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第二〇四回

衆第三号

   新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案

 新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律(令和二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。

 題名を次のように改める。

   新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等及び離職者等の支援に係る措置に関する法律

 題名の次に次の目次及び章名を付する。

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 雇用保険法の特例等

  第一節 基本手当の特例(第三条−第六条)

  第二節 雇用安定事業の特例等(第七条−第十七条)

 第三章 離職者等の支援に係る措置

  第一節 臨時職業訓練受講給付金(第十八条−第二十一条)

  第二節 生活保護法の要保護者に対する支援措置(第二十二条・第二十三条)

 第四章 雑則(第二十四条)

 附則

   第一章 総則

 第一条中「特例等」の下に「及び離職者等の支援に係る措置」を加える。

 第二条の次に次の章名及び節名を付する。

   第二章 雇用保険法の特例等

    第一節 基本手当の特例

 第三条を次のように改める。

 (基本手当の日額の特例)

第三条 令和三年一月八日から政令で定める日までの間(以下この節において「特例期間」という。)においては、雇用保険法第十五条第一項に規定する受給資格者(以下この節において単に「受給資格者」という。)に対して支給される基本手当についての同法第十六条の規定の適用については、同条第一項中「百分の五十」とあるのは「百分の七十」と、「百分の八十」とあるのは「百分の百」と、同条第二項中「百分の五十」とあるのは「百分の七十」と、「百分の四十五」とあるのは「百分の六十五」とする。

2 前項の規定による基本手当の支給を受ける受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得た場合における雇用保険法第十九条第一項の規定の適用については、同項第一号及び第二号中「百分の八十」とあるのは、「百分の百」とする。

 第八条を第二十四条とする。

 第七条中「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金及び第五条第一項の給付金」を「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等」に改め、同条を第十一条とし、同条の次に次の六条、一章及び章名を加える。

 (不利益取扱いの禁止等)

第十二条 事業主は、労働者が新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等の支給を受けようとしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

2 事業主は、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等の支給の申請に協力する等この節の規定に基づき国が実施する措置に積極的に協力するとともに、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)その他の労働に関する法令を遵守しつつ、その雇用する労働者の雇用の継続等に配慮するよう努めるものとする。

 (新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等の支給の申請に係る手続についての配慮)

第十三条 厚生労働大臣は、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等の支給の申請が不当に妨げられることのないよう、当該申請に関する書類に労働保険番号の記載を要しないものとすることその他当該申請に係る手続について必要な配慮をしなければならない。

 (助言、指導及び勧告)

第十四条 厚生労働大臣は、第十二条第一項の規定の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導又は勧告をすることができる。

2 前項に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。

 (公表)

第十五条 厚生労働大臣は、第十二条第一項の規定に違反している事業主に対し、前条第一項の勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

 (制度の周知徹底等)

第十六条 政府は、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等の支給の申請の機会が確保されるよう、労働者及び事業主に対し、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等に関する制度の周知徹底を図るものとする。

2 事業主は、新型コロナウイルス感染症等の影響により労働者を休業させる場合において、その休業させている期間の全部又は一部について賃金の支払をしないときは、当該労働者に対し、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等に係る制度に関する情報の提供をするよう努めるものとする。

 (解釈規定)

第十七条 雇用保険法その他の労働に関する法令の規定の適用については、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等の支給の申請に係る手続において事業主が労働者を休業させたことを認めたことをもって、その休業が使用者の責めに帰すべき事由による休業であると解釈してはならない。

   第三章 離職者等の支援に係る措置

    第一節 臨時職業訓練受講給付金

 (臨時職業訓練受講給付金の支給)

第十八条 国は、この法律の定めるところにより、令和三年一月分から政令で定める月分までの職業訓練受講給付金(職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律(平成二十三年法律第四十七号)第七条第一項の職業訓練受講給付金をいう。以下この節において同じ。)の支給を受ける者に対し、当該支給を受ける月について臨時職業訓練受講給付金を支給する。

 (臨時職業訓練受講給付金の額)

