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   国土交通大臣馬淵澄夫君不信任決議案(第一七六回国会、決議第二号)


 本院は、国土交通大臣馬淵澄夫君を信任せず。
  右決議する。
     理 由
 尖閣諸島沖で中国漁船が我が国海上保安庁の巡視船に衝突した際の映像がインターネット上に流出した事件で、同庁が警視庁及び東京地検に被疑者不詳のまま刑事告発してから二日後の十一月十日、第五管区海上保安本部神戸海上保安部所属の海上保安官が、「自分が流出させた」と名乗り出た。この映像流出問題は、政府が公開に対して極めて慎重な対応をしていた国家機密といえる映像がいとも簡単に外部に流出し、世界中で見られる状態にされたことで、政府の情報管理能力の欠如を示す重要な問題である。それにもかかわらず、馬淵国土交通大臣は、十一月五日の国土交通委員会で、海上保安庁が保有する映像コピーの本数すら答えることをせず、同月九日の大臣会見では、本件に関し、「昨日八日、海上保安庁長官名で警視庁及び東京地検に被疑者不詳のまま刑事告発したと聞いている」と発言し、海上保安官が名乗り出た当日の予算委員会において、大臣の責任について「捜査中でありこれに協力すること、原因の徹底解明、それが私どもの責任である」と答えるなど、当事者である自らの責任を明確にしない、他人事のような誠意のない態度に終始していることは驚くべきことである。本来なら、海上保安官が告白した時点で自ら職を辞すべきであるにもかかわらず、大臣の職に留まり続けていることは言語道断である。
 また、八ッ場ダム建設事業について、前原前国土交通大臣は一貫して「中止」を主張し、それにより、本体工事を目前にし、ダム完成を地域活性化の起爆剤にしようとしていた地元住民を深く失望させた。このことだけで政府・民主党の責任は重大と言わざるを得ないにもかかわらず、馬淵国土交通大臣は、十一月六日、建設中の八ッ場ダムを視察し、今後は一切「中止の方向性」という言葉には言及せず、予断を持たずに検証する旨述べた。新旧大臣の間での異なる発言は、再び地元住民の今後の生活を不透明にするもので、まさに民主党政権が地元住民を振り回していることになるのであり、所管大臣としての責任は重大である。
 民主党の目玉政策である高速道路の原則無料化施策についても、十一月四日発表の政策コンテストに向けたパブリック・コメントにおいて、八十二%の国民が原則無料化の社会実験に対し「必要なし」と答えている。政府は、来年には交通基本法案を提出するという方針を打ち出しているにもかかわらず、公共交通に打撃となる高速道路無料化社会実験を進めていくことは矛盾以外の何ものでもない。この社会実験費用こそ国費の無駄遣いにほかならず、この施策を継続する馬淵大臣の責任は重大と言わざるを得ない。
 よって、ここに馬淵国土交通大臣の罷免を強く求め、不信任決議案を提出する。

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