衆議院

メインへスキップ



第一八〇回

衆第一八号

   大都市地域における地方公共団体の設置等に関する特例法案

 (目的)

第一条 この法律は、道府県の区域内において関係市町村を廃止し、特別区を設けるための手続、特別区と道府県の事務の分担並びに税源の配分及び財政の調整に関する意見の申出の手続並びに大都市制度に関する提案に係る措置について定めることにより、地方公共団体の意思を尊重しつつ、国と地方公共団体が相互に協力して、地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「関係市町村」とは、人口(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十四条に規定する人口によるものとする。以下この項において同じ。)二百万以上の指定都市(同法第二百五十二条の十九第一項の指定都市をいう。以下同じ。)又は一の指定都市及び当該指定都市に隣接する同一道府県の区域内の一以上の市町村であって、その総人口が二百万以上のものをいう。

2 この法律において「関係道府県」とは、関係市町村を包括する道府県をいう。

3 この法律において「特別区の設置」とは、関係市町村を廃止し、当該関係市町村の区域を分けて定める区域をその区域として、特別区を設けることをいう。

 (道府県の区域内における特別区の設置の特例)

第三条 地方自治法第二百八十一条第一項の規定にかかわらず、総務大臣は、この法律の定めるところにより、道府県の区域内において、特別区の設置を行うことができる。

 (特別区設置協議会の設置)

第四条 特別区の設置を申請しようとする関係市町村及び関係道府県は、地方自治法第二百五十二条の二第一項の規定により、特別区の設置に関する基本的な計画(以下「特別区設置基本計画」という。)の作成その他特別区の設置に関する協議を行う協議会(以下「特別区設置協議会」という。)を置くものとする。

2 特別区設置協議会の会長及び委員は、地方自治法第二百五十二条の三第二項の規定にかかわらず、規約の定めるところにより、関係市町村若しくは関係道府県の議会の議員若しくは長その他の職員又は学識経験を有する者の中から、これを選任する。

 (特別区設置基本計画の作成)

第五条 特別区設置基本計画は、次に掲げる事項について、作成するものとする。

 一 特別区の設置の日

 二 特別区の名称、区域及び事務所の位置

 三 特別区の設置に伴う財産処分に関する事項

 四 特別区の議会の議員の定数

 五 特別区とこれを包括する道府県の事務の分担に関する事項

 六 特別区とこれを包括する道府県の税源の配分及び財政の調整に関する事項

 七 関係市町村及び関係道府県の職員の引継ぎ及び身分取扱いに関する事項

 八 前各号に掲げるもののほか、特別区の設置に関し必要な事項

2 関係市町村の長及び関係道府県の知事は、特別区設置協議会が特別区設置基本計画に前項第五号及び第六号に掲げる事項その他の事項のうち政府が法制上の措置その他の措置を講ずる必要があるものを記載しようとするときは、共同して、あらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得なければならない。

3 特別区設置協議会は、特別区設置基本計画を作成しようとするときは、あらかじめ、その内容について、総務大臣に報告しなければならない。

4 総務大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、遅滞なく、当該特別区設置基本計画の内容について検討し、特別区設置協議会並びに関係市町村の長及び関係道府県の知事に意見を述べるものとする。

5 特別区設置協議会は、特別区設置基本計画を作成したときは、これを全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事に送付しなければならない。

 (特別区設置基本計画についての議会の承認)

第六条 関係市町村の長及び関係道府県の知事は、前条第五項の規定により特別区設置基本計画の送付を受けたときは、同条第四項の意見を添えて、当該特別区設置基本計画を速やかにそれぞれの議会に付議して、その承認を求めなければならない。

2 関係市町村の長及び関係道府県の知事は、前項の規定による議会の審議の結果を、速やかに、特別区設置協議会並びに他の関係市町村の長及び関係道府県の知事に通知しなければならない。

3 特別区設置協議会は、前項の規定により全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事から当該関係市町村及び関係道府県の議会が特別区設置基本計画を承認した旨の通知を受けたときは、直ちに、全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事から同項の規定による通知を受けた日(次条第一項において「基準日」という。)を関係市町村の選挙管理委員会及び総務大臣に通知するとともに、当該特別区設置基本計画を公表しなければならない。

