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   人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案要綱


第一 総則
一 目的(第一条関係)
  この法律は、人権の侵害により発生し、又は発生するおそれのある被害の適正かつ迅速な救済又はその実効的な予防並びに人権尊重の理念を普及させ、及びこれに関する理解を深めるための啓発に関する措置を講ずることにより、人権の擁護に関する施策を総合的に推進し、もって人権が尊重される社会の実現に寄与することを目的とすること。
二 定義(第二条関係)
1 この法律において「人権侵害」とは、不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為をいうものとすること。
2 この法律において「社会的身分」とは、出生により決定される社会的な地位をいうものとすること。
3 この法律において「障害」とは、継続的に日常生活又は社会生活が相当な制限を受ける程度の身体障害、知的障害又は精神障害をいうものとすること。
4 この法律において「疾病」とは、その発症により継続的に日常生活又は社会生活が相当な制限を受ける状態となる感染症その他の疾患(当該疾患に係る病原体の保有を含む。)をいうものとすること。
5 この法律において「人種等」とは、人種、民族、信条、性別、年齢、社会的身分、門地、障害、色覚異常、疾病、遺伝子構造又は性的指向をいうものとするコト。
三 人権侵害等の禁止
1 何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならないものとすること。(第三条第一項関係)
(一) 次に掲げる不当な差別的取扱い
(1) 公務員としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い
(2) 業として対価を得て物品、不動産、権利又は役務を提供する者としての立場において人種等を理由としてする不当な差別的取扱い
(3) 事業主としての立場において労働者の採用又は労働条件その他労働関係に関する事項について人種等を理由としてする不当な差別的取扱い
(二) 次に掲げる不当な差別的言動等
(1) 人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動
(2) 職務上の地位を利用して相手方の意に反してする性的な言動
(三) 相手方に対して優越的な立場においてする虐待
2 何人も、次に掲げる差別助長行為等をしてはならないものとすること。(第三条第二項関係)
(一) 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として1(一)の不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示等の方法で公然と摘示する行為
(二) 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として1(一)の不当な差別的取扱いをする意思を広告、掲示等の方法で公然と表示する行為
四 責務
1 国は、基本的人権の享有と法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのっとり、人権の擁護に関する施策を総合的に推進する責務を有するものとすること。(第四条関係)
2 地方公共団体は、1の日本国憲法の理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、人権の擁護に関する施策を推進する責務を有するものとすること。(第五条関係)
3 国民は、自ら人権尊重の精神の涵(かん)養に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する人権の擁護に関する施策に協力し、人権が尊重される社会の実現に寄与するよう努めなければならないものとすること。(第六条関係)
第二 人権委員会
一 中央人権委員会
1 設置(第七条関係)
  内閣府設置法第四十九条第三項の規定に基づいて、内閣府の外局として、第一の一の目的を達成することを任務とする中央人権委員会を設置するものとすること。
2 所掌事務(第八条関係)
  中央人権委員会は、被害者の住所地が二以上の都道府県にわたる人権侵害又は全国的に重要な問題に係る人権侵害による被害の救済及び予防、人権啓発及び民間における人権擁護運動の支援等の事務をつかさどるものとすること。
3 職権行使の独立性(第九条関係)
  中央人権委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行うものとすること。
