衆議院

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第一八九回

参第一七号

   在外邦人の警護等を実施するための自衛隊法の一部を改正する法律案

 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)の一部を次のように改正する。

 第二条第五項中「第九十四条の六第三号」を「第九十四条の七第三号」に改める。

 第二十二条第二項中「原子力災害派遣」の下に「、第八十四条の三第一項の規定による保護措置」を加える。

 第八十四条の四を第八十四条の五とする。

 第八十四条の三第三項中「第九十四条の五」を「第九十四条の六」に改め、同条を第八十四条の四とし、第八十四条の二の次に次の一条を加える。

 (在外邦人等の保護措置)

第八十四条の三 防衛大臣は、外務大臣から外国における緊急事態に際して生命又は身体に危害が加えられるおそれがある邦人の警護、救出その他の当該邦人の生命又は身体の保護のための措置(輸送を含む。以下「保護措置」という。)を行うことの依頼があつた場合において、外務大臣と協議し、次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、部隊等に当該保護措置を行わせることができる。

 一 当該外国の領域の当該保護措置を行う場所において、当該外国の権限ある当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たつており、かつ、戦闘行為(国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。第五項において同じ。)が行われることがないと認められること。

 二 自衛隊が当該保護措置(武器の使用を含む。)を行うことについて、当該外国(国際連合の総会又は安全保障理事会の決議に従つて当該外国において施政を行う機関がある場合にあつては、当該機関)の同意があること。

 三 予想される危険に対応して当該保護措置をできる限り円滑かつ安全に行うための部隊等と第一号に規定する当該外国の権限ある当局との間の連携及び協力が確保されると見込まれること。

2 内閣総理大臣は、前項の規定による外務大臣と防衛大臣の協議の結果を踏まえて、同項各号のいずれにも該当すると認める場合に限り、同項の承認をするものとする。

3 防衛大臣は、第一項の規定により保護措置を行わせる場合において、外務大臣から同項の緊急事態に際して生命又は身体に危害が加えられるおそれがある外国人として保護することを依頼された者その他の当該保護措置と併せて保護を行うことが適当と認められる者(第五項及び第九十四条の五第一項において「その他の保護対象者」という。)の生命又は身体の保護のための措置を部隊等に行わせることができる。

4 防衛大臣は、第一項の規定による保護措置に着手する前に、同項第一号若しくは第二号に該当せず、又は同項第三号の連携及び協力が確保されないと認める場合には、速やかに、部隊等の撤収を命じなければならない。

5 第一項の規定により外国の領域において保護措置を命ぜられた部隊等の長又はその指定する者は、当該保護措置を行つている場所の近傍において戦闘行為が行われるに至つた場合若しくは付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合又は当該部隊等若しくは当該保護措置の対象である邦人若しくはその他の保護対象者の安全を確保するため必要と認める場合には、避難し、又はその輸送を一時休止するなどして危険を回避するものとする。

 第九十四条の八を第九十四条の九とし、第九十四条の七を第九十四条の八とする。

 第九十四条の六第一号中「第八十四条の四第二項第一号」を「第八十四条の五第二項第一号」に改め、同条第二号中「第八十四条の四第二項第二号」を「第八十四条の五第二項第二号」に改め、同条第三号中「第八十四条の四第二項第四号」を「第八十四条の五第二項第四号」に改め、同条を第九十四条の七とする。

 第九十四条の五中「第八十四条の三第一項」を「第八十四条の四第一項」に改め、同条を第九十四条の六とし、第九十四条の四の次に次の一条を加える。

 (在外邦人等の保護措置の際の権限)

第九十四条の五 第八十四条の三第一項の規定により外国の領域において保護措置を行う職務に従事する自衛官は、同項第一号及び第二号のいずれにも該当する場合であつて、その職務を行うに際し、自己若しくは当該保護措置の対象である邦人若しくはその他の保護対象者の生命若しくは身体の防護又はその職務を妨害する行為の排除のためやむを得ない必要があると認める相当の理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。

2 第八十九条第二項の規定は、前項の規定により自衛官が武器を使用する場合について準用する。

3 第一項に規定する自衛官は、第八十四条の三第一項第一号に該当しない場合であつても、その職務を行うに際し、自己若しくは自己と共に当該職務に従事する隊員又はその職務を行うに伴い自己の管理の下に入つた者の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。

 第百条の六第一項第三号中「規定する」の下に「外国における緊急事態に際して同項の保護措置を行う場合又は第八十四条の四第一項に規定する」を、「所在して」の下に「当該保護措置又は」を加え、同項第四号中「第八十四条の四第二項第三号」を「第八十四条の五第二項第三号」に改める。

 第百条の八第一項第三号中「規定する」の下に「外国における緊急事態に際して同項の保護措置としての輸送を行う場合又は第八十四条の四第一項に規定する」を加え、「当該輸送」を「これらの輸送」に改め、同項第四号中「第八十四条の四第二項第三号」を「第八十四条の五第二項第三号」に改める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。

 (関係法律の整備)

2 国家安全保障会議設置法(昭和六十一年法律第七十一号)第二条第二項の規定により内閣総理大臣が国家安全保障会議に諮らなければならない事項に、自衛隊法第六章に規定する自衛隊の行動に関する重要事項のうちこの法律による改正後の同法第八十四条の三に規定する保護措置の実施に関するものを加えることとし、このための国家安全保障会議設置法の規定の整備については、別に法律で定める。


     理 由

 外国における緊急事態に際して生命又は身体に危害が加えられるおそれがある邦人の警護等の措置を自衛隊の部隊等に実施させることができるようにする等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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