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第一九三回

参第二〇号

   労働基準法及び労働安全衛生法の一部を改正する法律案

 (労働基準法の一部改正)

第一条 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。

  第四十一条の見出しを削り、同条の前に見出しとして「(労働時間等に関する規定の適用除外)」を付し、第四章中同条の次に次の一条を加える。

 第四十一条の二 賃金、労働時間その他の当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し当該事項について意見を述べることを目的とする委員会(使用者及び当該事業場の労働者を代表する者を構成員とするものに限る。)が設置された事業場において、当該委員会がその委員の五分の四以上の多数による議決により次に掲げる事項に関する決議をし、かつ、使用者が、厚生労働省令で定めるところにより当該決議を行政官庁に届け出た場合において、第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者(以下この項において「対象労働者」という。)であつて書面その他の厚生労働省令で定める方法によりその同意を得たものを当該事業場における第一号に掲げる業務に就かせたときは、この章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は、対象労働者については適用しない。ただし、第三号に規定する措置を使用者が講じていない場合は、この限りでない。

  一 その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務のうち、労働者に就かせることとする業務(以下この項において「対象業務」という。)

  二 この項の規定により労働する期間において次のいずれにも該当する労働者であつて、対象業務に就かせようとするものの範囲

   イ 使用者との間の書面その他の厚生労働省令で定める方法による合意に基づき職務が明確に定められていること。

   ロ 次のいずれかに該当すること。

    (1) 労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額(2)において「見込み年間給与額」という。)が、基準年間平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における毎月きまつて支給する給与の額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者一人当たりの給与の平均額をいう。(2)において同じ。)の二倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であること。

    (2) 見込み年間給与額が、基準年間平均給与額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であり、かつ、見込み年間給与額に、労働契約により対象業務に従事して得た成果に応じて使用者から支払われることとされている賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額を加えた額が、見込み年間給与額の三倍の額以上となり得ること。

    (3) 株式会社である事業主から付与された当該株式会社の新株予約権(その発行について金銭の払込みを要しないことその他の厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)を保有していること。

  三 対象業務に従事する対象労働者の健康管理を行うために当該対象労働者が事業場内にいた時間(この項の委員会が厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを決議したときは、当該決議に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間(次号において「健康管理時間」という。)を把握する措置(厚生労働省令で定める方法に限る。)を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。

  四 対象業務に従事する対象労働者に対し、次に掲げる措置であつて厚生労働省令で定めるもののうちから当該決議で定めるものを当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。

   イ 対象労働者ごとの始業から二十四時間を経過するまでにおける継続した休息時間の確保及び第三十七条第四項に規定する時刻の間において労働させる回数の一箇月についての上限の設定に関する措置

   ロ 健康管理時間の一箇月又は三箇月についての上限の設定に関する措置

   ハ 一年間を通じた休日の確保及び四週間を通じた休日の確保に関する措置

   ニ 対象労働者の健康管理時間の状況に応じた当該対象労働者の健康及び福祉を確保するための有給休暇(第三十九条の規定による有給休暇を除く。)の付与、健康診断の実施その他の措置

  五 対象業務に従事する対象労働者からの苦情の処理に関する措置を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。

  六 使用者は、この項の規定による同意をしなかつた対象労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。

  七 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

   前項の規定による届出をした使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、同項第四号に規定する措置の実施状況を行政官庁に報告しなければならない。

   第三十八条の四第二項、第三項及び第五項の規定は、第一項の委員会について準用する。

  第六十条第一項中「及び第四十条」を「、第四十条及び第四十一条の二」に改める。

  第百六条第一項中「第五項」の下に「(第四十一条の二第三項の規定により準用する場合を含む。)並びに第四十一条の二第一項」を加える。

 (労働安全衛生法の一部改正)

第二条 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の一部を次のように改正する。

  第六十六条の八第一項中「該当する労働者」の下に「(次条第一項に規定する者を除く。以下この条において同じ。)」を加え、同条の次に次の一条を加える。

 第六十六条の八の二 事業者は、労働基準法第四十一条の二第一項の規定により労働する労働者であつて、その健康管理時間(同項第三号に規定する健康管理時間をいう。以下同じ。)が当該労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。

 2 前条第二項から第五項までの規定は、前項の事業者及び労働者について準用する。この場合において、同条第五項中「就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等」とあるのは、「職務内容の変更、有給休暇(労働基準法第三十九条の規定による有給休暇を除く。)の付与、健康管理時間が短縮されるための配慮等」と読み替えるものとする。

  第六十六条の九中「事業者は、」の下に「第六十六条の八第一項又は」を加える。

  第百四条中「第六十六条の八第一項」の下に「及び第六十六条の八の二第一項」を加える。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (罰則に関する経過措置)

第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (政令への委任)

第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

 (地方公務員法の一部改正)

第四条 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。

  第五十八条第三項中「第三十九条第六項」の下に「、第四十一条の二」を、「並びに第百二条の規定、労働安全衛生法」の下に「第六十六条の八の二及び」を加える。

 (労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正)

第五条 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

  第四十四条第五項中「第五項」の下に「(第四十一条の二第三項の規定により準用する場合を含む。)並びに第四十一条の二第一項」を加える。


     理 由

 労働者が創造的な能力を発揮しながら効率的に働くことができる環境を整備するため、従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くない業務に就き、かつ、一定額以上の年収を有する労働者等に適用される労働時間制度を創設する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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