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第一七七回

参第二三号

   鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案

 (鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の一部改正)

第一条 鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(平成十九年法律第百三十四号)の一部を次のように改正する。

  第二条中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。

 2 この法律において「有害鳥獣」とは、農林水産業等に係る被害の原因となっている鳥獣をいう。

  第二条の次に次の一条を加える。

  (地方公共団体の役割)

 第二条の二 市町村は、その区域内における鳥獣による農林水産業等に係る被害の状況等に応じ、第四条第一項に規定する被害防止計画の作成及びこれに基づく被害防止施策(鳥獣による農林水産業等に係る被害を防止するための施策をいう。以下同じ。)の実施その他の必要な措置を適切に講ずるよう努めるものとする。

 2 都道府県は、その区域内における鳥獣による農林水産業等に係る被害の状況、市町村の被害防止施策の実施の状況等を踏まえ、この法律に基づく措置その他の鳥獣による農林水産業等に係る被害を防止するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

  第三条第一項中「鳥獣による農林水産業等に係る被害を防止するための施策(以下「被害防止施策」という。)」を「被害防止施策」に改める。

  第四条第二項第二号中「農林水産業等に係る被害の原因となっている鳥獣」を「有害鳥獣」に改め、同項第五号の次に次の一号を加える。

  五の二 対象鳥獣による住民の生命、身体又は財産に係る被害が生じ、又は生じるおそれがある場合の対処に関する事項

  第四条第六項中「鳥獣」を「有害鳥獣」に改め、同条の次に次の一条を加える。

  (協議会)

 第四条の二 市町村は、単独で又は共同して、被害防止計画の作成及び変更に関する協議並びに被害防止計画の実施に係る連絡調整を行うための協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。

 2 協議会は、市町村のほか、農林漁業団体、被害防止施策の実施に携わる者及び地域住民並びに学識経験者その他の市町村が必要と認める者をもって構成する。

 3 前二項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

  第七条の次に次の一条を加える。

  (都道府県知事に対する要請等)

 第七条の二 市町村長は、当該市町村が行う被害防止計画に基づく被害防止施策のみによっては対象鳥獣による当該市町村の区域内における農林水産業等に係る被害を十分に防止することが困難であると認めるときは、都道府県知事に対し、必要な措置を講ずるよう要請することができる。

 2 都道府県知事は、前項の規定による要請があったときは、速やかに必要な調査を行い、その結果必要があると認めるときは、特定鳥獣保護管理計画の作成若しくは変更又はその実施その他の当該都道府県の区域内における有害鳥獣による農林水産業等に係る被害を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

  第八条中「実施されるよう」の下に「、対象鳥獣の捕獲等に要する費用に対する補助その他当該被害防止施策の実施に要する費用に対する補助」を加える。

  第九条中第六項を第七項とし、第五項を第六項とし、同条第四項中「前項第二号」を「第三項第二号」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。

 4 第二項に規定する鳥獣被害対策実施隊員は、被害防止計画に基づく被害防止施策の実施に従事するほか、市町村長の指示を受け、有害鳥獣の捕獲等で住民の生命、身体又は財産に係る被害を防止するため緊急に行う必要があるものに従事する。

  第十条の見出し中「処理」を「適正な処理及び食品としての利用等」に改め、同条中「が適正に処理されるよう、当該対象鳥獣に関し、処理するための施設の充実」を「の適正な処理及び食品としての利用等その有効な利用を図るため、必要な施設の整備充実」に改め、「開発」の下に「、食品としての利用に係る技術の普及、加工品の流通の円滑化」を加え、同条の次に次の一条を加える。

  (報告、勧告等)

 第十条の二 農林水産大臣又は都道府県知事は、市町村長に対し、当該市町村における被害防止施策の実施等に関し必要があると認めるときは、報告を求め、又は必要な勧告、助言若しくは援助をすることができる。

  第十二条第二項及び第四項中「鳥獣」を「有害鳥獣」に改める。

  第十三条の見出し中「鳥獣」を「有害鳥獣」に改め、同条第一項中「鳥獣に」を「有害鳥獣に」に、「農林水産業等に係る被害に係る鳥獣」を「有害鳥獣」に改め、同条第二項中「前項の調査」を「前二項の規定による調査及び研究」に、「これ」を「これら」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 国及び地方公共団体は、前項の規定による調査の結果を踏まえ、有害鳥獣に関し、その生息環境等を考慮しつつ適正と認められる個体数についての調査研究を行うものとする。

  第十四条中「鳥獣」を「有害鳥獣」に改める。

  第十五条中「、鳥獣」を「、有害鳥獣」に、「鳥獣に」を「有害鳥獣に」に、「農林水産業等に係る被害の原因となっている鳥獣」を「有害鳥獣」に改める。

  第十六条の見出しを「(有害鳥獣の捕獲等に関わる人材の確保に資するための措置)」に改め、同条中「被害防止施策の実施に携わる者の狩猟免許等に係る手続的な」を「有害鳥獣の捕獲等に従事する者の当該捕獲等に従事するため必要な手続に係る」に、「又はその」を「及び猟銃の所持の許可並びにそれらの」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 前項に定めるもののほか、国及び地方公共団体は、有害鳥獣の捕獲等に関わる人材の確保に資するため、有害鳥獣の捕獲等への貢献に対する報償金の交付、射撃場の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

