衆議院

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第一七四回

衆第一一号

   北海道観光振興特別措置法案

目次

 第一章 総則(第一条)

 第二章 観光振興計画(第二条・第三条)

 第三章 北海道における観光の振興に関する施策(第四条−第十五条)

 第四章 課税の特例等(第十六条−第十九条)

 第五章 雑則(第二十条−第二十三条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、観光産業が北海道の基幹的な産業であることから北海道の経済的基盤の確立にはその発展が不可欠であること、北海道が道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律(平成十八年法律第百十六号)に基づく唯一の特定広域団体であること及び北海道の置かれた特殊な諸事情(国の主導による開拓の歴史を有すること、今なお未解決の北方領土問題が存すること及び独自の文化的所産を有するアイヌの人々の多くが北海道に居住することをいう。以下この条において同じ。)があることにかんがみ、北海道知事による観光振興計画の作成及びこれに基づく観光の振興を図るための特別の措置等北海道における観光の振興に関し必要な事項を定めることにより、北海道における観光の振興を図り、もって北海道の自立的発展に寄与するとともに、北海道の置かれた特殊な諸事情に対する国民の理解の増進に資することを目的とする。

   第二章 観光振興計画

 (観光振興計画の作成等)

第二条 北海道知事は、北海道の区域(第四条、第十二条、第二十条及び第二十一条を除き、以下単に「北海道」という。)の観光の振興に関する計画(以下「観光振興計画」という。)を作成するものとする。

2 観光振興計画においては、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 計画期間

 二 観光の振興の方針に関する事項

 三 観光旅客の来訪の促進に係る方針に関する事項

 四 観光地の魅力の増進に関する事項

 五 観光旅客の受入れの体制の確保に関する事項

 六 北海道の宣伝の方針に関する事項

 七 国際会議等(国際会議等の誘致の促進及び開催の円滑化等による国際観光の振興に関する法律(平成六年法律第七十九号)第二条に規定する国際会議等をいう。以下同じ。)の誘致の方針その他国際会議等の誘致の促進に関する事項

 八 観光旅客の移動の円滑化に関する事項

 九 公共施設の整備の方針に関する事項

 十 その他観光の振興に関し必要な事項

3 観光振興計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について定めることができる。

 一 観光の振興を図るため観光関連施設(スポーツ又はレクリエーション施設、教養文化施設、休養施設、集会施設、販売施設及び宿泊施設をいう。第四条第二項及び第八条において同じ。)の整備を特に促進することが必要とされる政令で定める要件を備えている地域(以下「観光振興地域」という。)の区域

 二 鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第二条第二項に規定する第一種鉄道事業を経営する者、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第三条第一号イに掲げる一般乗合旅客自動車運送事業を経営する者又は海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第二条第五項に規定する一般旅客定期航路事業を営む者が、当該事業の利用者の利便の増進を図るために実施する事業であって、国土交通省令で定めるもの(以下「利用者利便増進事業」という。)に関する事項

4 第二項第一号の計画期間は、五年以下の期間を定めるものとする。

5 北海道知事は、観光振興計画において第三項第一号の観光振興地域の区域を定めるときは、あらかじめ関係市町村長の意見を聴かなければならない。

6 北海道知事は、観光振興計画について、国土交通大臣に協議し、その同意を求めることができる。

7 国土交通大臣は、前項の規定により協議された観光振興計画に第三項第一号の観光振興地域の区域が定められている場合にあっては当該観光振興地域が同号に規定する政令で定める要件に該当するものであり、かつ、当該観光振興計画が前条の目的を達成する上で適当なものであると認めるときは、これに同意をするものとする。

8 国土交通大臣は、観光振興計画につき前項の規定による同意をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。

9 北海道知事は、観光振興計画が第七項の規定による同意を得たときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

10 北海道知事は、観光振興計画の作成に当たっては、観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律(平成二十年法律第三十九号)第四条第一項に規定する観光圏整備計画で北海道に係るものとの調和に配慮するものとする。

 (観光振興計画の変更)

