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   小泉内閣不信任決議案(第一五四回国会、決議第八号)


 本院は、小泉内閣を信任せず。
  右決議する。
     理 由
 小泉内閣が発足して一年が経過した。株価の低迷は変わらず、日本経済は依然として予断を許さない状況にある。不景気が続くなかで中小・零細企業から大企業に至るまで企業の倒産件数は増えつづけている。雇用情勢も悪化の一途をたどり、失業率は五%台の高率を維持したままで、若年層と中高年男性を軸にした長期の失業者は増えつづけている。就職をあきらめてしまった潜在失業者を加えると、失業率はさらにアップし、失業者数は一段と増加するとの指摘さえある。また、警察庁の発表によれば、昨年一年間の自殺者は四年連続で三万人を超え、その八五%は四〇歳以上の中高年が占めている。自殺の理由として「経済苦・生活苦」が増え、一九九七年の倍近くになっている。今日、企業の倒産、失業、自殺者の急増は、わが国の根幹を揺るがす重大な社会問題となっているが、小泉内閣は発足以来、これに対して何ら有効な対応策も示していない。
 こうした中、小泉内閣は、国民に一層の負担増を強いる、「健康保険法等の一部改正案」を野党の反対を押し切って強引に成立させた。厚生労働省の試算で年間の国民負担増は一兆五千億円。国民一人あたり一万円を超える負担増を十分な説明もなく問答無用で押し通したのである。小泉内閣は、かつて特別減税を中止する一方で、消費税率を三%から五%に引き上げ、さらには健康保険の患者負担を一割から二割に引き上げて、回復しかけた日本経済に大打撃をもたらした愚策を再び繰り返そうとしている。長引く景気低迷の中で体力を失った日本経済と不況に喘ぐ国民生活に与える影響は当時とは比較にならないほど大きく、深刻である。
 また、小泉内閣は、有事三法案、個人情報保護法案、人権擁護法案など、広範な国民と野党四党の厳しい反対にもかかわらず、いまなお、その成立を意図している。我々は、これらの法案の廃案を厳しく求めるものである。
 小泉内閣発足の当初、小泉総理が掲げた「改革」のスローガンに期待を寄せた国民は、「BSE問題」や「外務省疑惑」、さらには防衛庁による「情報公開請求者リスト作成問題」あるいは「政治とカネの問題」、とりわけ鈴木宗男衆議院議員の議員辞職問題などで、小泉総理が見せたまるで他人事のような極めて無責任な態度に落胆し、小泉総理の言う「改革」とは所詮パフォーマンスだけで中身の全く伴わない、一方的に国民に痛みだけを強いるものであると失望感を露わにしている。それを端的に示しているのが、発足当初に比べ激減した小泉内閣の支持率だ。小泉内閣は「個人情報保護」の法制化ができないまま、八月から「住民基本台帳ネットワーク」の実施を強行しようとしている。最早、小泉内閣に残された役割は一日も早く退陣して「小泉不景気」を一掃し、不況に喘ぐ国民の痛みを和らげる以外にはない。よって、ここに一刻も早い小泉内閣の退陣を強く求める。
 以上が本決議案を提出する理由である。

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