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法律第二百七十号(昭二四・一二・一五)

  ◎私立学校法

目次

 第一章 総則(第一条−第四条)

 第二章 私立学校に関する教育行政(第五条−第二十四条)

 第三章 学校法人

  第一節 通則(第二十五条−第二十九条)

  第二節 設立(第三十条−第三十四条)

  第三節 管理(第三十五条−第四十九条)

  第四節 解散(第五十条−第五十八条)

  第五節 助成及び監督(第五十九条−第六十三条)

 第四章 雑則(第六十四条・第六十五条)

 第五章 罰則(第六十六条・第六十七条)

 附則

   第一章 総則

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによつて、私立学校の健全な発達を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいう。

2 この法律において「各種学校」とは、学校教育法第八十三条第一項に規定する各種学校をいう。

3 この法律において「私立学校」とは、学校法人の設置する学校をいう。

第三条 この法律において「学校法人」とは、私立学校の設置を目的として、この法律の定めるところにより設立される法人をいう。

 (所轄庁)

第四条 この法律中所轄庁とあるのは、私立大学以外の私立学校及びこれを設置する学校法人については都道府県知事、私立大学、私立大学を設置する学校法人及び私立大学以外の私立学校と私立大学とをあわせ設置する学校法人については文部大臣とする。

   第二章 私立学校に関する教育行政

 (所轄庁の権限)

第五条 所轄庁は、私立学校について学校教育法第四条及び第十三条の規定にかかわらず、左の各号に掲げる権限を有する。

 一 私立学校の設置廃止(高等学校の通常の課程、夜間において授業を行う課程及び特別の時期及び時間において授業を行う課程、大学の学部及び大学院、盲学校、ろう学校及び養護学校の小学部、中学部、高等部及び幼稚部の設置廃止並びに学校教育法第四十五条(同法第七十条及び第七十六条において準用する場合を含む。)の規定による通信教育の開設廃止を含む。)及び設置者の変更の認可を行うこと。

 二 私立学校が、法令の規定に違反したとき、法令の規定に基く所轄庁の命令に違反したとき、又は六月以上授業を行わなかつたとき、その閉鎖を命ずること。

2 学校教育法第十四条は、私立学校に適用しない。

 (報告書の提出)

第六条 所轄庁は、私立学校に対して、教育の調査、統計その他に関し必要な報告書の提出を求めることができる。

 (都道府県知事の事務)

第七条 都道府県知事は、この章に規定するもののほか、私立大学以外の私立学校に関して、左の事務を行う。

 一 教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号)及び教育職員免許法施行法(昭和二十四年法律第百四十八号)の規定に基いて行う校長、園長及び教員の免許状に関する事務

 二 学校教育法の規定に基き文部大臣の定める基準に従つて行う教科用図書の検定

 (私立学校審議会又は私立大学審議会に対する諮問)

第八条 都道府県知事は、私立大学以外の私立学校について、第五条各号に掲げる事項を行う場合においては、あらかじめ、私立学校審議会の意見を聞かなければならない。

2 文部大臣は、私立大学について、第五条各号に掲げる事項(学校教育法第六十条第一項の規定により大学設置審議会に諮問すべき事項を除く。)を行う場合においては、あらかじめ、私立大学審議会の意見を聞かなければならない。

 (私立学校審議会)

第九条 この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項を審議させるため、都道府県に、私立学校審議会を置く。

2 私立学校審議会は、私立大学以外の私立学校及び私立各種学校に関する重要事項について、都道府県知事に建議することができる。

 (委員)

第十条 私立学校審議会は、十人以上二十人以内において都道府県知事の定める員数の委員をもつて、組織する。

2 委員は、左の各号に掲げる者のうちから、都道府県知事が任命する。

 一 当該都道府県の区域内にある私立の小学校、中学校若しくは高等学校の校長、私立幼稚園の園長、これらの学校の教員又はこれらの学校を設置する学校法人の理事

 二 学識経験のある者

3 都道府県知事は、前項第二号に規定する者のうちから任命される委員の数が同項第一号に規定する者のうちから任命される委員の数の三分の一以内になるように、それぞれの定数を定めなければならない。