4 組織
(一) 中央人権委員会は、委員長及び委員六人をもって組織し、中央人権委員会の委員(以下一において単に「委員」という。)のうち三人は、非常勤とするものとすること。(第十条第一項及び第二項関係)
(二) 中央人権委員会の委員長(以下一において単に「委員長」という。)は、中央人権委員会の会務を総理し、中央人権委員会を代表するものとすること。(第十条第三項関係)
5 委員長及び委員の任命等
(一) 委員長及び委員は、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命するものとすること。(第十一条第一項関係)
(二) (一)の任命に当たっては、委員長及び委員のうち男女のいずれか一方の数が三人未満とならないよう努めるとともに、委員のうちに人権の擁護を目的とし若しくはこれを支持する団体の構成員又は人権侵害による被害を受けたことのある者が含まれるよう努めなければならないものとすること。(第十一条第二項関係)
(三) 委員長及び委員の任期は三年とするものとすること。(第十二条第一項関係)
(四) 委員長及び委員は、心身の故障のため職務の執行ができない等の法定の事由に該当する場合を除き、在任中、その意に反して罷免されることがないものとすること。(第十三条及び第十四条関係)
6 委員長及び委員の服務等
(一) 委員長及び委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならないものとし、その職を退いた後も、同様とするものとすること。(第十五条第一項関係)
(二) 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならないものとすること。(第十五条第二項関係)
(三) 委員長及び常勤の委員は、在任中、営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行い、又は内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事してはならないものとすること。(第十五条第三項関係)
7 事務局(第十七条関係)
  中央人権委員会に事務局を置き、事務局の職員のうちには、弁護士となる資格を有する者を加えなければならないものとすること。
8 国会に対する報告等(第二十条関係)
  中央人権委員会は、毎年、内閣総理大臣を経由して国会に対し、所掌事務の処理状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならないものとすること。
9 内閣総理大臣等又は国会に対する意見の提出
(一) 中央人権委員会は、内閣総理大臣若しくは関係行政機関の長又は国会に対し、この法律の目的を達成するために必要な事項に関し、意見を提出することができるものとすること。(第二十一条第一項関係)
(二) 内閣総理大臣又は関係行政機関の長は、(一)により中央人権委員会から意見が提出されたときは、その意見を十分に尊重しなければならないものとすること。(第二十一条第二項関係)
二 地方人権委員会
1 設置(第二十二条関係)
  都道府県知事の所轄の下に、地方人権委員会を設置するものとすること。
2 所掌事務(第二十三条関係)
  地方人権委員会は、被害者の住所地が当該都道府県の区域内にある人権侵害による被害の救済及び予防(中央人権委員会が行うものを除く。)、人権啓発及び民間における人権擁護運動の支援等の事務をつかさどるものとすること。
3 委員長及び委員の任命(第二十四条関係)
  地方人権委員会の委員長及び委員は、都道府県の議会の同意を得て、都道府県知事が任命するものとすること。
4 準用(第二十五条関係)
  地方人権委員会については、中央人権委員会の規定を準用するものとすること。
第三 人権擁護委員
一 設置
1 地域社会における人権擁護の推進を図るため、地方人権委員会に人権擁護委員を置くものとすること。(第二十六条第一項関係)
2 地方人権委員会は、1の人権擁護委員の職責にかんがみ、これを遂行するのにふさわしい人材の確保並びにその養成及び研修の実施に努めるとともに、その活動の充実を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。(第二十六条第三項関係)
二 委嘱
1 人権擁護委員は、地方人権委員会が、市町村長が推薦した者のうちから委嘱するものとすること。(第二十七条第一項及び第二項関係)
2 市町村長は、地方人権委員会に対し、当該市町村の住民のうちから、当該市町村の議会の意見を聴いて、人権擁護委員の候補者を推薦するものとすること。(第二十七条第三項関係)
3 地方人権委員会は、市町村長等の意見を聴いて、市町村長が推薦した者以外の適任者に人権擁護委員を委嘱することができるものとすること。(第二十八条関係)