第十九条 臨時職業訓練受講給付金の額は、一月につき、当該月分の職業訓練受講給付金(厚生労働省令で定める手当を除く。)の額に相当する額とする。

 (支払期月)

第二十条 各月分の臨時職業訓練受講給付金は、それぞれ当該月分の職業訓練受講給付金の支払に併せて支払う。

2 前項の規定にかかわらず、令和三年一月分から令和三年改正法施行日の属する月の前月分までの臨時職業訓練受講給付金については、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律の施行後、速やかに支払うものとする。

 (職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律の準用)

第二十一条 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律第八条から第十条まで及び第十四条の規定は、臨時職業訓練受講給付金について準用する。

    第二節 生活保護法の要保護者に対する支援措置

 (保護の実施機関の責務)

第二十二条 保護の実施機関(生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第十九条第四項に規定する保護の実施機関をいう。)は、新型コロナウイルス感染症等の影響等に鑑み、保護の開始の申請(同法第二十四条第一項に規定する保護の開始の申請をいう。次条において同じ。)があったときは、要保護者(同法第六条第二項に規定する要保護者をいう。以下この節において同じ。)及び扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に規定する扶養義務者をいう。)の資産及び収入の状況の調査その他の要保護者に関する調査の一層の簡素化及び合理化を図るとともに、積極的に生活保護法による保護を行うよう努めなければならない。

 (国の支援措置)

第二十三条 国は、新型コロナウイルス感染症等の影響等に鑑み、要保護者が保護の開始の申請をするまでの間においても、当該要保護者が生計を維持することができるよう、当面の生活に必要な短期の資金の融通その他の必要な支援を行わなければならない。

   第四章 雑則

 第六条中「給付金」の下に「(以下「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等」という。)」を加え、同条を第十条とする。

 第五条第二項中「前項」を「第一項」に、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律」を「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等及び離職者等の支援に係る措置に関する法律」に、「第五条第一項」を「第九条第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 政府は、前項の給付金を支給しようとするときは、令和二年四月一日以後における休業について、同項の労働者に係る事業主の資本金の額、常時雇用する労働者の数等を問わず、当該給付金を支給しなければならない。

 第五条を第九条とする。

 第四条の見出し中「雇用保険法による」を削り、同条に次の一項を加える。

2 政府は、前項の事業を実施しようとするときは、令和二年四月一日以後における休業について、同項の被保険者に係る事業主の資本金の額、常時雇用する労働者の数等を問わず、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を支給しなければならない。

 第四条を第八条とし、第三条の次に次の三条、節名及び一条を加える。

 (賃金日額の計算の特例)

第四条 特例期間においては、受給資格者に対して支給される基本手当の日額の算定に用いる賃金日額についての雇用保険法第十七条の規定の適用については、同条第一項中「六箇月間」とあるのは、「六箇月間(最後の六箇月間のうちに、令和二年二月から政令で定める月までの間の月であつてその月の収入が著しく減少した月として厚生労働省令で定める月に当たるものがある場合にあつては、当該月を除いた最後の六箇月間)」とする。

 (基本手当の給付日数の特例等)

第五条 特例期間において基本手当の支給を受けることができる日がある受給資格者の受給期間は、雇用保険法第二十条第一項及び第二項の規定にかかわらず、これらの規定による期間に九十日を加えた期間とする。

2 前項に規定する受給資格者の所定給付日数は、雇用保険法第二十二条第一項及び第二項並びに第二十三条第一項の規定にかかわらず、これらの規定による日数に九十日を加えた日数とする。この場合における所定給付日数については、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律(令和三年法律第▼▼▼号)の施行の日(次項及び第二十条第二項において「令和三年改正法施行日」という。)以後における日数が三百六十日を超えることがないよう、政令で特別の定めをすることができる。

3 第一項に規定する受給資格者であって令和三年改正法施行日前に基本手当の支給を受け終わったものについての前二条の規定の適用については、第三条第一項中「令和三年一月八日」とあるのは、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律の施行の日」とする。