4 都道府県知事は、第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員の定数のうちの一人を、同号の規定にかかわらず、当該都道府県の区域内にある私立の盲学校、ろう学校、養護学校若しくは各種学校の校長若しくは教員又はこれらの学校を設置する学校法人若しくは第六十四条第四項の法人の理事のうちから任命することができる。

5 第二項第一号又は前項に規定する者のうちから任命される委員のうち、校長若しくは園長又は教員である理事以外の理事のうちから任命される委員の数は、第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員の定数の半数以内とする。

 (委員候補者の推薦)

第十一条 都道府県知事は、前条第二項第一号に規定する者のうちから委員を任命する場合において、当該都道府県の区域内にある私立大学以外の私立学校の教育一般の改善振興を図ることを目的とする団体で、これらの私立学校の総数の三分の二以上をもつて組織されるものがあるときは、当該団体の推薦する候補者のうちから当該委員を任命しなければならない。但し、当該団体は、その団体を組織するこれらの私立学校に在籍する児童、生徒及び幼児の数が当該都道府県の区域内にあるこれらの私立学校に在籍する児童、生徒及び幼児の総数の三分の二をこえるものでなければならない。

2 前項の規定により同項の団体が推薦する候補者の数は、前条第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員の定数の一倍半以上とする。

3 都道府県知事は、一月を下らない期間を定めて、その期間内に第一項に規定する候補者を推薦することを同項の団体に対して求めるものとする。但し、当該期間内に推薦がないときは、第一項の規定にかかわらず、職権をもつて委員を任命することができる。

4 第一項の規定に該当する私立学校の団体が二以上あるときは、これを組織する私立学校が最多数である団体に対して委員の候補者の推薦を求めるものとする。

5 前項の規定に該当する私立学校の団体が二以上あるときは、これらの団体に対してそれぞれ第二項に規定する員数の候補者の推薦を求めるものとする。

6 前五項の規定は、前条第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員に欠員を生じた場合における補欠委員の候補者の推薦について準用する。此の場合において、第二項中「委員の定数」とあるのは、「補欠委員の数」と読み替えるものとする。

 (委員の任期)

第十二条 私立学校審議会の委員の任期は、四年とする。但し、欠員が生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

 (会長)

第十三条 私立学校審議会に、会長を置く。

2 会長は、委員が互選した者について、都道府県知事が任命する。

3 会長は、私立学校審議会の会務を総理する。

 (委員の解任)

第十四条 都道府県知事は、私立学校審議会の委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるときその他委員として必要な適格性を欠くに至つたと認めるときは、私立学校審議会の議を経て、これを解任することができる。

 (議事参与の制限)

第十五条 私立学校審議会の委員は、自己、配偶者若しくは三親等以内の親族の一身上に関する事件又は自己の関係する学校、各種学校、学校法人若しくは第六十四条第四項の法人に関する事件については、その議事の議決に加わることができない。但し、会議に出席し、発言することを妨げない。

 (委員の費用弁償)

第十六条 私立学校審議会の委員は、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。

2 前項の費用は、都道府県の負担とする。

3 費用弁償の額及びその支給方法は、都道府県の条例で定めなければならない。

 (運営の細目)

第十七条 この法律に規定するものを除くほか、私立学校審議会の議事の手続その他その運営に関し必要な事項は、都道府県知事の承認を経て、私立学校審議会が定める。

 (私立大学審議会)

第十八条 この法律の規定によりその権限に属せしめられた事項を審議させるため、文部省に、私立大学審議会を置く。

2 私立大学審議会は、私立大学に関する重要事項について、文部大臣に建議することができる。

 (委員)

第十九条 私立大学審議会は、二十人の委員をもつて、組織する。

2 委員は、左の各号に掲げる者のうちから、文部大臣が任命する。

 一 私立大学の学長若しくは教員又は私立大学を設置する学校法人の理事

 二 学識経験のある者

3 文部大臣は、前項第二号に規定する者のうちから任命される委員の数が同項第一号に規定する者のうちから任命される委員の数の三分の一以内になるように、それぞれの定数を定めなければならない。

4 第二項第一号に規定する者のうちから任命される委員のうち、学長又は教員である理事以外の理事のうちから任命される委員の数は、同号に規定する者のうちから任命される委員の定数の半数以内とする。