三 定数(第二十九条関係)
  人権擁護委員の定数は、全国を通じて一万人を超えないものとすること。
四 任期等
1 人権擁護委員の任期は三年とし、人権擁護委員は、非常勤とするものとすること。(第三十条第一項及び第四項関係)
2 都道府県は、人権擁護委員に対し、報酬を支給し、及び職務を行うために要する費用を弁償しなければならないものとすること。(第三十一条関係)
五 職務(第三十三条関係)
  人権擁護委員は、人権啓発、人権相談、人権侵害に関する情報収集等の職務のほか、地方人権委員会の委任により、人権侵害に関する一般調査(第四の二1)及び一般救済(第四の二2)の職務を行うものとすること。
六 服務
1 人権擁護委員は、その職責を自覚し、常に人格識見の向上とその職務を行う上に必要な法律上の知識及び技術の修得に努め、積極的態度をもってその職務を遂行しなければならないものとすること。(第三十四条第一項関係)
2 人権擁護委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならないものとし、その職を退いた後も、同様とするものとすること。(第三十四条第二項関係)
3 人権擁護委員は、その職務上の地位又はその職務の執行を政党又は政治的目的のために利用してはならないものとすること。(第三十四条第三項関係)
4 人権擁護委員は、その職務を公正に行うのにふさわしくない事業を営み、又はそのような事業を営むことを目的とする会社その他の団体の役職員となってはならないものとすること。(第三十四条第四項関係)
七 監督(第三十五条関係)
  人権擁護委員は、その職務に関して、地方人権委員会の指揮監督を受けるものとすること。
八 協議会及び連合会(第三十七条から第三十九条まで関係)
  人権擁護委員は、人権擁護委員協議会を組織し、人権擁護委員協議会は、都道府県ごとに都道府県人権擁護委員連合会を組織し、それぞれ、人権擁護委員の職務に関する所要の事務等を行うことを任務とするものとすること。
第四 人権救済手続
一 総則
1 人権侵害に関する相談(第四十条関係)
  中央人権委員会又は地方人権委員会(以下第四において「人権委員会」という。)は、人権侵害に関する各般の問題について、相談に応ずるものとすること。
2 救済手続の開始
(一) 何人も、人権侵害による被害を受け、又は受けるおそれがあるときは、人権委員会に対し、人権救済の申出をすることができるものとすること。(第四十一条第一項関係)
(二) 人権委員会は、人権救済の申出があれば、性質上関与するのが適当でない事件又は行為の日から一年を経過した事件を除き、遅滞なく必要な調査をし、適当な措置を講じなければならないものとすること。(第四十一条第二項関係)
(三) 人権委員会は、人権侵害による被害の救済又は予防を図るため必要があると認めるときは、職権で、この法律の定めるところにより、必要な調査をし、適当な措置を講ずることができるものとすること。(第四十一条第三項関係)
二 一般救済手続
1 一般調査(第四十二条関係)
  人権委員会は、人権侵害による被害の救済又は予防に関する職務を行うため必要があると認めるときは、必要な調査をすることができ、関係行政機関又は関係地方公共団体に対しては、必要な協力を求めることができるものとすること。
2 一般救済(第四十四条関係)
  人権委員会は、人権侵害による被害の救済又は予防を図るため必要があると認めるときは、次に掲げる措置を講ずることができるものとすること。
(一) 被害者等に対する助言、関係行政機関等への紹介、法律扶助に関するあっせんその他の援助
(二) 加害者等に対する説示、啓発その他の指導
(三) 被害者等と加害者等との関係の調整
(四) 関係行政機関に対する通告
(五) 告発
(六) 人権侵害による被害の救済又は予防について、法令、契約その他の事由により実効的な処置を執ることができる者に対する必要な処置を執ることの要請
三 特別救済手続
1 通則
(一) 不当な差別、虐待等に対する救済措置(第四十五条関係)
  人権委員会は、次に掲げる人権侵害については、二2の一般救済のほか、2から4まで(調停及び仲裁、勧告及びその公表並びに訴訟援助)の措置を講ずることができるものとすること。
(1) 第一の三1(一)の不当な差別的取扱い
(2) 第一の三1(二)の不当な差別的言動等であって、相手方を畏(い)怖させ、困惑させ、又は著しく不快にさせるもの
(3) 次に掲げる虐待(○1人の身体に外傷が生じ、若しくは生ずるおそれのある暴行を加えること、○2人にその意に反してわいせつな行為をすること若しくは人をしてその意に反してわいせつな行為をさせること、○3人の生命若しくは身体を保護する責任を負う場合において、その保護を著しく怠り、その生命若しくは身体の安全を害すること又は○4人に著しい心理的外傷を与える言動をすることをいう。)