  第十六条の次に次の一条を加える。

  (必要な予算の確保等)

 第十六条の二 国及び地方公共団体は、被害防止施策(第十条及び第十三条から前条までの措置を含む。)を講ずるために必要な予算の確保に努めるものとする。

 2 都道府県は、前項の規定により必要な予算を確保するに当たっては、狩猟税の収入につき、その課税の目的を踏まえた適切かつ効果的な活用に配意するものとする。

  第十七条中「鳥獣」を「有害鳥獣」に改める。

 (鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部改正)

第二条 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

  第三十八条第一項に次のただし書を加える。

   ただし、住民の安全を確保するため日出前及び日没後であっても銃猟をすべき差し迫った必要がある場合で市町村長又は都道府県知事から当該銃猟をすべき旨の要請を受けてするときは、この限りでない。

  第四十四条中「三年」を「五年」に改める。

 (銃砲刀剣類所持等取締法の一部改正)

第三条 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)の一部を次のように改正する。

  第五条の二第四項第一号及び第五項中「十年」を「五年」に改める。

  第七条の二中「三回目」を「五回目」に改める。

  附則第十項から第十二項までを削り、附則に次の一項を加える。

  (猟銃の操作及び射撃の技能に関する講習についての当面の措置)

 10 第五条の五の規定は、当分の間、適用しない。この場合において、第三条第一項第四号の二の二及び第三条の三第一項第五号の二の規定は適用せず、第三条第一項第二号及び第四号の二、第三条の三第一項第二号並びに第五条の二第三項第一号及び第二号の規定の適用については、第三条第一項第二号中「第五条の五第一項の講習(第四号の二の二並びに第三条の三第一項第二号及び第五号の二において「技能講習」という。)の用に供するため、又は」とあるのは「又は」と、同項第四号の二中「次号、第三条の三第一項第七号及び第五条の五第四項」とあるのは「第三条の三第一項第七号」と、第三条の三第一項第二号中「技能検定若しくは技能講習」とあるのは「技能検定」と、第五条の二第三項第一号中「所持している者(当該猟銃に係る第五条の五第二項の技能講習修了証明書(次号において「技能講習修了証明書」という。)の交付を受け、その交付を受けた日から起算して三年を経過していない者又は当該種類の猟銃に係る射撃競技で政令で定めるものに参加する選手若しくはその候補者として適当であるとして政令で定める者から推薦された者に限る。)」とあるのは「所持している者」と、同項第二号中「経過しないもの(当該許可を受けて所持していた猟銃に係る技能講習修了証明書の交付を受け、その交付を受けた日から起算して三年を経過していない者に限る。)」とあるのは「経過しないもの」とする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第三条及び附則第三条の規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に第二条の規定による改正前の鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律第三十九条の規定による狩猟免許(同法第五十一条第三項の規定による狩猟免許の更新を含む。以下同じ。)を受けている者に係る当該狩猟免許の有効期間は、第二条の規定による改正後の鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律第四十四条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (銃砲刀剣類所持等取締法の一部改正に伴う経過措置)

第三条 この法律の施行の際現に第三条の規定による改正前の銃砲刀剣類所持等取締法(以下この条において「旧法」という。)第四条の二第一項の規定により猟銃の所持の許可の申請(旧法第七条の三第一項の規定による猟銃の所持の許可の更新の申請を含む。)をしている者に対する許可の基準については、第三条の規定による改正後の銃砲刀剣類所持等取締法(次項において「新法」という。)第五条の二第四項第一号及び第五項並びに附則第十項の規定により読み替えて適用する同条第三項第一号及び第二号の規定にかかわらず、なお従前の例による。

2 この法律の施行の際現に旧法第四条第一項第一号の規定による許可(旧法第七条の三第二項の規定による許可の更新を含む。以下同じ。)を受けて猟銃又は空気銃を所持している者に係る当該許可の有効期間は、新法第七条の二の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (罰則に関する経過措置)

第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (地方税法の一部改正)

第五条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  附則第三十二条第一号中「第九条第五項」を「第九条第六項」に改める。


     理 由

 鳥獣による農林水産業や生活環境に係る被害が深刻化している現状に鑑み、その被害の防止に関する施策の効果的な推進に資するため、市町村が行う被害防止施策のみによっては被害を十分に防止することが困難である場合における市町村長による都道府県知事に対する要請、鳥獣被害対策実施隊員による緊急的な有害鳥獣の捕獲等、捕獲した鳥獣の食品としての利用、有害鳥獣の捕獲等に関わる人材の確保、狩猟免許の有効期間の延長、ライフル銃の所持許可の要件の緩和等に関する規定の整備を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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