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第一九〇回

衆第一一号

   中小企業正規労働者雇入臨時助成金の支給に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、現下の経済状況において、労働者の正規労働者としての雇用に伴う社会保険料に係る中小企業者の負担が中小企業者が新たに労働者を正規労働者として雇い入れることを阻害する要因の一つとなっていること等に鑑み、この法律の施行の日から五年以内に新たに労働者を正規労働者として雇い入れ、その雇用する正規労働者の数を増加させた中小企業者に対して中小企業正規労働者雇入臨時助成金を支給するための措置を講ずることにより、労働者の正規労働者としての雇用に伴う中小企業者の経済的負担の軽減及び労働者の正規労働者としての就業の機会の増大を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「正規労働者」とは、期間の定めのない労働契約を締結している労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第二条第二号に規定する派遣労働者を除く。)であって一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される他の労働者に比して短くないものをいう。

2 この法律において「社会保険料」とは、社会保険料関係法(健康保険法(大正十一年法律第七十号)、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)その他政令で定める法律をいう。次条第二項において同じ。)の規定による保険料、掛金その他これらに準ずるものをいう。

3 この法律において「中小企業者」とは、次の各号のいずれかに該当する者をいう。

 一 資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人で、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種及び第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの

 二 資本金の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人で、卸売業(第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの

 三 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人で、サービス業(第五号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの

 四 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人で、小売業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの

 五 資本金の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人で、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの

 六 企業組合

 七 協業組合

 八 事業協同組合、協同組合連合会その他の特別の法律により設立された組合及びその連合会で、政令で定めるもの

 (中小企業正規労働者雇入臨時助成金の支給)

第三条 国は、この法律の施行の日から五年以内に新たに労働者(その雇入れの日前一年以内に正規労働者として雇用されていた労働者を除く。次項及び第三項において同じ。)を正規労働者として雇い入れ、その雇用する正規労働者の数を増加させた中小企業者として経済産業省令で定める要件に該当する中小企業者(当該中小企業者による雇入れの日前一年以内に当該中小企業者の都合によるものとして経済産業省令で定める理由によって離職(雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第四条第二項に規定する離職をいう。第三項において同じ。)をした正規労働者がいることその他経済産業省令で定める要件に該当する中小企業者を除く。次項及び第三項において「対象中小企業者」という。)に対し、経済産業省令で定めるところにより、中小企業正規労働者雇入臨時助成金を支給することができる。

2 中小企業正規労働者雇入臨時助成金は、月を単位として支給するものとし、その額は、一月につき、対象中小企業者が前項の数の増加に係る労働者を正規労働者として雇い入れた日後初めて社会保険料関係法の規定により納付すべき当該労働者に係る社会保険料の額(当該社会保険料の額が月を単位として定められているときは当該額、当該社会保険料の額が年を単位として定められているときは経済産業省令で定めるところにより当該額を一月当たりの額に換算した額)のうち当該対象中小企業者が社会保険料関係法の規定により負担すべき額の合計額の二分の一に相当する額を基本として経済産業省令で定めるところにより算定した額とするものとする。

3 中小企業正規労働者雇入臨時助成金の支給期間は、対象中小企業者が正規労働者として雇い入れた第一項の数の増加に係る労働者のそれぞれにつき、当該労働者の雇入れの日の属する月の翌月から十年間(十年経過前に当該労働者が離職をしたときは、当該離職をした日の属する月の翌月までの間)を基本として経済産業省令で定める期間とするものとする。

4 経済産業大臣は、中小企業正規労働者雇入臨時助成金の支給に関する事務の全部又は一部を独立行政法人中小企業基盤整備機構(次項において「機構」という。)に行わせるものとする。

5 機構は、中小企業正規労働者雇入臨時助成金の支給に関する事務を行う場合において当該事務に関し必要があると認めるときは、中小企業者に対し、必要な事項についての報告を求めることができる。

6 前各項に定めるもののほか、中小企業正規労働者雇入臨時助成金の支給に関し必要な事項は、経済産業省令で定める。

 (罰則)

第四条 前条第五項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、五十万円以下の罰金に処する。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同項の刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部改正)

第二条 独立行政法人中小企業基盤整備機構法(平成十四年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。

  第十五条第一項第六号の次に次の一号を加える。

  六の二 中小企業正規労働者雇入臨時助成金の支給に関する法律(平成二十八年法律第▼▼▼号)第三条第一項の規定による中小企業正規労働者雇入臨時助成金の支給を行うこと。

  第十六条中「前条第一項第六号」の下に「及び第六号の二」を加える。

  第十七条第二項中「対し、」の下に「第十五条第一項第六号の二に掲げる業務及びこれに関連する同項第二十一号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務並びに」を加え、「第十五条第一項第十六号」を「同条第一項第十六号」に改める。

  第十八条第一項第一号中「次号」を「第二号」に改め、同号の次に次の一号を加える。

  一の二 第十五条第一項第六号の二に掲げる業務及びこれに関連する同項第二十一号に掲げる業務並びにこれらに附帯する業務

  第十八条第一項第二号中「前号」を「第一号」に改める。

  第十九条第一項中「一般勘定」という。)」の下に「、同項第一号の二に掲げる業務に係る勘定」を加える。

 (中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律の一部改正)

第三条 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。

  第三条のうち独立行政法人中小企業基盤整備機構法第十七条第二項の改正規定中「同条第二項中」の下に「「同項第二十一号」を「同項第二十二号」に、」を加える。

  第三条のうち独立行政法人中小企業基盤整備機構法第十八条第一項第二号の改正規定中「同項第二号」を「同項第一号の二及び第二号」に改める。

 (中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律の一部改正に伴う調整規定)

第四条 この法律の施行の日が中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律の施行の日後である場合には、附則第二条のうち独立行政法人中小企業基盤整備機構法第十七条第二項の改正規定及び第十八条第一項第一号の次に一号を加える改正規定のうち第一号の二中「同項第二十一号」とあるのは、「同項第二十二号」とし、前条の規定は、適用しない。


     理 由

 現下の経済状況において、労働者の正規労働者としての雇用に伴う社会保険料に係る中小企業者の負担が中小企業者が新たに労働者を正規労働者として雇い入れることを阻害する要因の一つとなっていること等に鑑み、労働者の正規労働者としての雇用に伴う中小企業者の経済的負担の軽減及び労働者の正規労働者としての就業の機会の増大を図るため、この法律の施行の日から五年以内に新たに労働者を正規労働者として雇い入れ、その雇用する正規労働者の数を増加させた中小企業者に対して中小企業正規労働者雇入臨時助成金を支給するための措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、初年度において約二百十七億円の見込みである。

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