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法律第四十二号(昭二四・四・三〇)

◎国営競馬特別会計法

国会は、国営競馬特別会計法(昭和二十三年法律第百五十九号)の全部を改正するこの法律を制定する。

 (設置)

第一条 競馬法(昭和二十三年法律第百五十八号。以下「法」という。)による国営競馬に関する歳入歳出を一般会計と区分して経理するため、特別会計を設置する。

 (管理)

第二条 この会計は、農林大臣が、法令の定めるところに従い、管理する。

 (勘定)

第三条 この会計は、投票券勘定と業務勘定とに区分する。

 (投票券勘定の歳入及び歳出)

第四条 投票券勘定においては、法第五条の規定による勝馬投票券の発売による収入金、勝馬投票券の発売に伴う過誤受入金(以下「過誤受入金」という。)及び預金利子その他の附属雑収入をもつてその歳入とし、法第八条及び第九条の規定による払戻金(以下「投票券払戻金」という。)、法第十二条第二項及び第四項の規定による返環金(以下「返還金」という。)、勝馬投票券の発売による収入金の収納又は投票券払戻金若しくは返還金の支払に伴う事故により不足した現金の補てん金(以下「補てん金」という。)、過誤受入金の払戻金、第十四条第二項の規定による一時借入金の利子並びに業務勘定への繰入金をもつてその歳出とする。

 (業務勘定への繰入金)

第五条 前条に規定する業務勘定への繰入金の額は、毎会計年度における投票券勘定の歳入の収納済額から当該勘定の投票券払戻金、返還金、補てん金、過誤受入金の払戻金及び一時借入金の利子の支出済額並びにこれらの経費の支出未済額を控除した金額に相当する金額と、この勘定の支出未済額であつて毎会計年度において時効完成又は除斥期間の経過により支出義務の消滅したものに相当する金額との合計金額とする。

2 前項の繰入金の繰入は、当該年度において、各競馬ごとに分割して各競馬終了の日から六十日以内に、すみやかに行わなければならない。但し、前項に規定する支出義務の消滅した支出未済額に係る繰入については、年度末において一括行うものとする。

3 前項の場合において繰入に関する投票券勘定の歳出予算額が当該繰入額に対して不足するときは、その不足額は、翌年度において繰り入れるものとする。

 (業務勘定の歳入及び歳出)

第六条 業務勘定においては、投票券勘定からの繰入金、法第四条第一項の規定による入場料、法第十七条の規定による登録料及び免許手数料、競馬用施設の貸付料、競馬に関する刊行物の発売による収入金、競馬用の医療施設から生ずる収入金、法第十八条第一項の規定による特別登録料、積立金から生ずる収入金、第十一条第四項の規定による積立金からの繰入金並びに預金利子その他附属雑収入をもつてその歳入とし、一般会計への繰入金、事務取扱費、競馬開催諸費、競馬用施設の拡張、改良、維持及び補修費、競馬を行うに必要な物件の借入料、法第四条第二項の規定による入場税等交付金、競馬用の医療施設費、競馬用馬匹の購入及び飼育費、競馬に関する調査、研究及び普及費、第十四条第二項の規定による一時借入金の利子並びに附属諸費をもつてその歳出とする。

2 地方競馬の監督に要する経費は、この会計の所属とし、業務勘定の歳出とする。

 (一般会計への繰入金)

第七条 前条第一項に規定する一般会計への繰入金の額は、毎会計年度における業務勘定の同項に規定する歳入のうち、特別登録料及び積立金からの繰入金以外の歳入の収納済額から当該勘定の同条第一項及び第二項に規定する歳出のうち、事務取扱費、競馬開催諸費(法第十八条第二項の賞金を除く。)、施設の拡張、改良、維持及び補修費、物件の借入料、入場税等交付金、医療施設費、馬匹の購入及び飼育費、調査、研究及び普及費、一時借入金の利子、地方競馬の監督に要する経費並びに附属諸費の歳出の支出未済額及びそれらの歳出の支出未済額を控除した金額とする。

2 第五条第三項の規定は、第六条第一項の一般会計への繰入金の繰入について準用する。この場合において「投票券勘定」とあるのは「業務勘定」と読み替えるものとする。

 (歳入歳出予算の区分)