ア 公権力の行使に当たる公務員による虐待
イ 社会福祉施設、医療施設等を管理する者又はその職員等による虐待
ウ 学校を管理する者又はその職員による虐待
エ 児童に対する虐待
オ 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。(3)において同じ。)に対する虐待(離婚(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者が、事実上離婚をしたと同様の事情に入ることを含む。)をし、又はその婚姻が取り消された場合において、引き続き行われるものを含む。)
カ 同居の高齢者・障害者等に対する虐待
(4) (1)から(3)までの人権侵害に準ずる人権侵害であって、その被害者の置かれている状況等にかんがみ、当該被害者が自らその排除又は被害の回復のための適切な措置を執ることが困難であると認められるもの
(二) 差別助長行為等に対する救済措置(第四十六条関係)
  人権委員会は、第一の三2の差別助長行為等であってこれを放置すれば不当な差別的取扱いが行われるおそれが明らかなものについては、二2の一般救済のほか、5の停止の勧告等又は差止請求訴訟の措置を講ずることができるものとすること。
(三) 特別調査(第四十七条関係)
  人権委員会は、(一)の(1)から(3)までの人権侵害又は(二)の差別助長行為等について必要な調査をするため、次に掲げる処分をすることができるものとすること。
(1) 事件の関係者に対する出頭要求・質問
(2) 当該人権侵害等に関係のある文書その他の物件の提出要求
(3) 当該人権侵害等が現に行われ、又は行われた疑いがあると認める場所の立入検査
2 調停及び仲裁
  人権委員会は、次のとおり、特別人権侵害(1(一)の人権侵害をいう。以下同じ。)に係る事件について、調停又は仲裁の申請を受理し、調停委員会又は仲裁委員会を設けて、これに調停又は仲裁を行わせるものとすること。(第四十八条関係)
(一) 調停又は仲裁の開始(第四十九条及び第五十条関係)
  特別人権侵害による被害について、当事者の一方又は双方は、人権委員会に対し、調停又は仲裁の申請をすることができ、人権委員会は、相当と認めるときは、職権で、特別人権侵害に係る事件を調停に付することもできるものとすること。
(二) 人権調整委員
(1) 人権委員会に、その行う調停及び仲裁に参与させるため、人権調整委員を置き、人権調整委員は、人権委員会が任命するものとすること。(第五十一条第一項及び第二項関係)
(2) 人権調整委員の任期は三年とし、人権調整委員は非常勤とするものとすること。(第五十一条第三項及び第五項関係)
(三) 調停委員会及び仲裁委員会
(1) 調停及び仲裁は、人権委員会の委員長若しくは委員又は人権調整委員のうちから、事件ごとに、人権委員会の委員長が指名する三人の委員で組織する調停委員会及び仲裁委員会で行うものとすること。(第五十三条第一項及び第六十条第一項関係)
(2) 調停委員及び仲裁委員のうち少なくとも一人は、弁護士となる資格を有する者でなければならないものとすること。(第五十三条第二項及び第六十条第二項関係)
(四) 調停委員会による意見聴取(第五十四条関係)
  調停委員会は、調停のため必要があると認めるときは、当事者の出頭を求め、その意見を聴くことができるものとすること。
3 勧告及びその公表
(一) 勧告(第六十三条関係)
  人権委員会は、特別人権侵害が現に行われ、又は行われたと認める場合において、当該特別人権侵害による被害の救済又は予防を図るため必要があると認めるときは、当該行為をした者に対し、理由を付して、当該行為の停止等その他被害の救済又は予防に必要な措置を執るべきことを勧告することができるものとすること。
(二) 勧告の公表(第六十四条関係)
  人権委員会は、(一)の勧告をした場合において、当該勧告を受けた者がこれに従わないときは、その旨及び当該勧告の内容を公表することができるものとすること。
4 訴訟援助
(一) 資料の閲覧及び謄抄本の交付(第六十五条関係)
  人権委員会は、3(一)の勧告をした場合において、特別人権侵害の被害者若しくはその法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から申出があるときは、当該被害者の権利の行使のため必要があると認める場合その他正当な理由がある場合であって、関係者の権利利益その他の事情を考慮して相当と認めるときは、人権委員会が保有する当該特別人権侵害に関する資料を当該申出をした者に閲覧をさせ、又はその謄抄本を交付することができるものとすること。
(二) 人権委員会の訴訟参加(第六十六条関係)
