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法律第百三十一号(昭二五・五・二)

  ◎電波法

目次

 第一章 総則(第一条―第三条)

 第二章 無線局の免許(第四条―第二十七条)

 第三章 無線設備(第二十八条―第三十八条)

 第四章 無線従事者(第三十九条―第五十一条)

 第五章 運用

  第一節 通則(第五十二条―第六十一条)

  第二節 海岸局及び船舶局の運用(第六十二条―第七十条)

 第六章 監督(第七十一条―第八十二条)

 第七章 聴聞及び訴訟(第八十三条―第九十九条)

 第八章 雑則(第百条―第百四条)

 第九章 罰則(第百五条―第百十六条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、電波の公平且つ能率的な利用を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律及びこの法律に基く命令の規定の解釈に関しては、左の定義に従うものとする。

 一 「電波」とは、十キロサイクルから三百万メガサイクルまでの周波数の電磁波をいう。

 二 「無線電信」とは、電波を利用して、符号を送り、又は受けるための通信設備をいう。

 三 「無線電話」とは、電波を利用して、音声その他の音響を送り、又は受けるための通信設備をいう。

 四 「無線設備」とは、無線電信、無線電話その他電波を送り、又は受けるための電気的設備をいう。

 五 「無線局」とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。但し、受信のみを目的とするものを含まない。

 六 「無線従事者」とは、無線設備の操作を行う者であつて、電波監理委員会の免許を受けたものをいう。

 (電波に関する条約)

第三条 電波に関し条約に別段の定があるときは、その規定による。

   第二章 無線局の免許

 (無線局の開設)

第四条 無線局を開設しようとする者は、電波監理委員会の免許を受けなければならない。但し、発射する電波が著しく微弱な無線局で電波監理委員会規則で定めるものについては、この限りでない。

2 公衆通信業務(公衆の一般的利用に供する無線通信の業務をいう。以下同じ。)を行うことを目的とする無線局は、国でなければ、開設することができない。

 (欠格事由)

第五条 左の各号の一に該当する者には、無線局の免許を与えない。

 一 日本の国籍を有しない人

 二 外国政府又はその代表者

 三 外国の法人又は団体

 四 法人又は団体であつて、前三号に掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの。

 五 この法律又は放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)に規定する罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者

 六 無線局の免許の取消を受け、その取消の日から二年を経過しない者

2 前項の規定は、左に掲げる無線局については、適用しない。

 一 実験無線局(科学又は技術の発達のための実験に専用する無線局をいう。以下同じ。)

 二 船舶安全法(昭和八年法律第十一号)第十四条の船舶の無線局

 (免許の申請)

第六条 無線局の免許を受けようとする者は、申請書に、左に掲げる事項を記載した書類を添えて、電波監理委員会に提出しなければならない。

 一 目的

 二 開設を必要とする理由

 三 通信の相手方及び通信事項

 四 無線設備の設置場所

 五 電波の型式並びに希望する周波数の範囲及び空中線電力

 六 希望する運用許容時間(運用することができる時間をいう。以下同じ。)

 七 無線設備の工事設計及び工事落成の予定期日

 八 無線設備の工事費及び無線局の運用費の支弁方法

 九 運用開始の予定期日

2 公衆によつて直接受信されることを目的とする無線通信の送信(以下「放送」という。)をする無線局の免許を受けようとする者は、前項の規定にかかわらず、申請書に、左に掲げる事項を記載した書類を添えて、電波監理委員会に提出しなければならない。

 一 前項第一号、第二号及び第四号から第九号までに掲げる事項

 二 事業計画及び事業収支見積

 三 放送事項

 四 放送区域

3 船舶局(船舶無線電信局(船舶の無線局であつて、無線電信により無線通信を行うもの)及び船舶無線電話局(船舶の無線局であつて、無線電話により無線通信を行うもの)をいう。以下同じ。)の免許を受けようとする者は、第一項の書類に同項に掲げる事項の外、その船舶の所有者、用途、総トン数、旅客船であるときは旅客定員、航行区域、主たる停泊港及び信号符字をあわせて記載しなければならない。

 (申請の審査)