第三条 北海道知事は、前条第七項の規定による同意を得た観光振興計画を変更しようとするときは、国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならない。

2 前条第五項及び第七項から第九項までの規定は、前項の変更の同意について準用する。

   第三章 北海道における観光の振興に関する施策

 (北海道の特性を生かした魅力ある観光地の形成)

第四条 国及び北海道(次項、次条及び第六条において「国等」という。)は、優れた自然の風景地及び景観、良好な自然環境、歴史的風土、文化的所産、地理的及び自然的特性を生かして生産される農林水産物等の観光資源の活用による北海道の区域の特性を生かした魅力ある観光地の形成を図るため、第二条第七項の規定による同意を得た観光振興計画(前条第一項の規定による変更の同意があったときは、その変更後のもの。以下「同意観光振興計画」という。)に定める観光の振興の方針を踏まえ、これらの観光資源の保護及び育成に必要な施策を講ずるものとする。

2 国等は、北海道の区域の特性を生かした魅力ある観光地の形成を図るため、同意観光振興計画に定められた観光振興地域の区域内の観光関連施設の整備等に必要な施策を講ずるものとする。

 (北海道における観光の振興に寄与する人材の育成)

第五条 国等は、北海道における観光の振興に寄与する人材の育成を図るため、同意観光振興計画に定める観光の振興の方針を踏まえ、北海道の観光地及び観光産業の国際競争力の強化に資する高等教育の充実、観光に関する事業に従事する者の北海道が有する特性に関する知識及び能力の向上、北海道の固有の文化、歴史等に関する知識の普及の促進等に必要な施策を講ずるものとする。

 (観光旅客の来訪の促進)

第六条 国等は、国内外からの観光旅客の北海道への来訪の促進を図るため、同意観光振興計画に定める観光旅客の来訪の促進に係る方針を踏まえ、北海道における観光に関する情報の提供の充実、外国人観光旅客の出入国に関する措置の改善及び通訳案内のサービスの向上その他の外国人観光旅客の受入れの体制の確保等国内外からの観光旅客の北海道への来訪の促進に必要な施策を講ずるものとする。

 (財政上、税制上又は金融上の特別の措置等)

第七条 国は、北海道における観光の振興に関する施策を実施するため必要な財政上、税制上又は金融上の特別の措置その他の措置を講ずるものとする。

 (資金の確保等)

第八条 国及び北海道の地方公共団体は、事業者が行う同意観光振興計画に定められた観光振興地域の区域内の観光関連施設の整備のために必要な資金の確保その他の援助に努めるものとする。

 (公共施設の整備)

第九条 国及び北海道の地方公共団体は、同意観光振興計画に定められた観光振興地域の区域における観光の開発を促進するために必要な公共施設の整備の促進に努めるものとする。

 (国及び北海道の地方公共団体の援助)

第十条 国及び北海道の地方公共団体は、同意観光振興計画の達成に資するため、当該同意観光振興計画の実施に必要な事業を行う者に対する助言、指導その他の援助の実施に努めるものとする。

 (共通乗車船券)

第十一条 運送事業者は、北海道内を移動する観光旅客を対象とする共通乗車船券(二以上の運送事業者が期間、区間その他の条件を定めて共同で発行する証票であって、その証票を提示することにより、当該条件の範囲内で、当該各運送事業者の運送サービスの提供を受けることができるものをいう。)に係る運賃又は料金の割引を行おうとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を共同で国土交通大臣に届け出ることができる。

2 前項の届出をした者は、鉄道事業法第十六条第三項後段若しくは第三十六条後段、軌道法(大正十年法律第七十六号)第十一条第二項、道路運送法第九条第三項後段、海上運送法第八条第一項後段(同法第二十三条において準用する場合を含む。)又は航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第百五条第一項後段の規定による届出をしたものとみなす。

 (利用者利便増進事業計画の認定)

第十二条 同意観光振興計画に定められた利用者利便増進事業を実施しようとする者(当該利用者利便増進事業を実施する法人を設立しようとする者を含む。)は、当該利用者利便増進事業に関する計画(以下「利用者利便増進事業計画」という。)を作成し、国土交通大臣の認定を申請することができる。

