指定設立予定者」という。)が、所轄庁(同法第四条に規定する所轄庁をいう。以下この条において同じ。)に対し、同法第三十条第一項の規定による寄附行為の認可を申請した場合においては、所轄庁は、同法第三十一条第一項の規定にかかわらず、当該寄附行為の認可を決定するに当たり、同法第二十五条第一項の要件に該当しているかどうかの審査を行わないものとする。

2 前項の寄附行為には、私立学校法第三十条第一項各号に掲げる事項のほか、当該寄附行為により設立する学校法人が協力学校法人である旨及びその設置する学校が公私協力学校である旨を定めなければならない。

3 第一項の認定を受けた地方公共団体(以下この条において「協力地方公共団体」という。)の長と協力学校法人の所轄庁とが異なる場合において、指定設立予定者又は協力学校法人が、所轄庁に対し、次に掲げる申請又は届出を行おうとするときは、協力地方公共団体の長を経由して行わなければならない。この場合において、協力地方公共団体の長は、当該申請又は届出に係る事項に関し意見を付すことができるものとし、所轄庁は、その意見に配慮しなければならない。

 一 私立学校法第三十条第一項の規定による寄附行為の認可の申請

 二 私立学校法第四十五条第一項又は第二項の規定による寄附行為の変更の認可の申請又は届出

 三 私立学校法第五十条第二項の規定による解散についての認可又は認定の申請

 四 学校教育法第四条第一項の規定による学校の設置廃止、設置者の変更及び同項に規定する政令で定める事項の認可の申請

4 協力地方公共団体の長は、公私協力学校の設置及び運営に関し、次に掲げる事項を定めた基本計画(以下この条において「公私協力基本計画」という。)を定め、これを公告しなければならない。

 一 教育目標に関する事項

 二 収容定員に関する事項

 三 授業料等の納付金に関する事項

 四 施設又は設備の整備及び運営に要する経費についての助成措置に関する事項

 五 協力学校法人の解散に伴う残余財産の帰属に関する事項

 六 その他公私協力学校の設置及び運営に関する重要事項として文部科学省令で定めるもの

5 前項の規定により公告された公私協力基本計画に基づき協力学校法人を設立しようとする者は、当該公告を行った協力地方公共団体の長に申し出て、その設立しようとする協力学校法人について、公私協力学校の設置及び運営を行うべき者としての指定を受けなければならない。

6 協力地方公共団体の長は、前項の申出に係る協力学校法人が、公私協力基本計画に基づく公私協力学校の設置を適正に行い、その運営を継続的かつ安定的に行うことができる能力を有するものであると認めるときでなければ、同項の指定をしてはならない。

7 協力地方公共団体の長は、地域における教育の需要の状況の変化その他の事情を考慮して必要があると認めるときは、協力学校法人に協議して、公私協力基本計画を変更することができる。

8 協力地方公共団体は、協力学校法人が公私協力学校の設置について学校教育法第四条第一項の規定による認可を受けた際に、当該協力学校法人が公私協力基本計画に基づき当該公私協力学校における教育を行うために施設又は設備の整備を必要とする場合には、当該公私協力基本計画に定めるところにより、当該協力学校法人に対し、当該施設若しくは設備を無償若しくは時価よりも低い対価で貸し付け、若しくは譲渡し、又は当該施設若しくは設備の整備に要する資金を出えんするものとする。

9 前項の規定は、地方自治法第九十六条及び第二百三十七条から第二百三十八条の五までの規定の適用を妨げない。

10 協力学校法人は、毎会計年度、文部科学省令で定めるところにより、公私協力基本計画に基づき、当該年度における公私協力学校の運営に関する計画(以下この条において「公私協力年度計画」という。)及び収支予算を作成し、協力地方公共団体の長の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

11 協力地方公共団体は、協力学校法人が公私協力年度計画を実施するに当たり、公私協力基本計画で定める授業料等の納付金による収入の額では、他の得ることが見込まれる収入の額を合算しても、なおその収支の均衡を図ることが困難となると認められる場合には、公私協力基本計画に定めるところにより、当該協力学校法人に対し、当該公私協力年度計画の円滑かつ確実な実施のために必要な額の補助金を交付するものとする。