  人権委員会は、3(一)の勧告がされた場合において、当該勧告に係る人権侵害の内容、性質その他の事情にかんがみ必要があると認めるときは、当該人権侵害に関する請求に係る訴訟に参加することができるものとすること。
5 差別助長行為等の差止め等
(一) 差別助長行為等の停止の勧告等(第六十七条関係)
  人権委員会は、1(二)の差別助長行為等が現に行われ、又は行われたと認めるときは、当該行為をした者に対し、理由を付して、当該行為の停止等を勧告することができるものとすること。
(二) 差別助長行為等の差止請求訴訟(第六十八条関係)
  人権委員会は、1(二)の差別助長行為等をした者に対し、(一)による勧告をしたにもかかわらず、その者がこれに従わない場合において、当該不当な差別的取扱いを防止するため必要があると認めるときは、その者に対し、当該行為の停止等を請求する訴訟を提起することができるものとすること。
第五 報道機関等による自主的取組(第六十九条関係)
  放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関又は報道機関の報道若しくはその取材の業務に従事する者(第五において「報道機関等」という。)は、報道機関等がする次に掲げる人権侵害について、自主的な解決に向けた取組を行うよう努めなければならないものとすること。
一 特定の者を次に掲げる者であるとして報道するに当たり、その者の私生活に関する事実をみだりに報道し、その者の名誉又は生活の平穏を著しく害すること。
1 犯罪行為による被害者
2 犯罪行為を行った少年
3 犯罪行為による被害者又は犯罪行為を行った者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、直系若しくは同居の親族又は兄弟姉妹
二 特定の者を一に掲げる者であるとして取材するに当たり、その者が取材を拒んでいるにもかかわらず、その者に対し、次のいずれかに該当する行為を継続的に又は反復して行い、その者の生活の平穏を著しく害すること。
1 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所の付近において見張りをし、又はこれらの場所に押し掛けること。
2 電話をかけ、又はファクシミリ装置を用いて送信すること。
第六 補則
一 人権相互の関係に対する配慮(第七十条関係)
  この法律の適用に当たっては、救済の対象となる者の人権と他の者の思想及び良心の自由、表現の自由、信教の自由、学問の自由その他の人権との関係に十分に配慮しなければならないものとすること。
二 不利益取扱いの禁止(第七十二条関係)
  何人も、人権救済の申出等をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けないものとすること。
三 規則制定権(第七十三条関係)
  中央人権委員会は、その内部規律、地方人権委員会の組織及び運営、人権救済手続その他所掌事務に関し必要な事項について中央人権委員会規則を定めることができるものとすること。
四 経費(第七十五条関係)
  地方人権委員会及び人権擁護委員の委嘱に要する経費は、都道府県が支弁するものとし、この都道府県が支弁する経費については、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、国がその一部を補助することができるものとすること。
第七 罰則
  罰則として、次のものを設けるものとすること。
一 中央人権委員会の委員長若しくは委員又は地方人権委員会の委員長若しくは委員が守秘義務に違反して秘密を漏らした場合の刑罰(第七十六条関係)
二 人権擁護委員又は人権調整委員が守秘義務に違反して秘密を漏らした場合の刑罰(第七十七条関係)
三 正当な理由なく、特別調査に係る処分に違反した者及び調停委員会の出頭の求めに応じなかった者に対する過料の制裁(第七十八条関係)
第八 施行期日等
一 施行期日(附則第一条関係)
  この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
二 人権擁護委員法の廃止及び同法の廃止に伴う経過措置(附則第二条関係)
三 中央人権委員会の委員長及び委員並びに地方人権委員会の委員長及び委員の任命に関する経過措置(附則第三条関係)
四 この法律の施行に伴う関係法律の所要の整備をするものとすること。(附則第四条から第十八条まで関係)
五 見直し(附則第十九条関係)
  この法律は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果を踏まえて必要な見直しを行うものとすること。

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