第七条 電波監理委員会は、前条の申請書を受理したときは、遅滞なくその申請が左の各号に適合しているかどうかを審査しなければならない。

 一 工事設計が第三章に定める技術基準に適合すること。

 二 周波数の割当が可能であること。

 三 当該業務を維持するに足りる財政的基礎があること。

 四 前三号に掲げるものの外、電波監理委員会規則で定める無線局の開設の根本的基準に合致すること。

2 電波監理委員会は、申請の審査に際し、必要があると認めるときは、申請者に出頭又は資料の提出を求めることができる。

 (予備免許)

第八条 電波監理委員会は、前条の規定により審査した結果、その申請が同条第一項各号に適合していると認めるときは、申請者に対し、左に掲げる事項を指定して、無線局の予備免許を与える。

 一 工事落成の期限

 二 電波の型式及び周波数

 三 呼出符号(標識符号を含む。以下同じ。)又は呼出名称

 四 空中線電力

 五 運用許容時間

2 電波監理委員会は、予備免許を受けた者から申請があつた場合において、相当と認めるときは、前項第一号の期限を延長することができる。

 (工事設計の変更)

第九条 前条の予備免許を受けた者は、工事設計を変更しようとするときは、あらかじめ電波監理委員会の許可を受けなければならない。但し、電波監理委員会規則で定める軽微な事項については、この限りでない。  

2 前項但書の事項について工事設計を変更したときは、遅滞なくその旨を電波監理委員会に届け出なければならない。

3 第一項の変更は、周波数、電波の型式又は空中線電力に変更をきたすものであつてはならず、且つ、第七条第一項第一号の技術基準に合致するものでなければならない。

 (落成後の検査)

第十条 第八条の予備免許を受けた者は、工事が落成したときは、その旨を電波監理委員会に届け出て、その無線設備並びに無線従事者の資格及び員数について検査を受けなければならない。

 (免許の拒否)

第十一条 第八条第一項第一号の期限(同条第二項の規定による期限の延長があつたときは、その期限)経過後二週間以内に前条の規定による届出がないときは、電波監理委員会は、その無線局の免許を拒否しなければならない。

 (免許の附与)

第十二条 電波監理委員会は、第十条の規定による検査を行つた結果、その無線設備が第六条第一項第七号又は同条第二項第一号の工事設計(第九条の規定による変更があつたときは、変更があつたもの)に合致し、且つ、その無線従事者の資格及び員数が第四十条及び第五十条の規定に違反しないと認めるときは、遅滞なく申請者に対し免許を与えなければならない。

 (免許の有効期間)

第十三条 免許の有効期間は、免許の日から起算して五年(放送を目的とする無線局については、三年)をこえない範囲内において電波監理委員会規則で定める。但し、再免許を妨げない。

2 船舶安全法第四条(同法第十四条の規定に基く政令において準用する場合を含む。以下同じ。)の船舶及び漁船の操業区域の制限に関する政令(昭和二十四年政令第三百六号)第五条の漁船の船舶無線電信局の免許の有効期間は、前項の規定にかかわらず、無期限とする。

 (免許状)

第十四条 電波監理委員会は、免許を与えたときは、免許状を交付する。

2 免許状には、左に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 免許の年月日及び免許の番号

 二 免許人(無線局の免許を受けた者をいう。以下同じ。)の氏名又は名称

 三 無線局の種別

 四 無線局の目的

 五 通信の相手方及び通信事項

 六 無線設備の設置場所

 七 免許の有効期間

 八 呼出符号又は呼出名称

 九 電波の型式及び周波数並びに発振及び変調の方式

 十 空中線電力

 十一 空中線の型式及び講成

 十二 運用許容時間

3 放送をする無線局の免許状には、前項の規定にかかわらず、左に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 前項第一号から第四号まで及び第六号から第十二号までに掲げる事項

 二 放送事項

 三 放送区域

 (再免許の手続)

第十五条 第十三条第一項但書の再免許については、第六条及び第八条から第十二条までの規定にかかわらず、電波監理委員会規則で定める簡易な手続によることができる。

 (運用開始の届出)

第十六条 免許人は、免許を受けたときは、遅滞なくその無線局の運用開始の期日を電波監理委員会に届け出なければならない。

 (変更等の許可)