2 前項の規定による認定の申請は、北海道を経由して行わなければならない。この場合において、北海道は、当該利用者利便増進事業計画を検討し、意見を付して、国土交通大臣に送付するものとする。

3 利用者利便増進事業計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 利用者利便増進事業の目標

 二 利用者利便増進事業の内容

 三 利用者利便増進事業の実施時期

 四 利用者利便増進事業を行うのに必要な資金の額及びその調達方法

4 国土交通大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、その利用者利便増進事業計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。

 一 前項第一号及び第二号に掲げる事項が同意観光振興計画に照らして適切なものであること。

 二 前項第三号及び第四号に掲げる事項が当該利用者利便増進事業を確実に遂行するため適切なものであること。

5 国土交通大臣は、前項の規定による認定を行ったときは、北海道に対し、速やかにその旨を通知しなければならない。

 (利用者利便増進事業計画の変更等)

第十三条 前条第四項の認定を受けた者(その者の設立に係る同条第一項に規定する法人を含む。以下「認定利用者利便増進事業者」という。)は、同条第四項の規定により受けた認定に係る利用者利便増進事業計画を変更しようとするときは、国土交通大臣の認定を受けなければならない。

2 国土交通大臣は、認定利用者利便増進事業者が前条第四項の規定により受けた認定に係る利用者利便増進事業計画(前項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定利用者利便増進事業計画」という。)に従って利用者利便増進事業を実施していないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。

3 前条第二項、第四項及び第五項の規定は、第一項の変更の認定について準用する。

 (鉄道事業法等の特例)

第十四条 認定利用者利便増進事業者が、認定利用者利便増進事業計画に従って利用者利便増進事業を行うに当たり鉄道事業法第十七条後段の規定による届出を行わなければならない場合、道路運送法第十五条第一項の認可を受けなければならない場合若しくは同条第三項若しくは同法第十五条の三第二項の届出を行わなければならない場合又は海上運送法第十一条の二第一項の届出を行わなければならない場合若しくは同条第二項の認可を受けなければならない場合には、これらの規定にかかわらず、遅滞なくその旨を国土交通大臣に届け出ることをもって足りる。

 (報告の徴収)

第十五条 国土交通大臣は、認定利用者利便増進事業者に対し、利用者利便増進事業の実施状況について報告を求めることができる。

   第四章 課税の特例等

 (課税の特例)

第十六条 同意観光振興計画に定められた観光振興地域の区域内において特定民間観光関連施設(スポーツ若しくはレクリエーション施設、教養文化施設、休養施設若しくは集会施設又は販売施設(小売業の業務を行う者の事業の用に供される施設と観光の振興に資する施設とが一体的に設置される施設で政令で定める要件に該当するものであって、当該施設が当該要件に該当するものとして国土交通大臣が指定するものに限る。)であって、民間事業者が設置及び運営するものをいう。次条において同じ。)を新設し、又は増設した法人が、当該新設又は増設に伴い新たに機械及び装置、建物及びその附属設備並びに構築物を取得し、又は製作し、若しくは建設した場合には、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、課税の特例の適用があるものとする。

2 国土交通大臣は、前項に規定する指定を受けた販売施設が同項に規定する政令で定める要件を欠くに至ったと認めるときは、その指定を取り消すことができる。

3 第一項に規定する指定に必要な申請その他の手続は、政令で定める。

 (地方税の課税免除又は不均一課税に伴う措置)

