衆議院

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第一七三回

衆第一一号

   地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条−第十条)

 第二章 地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する施策(第十一条−第十七条)

 第三章 基本方針並びに都道府県計画及び市町村計画(第十八条−第二十条)

 第四章 安全安心まちづくり推進協議会(第二十一条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、地域住民等の自発的な取組により安全で安心して暮らせる地域社会を構築することが極めて重要であることにかんがみ、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務並びに地域住民等の役割を明らかにするとともに、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する施策の基本となる事項を定めること等により、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりを総合的に推進し、もって地域社会の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくり」とは、地域住民等による自発的な地域安全活動、地域住民相互の連帯の強化、地域住民の防犯意識の高揚等を通じて、地域住民の生活の平穏を害するような犯罪の発生しにくい地域社会を構築することをいう。

2 この法律において「地域住民等」とは、地域住民、地縁による団体(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百六十条の二第一項に規定する地縁による団体をいう。以下同じ。)、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人をいう。以下同じ。)、ボランティア活動を行う団体その他の民間の団体及び事業者をいう。

 (基本理念)

第三条 地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりは、地域の実情に応じ、地域住民をはじめとする地域社会を構成する多様な主体の自発的な参加と協力を促進するよう、推進されなければならない。

2 地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりは、地域住民相互の交流を促進し、活力ある地域社会の実現に資するよう、推進されなければならない。

3 地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりは、地域における防災、教育、福祉、環境その他の分野における取組との連携を図りつつ、推進されなければならない。

 (国の責務)

第四条 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

 (地方公共団体の責務)

第五条 都道府県は、基本理念にのっとり、当該都道府県における地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 市町村は、基本理念にのっとり、当該市町村における地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関し、当該市町村の区域の実情に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

 (地域住民等の役割)

第六条 地域住民等は、地域において安全で安心して暮らせることの重要性についての認識を深め、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりに積極的な役割を果たすよう努めるものとする。

 (地域住民等の意思の尊重)

第七条 地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する施策は、地域住民等の意思ができる限り尊重されるよう、策定され、及び実施されなければならない。

 (連携協力)

第八条 国、地方公共団体及び地域住民等は、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する施策が円滑に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

 (安全・安心なまちづくりの日)

第九条 国民の間に広く地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりについての理解と関心を深めるため、安全・安心なまちづくりの日を設ける。

2 安全・安心なまちづくりの日は、十月十一日とする。

3 国及び地方公共団体は、安全・安心なまちづくりの日の趣旨にふさわしい事業を実施するように努めなければならない。

 (法制上の措置等)

第十条 政府は、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上又は税制上の措置その他の措置を講じなければならない。

   第二章 地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する施策

 (民間の団体による活動に対する支援)

第十一条 国及び地方公共団体は、地縁による団体、特定非営利活動法人、ボランティア活動を行う団体その他の民間の団体による自発的な地域安全活動その他の地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりに資する活動の促進を図るため、当該活動を行う民間の団体との連携協力体制及び当該活動の拠点となる施設の整備、情報の提供等必要な施策を講ずるものとする。

 (児童の安全の確保)

第十二条 国及び地方公共団体は、学校、保育所、通学路等における児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)に係る犯罪による被害の発生及び拡大を防止し、その安全の確保を図るため、教職員、児童の保護者及び地域住民等との連携協力体制の整備、学校等における児童の安全の確保に関する助言、指導等を行う人員の配置その他の体制の整備、児童の保護者に対する情報の提供等必要な施策を講ずるものとする。

 (地域生活関連施設における犯罪の防止)

第十三条 国及び地方公共団体は、多数の地域住民が地域生活において利用する施設(以下「地域生活関連施設」という。)における犯罪の防止を図るため、その管理する地域生活関連施設について、防犯訓練の実施、防犯機器の設置等必要な施策を講ずるものとする。

2 地域生活関連施設を管理する者(国及び地方公共団体を除く。)は、その管理する地域生活関連施設における犯罪の防止を図るため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