12 私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)第十二条(第三号に係る部分を除く。)及び第十四条第一項の規定は、第八項又は前項の規定により協力地方公共団体が協力学校法人に対し助成を行う場合について準用する。この場合において、同法第十二条中「所轄庁は、この法律の規定」とあるのは「協力地方公共団体(構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第二十条第三項に規定する協力地方公共団体をいう。以下同じ。)の長は、同条第八項又は第十一項の規定」と、「学校法人に」とあるのは「協力学校法人(同条第一項に規定する協力学校法人をいう。以下同じ。)に」と、同条第一号及び第二号中「学校法人」とあるのは「協力学校法人」と、同条第四号中「学校法人」とあるのは「協力学校法人」と、「所轄庁」とあるのは「協力地方公共団体の長」と、同法第十四条第一項中「第四条第一項又は第九条に規定する補助金の交付を受ける学校法人」とあるのは「構造改革特別区域法第二十条第八項又は第十一項の規定により助成を受ける協力学校法人」と、「作成しなければならない」とあるのは「作成し、協力地方公共団体の長に届け出なければならない」と読み替えるものとする。

13 協力地方公共団体の長と協力学校法人の所轄庁とが異なる場合において、協力地方公共団体の長及び協力学校法人の所轄庁は、相互に密接な連携を図りながら、協力学校法人に対し、前項において準用する私立学校振興助成法第十二条の規定による権限の行使その他の当該協力学校法人の業務の適切な運営を確保するための措置を講ずるものとする。

14 協力地方公共団体の長は、協力学校法人がその設置する公私協力学校の運営を公私協力基本計画に基づき適正かつ確実に実施することができなくなったと認める場合においては、当該協力学校法人に対し、当該公私協力学校に係る第五項の指定を取り消すことができる。

15 協力学校法人は、前項の規定による指定の取消しの処分を受けたときは、当該処分に係る公私協力学校について、学校教育法第四条第一項の規定による廃止の認可を所轄庁に申請しなければならない。

16 協力地方公共団体の長は、第四項の規定による公私協力基本計画の策定及び第七項の規定による公私協力基本計画の変更並びに第十項の規定による公私協力年度計画及び収支予算の認可を行おうとするときは、あらかじめ、当該協力地方公共団体の教育委員会に協議しなければならない。

17 教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)第九条第二項の規定は、公私協力学校について準用する。

 別表第一号中「第十一条」を「第十一条の三」に改め、同号を同表第一号の三とし、同号の前に次のように加える。

特定行刑施設における収容及び処遇に関する事務の委託促進事業

第十一条

一の二

特定行刑施設における病院等の管理の委託促進事業

第十一条の二

 別表第五号中「農業者研修教育施設の長による無料職業紹介事業」を「削除」に改め、同表第十号中「削除」を「公私協力学校設置事業」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成十七年十月一日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の構造改革特別区域法(以下「旧特区法」という。)第十五条第一項の規定により行っている無料の職業紹介事業については、同項の規定により同項に規定する教育施設の長がした届出を職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第三十三条の四第一項の規定により地方公共団体がした届出と、旧特区法第十五条第一項に規定する教育施設の長を職業安定法第三十三条の四第二項において準用する同法第三十二条の十四の規定により職業紹介責任者に選任された者とみなして、同法の規定を適用する。

 (登録免許税法の一部改正)

第三条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第五十三号の次に次のように加える。

五十三の二 特定行刑施設に係る事業者の登録

 構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第十一条第一項(特定行刑施設に係る事業者の登録)の登録

登録件数

一件につき十五万円

 (国際受刑者移送法の一部改正)

第四条 国際受刑者移送法(平成十四年法律第六十六号)の一部を次のように改正する。

  第二十一条中「並びに犯罪者予防更生法」を「、犯罪者予防更生法」に改め、「第六十条まで」の下に「並びに構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第十一条及び第十一条の二」を加える。


     理 由

 経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図るため、特定行刑施設における収容及び処遇に関する事務の委託促進事業に係る措置、公私協力学校設置事業に係る措置その他の構造改革特別区域に係る法律の特例に関する措置を追加する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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