 (委員候補者の推薦)

第二十条 文部大臣は、前条第二項第一号に規定する者のうちから委員を任命する場合において、私立大学の教育一般の改善振興を図ることを目的とする団体で、私立大学の総数の三分の二以上をもつて組織されるものがあるときは、当該団体の推薦する候補者のうちから当該委員を任命しなければならない。但し、当該団体は、その団体を組織する私立大学に在籍する学生の数が私立大学に在籍する学生の総数の三分の二をこえるものでなければならない。

2 第十一条第二項から第六項までの規定は、私立大学審議会の委員の候補者の推薦について準用する。この場合において、同条第三項中「都道府県知事」とあるのは「文部大臣」と、同条第四項及び第五項中「私立学校」とあるのは「私立大学」と読み替えるものとする。

 (委員の免職)

第二十一条 文部大臣は、私立大学審議会の委員をその意に反して免職し、又は懲戒処分として免職しようとするときは、私立大学審議会の意見を聞かなければならない。

 (委員の費用弁償)

第二十二条 私立大学審議会の委員は、非常勤とする。

2 委員は、その職務に対して報酬を受けない。但し、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。

3 費用弁償の額及びその支給方法は、文部大臣が、大蔵大臣に協議して定める。

 (庶務)

第二十三条 私立大学審議会の庶務は、文部省管理局において処理する。

 (準用規定)

第二十四条 第十二条、第十三条、第十五条及び第十七条の規定は、私立大学審議会について準用する。この場合において、第十三条第二項及び第十七条中「都道府県知事」とあるのは、「文部大臣」と読み替えるものとする。

   第三章 学校法人

    第一節 通則

 (資産)

第二十五条 学校法人は、その設置する私立学校に必要な施設及び設備又はこれらに要する資金並びにその設置する私立学校の経営に必要な財産を有しなければならない。

2 前項に規定する私立学校に必要な施設及び設備についての基準は、別に法律で定めるところによる。

 (収益事業)

第二十六条 学校法人は、その設置する私立学校の教育に支障のない限り、その収益を私立学校の経営に充てるため、収益を目的とする事業を行うことができる。

2 前項の事業の種類は、私立学校審議会又は私立大学審議会の意見を聞いて、所轄庁が定める。所轄庁は、その事業の種類を公告しなければならない。

3 第一項の事業に関する会計は、当該学校法人の設置する私立学校の経営に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。

 (住所)

第二十七条 学校法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

 (登記)

第二十八条 学校法人は、政令の定めるところにより、登記しなければならない。

2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

3 登記した事項は、登記所において、遅滞なく公告しなければならない。

 (準用規定)

第二十九条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十三条及び第四十四条の規定(法人の権利能力及び不法行為能力)は、学校法人について準用する。

    第二節 設立

 (申請)

第三十条 学校法人を設立しようとする者は、その設立を目的とする寄附行為をもつて少くとも左に掲げる事項を定め、文部省令で定める手続に従い、当該寄附行為について所轄庁の認可を申請しなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 その設置する私立学校の名称

 四 事務所の所在地

 五 役員に関する規定

 六 評議員会及び評議員に関する規定

 七 資産及び会計に関する規定

 八 収益を目的とする事業を行う場合には、その事業の種類その他その事業に関する規定

 九 解散に関する規定

 十 寄附行為の変更に関する規定

 十一 公告の方法

2 学校法人の設立当初の役員は、寄附行為をもつて定めなければならない。

3 第一項第九号に掲げる事項中に残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には、その者は、学校法人その他教育の事業を行う者のうちから選定されるようにしなければならない。

 (認可)

第三十一条 所轄庁は、前条第一項の規定による申請があつた場合には、当該申請に係る学校法人の資産が第二十五条の要件に該当しているかどうか、その寄附行為の内容が法令の規定に違反していないかどうか等を審査した上で、当該寄附行為の認可を決定しなければならない。

2 所轄庁は、前項の規定により寄附行為の認可をする場合には、あらかじめ、私立学校審議会又は私立大学審議会の意見を聞かなければならない。

 (寄附行為の補充)

