衆議院

メインへスキップ





   法務委員長杉浦正健君解任決議案(第一四五回国会、決議第二号)


 本院は、法務委員長杉浦正健君を解任する。
  右決議する。
     理 由
 法務委員長杉浦正健君は、就任の際、「法秩序維持と国民の権利の保全を使命とする当委員会の職責はまことに重大でございます」とし、「公正かつ円満な委員会の運営を誠心誠意図りましてその職責を果たしてまいりたい」と公約している。
 しかるに同君は、昨年の第一四二回国会に提出され、法務委員会に付託されていた、いわゆる「組織的犯罪対策三法案」の審議に際して、法案の重要性と国民の理解を得るため慎重審議を行う必要性から、第一四三回国会、第一四四回国会を経て、今国会へと継続されてきた同法案について、去る四月二八日の法務委員会において参考人質疑の日程を委員長に一任する旨の採決を強行し、委員会の審議に混乱をもたらした。
 また同君は、五月一四日の同委理事懇談会が紛糾し、民主党、社会民主党・市民連合、日本共産党など野党理事、オブザーバーが反対するなかで、翌週一八日の委員会開会を独断で決定し、野党各党が委員会の正常化を求めて抗議するもこれを無視して一八日の委員会開会を強行した。
 さらに同君は、五月二七日の同委理事会において、与党理事の同委員会定例日外である同日と翌二八日の委員会開会要求に対し、民主党、社会民主党・市民連合、日本共産党などの野党理事・オブザーバーの反対を無視した上、独断で委員会開会を強行、そして、ついに本日は同委員会の不成立を主張して右三野党委員が欠席するなかで、同対策三法案の強行採決という暴挙に出たのである。
 法務委員長たる同君が自ら就任に際して宣言したように、法秩序と国民の権利保全を使命とする法務委員会の職責はまことに重大である。「組織的犯罪対策三法案」の内、特に「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案」は、憲法第二一条の「通信の秘密」を侵害する、まさに国民の権利保全にかかわる重大な欠陥を持つ法案である。それ故に我々が委員会における十分な審議時間を求めた結果、委員一人当たり四時間の質疑時間の確保について与野党の合意がなされていた。にもかかわらず、いまだ各委員一人当たり一時間程度の質疑にとどまっている。また、この法案成立の場合、様々な影響を受けることが予想される国民各層の率直な意見を聴取する必要から、中央、地方公聴会の開催を求めていたところである。
 また、この法案成立の場合、通信傍受の実務を行う警察が、これまで法律の根拠もなく、違法な盗聴を行っていた非違事実立証のための証人、参考人とそれに関する各種の資料取寄せを求めていた。
 しかるに同君は、これらの請求を一方的に退け、前記質疑時間の合意も反故にした上かかる暴挙を行うなどは重大な職責違反として言語道断であり、断じて許し難い行為である。
 よって、ここに同君の法務委員長解任を強く求める。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.