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第一七七回

閣第八五号

   東日本大震災により生じた廃棄物の処理の特例に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、東日本大震災による被害を受けた市町村における災害廃棄物の処理の実施体制、その処理に関する専門的知識及び技術の必要性並びにその広域的な処理の重要性に鑑み、国が被害を受けた市町村に代わって災害廃棄物を処理するための特例を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「災害廃棄物」とは、東日本大震災(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。)により生じた廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。次条第二項において「廃棄物処理法」という。)第二条第一項に規定する廃棄物をいう。)をいう。

 (災害廃棄物の処理に関する特例)

第三条 環境大臣は、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成二十三年法律第四十号)第二条第二項に規定する特定被災地方公共団体(次条第二項において「特定被災地方公共団体」という。)である市町村の長から要請があり、かつ、次に掲げる事項を勘案して必要があると認めるときは、その事務の遂行に支障のない範囲内で、当該市町村に代わって自ら当該市町村の災害廃棄物の収集、運搬及び処分(再生を含む。以下同じ。)を行うことができる。

 一 当該市町村における災害廃棄物の処理の実施体制

 二 当該災害廃棄物の処理に関する専門的な知識及び技術の必要性

 三 当該災害廃棄物の広域的な処理の重要性

2 前項の規定により災害廃棄物の収集、運搬又は処分を行った環境大臣については、廃棄物処理法第十九条の四第一項の規定は、適用しない。

 (費用の負担等)

第四条 前条第一項の規定により環境大臣が行う災害廃棄物の収集、運搬及び処分に要する費用は、国の負担とする。この場合において、同項の市町村は、当該費用の額から、自ら当該災害廃棄物の収集、運搬及び処分を行うこととした場合に国が当該市町村に交付すべき補助金の額に相当する額を控除した額を負担する。

2 国は、特定被災地方公共団体である市町村が災害廃棄物の収集、運搬及び処分を行うために要する費用で当該市町村の負担に属するもの(前項後段の規定により負担する費用を含む。)について、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 (事務の委任)

第五条 環境大臣は、環境省令で定めるところにより、第三条に規定する事務を地方環境事務所長に委任することができる。

 (政令への委任)

第六条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 東日本大震災による被害を受けた市町村における災害廃棄物の処理の実施体制、その処理に関する専門的知識及び技術の必要性並びにその広域的な処理の重要性に鑑み、国が被害を受けた市町村に代わって災害廃棄物を処理するための特例を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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