第八条 この合計の歳入歳出予算は、投票券及び業務の二勘定に分け、各勘定のうちにおいて歳入の性質及び歳出の目的に従つて、款及び項に区分する。

 (予算の作成及び提出)

第九条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。

一 歳入歳出予算計算書及び国庫債務負担行為要求書

二 前前年度末における積立金の明細表

三 国庫債務負担行為で翌年度以降にわたるものについての前年度までの支出額及び支出額の見込並びに当該年度以降の支出予定額

 (支払元受高の繰替使用)

第十条 農林大臣は、投票券勘定に属する投票券払戻金、返環金及び過誤受入金の払戻金の現金支払をさせる場合において必要があると認めるときは、当該勘定の支払元受高(歳入の収納済額、一時借入金の受入額及び国庫余裕金の繰替額の現在額をいう。)のうちから必要な資金を当該官吏に交付して、繰り替え使用させることができる。

2 前項の規定により交付を受けた資金は、その交付を受けた日から六十日以内に戻入しなければならない。

 (剰余金等の処理)

第十一条 投票券勘定において、毎会計年度における決算上剰余金を生じたときは、これをその翌年度の歳入に繰り入れるものとする。

2 業務勘定において、毎会計年度における歳入の収納済額から歳出の支出済額及び当該年度における特別登録料の使用残額(当該年度において使用したものがないときは、その金額)の合計額を控除して残余があるときは、これをその翌年度の歳入に繰り入れるものとする。

3 前項の場合において、同項に規定する特別登録料の使用残額に相当する金額は、積立金として積み立てるものとする。

4 前項の規定による積立金は、予算の定めるところにより法第十八条第二項の規定による賞金に使用するものとする。

 (歳入歳出決算の作成及び提出)

第十二条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の歳入歳出決算には、左の書類を添附しなければならない。

一 歳入歳出決定計算書

二 当該年度の積立金の明細表

 (準用規定)

第十三条 薪炭需給調節特別会計法(昭和二十二年法律第百四十七号)第八条の規定は、この会計の一時借入金の利子の繰入について、同法第十条及び第十五条の規定は、この会計の予算及び決算について、同法第十七条の規定は、この会計の支払義務の生じた歳出金の繰越について、準用する。この場合において、同法第八条中「この会計の負担」とあるのは「この会計の投票券勘定又は業務勘定の負担」と、同法第十七条中「当該年度内に」とあるのは「当該年度の出納の完結までに」と読み替えるものとする。

 (余裕金の預入並びに一時借入金及び繰替金)

第十四条 各勘定において支払上現金に余裕があるときは、大蔵省預金部に預け入れることができる。

2 各勘定において支払上現金に不足があるときは、当該勘定の負担で一時借入金をし、又は国庫余裕金を繰り替え使用することができる。

3 前項の規定による一時借入金は、投票券勘定にあつては当該年度内において借り入れた日から六十日以内に、業務勘定にあつては当該年度内に、国庫余裕金の繰替金は、投票券勘定にあつては繰り替え使用した日から二十日以内に、業務勘定にあつては投票券勘定から繰入金の繰入のあつた後直ちに、償還しなければならない。

 (一時借入金の借入及び償還の事務)

第十五条 前条第二項の規定による一時借入金の借入及び償還に関する事務は、大蔵大臣が行う。

 (積立金の運用)

第十六条 この会計の積立金は、大蔵省預金部に預け入れて運用することができる。

 (収入金及び払戻金の整理に関する事務等の委託)

第十七条 政府は、勝馬投票券の発売による収入金及び払戻金の整理に関する事務の一部並びに当該収入金の払込及び第十条第一項の規定による資金の現金輸送をその指定する銀行(日本銀行を除く。)に委託して取り扱わせることができる。

 (実施規定)

第十八条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。

附 則

1 この法律は、公布の日から施行し、昭年二十四年度から適用する。

2 従来の国営競馬の事業に属する権利義務は、この会計の投票券勘定の所属とする。

3 現に国営競馬の事業の用に供している財産で一般会計所属のものは、無償でこの会計の所属に移すことができる。

4 国営競馬特別会計の昭和二十三年度の歳出予算で繰越を要するものは、この会計の投票券勘定に繰り越して使用することができる。

5 昭和二十三年度の一般会計への繰入金については、なお、従前の例による。

6 昭和二十三年度の決算に関しては、なお、従前の例による。

(大蔵・農林・内閣総理大臣署名)

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