第十七条 免許人は、通信の相手方、通信事項若しくは無線設備の設置場所を変更し、又は無線設備の変更の工事をしようとするときは、あらかじめ電波監理委員会の許可を受けなければならない。放送をする無線局の免許人が放送事項又は放送区域を変更しようとするときも、同様とする。

2 第九条第一項但書、第二項及び第三項の規定は、前項の規定により無線設備の変更の工事をする場合に準用する。 

 (変更検査)

第十八条 前条第一項の規定により無線設備の設置場所の変更又は無線設備の変更の工事の許可を受けた免許人は、電波監理委員会の検査を受け、当該変更又は工事の結果が同条同項の許可の内容に適合していると認められた後でなければ、許可に係る無線設備を運用してはならない。

 (申請による周波数等の変更)

第十九条 電波監理委員会は、免許人が呼出符号若しくは呼出名称、電波の型式、周波数、空中線電力又は運用許容時間の指定の変更を申請した場合において、混信の除去その他特に必要があると認めるときは、その指定を変更することができる。

 (免許の承継)

第二十条 免許人について相続又は合併があつたときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人は、免許人の地位を承継する。

2 船舶局のある船舶について船舶の所有権の移転又はよう船契約の設定、変更若しくは解除により船舶を運行する者に変更があつたときは、変更後船舶を運行する者は、免許人の地位を承継する。

3 前二項の規定により免許人の地位を承継した者は、遅滞なくその事実を証する書面を添えてその旨を電波監理委員会に届け出なければならない。

 (免許状の訂正)

第二十一条 免許人は、免許状に記載した事項に変更を生じたときは、その免許状を電波監理委員会に提出し、訂正を受けなければならない。

 (廃止及び休止)   

第二十二条 免許人は、その無線局を廃止するときは、その旨を電波監理委員会に届け出なければならない。無線局の運用を一箇月以上休止するときも、同様とする。

第二十三条 免許人が無線局を廃止したときは、免許は、その効力を失う。

 (免許状の返納)

第二十四条 免許がその効力を失つたときは、免許人であつた者は、一箇月以内にその免許状を返納しなければならない。

 (無線局の公示)

第二十五条 電波監理委賃会は、免許をしたときは、その無線局について、電波監理委員会規則で定める事項を公示する。

 (周波数の公開)

第二十六条 電波監理委員会は、免許の申請等に資するため、割り当てることが可能である周波数及び割り当てた周波数の現状を示す表を作成し、公衆の閲覧に供しなければならない。

 (免許の特例)

第二十七条 外国において取得した船舶の無線局については、電波監理委員会は、第六条から第十四条まで及び第二十五条の規定によらないで免許を与えることができる。

2 前項の規定による免許は、その船舶が日本国内の目的港に到着した時に、その効力を失う。

   第三章 無線設備

 (電波の質)

第二十八条 送信設備に使用する電波の周波数の偏差及び幅、高調波の強度等電波の質は、電波監理委員会規則で定めるところに適合するものでなければならない。

 (受信設備の条件)

第二十九条 受信設備は、その副次的に発する電波又は高周波電流が、電波監理委員会規則で定める限度をこえて他の無線設備の機能に支障を与えるものであつてはならない。

 (安全施設)              

第三十条 無線設備には、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えることがないように、電波監理委員会規則で定める施設をしなければならない。

 (周波数測定装置の備えつけ)

第三十一条 電波監理委員会規則で定める送信設備には、その誤差が使用周波数の許容偏差の二分の一以下である周波数測定装置を備えつけなければならない。

 (計器及び予備品の備えつけ)

第三十二条 船舶局の無線設備には、その操作のために必要な計器及び予備品であつて、電波監理委員会規則で定めるものを備えつけなければならない。

 (非常灯、送話管等の備えつけ)

第三十三条 船舶局の通信室には、非常灯を備えつけなければならない。 

2 船舶局の通信室が航海船橋以外の場所にあるときは、航海船橋との間に送話管若しくは電話又はこれらに代わる連絡設備を備えつけなければならない。

 (船舶の義務無線電信の条件)

第三十四条 船舶安全法第四条の船舶に施設する無線電信(以下「義務無線電信」という。)の主送信装置は、五百キロサイクルの周波数において昼間百九十キロメートル以上の有効通達距離をもつものでなければならない。