4 前項に規定する受給資格者の受給期間については、その基本手当の支給を受ける権利の行使を妨げることがないよう、政令で特別の定めをすることができる。

 (政令への委任)

第六条 前三条の規定の適用がある場合における雇用保険法の規定の技術的読替えその他この節の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

    第二節 雇用安定事業の特例等

 (雇用安定事業の拡充)

第七条 政府は、雇用保険法第六十二条第一項第一号に掲げる事業(新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響(以下「新型コロナウイルス感染症等の影響」という。)により労働者を休業させる事業主(令和三年一月八日以後において労働者の責めに帰すべき理由その他厚生労働省令で定める理由以外の理由により労働者を解雇した事業主を除く。以下この項において同じ。)に対する助成に係るものに限る。)を行うに当たっては、新型コロナウイルス感染症等の影響により労働者を休業させる事業主がその休業させている期間(同日から政令で定める日までの期間に限る。)について当該労働者に支払う賃金の全額を助成するよう、必要な措置を講ずるものとする。

2 政府は、前項の措置が労働者の生活及び雇用の一層の安定に資するものであることに鑑み、同項に規定する事業に係る制度が活用されるよう、周知を図るものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

第二条 令和三年一月八日からこの法律の施行の日の前日までの間においてこの法律による改正前の新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための臨時特例等に関する法律第三条第一項の規定による基本手当の支給を受けることができる日があった者に対するこの法律による改正後の新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等及び離職者等の支援に係る措置に関する法律(次条第一項において「新法」という。)第五条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項中「特例期間において基本手当の支給を受けることができる日がある受給資格者」とあるのは「受給資格者」と、同条第二項中「九十日」とあるのは「九十日から新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律による改正前の新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための臨時特例等に関する法律第三条第一項の規定による基本手当の支給を受けることができた日数を除いた日数」とする。

2 前項に定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。

 (相談体制の充実等)

第三条 国及び地方公共団体は、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響(次条第一項及び第二項において「新型コロナウイルス感染症等の影響」という。)により休業を余儀なくされた者であって賃金及び新法第十条に規定する新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等を受けることができないものからの相談に応ずるための体制の充実を図るよう努めるものとする。

2 政府は、令和三年度末までに、前項に規定する者の生活の安定を図るための措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (検討)

第四条 政府は、令和三年度末までに、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた個人事業者に対して支給される給付金その他の金銭の支給の状況を踏まえ、被用者と類似した働き方をする個人事業者の生活を支援するための給付金制度の創設について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

2 政府は、令和三年度末までに、新型コロナウイルス感染症等の影響によりその雇用する労働者をやむを得ず休業させた事業主について賃金の支払を促進する観点から、賃金を支払った事業主に対する金融上の支援、税制上の優遇措置その他の措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

3 政府は、災害その他の事由により事業主がその雇用する労働者をやむを得ず休業させた場合における労働者の生活の安定を図るための恒久的な制度について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (雇用保険法の一部改正)

第五条 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)の一部を次のように改正する。

  附則第十四条の二第一項中「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律」を「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等及び離職者等の支援に係る措置に関する法律」に、「第三条第一項第三号」を「第七条第一項」に改め、同条第二項中「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律第四条」を「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等及び離職者等の支援に係る措置に関する法律第八条第一項」に改める。

 (特別会計に関する法律の一部改正)

第六条 特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  附則第二十条の三第四項中「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律」を「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等及び離職者等の支援に係る措置に関する法律」に、「第四条」を「第八条第一項」に改める。

 (社会保険労務士法の一部改正)

第七条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第二十号の二十八中「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律」を「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等及び離職者等の支援に係る措置に関する法律」に改める。


     理 由

 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置が労働者及び事業主に及ぼす影響の緩和を図るため、雇用保険法の特例等として基本手当の支給の拡充及び新型コロナウイルス感染症対応休業支援金等に係る支給の拡充等について定めるとともに、離職者等の支援に係る措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、初年度において最大約八千四百億円の見込みである。

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