衆議院

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第一六五回

参第七号

   官製談合等の防止のための刑法等の一部を改正する法律案

 (刑法の一部改正)

第一条 刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。

  第九十六条の三第二項中「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で」を「公の競売又は入札で契約を締結するためのものに関し」に改め、同条に次の一項を加える。

 3 公の競売又は入札で契約を締結するためのものの職務を行う公務員が、その職務上の地位を利用して、談合に関与したときは、三年以下の懲役に処する。

 (入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部改正)

第二条 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律(平成十四年法律第百一号)の一部を次のように改正する。

  第二条第二項中「国又は地方公共団体が資本金の二分の一以上を出資している法人」を「次の各号のいずれかに該当するもの」に改め、同項に次の各号を加える。

  一 国又は地方公共団体が資本金の二分の一以上を出資している法人

  二 特別の法律により設立された法人のうち、国又は地方公共団体が法律により、常時、発行済株式の総数又は総株主の議決権の三分の一以上に当たる株式の保有を義務付けられている株式会社(前号に掲げるものを除く。)

  第二条第五項中「又は特定法人」を「若しくは特定法人」に、「、次の各号のいずれか」を「第一号から第三号までのいずれかに該当するもの又は契約の締結に関し権限若しくは職務上の地位に基づく影響力を有する職員の不作為であって第四号」に改め、同項に次の一号を加える。

  四 入札談合等が行われる明白なおそれがあることを知りながら当該入札談合等を防止するための措置を講じないこと。

  第四条第四項中「重大な」を削る。

  第九条を第十一条とし、第八条を第十条とし、第七条を第九条とし、第六条を第七条とし、同条の次に次の一条を加える。

  (公正取引委員会による会計検査院への通知)

 第八条 公正取引委員会は、入札談合等関与行為があり、又はあったと認めるときは、その旨を会計検査院に通知しなければならない。ただし、当該入札談合等関与行為に係る契約に関する会計経理について会計検査院が検査をすることができない場合は、この限りでない。

  第五条を第六条とし、第四条の次に次の一条を加える。

  (損害額についての公正取引委員会の意見)

 第五条 入札談合等関与行為を行った職員に対する損害賠償に関する訴えが提起されたときは、裁判所は、遅滞なく、公正取引委員会に対し、当該職員の入札談合等関与行為によって生じた損害の額について、意見を求めなければならない。

 (地方自治法の一部改正)

第三条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。

  第二百四十三条の二第一項中「重大な過失に」を「過失に」に改める。 

 (会計検査院法の一部改正)

第四条 会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)の一部を次のように改正する。

  第三十一条第一項中「重大な」を削り、「当る」を「当たる」に改める。

  第三十三条に次の一項を加える。

   会計検査院は、検査の結果国の契約に関し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為があると疑うに足りる事実があると認めたときは、その事実を公正取引委員会に通知しなければならない。

 (予算執行職員等の責任に関する法律の一部改正)

第五条 予算執行職員等の責任に関する法律(昭和二十五年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。

  第三条第二項中「重大な」を削り、「因り」を「より」に改める。

  第四条第一項中「重大な」を削り、「因り」を「より」に改め、同項ただし書中「但し」を「ただし」に改める。

  第四条第三項中「重大な」を削り、「因り」を「より」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条の規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

 (入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第二条 第二条の規定による改正後の入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律(以下「新入札談合等防止法」という。)第四条第四項の規定は、新入札談合等防止法第二条第五項に規定する国若しくは地方公共団体の職員又は特定法人の役員若しくは職員(以下この条及び附則第七条第一項において「職員」という。)がこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に新入札談合等防止法第二条第五項に規定する入札談合等関与行為を行った場合について適用し、職員が施行日前に同項に規定する入札談合等関与行為を行った場合については、なお従前の例による。

 (地方自治法の一部改正に伴う経過措置)

第三条 施行日前の事実に基づく地方公共団体の職員の賠償責任については、第三条の規定による改正後の地方自治法第二百四十三条の二(地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第三十四条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (会計検査院法の一部改正に伴う経過措置)

第四条 施行日前の事実に基づく国の会計事務を処理する職員に係る懲戒処分の要求については、第四条の規定による改正後の会計検査院法第三十一条第一項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (予算執行職員等の責任に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第五条 施行日前の事実に基づく予算執行職員等の責任に関する法律第二条第一項に規定する予算執行職員及び同法第九条第一項に規定する公庫等予算執行職員の弁償責任については、第五条の規定による改正後の予算執行職員等の責任に関する法律第三条第二項並びに第四条第一項及び第三項(これらの規定を同法第九条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (政令への委任)

第六条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第七条 政府は、この法律の施行後三年を目途として、第一条の規定による改正後の刑法(以下「新刑法」という。)及び新入札談合等防止法の施行の状況、国若しくは地方公共団体又は新入札談合等防止法第二条第二項に規定する特定法人が行う競売又は入札で契約を締結するためのものに係る談合等(以下この項において「談合等」という。)の発生に関する状況、談合等の実態等を勘案し、職員が談合等に関与する行為の防止その他の談合等の防止のための措置について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

2 政府は、この法律の施行後一年以内に、新刑法及び新入札談合等防止法の施行の状況、特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号の規定の適用を受けるものをいう。)の民営化に伴いその経営組織が株式会社に変更されたもの(以下「民営化会社」という。)が行う競売又は入札で契約を締結するためのものに係る談合等(以下「談合等」という。)の発生に関する状況、談合等の実態等を勘案し、民営化会社の役員又は職員が談合等に関与する行為の防止その他の談合等の防止のための制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。


     理 由

 最近における官製談合等の事件の発生に関する状況にかんがみ、官製談合等の防止の徹底を図るため、談合罪を目的犯でないものとし、公の競売又は入札で契約を締結するためのものに関する公務員の談合関与行為に対する処罰規定を設けるとともに、公正取引委員会による改善措置要求の対象となる特定法人及び入札談合等関与行為の範囲の拡大、入札談合等関与行為を行った職員の賠償責任等の厳格化並びに損害額についての裁判所の公正取引委員会への求意見の義務付けを行うほか、公正取引委員会と会計検査院との連携を強化する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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