2 電波監理委員会は、船舶安全法第四条第一項第三号(同法第十四条の規定に基く政令において準用する場合を含む。以下同じ。)の船舶に施設する無線電信については、前項の有効通達距離の特例を定めることができる。

第三十五条 義務無線電信には、左に掲げる条件に適合する補助装置を備えなければならない。但し、船舶安全法第四条第一項第三号の船舶に施設する無線電信であつて、電波監理委員会規則で定めるものについては、この限りでない。

 一 独立の電源をもつこと。

 二 連続して六時間以上使用できること。

 三 送信装置は、五百キロサイクルの周波数において昼間九十五キロメートル(第五十条の第一種局については百五十キロメートル)以上の有効通達距離をもつこと。

 四 受信装置は、五百キロサイクルの周波数を受信することができ、且つ、鉱石検波の方式によつても受信できること。

 五 直ちに完全に操作できること。

2 前項の補助装置は、船舶の最高満載きつ水線上のなるべく高い安全な位置に装置することを要する。

3 送信又は受信の主装置が前二項の条件を具備するときは、その補助装置を備えることを要しない。

 (救命艇の無線電信の条件)

第三十六条 船舶安全法第二条(同法第十四条の規定に基く政令において準用する場合を含む。)の規定に基く命令により船舶に備える救命艇に装置しなければならない無線電信は、左に掲げる条件に適合したものでなければならない。

 一 五百キロサイクルの周波数により送り、及び受けることができること。

 二 連続して三時間以上使用できること。

 三 送信装置は、五百キロサイクルの周波数において昼間五十キロメートル以上の有効通達距離をもつこと。

 四 受信装置は、鉱石検波の方式によつても受信できること。

 五 機器は、救命艇の機関による振動に耐えること。

 六 有効な防水装置があること。

 (無線設備の機器の検定)

第三十七条 第三十一条の規定により備えつけなければならない周波数測定装置、船舶に施設する警急自動受信機及び電波監理委員会規則で定める無線方位測定機は、その型式について、電波監理委員会の行う検定に合格したものでなければ、施設してはならない。

 (その他の技術基準)

第三十八条 無線設備(放送の受信のみを目的とするものを除く。)は、この章に定めるものの外、電波監理委員会規則で定める技術基準に適合するものでなければならない。

   第四章 無線従事者

 (無線設備の操作)

第三十九条 無線局の無線設備の操作は、次条の定めるところにより、無線従事者でなければ、行つてはならない。但し、船舶が航行中であるため無線従事者を補充することができないとき、その他電波監理委員会規則で定める場合は、この限りでない。

 (無線従事者の従事範囲)

第四十条 無線従事者の資格は、左の表の上欄に掲げるとおりとし、それぞれ下欄に掲げる無線局の無線設備の操作を行うことができるものとする。

無線従事者の資格

行うことができる無線設備の操作

第一級無線通信士

無線設備の通信操作

船舶に施設する無線設備の技術操作

陸上に施設する空中線電力二キロワツト以下の無線電信及び五百ワツト以下の無線電話の技術操作

第二級無線通信士

国内通信のための無線設備の通信操作

第一級無線通信士の指揮の下に行う国際通信のための無線設備の通信操作

船舶に施設する空中線電力五百ワツト以下の無線電信及び百五十ワツト以下の無線電話の技術操作

漁業用の海岸局(船舶局と通信を行うため陸上に開設した無線局をいう。以下同じ。)の空中線電力二百五十ワツト以下の無線電信及び七十五ワツト以下の無線電話の技術操作

空中線電力五十ワツト以下の可搬型の無線電信及び無線電話の技術操作

第三級無線通信士

第一級無線通信士又は第二級無線通信士の指揮の下に行う国内通信のための無線設備の通信操作

漁船に施設する空中線電力二百五十ワツト以下の無線電信及び百ワツト以下の無線電話の通信操作及び技術操作

漁業用の海岸局の空中線電力百二十五ワツト以下の無線電信及び五十ワツト以下の無線電話の通信操作及び技術操作

電話級無線通信士

船舶に施設する空中線電力百ワツト以下の無線電話の通信操作及び技術操作

漁業用の海岸局の空中線電力五十ワツト以下の無線電話の通信操作及び技術操作

聴守員級無線通信士

船舶に施設する無線電信の通信操作(遭難信号、緊急信号及び安全信号の聴守に限る。)