第三十二条 学校法人を設立しようとする者が、その目的及び資産に関する事項を除くほか、第三十条第一項各号に掲げる事項を定めないで死亡した場合には、所轄庁は、利害関係人の請求により、これらの事項を定めなければならない。

2 前条第二項の規定は、前項の場合に準用する。

 (設立の時期)

第三十三条 学校法人は、その主たる事務所の所在地において政令の定めるところにより設立の登記をすることに因つて成立する。

 (準用規定)

第三十四条 民法第四十一条(贈与、遺贈の規定の準用)、第四十二条(寄附財産の帰属)及び第五十一条第一項(財産目録)(法人設立の時に関する部分に限る。)の規定は、学校法人の設立について準用する。この場合において、同法第四十二条第一項中「法人設立ノ許可アリタル時」とあるのは、「学校法人成立の時」と読み替えるものとする。

    第三節 管理

 (役員)

第三十五条 学校法人には、役員として、理事五人以上及び監事二人以上を置かなければならない。

2 理事のうち一人は、寄附行為の定めるところにより、理事長となる。

 (業務の決定)

第三十六条 学校法人の業務は、寄附行為に別段の定がないときは、理事の過半数をもつて決する。

 (役員の職務)

第三十七条 理事は、すべて学校法人の業務について、学校法人を代表する。但し、寄附行為をもつてその代表権を制限することができる。

2 理事長は、この法律に規定する職務を行い、その他学校法人内部の事務を総括する。

3 理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、寄附行為の定めるところにより、他の理事が、理事長の職務を代理し、又は理事長の職務を行う。

4 監事の職務は、左の通りとする。

 一 学校法人の財産の状況を監査すること。

 二 理事の業務執行の状況を監査すること。

 三 学校法人の財産の状況又は理事の業務執行の状況について監査した結果不整の点のあることを発見したとき、これを所轄庁又は評議員会に報告すること。

 四 前号の報告をするために必要があるとき、理事長に対して評議員会の招集を請求すること。

 五 学校法人の財産の状況又は理事の業務執行の状況について、理事に意見を述べること。

 (役員の選任)

第三十八条 理事となる者は、左の各号に掲げる者とする。

 一 当該学校法人の設置する私立学校の校長(学長及び園長を含む。以下同じ。)

 二 当該学校法人の評議員のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者(寄附行為をもつて定められた者を含む。以下本項及び第四十四条第一項において同じ。)

 三 前各号に規定する者のほか、寄附行為の定めるところにより選任された者

2 学校法人が私立学校を二以上設置する場合には、前項第一号の規定にかかわらず、寄附行為の定めるところにより、校長のうち、一人又は数人を理事とすることができる。

3 第一項第一号及び第二号に規定する理事は、校長又は評議員の職を退いたときは、理事の職を失うものとする。

4 役員のうちには、各役員について、その配偶者又は三親等以内の親族が一人をこえて含まれることになつてはならない。

5 学校教育法第九条(校長及び教員の欠格事由)の規定は、役員に準用する。

 (役員の兼職禁止)

第三十九条 監事は、理事又は学校法人の職員(当該学校法人の設置する私立学校の校長、教員その他の職員を含む。以下同じ。)と兼ねてはならない。

 (役員の補充)

第四十条 理事又は監事のうち、その定数の五分の一をこえるものが欠けたときは、一月以内に補充しなければならない。

 (評議員会)

第四十一条 学校法人に、評議員会を置く。

2 評議員会は、理事の定数の二倍をこえる数の評議員をもつて、組織する。

3 評議員会は、理事長が招集する。

4 評議員会に、議長を置く。

5 理事長は、評議員総数の三分の一以上の評議員から会議に付議すべき事項を示して評議員会の招集を請求された場合には、その請求のあつた日から二十日以内に、これを招集しなければならない。

