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   原子力安全規制委員会設置法案要綱


第一 目的
 この法律は、原子力安全規制委員会の設置並びに任務及びこれを達成するため必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とするものとすること。                              (第一条関係)
第二 設置
 国家行政組織法第三条第二項の規定に基づいて、総理府の外局として、原子力安全規制委員会(以下「委員会」という。)を設置するものとすること。              (第二条関係)
第三 任務及び所掌事務
 一 任務
 委員会は、原子力の研究、開発及び利用(以下「原子力利用」という。)に関しその安全の確保を図ることを任務とするものとすること。
 二 所掌事務
1 原子力利用に関する安全の確保のための規制に関する政策に関すること。
2 核原料物質、核燃料物質及び原子炉に関する安全の確保のための規制その他これらの安全の確保に関すること。
3 原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びにこれらの事業に係る施設に関する安全の確保のための規制その他これらの事業及び施設に関する安全の確保に関すること。
4 放射線による障害の防止その他原子力利用に伴う障害の防止に関すること。
5 放射能水準の把握のための監視及び測定に関すること。    (第三条及び第四条関係)
第四 職権の行使
 委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行うものとすること。     (第五条関係)
第五 組織
  委員会は、委員長及び委員四人をもって組織するものとすること。       (第六条関係)
第六 委員長及び委員
 一 任命
 委員長及び委員は、人格が高潔であって、原子力利用に関する安全の確保に関して優れた識見と経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命するものとすること。
 二 任期
 委員長及び委員の任期は、五年とし、再任されることができるものとすること。
 三 身分保障
 委員長及び委員は、次の1から3のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがないものとすること。
1 破産の宣告を受けたとき。
2 禁以上の刑に処せられたとき。
3 委員会により、心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められたとき。
 四 罷免
 内閣総理大臣は、委員長又は委員が三の1から3までのいずれかに該当するときは、その委員長又は委員を罷免しなければならないものとすること。
 五 委員長及び委員の服務等
1 委員長及び委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならないものとし、その職を退いた後も、同様とするものとすること。
2 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならないものとすること。
3 委員長及び委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならないものとすること。
4 委員長及び委員の給与は、別に法律で定めるものとすること。
                            (第六条から第十一条まで関係)
第七 会議
一 委員会は、委員長が招集するものとすること。
二 委員会は、委員長及び二人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができないものとすること。
三 委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによるものとすること。                          (第十二条関係)
第八 規則の制定
 委員会は、その所掌事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、原子力安全規制委員会規則を制定することができるものとすること。
                                     (第十三条関係)
第九 審議会等
一 委員会に、原子炉安全専門審査会、核燃料安全専門審査会及び放射線審議会を置くものとすること。
二 原子炉安全専門審査会は、委員長の指示があった場合において、原子炉に係る安全性に関する事項を調査審議するものとし、核燃料安全専門審査会は、委員長の指示があった場合において、核燃料物質に係る安全性に関する事項を調査審議するものとすること。
三 原子炉安全専門審査会及び核燃料安全専門審査会は、政令で定める員数以内の審査委員で組織するものとすること。
四 審査委員は、非常勤とし、学識経験のある者のうちから、委員長が任命するものとすること。
五 審査委員の任期は、二年とし、再任されることができるものとすること。
六 原子炉安全専門審査会及び核燃料安全専門審査会に、会長一人を置き、審査委員の互選によってこれを定めるものとすること。             (第十四条から第二十条まで関係)
第十 緊急事態応急対策調査委員
一 委員会に、原子力災害対策特別措置法の規定によりその権限に属させられた事項について調査審議させるため、政令で定める員数以内の緊急事態応急対策調査委員(以下「調査委員」という。)を置くものとすること。
二 調査委員は、非常勤とし、学識経験のある者のうちから、委員長が任命するものとすること。
三 調査委員の任期は、二年とし、再任されることができるものとすること。 (第二十一条関係)
第十一 専門委員
一 委員会に、専門の事項を調査審議させるため、専門委員を置くことができるものとすること。
二 専門委員は、非常勤とし、学識経験のある者のうちから、委員長が任命するものとすること。
三 専門委員の員数、任期その他専門委員に関し必要な事項は、政令で定めるものとすること。
(第二十二条関係)
第十二 公聴会
 委員会は、公聴会を開いて広く一般の意見を聴くことができるものとすること。
                                    (第二十三条関係)
第十三 勧告及び助言
一 委員会は、所掌事務について必要があると認めるときは、関係行政機関の長に勧告することができるものとすること。
二 委員会は、関係行政機関から所掌事務に関し技術的な助言を求められたときは、当該関係行政機関に対し、必要な技術的助言を行うものとすること。          (第二十四条関係)
第十四 資料提出の要求等
 委員会は、その所掌事務を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関に対し、資料の提出、意見の開陳、技術的知識の提供その他の必要な協力を求めることができるものとすること。
(第二十五条関係)
第十五 連絡
 委員会は、原子力利用が安全を確保しつつ円滑に行われるよう、内閣総理大臣、通商産業大臣及び運輸大臣と緊密な連絡をとるものとすること。               (第二十六条関係)
第十六 国会に対する報告
 委員会は、毎年、内閣総理大臣を経由して、国会に対し、原子力利用に関する安全の確保に関して講じた施策の状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならないものとすること。
             (第二十七条関係)
第十七 事務局
一 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置くものとすること。
二 委員会の事務局の地方機関として、所要の地に地方事務所を置くものとし、その名称、位置、管轄区域及び内部組織は、政令で定めるものとすること。  (第二十八条及び第二十九条関係)
第十八 委員会の運営
 この法律に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員会が定めるものとすること。                                  (第三十条関係)
第十九 罰則
 第六の五の1に違反した者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処するものとすること。
(第三十一条関係)
第二十 その他                                 (附則関係)
一 施行期日
この法律は、平成十二年七月一日から施行するものとすること。
二 国家行政組織法等の一部改正
 現行の原子力安全委員会を廃止し、新たに国家行政組織法第三条第二項の規定に基づく委員会を設置し、委員会に原子力利用に関する安全の確保のための規制に関する事務を計画的かつ一体的に行わせることとしたことに伴い、国家行政組織法、原子力基本法、原子力委員会及び原子力安全委員会設置法、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律、原子力災害対策特別措置法その他の関係法律について必要な整備を行うものとすること。
三 経過措置
 委員会の委員長又は委員の任命のために必要な行為に関する経過措置、総理府等の職員の引継ぎその他この法律の施行に伴い必要な経過措置を設けるものとすること。
四 関係法律の整備
 この法律の施行に伴い必要となる中央省庁等の改革を図るための関係法律の整備については、別に法律で定めるものとすること。

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