第十七条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第六条の規定により、北海道の地方公共団体が、同意観光振興計画に定められた観光振興地域の区域内において特定民間観光関連施設を新設し、又は増設した者について、当該特定民間観光関連施設に係る事業に対する事業税、当該特定民間観光関連施設の用に供する建物若しくはその敷地である土地の取得に対する不動産取得税若しくは当該特定民間観光関連施設の用に供する機械及び装置、建物若しくは構築物若しくはこれらの敷地である土地に対する固定資産税を課さなかった場合又はこれらの地方税に係る不均一の課税をした場合において、これらの措置が総務省令で定める場合に該当するものと認められるときは、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の規定による当該地方公共団体の各年度における基準財政収入額は、同条の規定にかかわらず、当該地方公共団体の当該各年度分の減収額(事業税又は固定資産税に関するこれらの措置による減収額にあっては、これらの措置がされた最初の年度以降五箇年度におけるものに限る。)のうち総務省令で定めるところにより算定した額を同条の規定による当該地方公共団体の当該各年度(これらの措置が総務省令で定める日以後において行われたときは、当該減収額について当該各年度の翌年度)における基準財政収入額となるべき額から控除した額とする。

 (輸入品を携帯して出域する場合の関税の免除)

第十八条 北海道から出域する旅客が個人的用途に供するため空港内の旅客ターミナル施設(国土交通大臣が関係行政機関の長に協議して指定する部分に限る。以下この条において単に「旅客ターミナル施設」という。)において購入する物品又は同意観光振興計画に定められた観光振興地域の区域内にある特定販売施設(小売業の業務を行う者の事業の用に供される施設と観光の振興に資する施設とが一体的に設置される施設で政令で定める要件に該当するものをいい、国土交通大臣が関係行政機関の長に協議して指定する部分に限る。)において購入し旅客ターミナル施設において引渡しを受ける物品であって、当該旅客により携帯して北海道以外の本邦の地域へ移出されるものについては、関税暫定措置法(昭和三十五年法律第三十六号)で定めるところにより、その関税を免除する。

 (航空機燃料税の軽減)

第十九条 北海道と北海道以外の本邦の地域(その地域の全部又は一部が離島振興法(昭和二十八年法律第七十二号)第二条第一項の規定により指定された同項の離島振興対策実施地域に含まれる島及び奄美群島振興開発特別措置法(昭和二十九年法律第百八十九号)第一条に規定する奄美群島の区域に含まれる島並びに沖縄県の区域を除く。)との間を航行する航空機で運送の用に供されるものに積み込まれる航空機燃料税法(昭和四十七年法律第七号)第二条第二号に規定する航空機燃料については、租税特別措置法で定めるところにより、航空機燃料税を軽減する。

   第五章 雑則

 (海外における宣伝等の措置)

第二十条 独立行政法人国際観光振興機構は、外国人観光旅客の北海道の区域への来訪を促進するため、同意観光振興計画に定める宣伝の方針に基づき、海外における宣伝を行うほか、これに関連して北海道及び北海道の市町村が行う海外における宣伝に関する助言その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

 (国際会議等の誘致を促進するための措置)

第二十一条 独立行政法人国際観光振興機構は、国際会議等の北海道の区域への誘致を促進するため、同意観光振興計画に定める国際会議等の誘致の方針に基づき、次に掲げる措置を講ずるよう努めなければならない。

 一 北海道及び北海道の市町村に対し、国際会議等の誘致に関する情報を定期的に、又は時宜に応じて提供すること。

 二 海外において北海道及び北海道の市町村の宣伝を行うこと。

 (政令への委任)

第二十二条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

 (罰則)

第二十三条 第十五条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の罰金に処する。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の罰金刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (この法律の失効)

2 この法律は、この法律の施行の日から起算して十年を経過した日に、その効力を失う。ただし、その時までにした行為に対する罰則の適用については、この法律は、その時以後も、なおその効力を有する。


     理 由

 観光産業が北海道の基幹的な産業であることから北海道の経済的基盤の確立にはその発展が不可欠であること、北海道が道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律に基づく唯一の特定広域団体であること及び北海道の置かれた特殊な諸事情があることにかんがみ、北海道における観光の振興を図り、もって北海道の自立的発展に寄与するとともに、北海道の置かれた特殊な諸事情に対する国民の理解の増進に資するため、北海道知事による観光振興計画の作成及びこれに基づく観光の振興を図るための特別の措置等北海道における観光の振興に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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