6 評議員会は、評議員の過半数の出席がなければ、その議事を開き、議決をすることができない。

7 評議員会の議事は、出席評議員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

8 前項の場合において、議長は、評議員として議決に加わることができない。

第四十二条 左に掲げる事項については、理事長において、あらかじめ、評議員会の意見を聞かなければならない。

 一 予算、借入金(当該会計年度内の収入をもつて償還する一時の借入金を除く。)及び重要な資産の処分に関する事項

 二 寄附行為の変更

 三 合併

 四 第五十条第一項第一号(評議員会の議決を要する場合を除く。)及び第三号に掲げる事由に因る解放

 五 収益を目的とする事業に関する重要事項

 六 その他学校法人の業務に関する重要事項で寄附行為をもつて定めるもの

2 前項各号に掲げる事項は、寄附行為をもつて評議員会の議決を要するものとすることができる。

第四十三条 評議員会は、学校法人の業務若しくは財産の状況又は役員の業務執行の状況について、役員に対して意見を述べ、若しくはその諮問に答え、又は役員から報告を徴することができる。

 (評議員の選任)

第四十四条 評議員となる者は、左の各号に掲げる者とする。

 一 当該学校法人の職員のうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者

 二 当該学校法人の設置する私立学校を卒業した者で年齢二十五年以上のもののうちから、寄附行為の定めるところにより選任された者

 三 前各号に規定する者のほか、寄附行為の定めるところにより選任された者

2 前項第一号に規定する評議員は、職員の地位を退いたときは、評議員の職を失うものとする。

 (寄附行為変更の認可)

第四十五条 寄附行為の変更は、所轄庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 (評議員会に対する決算の報告)

第四十六条 決算は、毎会計年度終了後二月以内に、理事長において、評議員会に報告し、その意見を求めなければならない。

 (財産目録等の備付)

第四十七条 学校法人は、毎会計年度終了後二月以内に財産目録、貸借対照表及び収支計算書を作り、常にこれを各事務所に備え置かなければならない。

 (会計年度)

第四十八条 学校法人の会計年度は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。

 (準用規定)

第四十九条 民法第五十四条から第五十七条までの規定(代表権の制限及び委任、仮理事、特別代理人)は、学校法人について準用する。この場合において、同法第五十六条中「裁判所ハ利害関係人又ハ検察官ノ請求ニ因リ」とあるのは、「所轄庁は、利害関係人の請求により、又は職権をもつて」と読み替えるものとする。

    第四節 解散

 (解散事由)

第五十条 学校法人は、左の事由に因つて解散する。

 一 理事の三分の二以上の同意及び寄附行為で更に評議員会の議決を要するものと定められている場合には、その議決

 二 寄附行為に定めた解散事由の発生

 三 目的たる事業の成功の不能

 四 学校法人又は第六十四条第四項の法人との合併

 五 破産

 六 第六十二条の規定による所轄庁の解散命令

2 前項第一号及び第三号に掲げる事由に因る解散は、所轄庁の認可又は認定を受けなければ、その効力を生じない。

3 第三十一条第二項の規定は、前項の認可又は認定の場合に準用する。

4 清算人は、第一項第二号又は第五号に掲げる事由に因つて解散した場合には、所轄庁にその旨を届け出なければならない。

 (残余財産の帰属)

第五十一条 解散した学校法人の残余財産は、合併及び破産の場合を除くほか、所轄庁に対する清算結了の届出の時において、寄附行為の定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。

2 前項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

3 国は、前項の規定により国庫に帰属した財産(金銭を除く。)を私立学校教育の助成のために、学校法人に対して譲与し、又は無償で貸し付けるものとする。但し、国は、これに代えて、当該財産の価額に相当する金額を第五十九条第一項の規定による補助金として支出することができる。

4 第二項の規定により国庫に帰属した財産が金銭である場合には、国は、その金額について前項但書の処置をとるものとする。

5 第二項の規定により国庫に帰属した財産(金銭を除く。)は、文部大臣の所管とし、第三項本文の処分は、文部大臣が行う。但し、当該財産につき同項但書の処置がとられた場合には、当該財産を大蔵大臣に引き継がなければならない。

 (合併手続)

第五十二条 学校法人が合併しようとするときは、理事の三分の二以上の同意がなければならない。但し、寄附行為で評議員会の議決を要するものと定められている場合には、更にその議決がなければならない。

2 合併は、所轄庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。

第五十三条 学校法人は、前条第二項に規定する所轄庁の認可があつたときは、その認可の通知のあつた日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。