第一級無線技術士

無線設備の技術操作

第二級無線技術士

第一級無線技術士の指揮の下に行う無線設備の技術操作

空中線電力二キロワツト以下の無線電信及び五百ワツト以下の無線電話の技術操作

第一級アマチユア無線技士

アマチユア無線局(個人的な興味によつて無線通信を行うために開設する無線局をいう。以下同じ。)の無線設備の通信操作及び技術操作

第二級アマチユア無線技士

空中線電力百ワツト以下で五十メガサイクル以上又は八メガサイクル以下の周波数を使用するアマチユア無線局の無線電話の通信操作及び技術操作

特殊無線技士

電波監理委員会規則で定める無線設備の操作

 (免許)

第四十一条 無線従事者になろうとする者は、前条の資格別に行う無線従事者国家試験に合格し、合格の日から三箇月以内に電波監理委員会の免許を受けなければならない。

 (免許を与えない場合)

第四十二条 左の各号の一に該当する者に対しては、無線従事者の免許を与えないことができる。

 一 第九章の罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者

 二 無線従事者の免許を取り消され、取消の日から二年を経過しない者

 三 著しく心身に欠陥があつて無線従事者たるに適しない者

 (無線従事者原簿)

第四十三条 電波監理委員会は、無線従事者原簿を備えつけ、免許に関する事項を記載する。

 (免許の有効期間)

第四十四条 無線従事者の免許の有効期間は、免許の日から起算して五年とする。

 (免許の更新)

第四十五条 無線従事者は、同一の資格について免許の更新を申請することができる。

2 前項の申請をした者が、左の各号の一に該当するときは、電波監理委員会は、無線従事者国家試験を行わないでその免許の更新をしなければならない。

 一 免許の有効期間中通算して二年六箇月以上当該免許に係る業務に従事し、この法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反しなかつた者

 二 免許の有効期間中通算して一年六箇月以上及び申請前一年以内に六箇月以上当該免許に係る業務に従事し、この法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反しなかつた者

3 第一項の申請をした者が前項各号に該当しない場合であつても、電波監理委員会は、申請者の無線設備の操作に関する業務の経歴及び成績によつて、無線従事者国家試験の全部又は一部を免除することができる。

4 免許の更新については、第四十二条及び第四十四条の規定を準用する。

 (無線従事者国家試験)

第四十六条 無線従事者国家試験は、無線設備の操作に必要な知識及び技能について行う。

第四十七条 無線従事者国家試験は、第四十条の資格別に、毎年少くとも一回電波監理委員会が行う。

第四十八条 無線従事者国家試験に関して不正の行為があつたときは、電波監理委員会は、当該不正行為に関係のある者について、その受験を停止し、又はその試験を無効とすることができる。この場合においては、なお、その者について、期間を定めて試験を受けさせないことができる。

 (命令への委任)

第四十九条 第四十一条から前条までに規定するものの外、免許の申請、免許証の交付、再交付及び返納その他無線従事者の免許に関する手続的事項並びに試験科目、受験手続その他無線従事者国家試験の実施細目は、電波監理委員会規則で定める。  

 (通信長の配置等)

第五十条 左の表の上欄に掲げる船舶無線電信局には、通信長(船舶通信士の長をいう。)としてそれぞれ下欄に掲げる無線通信士を配置しなければならない。

船舶無線電信局

無線通信士

第一種局(総トン数三千トン以上の旅客船及び総トン数五千五百トンをこえる旅客船以外の船舶の船舶無線電信局をいう。以下同じ。)

通信長となる前十五年以内に船舶無線電信局において第一級無線通信士として四年以上業務に従事し、且つ、現に第一級無線通信士の免許を受けている者

第二種局甲(船舶安全法第四条の船舶であつて総トン数三千トン未満五百トン以上の旅客船又は総トン数五千五百トン以下千六百トン以上の旅客船以外の船舶の船舶無線電信局をいう。以下同じ。)

通信長となる前十五年以内に船舶無線電信局において第一級無線通信士として二年以上業務に従事し、且つ、現に第一級無線通信士の免許を受けている者

第二種局乙(旅客船以外の船舶の船舶無線電信局(第一種局及び第二種局甲に該当するものを除く。)であつて公衆通信業務を取り扱うもの又は旅客船の船舶無線電信局(第一種局及び第二種局甲に該当するものを除く。)をいう。以下同じ。)

