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法律第三十四号(昭二四・四・二五)

◎貴金属特別会計法

 (設置及び定義)

第一条 政府の行う貴金属の買入、売払又は管理に関する経理を明確にするため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。

2 この法律において「貴金属」とは、金、銀、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、イリドスミンをいう。

 (管理)

第二条 この会計は、大蔵大臣が、法令の定めるところに従い、管理する。

 (歳入及び歳出)

第三条 この会計においては、貴金属売払代金及び附属雑収入をもつてその歳入とし、貴金属買入代金、事務取扱費、一時借入金の利子その他の諸費をもつてその歳出とする。

 (歳入歳出予定計算書の作製)

第四条 大蔵大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作製しなければならない。

 (歳入歳出予算の区分)

第五条 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に従つて、款及び項に区分する。

 (予算の作成及び提出)

第六条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の予算には、歳入歳出予定計算書を添附しなければならない。

 (余裕金の預入)

第七条 この会計において、現金に余裕があるときは、大蔵省預金部に預け入れることができる。

 (一時借入金及び繰替金)

第八条 この会計において、支払上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をし、又は国庫余裕金を繰替使用することができる。

2 前項の規定による一時借入金又は繰替金は、当該年度内に償還しなければならない。

3 第一項の規定による一時借入金及び繰替金の最高限度額については、予算をもつて、国会の議決を経なければならない。

 (一時借入金の利子の繰入)

第九条 本会計の負担に属する一時借入金の利子の支出に必要な金額は、毎会計年度、国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。

 (歳入歳出決定計算書の作製)

第十条 大蔵大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製しなければならない。

 (歳入歳出決算の作成及び提出)

第十一条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の歳入歳出決算には、歳入歳出決定計算書を添附しなければならない。

 (剰余金の繰入)

第十二条 この会計において、毎会計年度における決算上剰余金を生じたときは、これをその翌年度の歳入に繰り入れるものとする。

 (基金属の買入、保管及び売払事務)

第十三条 政府は、貴金属の買入、保管及び売払に関する事務を日本銀行に取り扱わせることができる。

2 前項の場合において、政府は、貴金属の買入に必要な資金を日本銀行に交付することができる。

3 会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第三十六条の規定は、前項の規定により交付を受けた資金の収支に関して適用する。

 (支出未済額の繰越)

第十四条 この会計において、支払義務の生じた歳出金で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、翌年度に繰り越して使用することができる。

2 前項の規定による繰越については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第四十三条の規定は、適用しない。

3 大蔵大臣は、第一項の規定により繰越をしたときは、会計検査院に通知しなければならない。

4 第一項の規定により繰越をしたときは、その経費については、財政法第三十一条第一項の規定による予算の配賦があつたものとみなす。

 (実施規定)

第十五条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。

附 則

1 この法律は、この会計の昭和二十四年度の予算成立の日から施行し、附則第二項、第十項及び第十一項の規定を除き、昭和二十四年度から適用する。

2 金資金特別会計法(昭和十二年法律第六十一号)は、廃止する。但し、金資金特別会計の昭和二十三年度分の収入支出並びに昭和二十二年度、同二十三年度及び同二十四年度の決算に関しては、なお、その効力を有する。

3 金資金特別会計の昭和二十四年度における暫定予算は、この会計の昭和二十四年度の予算が成立したときは、失効するものとし、当該暫定予算に基く支出又はこれに基く債務の負担は、この会計の昭和二十四年度の予算に基いてしたものとみなし、当該暫定予算の有効期間中に収納した歳入金は、この会計の歳入金とみなす。

4 昭和二十四年四月一日から金資金特別会計法廃止の日までに、同法第四条第一項の規定に基いてした運用に係る金資金の受入額(同期間中に金資金に繰り入れた金資金特別会計の剰余金の一部は、受入額とみなす。)及び払出額は、この会計の昭和二十四年度の予算が成立したときは、当該受入額は、この会計の昭和二十四年度の歳入金の額とみなし、当該払出額は、この会計の同年度の予算に基いてした歳出金の額とみなす。

5 金資金特別会計法廃止の際、金資金に属する資産(現金を除く。)及び負債(同法附則第二項の規定により借り入れた借入金の債務を含む。)は、この会計に帰属させる。

6 金資金持別会計の昭和二十三年度分の収入支出に関する事務(旧金資金特別会計法第七条第一項の規定による決算上の剰余の金資金への繰入の事務を含む。)の完結の際、同会計に属する資産及び負債は、この会計に帰属させ、現金は、歳入に組み入れるものとする。

7 当分の間、この会計において、附則第五項の規定によりこの会計に帰属した金資金所属の有価証券、外貨預金及び貸付金その他の資産に係る経理を行うことができる。

8 政府は、当分の間、この会計の歳入不足を補てんするため、必要な金額を、予算の定めるところにより、一般会計から、この会計に繰り入れることができる。

9 前項の規定による繰入金及び旧金資金特別会計法第二条第一項の規定により、一般会計から、金資金に繰り入れた繰入金については、後日、この会計から、その繰入金に相当する金額に達するまでの金額を、予算の定めるところにより、一般会計に繰り入れなければならない。

10 産金法(昭和十二年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。

第十一条の三中「金資金ノ運用ニ属スルモノトス」を「貴金属特別会計ガ之ヲ行フ」に改める。

11 連合国占領軍の管理下から解除された貴金属等に代るべき貴金属の地金の連合国占領軍に対する引渡に関する法律(昭和二十三年法律第百十九号)の一部を次のように改正する。

第一条中「金資金特別会計法(昭和十二年法律第六十一号)第四条第一項の規定により金資金の運用として保有する」を「貴金属特別会計に属する」に改める。

第二条第二項中「金資金の運用として保有する」を「貴金属特別会計に属する」に改める。

第四条中「金資金」を「貴金属特別会計」に改める。

(大蔵・内閣総理大臣署名)

(参照)

右貴金属特別会計の昭和二十四年度の予算は、昭和二十四年四月二十日成立した。(内閣官房)

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