2 学校法人は、前項の期間内に、その債権者に対し異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、且つ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。但し、その期間は、二月を下ることができない。

第五十四条 債権者が前条第二項の期間内に合併に対して異議を述べなかつたときは、合併を承認したものとみなす。

2 債権者が異議を述べたときは、学校法人は、これに弁済をし、若しくは相当の担保を提供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。

第五十五条 合併に因り学校法人を設立する場合においては、寄附行為その他学校法人の設立に関する事務は、各学校法人又は第六十四条第四項の法人において選任した者が共同して行わなければならない。

 (合併の効果)

第五十六条 合併後存続する学校法人又は合併に因つて設立した学校法人は、合併に因つて消滅した学校法人又は第六十四条第四項の法人の権利義務(当該学校法人又は第六十四条第四項の法人がその行う事業に関し所轄庁の認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。

 (合併の時期)

第五十七条 学校法人の合併は、合併後存続する学校法人又は合併に因つて設立する学校法人の主たる事務所の所在地において政令の定めるところにより登記をすることに因つて効力を生ずる。

 (準用規定)

第五十八条 民法第七十条、第七十三条から第七十六条まで、第七十七条第二項(届出に関する部分に限る。)及び第七十八条から第八十三条まで(法人の解散及び清算)並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十六条から第百三十七条まで及び第百三十八条(法人の清算の監督)の規定は、学校法人の解散及び清算について準用する。この場合において、民法第七十七条第二項及び第八十三条中「主務官庁」とあるのは、「所轄庁」と読み替えるものとする。

    第五節 助成及び監督

 (助成)

第五十九条 国又は地方公共団体は、教育の振興上必要があると認める場合には、私立学校教育の助成のため、文部省令又は当該地方公共団体の条例で定める手続に従つて援助を申請した学校法人に対し、補助金を支出し、又は通常の条件よりも学校法人に有利な条件で、貸付金をし、その他の財産を譲渡し、若しくは貸し付けることができる。但し、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)及び地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第八条第一項の規定の適用を妨げない。

2 国又は地方公共団体は、前項又は第五十一条第三項の規定により学校法人に助成をするについては、当該学校法人の設置する私立学校の備えている条件について、その助成の目的を有効に達し得るかどうかを審査しなければならない。

3 所轄庁は、第一項又は第五十一条第三項の規定により助成を受ける学校法人に対して、左の各号に掲げる権限を有する。

 一 助成に関し必要があると認める場合において、当該学校法人からその業務又は会計の状況に関し報告を徴すること。

 二 当該学校法人の予算が助成の目的に照らして不適当であると認める場合において、その予算について必要な変更をすべき旨を勧告すること。

 三 当該学校法人の役員が法令の規定、法令の規定に基く所轄庁の処分又は寄附行為に違反した場合において、当該役員の解職をすべき旨を勧告すること。

4 国又は地方公共団体は、第一項又は第五十一条第三項の規定により学校法人に対して助成をした場合において、当該学校法人の設置する私立学校が助成決定の際備えていた条件を欠き、助成の継続を不適当とするに至つた旨の所轄庁の認定があつたとき、及び当該学校法人が前項の規定による所轄庁の措置に従わなかつたときは、その後の助成をやめるものとする。

5 文部大臣又は地方公共団体の長は、国又は当該地方公共団体が第一項又は第五十一条第三項の規定により学校法人に対してした助成がその目的を有効に達しているかどうかについて、所轄庁に対し意見を述べることができる。

6 所轄庁は、第三項第二号若しくは第三号又は第四項の規定による措置又は認定をしようとする場合においては、あらかじめ、当該学校法人の理事又は解職しようとする役員に対して弁明の機会を与えるために通知するとともに、私立学校審議会又は私立大学審議会の意見を聞かなければならない。この場合において、当該学校法人の理事若しくは当該役員又はその代理人は、所轄庁に対し、又は私立学校審議会若しくは私立大学審議会に出席して弁明することができる。

 (免税)

第六十条 学校法人の所得で収益を目的とする事業から生じたもの以外のものについては、所得税及び法人税を課さない。

 (収益事業の停止)