 (関係市町村における選挙人の投票)

第七条 前条第三項の規定による通知を受けた関係市町村の選挙管理委員会は、基準日から六十日以内に、特別区の設置について選挙人の投票に付さなければならない。

2 関係市町村の選挙管理委員会は、前項の規定による投票の結果が判明したときは、直ちにこれを全ての関係市町村の長及び関係道府県の知事に通知するとともに、公表しなければならない。その投票の結果が確定したときも、同様とする。

3 政令で特別の定めをするものを除くほか、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)中普通地方公共団体の選挙に関する規定は、第一項の規定による投票について準用する。

4 第一項の規定による投票は、普通地方公共団体の選挙と同時にこれを行うことができる。

 (特別区の設置の申請)

第八条 関係市町村及び関係道府県は、全ての関係市町村の前条第一項の規定による投票においてそれぞれその有効投票の総数の過半数の賛成があったときは、共同して、総務大臣に対し、特別区の設置を申請することができる。

2 前項の規定による申請は、特別区設置基本計画を添えてしなければならない。

 (特別区の設置の処分)

第九条 特別区の設置は、前条第一項の規定による申請に基づき、総務大臣がこれを定めることができる。

2 前項の規定による処分をしたときは、総務大臣は、直ちにその旨を告示するとともに、これを国の関係行政機関の長に通知しなければならない。

3 第一項の規定による処分は、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。

4 関係市町村は、第二項の規定による告示があったときは、直ちに特別区設置基本計画に定められた特別区の事務所の位置及び議会の議員の定数を告示しなければならない。

5 前項の規定により告示された特別区の事務所の位置は、地方自治法第四条第一項の規定に基づく当該特別区の条例により定められたものとみなす。

6 第四項の規定により告示された特別区の議会の議員の定数は、地方自治法第二百八十三条第一項の規定により適用される同法第九十一条第一項の規定に基づく当該特別区の条例により定められたものとみなす。

 (特別区を包括する道府県に対する法令の適用)

第十条 特別区を包括する道府県は、地方自治法その他の法令の規定の適用については、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、都とみなす。

 (事務の分担等に関する意見の申出)

第十一条 一の道府県の区域内の全ての特別区及び当該道府県は、共同して、特別区とこれを包括する道府県の事務の分担並びに税源の配分及び財政の調整の在り方に関し、政府に対し意見を申し出ることができる。

2 前項に規定する申出については、当該特別区及び道府県の議会の議決を経なければならない。

3 政府は、第一項に規定する申出を受けた場合において必要があると認めるときは、当該意見の趣旨を尊重し、速やかに必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

 (大都市制度に関する提案)

第十二条 指定都市又は特別区及びこれを包括する都道府県は、共同して、内閣総理大臣に対し、指定都市又は特別区とこれを包括する都道府県の関係に係る制度に関し政府が講ずべき措置に関する提案をすることができる。

2 前項の提案については、当該指定都市又は特別区及び都道府県の議会の議決を経なければならない。

3 内閣総理大臣は、第一項の提案を受けた場合において必要があると認めるときは、速やかに地方制度調査会に諮問するものとする。

 (政令への委任)

第十三条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (公職選挙法の一部改正)

第二条 公職選挙法の一部を次のように改正する。

  第二百六十六条第一項中「第七条第六項」を「第六条の二第四項又は第七条第七項」に改め、「含む。)」の下に「又は大都市地域における地方公共団体の設置等に関する特例法(平成二十四年法律第▼▼▼号)第九条第二項」を加える。


     理 由

 地方公共団体の意思を尊重しつつ、国と地方公共団体が相互に協力して、地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けるため、道府県の区域内において関係市町村を廃止し、特別区を設けるための手続、特別区と道府県の事務の分担並びに税源の配分及び財政の調整に関する意見の申出の手続並びに大都市制度に関する提案に係る措置について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.