衆議院

メインへスキップ



国等の責任ある財政運営を確保するための財政の健全化の推進に関する法律案要綱


一 目的
  この法律は、国及び地方公共団体の財政収支が著しく不均衡な状況にあることにかんがみ、財政の健全化に関し、国及び地方公共団体の責務、当面の目標、中期計画の策定、予算作成における遵守事項、社会保障制度等の改革及びこれに要する安定財源の確保のための税制の抜本的な改革その他の必要な事項を定めることにより、国及び地方公共団体の責任ある財政運営を確保することを目的とするものとする。                            (第1条関係)

二 財政の健全化の趣旨
  財政の健全化は、少子高齢化等我が国の経済社会情勢の変化、国際情勢の変化等国及び地方公共団体の財政を取り巻く環境が大きく変容している中で、国及び地方公共団体の財政が極めて危機的な状況にあることを踏まえ、国民生活の安定及び経済の持続的な成長を図りつつ、国及び地方公共団体の責任ある財政運営を確保し、国の内外において我が国の財政に対する信認を確保することが緊要な課題であることにかんがみ、将来にわたり安定的に運営することが可能な社会保障制度の構築等を図るために必要な財源の安定的な確保に向けた消費税を含む税制の抜本的な改革に関する措置その他の財政収支を改善するために必要な措置を講じ、持続可能な財政構造を確立するために行われるものとする。       (第2条関係)

三 国の責務
  国は、二の趣旨にのっとり、この法律の定めるところにより、財政の健全化を推進する責務を有するものとする。               (第3条関係)

四 地方公共団体の責務等
1 地方公共団体は、五の1に規定する財政健全化目標の達成に資するよう、国の財政の健全化に関する施策に呼応し、及び並行して、その財政の自主的かつ自立的な健全化を推進するものとする。
2 政府は、地方公共団体の財政の自主的かつ自立的な健全化が円滑に推進されるよう、地方公共団体に対し、適切に行政上及び財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
                               (第4条関係)

五 財政健全化目標
1 財政の健全化の推進は、一会計年度の国及び地方公共団体の財政赤字額が生じないようにすることを目指しつつ、次に掲げる当面の目標(以下「財政健全化目標」という。)を達成するよう行われるものとする。
(1)平成33年度以降において一会計年度末の国の長期債務残高及び地方公共団体の長期債務残高の合計額の当該会計年度の国内総生産の額に占める割合が安定的に低下する財政構造を実現すること。
(2)(1)に掲げる財政健全化目標の達成のため、平成32年度までを目途に、一会計年度の国の基礎的財政収支額及び地方公共団体の基礎的財政収支額の合計額の黒字化(当該合計額が零を上回ることをいう。)を確実に達成するものとし、遅くとも平成27年度までに、当該合計額の対国内総生産比(当該合計額を零から差し引いた額の当該会計年度の国内総生産に占める割合をいう。以下(2)において同じ。)を平成22年度の当該合計額の対国内総生産比の2分の1以下とすること。
2 1及び十の2における用語の意義を定めるものとする。
                               (第5条関係)

六 財政健全化中期計画の策定
1 政府は、財政健全化目標の達成に資するよう、財政健全化期間(平成23年度から平成32年度までの期間をいう。以下同じ。)における各年度の前年度において、財政法第17条各項の送付に先立って(平成22年度にあっては、同法第18条第1項の閣議決定に先立って)、当該年度の翌年度以降5箇年度を1期とする財政の健全化に関する中期計画(以下「財政健全化中期計画」という。)を定めるものとする。
2 政府は、1の規定により財政健全化中期計画を定めたときは、遅滞なく(平成22年度にあっては、平成23年度の当初予算(財政法第29条で定める補正予算及び同法第30条で定める暫定予算以外の予算をいう。)とともに)これを国会に提出し、その承認を受けるものとする。
3 財政健全化中期計画においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1)国の財政の健全化の推進のために政府が各年度において講ずべき措置に関する事項
(2)地方公共団体が自主的かつ自立的に行う財政の健全化に資するために政府が各年度において講ずべき措置に関する事項
(3)(1)及び(2)に掲げるもののほか、国及び地方公共団体の財政の健全化のために必要な事項
4 財政健全化中期計画を定めるに当たっては、毎年度の国の財政収支の改善が図られるよう配慮するものとする。
5 政府は、経済社会情勢の変化を勘案し、及び財政健全化目標の達成状況を踏まえ、必要があると認めるときは、財政健全化中期計画を変更するものとする。
6 2の規定は、5の規定により政府が財政健全化中期計画を変更した場合について準用するものとする。
                               (第6条関係)

七 予算作成における遵守事項
1 政府は、財政健全化期間における各年度の予算の作成に当たっては、財政健全化目標及び財政健全化中期計画との整合性の確保を図るものとする。
2 政府は、財政健全化期間における各年度の予算の作成に当たって新たに予算を伴う施策を実施しようとするときは、原則として、当該施策の実施に要すると見込まれる経費の額を上回る額の財源を安定的に確保するものとする。
                               (第7条関係)

八 国会への報告
  政府は、財政健全化期間における各年度の翌年度において、当該年度の前年度までの財政健全化目標の達成に向けた取組の進捗状況に関する報告書を作成し、これを国会に提出するとともに、公表するものとする。      (第8条関係)

九 社会保障制度等の改革及びこれに要する安定財源の確保のための税制の抜本的な改革
 1 政府は、二の趣旨を踏まえ、安心で豊かな福祉社会及び公正で活力ある社会を実現するため、年金、医療及び介護に係る社会保障制度について将来にわたり安定的に運営するために必要な措置並びに少子化に対処するために必要な措置を講ずるとともに、これらに要する財源を安定的に確保するため、所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)附則第104条第1項前段に定める道筋その他同条の趣旨に従って、消費税を含む税制の抜本的な改革を行うために必要な法制上の措置を講ずるものとする。
2 1の規定による措置が講ぜられるに当たっては、政府により作成された当該措置に係る素案について、党派を超えた国会議員により構成される会議を設置し、国民的視点から検討するほか、学識経験者その他広く国民の意見を求め、その合意形成が図られるものとする。
                               (第9条関係)

十 その他(附則関係)
1 この法律は、公布の日から施行するものとする。    (附則第1項関係)
2 著しく異常かつ激甚な非常災害の発生又は経済活動の著しい停滞(国内総生産の伸び率の低い事態が継続する等の状況をいう。)が国民生活等に及ぼす重大な影響に対処するための施策の実施に重大な支障が生じ、又は生ずるおそれがある場合には、財政健全化目標の達成時期及びこれに関連する事項について検討が加えられ、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置が講ぜられるものとする。                       (附則第2項関係)
3 次に掲げる法律は、廃止するものとする。
(1)財政構造改革の推進に関する特別措置法
(2)財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律
                             (附則第3項関係)

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.