第六十一条 所轄庁は、第二十六条第一項の規定により収益を目的とする事業を行う学校法人につき、左の各号の一に該当する事由があると認めるときは、当該学校法人に対して、その事業の停止を命ずることができる。

 一 当該学校法人が寄附行為で定められた事業以外の事業を行うこと。

 二 当該学校法人が当該事業から生じた収益をその設置する私立学校の経営の目的以外の目的に使用すること。

 三 当該事業の継続が当該学校法人の設置する私立学校の教育に支障があること。

 (解散命令)

第六十二条 所轄庁は、学校法人が法令の規定に違反し、又は法令の規定に基く所轄庁の処分に違反した場合においては、他の方法により監督の目的を達することができない場合に限り、当該学校法人に対して、解散を命ずることができる。

 (聴聞等)

第六十三条 第五十九条第六項の規定は、前二条の規定による処分の場合に準用する。

   第四章 雑則

 (私立各種学校)

第六十四条 第四条から第六条まで及び第八条第一項の規定は、私立各種学校について準用する。この場合において、第四条及び第八条第一項中「私立大学以外の私立学校」とあるのは、「私立各種学校」と読み替えるものとする。

2 学校法人は、学校のほかに、各種学校を設置することができる。

3 前項の規定により各種学校を設置する学校法人に対して第三章の規定を適用する場合には、同章の規定中私立学校のうちには、私立各種学校を含むものとする。

4 各種学校を設置しようとする者は、各種学校の設置のみを目的とする法人を設立することができる。

5 第三章の規定(同章に関する罰則の規定を含む。)は、前項の法人に準用する。この場合において、同章の規定中「私立学校」とあるのは、「私立各種学校」と読み替えるものとする。

6 学校法人及び第四項の法人は、寄附行為の定めるところにより必要な寄附行為の変更をして所轄庁の認可を受けた場合には、それぞれ第四項の法人及び学校法人となることができる。

7 第三十一条及び第三十三条(第五項において準用する場合を含む。)の規定は、前項の場合に準用する。

 (類似名称の使用禁止)

第六十五条 学校法人でない者は、その名称中に、学校法人という文字を用いてはならない。但し、前条第四項の法人は、この限りでない。

   第五章 罰則

第六十六条 左の各号の一に該当する場合においては、学校法人の理事、監事又は清算人は、一万円以下の過料に処する。

 一 この法律に基く政令の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたとき。

 二 第三十四条において準用する民法第五十一条第一項の規定による財産目録の備付を怠り、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。

 三 第四十七条の規定による書類の備付を怠り、その書類に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。

 四 第五十三条及び第五十四条第二項の規定に違反したとき。

 五 第五十八条において準用する民法第七十条又は第八十一条第一項の規定による破産宣告の請求を怠つたとき。

 六 第五十八条において準用する民法第七十九条第一項又は第八十一条第一項の規定による公告を怠り、又は不実の公告をしたとき。

 七 第六十一条の規定による命令に違反して事業を行つたとき。

第六十七条 第六十五条の規定に違反した者は、五千円以下の過料に処する。

   附 則

1 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。

2 この法律施行の際現に民法による財団法人で私立学校(学校教育法第九十八条の規定により存続する私立学校を含む。)を設置しているもの及び学校教育法第九十八条の規定により存続する私立学校で民法による財団法人であるもの(以下「財団法人」と総称する。)は、この法律施行の日から一年以内にその組織を変更して学校法人となることができる。

3 前項の規定により財団法人がその組織を変更して学校法人となるには、その財団法人の寄附行為の定めるところにより、組織変更のため必要な寄附行為の変更をし、所轄庁の認可を受けなければならない。この場合においては、財団法人の寄附行為に寄附行為の変更に関する規定がないときでも、所轄庁の承認を得て理事の定める手続により、寄附行為の変更をすることができるものとする。