第一級無線通信士の免許を受けている者又は通信長となる前十五年以内に船舶無線電信局若しくは海岸局において第二級無線通信士として一年以上業務に従事し、且つ、現に第二級無線通信士の免許を受けている者

2 電波監理委員会は、前項に規定するものの外、必要があると認めるときは、電波監理委員会規則により、無線局に配置すべき無線従事者の資格別員数を定めることができる。

 (選解任届)

第五十一条 無線局の免許人は、無線従事者を選任又は解任したときは、遅滞なくその旨を電波監理委員会に届け出なければならない。

   第五章 運用

    第一節 通則

 (目的外使用の禁止等)

第五十二条 無線局は、免許状に記載された目的又は通信の相手方若しくは通信事項(放送をする無線局については放送事項)の範囲をこえて運用してはならない。但し、左に掲げる通信については、この限りでない。

 一 遭難通信(船舶が重大且つ急迫の危険に陥つた場合に遭難信号を前置して行う無線通信をいう。以下同じ。)

 二 緊急通信(船舶が重大且つ急迫の危険に陥るおそれがある場合その他緊急の事態が発生した場合に緊急信号を前置して行う無線通信をいう。以下同じ。)

 三 安全通信(船舶の航行に対する重大な危険を予防するために安全信号を前置して行う無線通信をいう。以下同じ。)

 四 非常通信(地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、有線通信を利用することができないか又はこれを利用することが著しく困難であるときに人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために行われる無線通信をいう。以下同じ。)

 五 放送の受信

 六 その他電波監理委員会規則で定める通信

第五十三条 無線局を運用する場合においては、呼出符号又は呼出名称、電波の型式、周波数、発振及び変調の方式並びに空中線の型式及び構成は、免許状に記載されたところによらなければならない。但し、遭難通信については、この限りでない。

第五十四条 無線局を運用する場合においては、空中線電力は、免許状に記載されたものの範囲内で通信を行うため必要最小のものでなければならない。但し、遭難通信については、この限りでない。

第五十五条 無線局は、第八条第一項の規定により指定する運用許容時間内でなければ、運用してはならない。但し、第五十二条各号に掲げる通信を行う場合及び電波監理委員会規則で定める場合は、この限りでない。

 (混信等の防止)

第五十六条 無線局は、他の無線局にその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用しなければならない。但し、第五十二条第一号から第四号までに掲げる通信については、この限りでない。

 (擬似空中線回路の使用)

第五十七条 無線局は、左に掲げる場合には、なるべく擬似空中線回路を使用しなければならない。

 一 無線設備の機器の試験又は調整を行うために運用するとき。

 二 実験無線局を運用するとき。

 (実験無線局等の通信)

第五十八条 実験無線局及びアマチユア無線局の行う通信には、暗語を使用してはならない。

 (秘密の保護)

第五十九条 何人も法律に別段の定がある場合を除く外、特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受してその存在若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。

 (時計、業務書類等の備えつけ)

第六十条 無線局には、正確な時計及び無線検査簿、無線業務日誌その他電波監理委員会規則で定める書類を備えつけておかなければならない。

 (通信方法等)

第六十一条 無線局の呼出又は応答の方法その他の通信方法、時刻の照合並びに補助設備、救命艇の無線設備、方位測定装置及び警急自動受信機の調整その他無線設備の機能を維持するために必要な事項の細目は、電波監理委員会規則で定める。   

    第二節 海岸局及び船舶局の運用

 (船舶局の運用)

第六十二条 船舶局の運用は、その船舶の航行中に限る。但し、受信装置のみを運用するとき、第五十二条各号に掲げる通信を行うとき、その他電波監理委員会規則で定める場合は、この限りでない。

2 海岸局は、船舶局から自局の運用に妨害を受けたときは、妨害している船舶局に対して、その妨害を除去するために必要な措置をとることを求めることができる。

3 船舶局は、海岸局と通信を行う場合において、通信の順序若しくは時刻又は使用電波の型式若しくは周波数について、海岸局から指示を受けたときは、その指示に従わなければならない。