3 国及び地方公共団体は、前項の地域生活関連施設を管理する者が講ずる同項の措置に対する支援等必要な施策を講ずるものとする。

 (犯罪の防止に資する商品等に関する情報の提供等)

第十四条 地方公共団体は、地域住民に対し、地域における犯罪の防止に資する商品、役務等に関する情報の提供、地域における犯罪の防止に係る相談に応じ必要な助言を行うことその他地域における犯罪の防止のための地域住民による自主的な取組を促進するために必要な施策を講ずるものとする。

2 事業者は、その供給する商品又は役務に関し、地域における犯罪の防止に資するものとなるよう努めるものとする。

 (人材の確保等)

第十五条 国及び地方公共団体は、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりに資する活動の促進を図るため、当該活動に関する専門的知識を有する人材の確保、養成及び資質の向上のために必要な施策を講ずるものとする。

 (国民の理解及び関心の増進)

第十六条 国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの重要性について国民の理解と関心を深めるよう必要な施策を講ずるものとする。

 (調査研究の推進及び情報の収集等)

第十七条 国及び地方公共団体は、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりに関し、調査研究を推進し、並びに情報の収集、整理及び活用を行うものとする。

   第三章 基本方針並びに都道府県計画及び市町村計画

 (基本方針)

第十八条 政府は、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を作成しなければならない。

2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する基本的方向

 二 地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進のための施策に関する基本的事項

 三 次条第一項に規定する都道府県計画及び第二十条第一項に規定する市町村計画の作成に関する基本的事項

 四 前三号に掲げるもののほか、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する重要事項

3 内閣総理大臣は、あらかじめ、関係行政機関の長と協議して基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。

5 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。

 (都道府県計画)

第十九条 都道府県は、基本方針に即し、当該都道府県における地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する施策についての基本的な計画(以下「都道府県計画」という。)を作成するよう努めなければならない。

2 都道府県計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 都道府県の区域における地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する総合的な施策の大綱

 二 前号に掲げるもののほか、都道府県の区域における地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりを計画的に推進するために必要な事項

3 都道府県は、都道府県計画を作成するに当たっては、防災、教育、福祉、環境その他の分野における施策との連携を図るよう努めなければならない。

4 都道府県は、都道府県計画を作成し、又は変更しようとするときは、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

5 都道府県は、都道府県計画を作成し、又は変更したときは、これを公表しなければならない。

 (市町村計画)

第二十条 市町村は、基本方針に即し、かつ、都道府県計画を勘案して、当該市町村における地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する施策についての基本的な計画(以下「市町村計画」という。)を作成するよう努めなければならない。

2 市町村計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 市町村の区域における地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する総合的な施策の大綱

 二 地域住民の生活に密接に関連する区域であって地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する施策の地域的な単位となるもの及び当該区域ごとに講ずべき措置に関する事項

 三 前二号に掲げるもののほか、市町村の区域における地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりを計画的に推進するために必要な事項

3 市町村は、市町村計画を作成するに当たっては、防災、教育、福祉、環境その他の分野における施策との連携を図るよう努めなければならない。

4 市町村は、市町村計画を作成し、又は変更しようとするときは、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

5 市町村は、市町村計画を作成し、又は変更したときは、これを公表しなければならない。

   第四章 安全安心まちづくり推進協議会

第二十一条 市町村及び関係行政機関並びに地域住民等は、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関し必要な事項について協議するため、前条第二項第二号の区域を単位として、安全安心まちづくり推進協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。

2 協議会の組織及び運営については、地域住民等の意見が十分に反映されるよう配慮されなければならない。

3 前二項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (内閣府設置法の一部改正)

第二条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  第四条第二項中「並びに自殺対策の推進」を「、自殺対策の推進並びに地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進」に改め、同条第三項第四十六号の二の次に次の一号を加える。

  四十六の三 地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する基本的な方針(地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する法律(平成二十一年法律第▼▼▼号)第十八条第一項に規定するものをいう。)の作成及び推進に関すること。


     理 由

 地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりを総合的に推進するため、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務並びに地域住民等の役割を明らかにするとともに、地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する施策の基本となる事項を定める等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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