4 前項の組織変更は、学校法人の主たる事務所の所在地において登記をすることに因つて効力を生ずる。

5 前項の規定による登記に関し必要な事項は、政令で定める。

6 この法律施行の際現に存する民法による財団法人で各種学校のみを設置しているものは、第二項の期間内にその組織を変更して第六十四条第四項の法人となることができる。

7 第三項から第五項までの規定は、前項の場合に準用する。

8 第四条、第九条第二項、第十条第二項第一号、第十一条、第十八条第二項、第十九条第二項第一号及び第二十条の規定中私立学校、私立高等学校及び私立大学のうちには、それぞれ学校教育法第九十八条の規定により存続する私立学校、私立中等学校並びに私立の大学(大学予科を含む。)、高等学校及び専門学校を含むものとする。

9 第十条第二項第一号及び第四項、第十五条並びに第十九条第二項第一号の規定中学校法人のうちには、第二項の期間中は、財団法人を含むものとする。

10 第二項の規定により財団法人がその組織を変更して学校法人となつた場合において、当該財団法人が学校教育法第九十八条の規定により存続する私立学校を設置していたとき、又は同条の規定により存続する私立学校であつたときは、当該学校法人は、引き続いて、当該学校を設置することができる。

11 前項の規定により同項の学校を設置する学校法人に対して第三章の規定を適用する場合には、同章の規定中私立学校のうちには、前項の学校を含むものとする。

12 第五条第一号中「学校教育法第四十五条(同法第七十条及び第七十六条において準用する場合を含む。)」とあるのは、当分の間、「学校教育法第四十五条(同法第七十条及び第七十六条において準用する場合を含む。)及び第百五条」と読み替えるものとする。

13 第七条第二号に規定する教科用図書の検定に関する事務は、用紙割当制が廃止されるまでは、文部大臣が行う。

14 この法律施行後最初に任命される私立学校審議会及び私立大学審議会の委員のうち、半数(委員の定数が奇数に定められた場合には、その二分の一の数に生じた端数を切り捨てた数)の者の任期は、第十二条第一項(第二十四条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、二年とする。

15 前項の規定により任期を二年とする委員は、くじで定める。

16 学校法人及び第六十四条第四項の法人が有しなければならない施設及び設備に関しては、第二十五条第二項(第六十四条第五項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、別に学校の施設及び設備の基準に関して規定する法律が制定施行されるまでは、なお従前の例による。

17 この法律施行の際現にその名称中に学校法人という文字を用いている者は、第六十五条の規定にかかわらず、この法律施行後三月間は、なお従前の名称を用いることができる。

18 学校教育法の一部を次のように改正する。

  第二条第一項中「別に法律で定める法人」を「私立学校法第三条に規定する学校法人(以下学校法人と称する。)」に、同条第二項中「別に法律で定める法人」を「学校法人」に改める。

  第十五条を次のように改める。

 第十五条 削除

  第三十四条中「都道府県監督庁」を「都道府県知事」に改める。

  第八十四条に次の一項を加える。

  前項の都道府県監督庁は、各種学校の教育を行うものと認められるものが私人の経営に係る場合には、都道府県知事とする。

  第百二条を次のように改める。

 第百二条 私立の盲学校、ろう学校、養護学校及び幼稚園は、第二条第一項の規定にかかわらず、当分の間、学校法人によつて設置されることを要しない。

   私立学校法施行の際現に存する私立学校は、第二条第一項の規定にかかわらず、私立学校法施行の日から一年以内は、民法の規定による財団法人によつて設置されることができる。

19 文部省設置法(昭和二十四年法律第百四十六号)の一部を次のように改正する。

  第十二条第一項第四号中「別に私立学校に関して規定する法律」を「私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)」に改める。

 第二十四条第一項中「国語審議会−国語に関する事項を調査審議すること。」を

国語審議会

国語に関する事項を調査審議すること。

私立大学審議会

文部大臣の諮問に応じて私立大学及び私立大学を設置する学校法人に関し私立学校法に規定する事項を調査審議し、並びに文部大臣に対して私立大学に関する重要事項を建議すること。

 に改める。

20 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

第十九条第七号中「大日本育英会、」の下に「学校法人、」を「大日本育英会法、」の下に「私立学校法、」を加える。

21 地方税法(昭和二十三年法律第百十号)の一部を次のように改正する。

第六十三条第一項中「第三十四条の法人及び宗教法人」の下に「並びに私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条の学校法人及び同法第六十四条第四項の法人」を加える。

(内閣総理・大蔵・文部大臣署名) 

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