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法律第十四号(昭二五・三・二二)

  ◎国が有償で譲渡した物件が略奪品として没収された場合の措置に関する法律

 (この法律の目的)

第一条 国が有償で譲渡した物件(以下「払下物件」という。)が、略奪品として没収された場合の措置に関しては、この法律の定めるところによる。

 (定義)

第二条 この法律において「略奪品」とは、略奪品の没収及び報告に関する件(昭和二十一年内務省令第二十五号)第一条に規定する物をいう。

 (収納代金相当額の金銭の支払)

第三条 政府は、払下物件を略奪品として没収した場合においては、当該物件を国から取得し、且つ、没収された者に対して、国が当該物件の対価として収納した代金(以下「収納代金」という。)に相当する額の金銭を支払うものとする。

2 払下物件が略奪品として没収された場合において、没収された者がその没収に係る物件を国から取得した者でないときは、政府は、その者が当該物件が払下物件であることの証拠を提示したときに限り、その者に対して収納代金に相当する額の金銭を支払うことができる。

3 没収された者が地方公共団体、法令による公団その他これらに類する者で賠償庁長官の指定するもの又は解散団体である場合においては、前二項の規定は、適用しない。

 (申請の手続)

第四条 前条の規定により収納代金に相当する額の金銭の支払を受けようとする者(以下「申請者」という。)は、左に掲げる事項を記載した賠償庁長官宛の申請書をこれらの事項を証する書類とともに、当該物件の没収があつた日から六十日(この法律施行前の没収に係る場合にあつては、この法律施行の日から百二十日)以内に当該物件を没収した都道府県知事に提出しなければならない。

 一 当該物件の譲渡の当事者となつた国の機関の名称、譲渡の時期、当該物件の品名、形状、数量及び価格並びにその譲渡の相手方の氏名又は名称及び住所又は事務所の所在地

 二 前号の譲渡の時以後における当該物件の譲渡の時期、数量及び価格並びにその当事者の氏名又は名称及び住所又は事務所の所在地

 三 当該物件の譲渡の直接の根拠となつた法令

 四 申請者が当該物件を略奪品として没収されたこと。

2 前項の申請書の様式は、賠償庁長官が定める。

 (都道府県知事の調査)

第五条 都道府県知事は、前条の規定による申請があつた場合においては、申請書に記載された事項が事実に合致しているかどうかを調査した後、当該申請書を調査の結果とともに賠償庁長官に送付しなければならない。

 (賠償庁長官の審査確認)

第六条 賠償庁長官は、前条の規定による送付を受けた場合において、当該申請に係る事実を審査し、審査の結果に基いて申請書に記載された事項が事実に合致していることを確認したときは、遅滞なく、その旨を当該都道府県知事を経由して申請者に通知しなければならない。

2 賠償庁長官は、前条の場合において、申請書に記載された事項を確認するに足る充分な証拠がないと認めたときは、その理由を付して申請書を当該都道府県知事を経由して申請者に返還しなければならない。

 (申請書の再提出)

第七条 前条第二項の規定により申請書の返還を受けた申請者は、当該申請に係る事実を証明するに足る新たな証拠を発見した場合においては、賠償庁長官が申請書を返還した日から百八十日以内に、その証拠を添えて第四条の規定(申請書の提出期限に関する部分を除く。)に準じて申請書を再提出することができる。

2 第五条及び第六条の規定は、前項の場合に準用する。

 (支払の請求) 

第八条 第六条第一項の規定により賠償庁長官の確認の通知を受けた申請者は、その確認の通知書を提示して、当該都道府県知事に対し当該物件の収納代金に相当する額の金銭の支払を請求することができる。

 (出訴)

第九条 この法律の規定に基く賠償庁長官又は都道府県知事の処分に違法又は錯誤があると認める者は、裁判所に出訴することができる。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

(内閣総理・大蔵大臣署名) 

 

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