第一九三回
参第四六号
原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律案
(原子力損害の賠償に関する法律の一部改正)
第一条 原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。
目次中「第五条」を「第五条の二」に改める。
第四条の二を第四条の三とし、第四条の次に次の一条を加える。
第四条の二 政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が一工場若しくは一事業所当たり又は一原子力船当たり五兆円を超えるときは、当該損害を当該原子力事業者が賠償することにより生ずる損失の額のうちその超える額に相当する額を負担するものとする。
第二章中第五条の次に次の一条を加える。
(代位等)
第五条の二 政府は、第四条の二の規定による負担をした場合において、その負担に係る損失を生じた原子力事業者が第三者に対して求償権を有するときは、次に掲げる額のうちいずれか少ない額を限度として当該求償権を取得する。
一 政府が負担した額
二 当該求償権の額から政令で定めるところにより算定した額を控除した額
2 第四条の二の規定による負担に係る損失を生じた原子力事業者が求償権の行使により支払を受けたときは、政府は、次に掲げる額のうちいずれか少ない額の限度で、同条の規定による負担の義務を免れる。
一 当該原子力事業者が当該求償権の行使により支払を受けた額から政令で定めるところにより算定した額を控除した額
二 第四条の二の規定により政府が負担の義務を負うべき額
第十六条第一項中「政府は」の下に「、第四条の二に定めるもののほか」を加え、「こえ」を「超え」に、「行なう」を「行う」に改める。
第二十条の見出し中「第十条第一項及び第十六条第一項」を「第四条の二等」に改め、同条中「第十条第一項」を「第四条の二、第五条の二、第十条第一項」に改める。
第二十三条中「第三章」を「第四条の二、第五条の二、第三章」に改める。
(原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部改正)
第二条 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成二十三年法律第九十四号)の一部を次のように改正する。
第四十一条第一項第一号中「要賠償額」の下に「(当該要賠償額が五兆円を超えるときは、五兆円)」を加える。
第五十一条を次のように改める。
第五十一条 削除
第六十八条を次のように改める。
第六十八条 削除
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行前にその発生の原因となった事実が生じた原子力損害(第一条の規定による改正前の原子力損害の賠償に関する法律第二条第二項に規定する原子力損害をいう。次条において同じ。)の賠償については、なお従前の例による。
第三条 この法律の施行前にその発生の原因となった事実が生じた原子力損害についての第二条の規定による改正前又は改正後の原子力損害賠償・廃炉等支援機構法第四十一条第一項の規定による申込みに係る同項に規定する資金援助については、第二条の規定による改正後の同項第一号の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(政令への委任)
第四条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
理 由
原子力事業者の原子力損害の賠償の責任が生じた場合における政府の負担等について定めるとともに、政府による原子力損害賠償・廃炉等支援機構に対する資金の交付を廃止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。