 (運用しなければならない時間)

第六十三条 船舶無線電信局は、その船舶の航行中は、第一種局にあつては常時、第二種局にあつては電波監理委員会規則で定める時間割の時間運用しなければならない。但し、電波監理委員会規則で定める場合は、この限りでない。       

2 前項の時間割の時間は、第二種局甲にあつては一日十六時間、第二種局乙にあつては一日八時間とする。

3 海岸局は、常時運用しなければならない。但し、電波監理委員会規則で定める海岸局については、この限りでない。

 (沈黙時間)

第六十四条 海岸局及び船舶局は、中央標準時による毎時の十五分過ぎから十八分過ぎまで及び四十五分過ぎから四十八分過ぎまで(「第一沈黙時間」という。以下同じ。)は、四百八十五キロサイクルから五百十五キロサイクルまでの周波数の電波を発射してはならない。但し、遭難通信若しくは緊急通信を行う場合又は第一沈黙時間の最後の二十秒間に安全信号を送信する場合は、この限りでない。

2 海岸局及び船舶局は、毎時六分をこえない範囲内で電波監理委員会規則で定める時間(「第二沈黙時間」という。以下同じ。)は、前項の周波数以外の電波であつて電波監理委員会規則で定めるものを発射してはならない。

3 第一項但書の規定は、前項の場合に準用する。

 (聴守義務)

第六十五条 五百キロサイクルの周波数の指定を受けている海岸局及び船舶無線電信局は、その運用しなければならない時間(以下「運用義務時間」という。)中は、五百キロサイクルの周波数で聴守しなければならない。但し、第一沈黙時間中を除く外、現に通信を行つている場合は、この限りでない。

2 前条第二項の電波監理委員会規則で定める周波数の指定を受けている海岸局及び船舶局は、その運用義務時間中は、その周波数で聴守しなければならない。但し、電波監理委員会規則で定める第二沈黙時間中を除く外、現に通信を行つている場合は、この限りでない。

 (遭難通信)

第六十六条 海岸局及び船舶局は、遭難通信を受信したときは、他の一切の無線通信に優先して、直ちにこれに応答し、且つ、遭難している船舶を救助するため最も便宜な位置にある無線局に対して通報する等救助の通信に関し最善の措置をとらなければならない。

2 無線局は、遭難信号を受信したときは、遭難通信を妨害するおそれのある電波の発射を直ちに中止しなければならない。

 (緊急通信)

第六十七条 海岸局及び船舶局は、遭難通信に次ぐ優先順位をもつて、緊急通信を取り扱わなければならない。

2 海岸局及び船舶局は、緊急信号を受信したときは、遭難通信を行う場合を除き、少くとも三分間継続してその緊急通信を受信しなければならない。

 (安全通信)

第六十八条 海岸局及び船舶局は、すみやかに、且つ、確実に安全通信を取り扱わなければならない。

2 海岸局及び船舶局は、安全信号を受信したときは、その通信が自局に関係のないことを確認するまでその安全通信を受信しなければならない。

 (船船局の機器の調整のための通信)

第六十九条 海岸局又は船舶局は、他の船舶局から無線設備の機器の調整のための通信を求められたときは、支障のない限り、これに応じなければならない。

 (通信圏入出の通知)

第七十条 船舶無線電信局は、海岸局の通信圏に入つたとき、又はその通信圏を去ろうとするときは、その旨をその海岸局に通知しなければならない。但し、電波監理委員会規則で定める場合は、この限りでない。

2 前項の海岸局の通信圏は、電波監理委員会規則で定める。

   第六章 監督

 (周波数等の変更)

第七十一条 電波監理委員会は、電波の規整その他公益上必要があるときは、当該無線局の目的の遂行に支障を及ぼさない範囲内に限り、無線局の周波数又は空中線電力の指定を変更することができる。

2 国は、前項の規定による無線局の周波数又は空中線電力の指定の変更によつて生じた損失を当該免許人に対して補償しなければならない。

3 前項の規定により補償すべき損失は、同項の処分によつて通常生ずべき損失とする。

4 第二項の補償金額に不服がある者は、補償金額決定の通知を受けた日から三箇月以内に、訴をもつて、その増額を請求することができる。

5 前項の訴においては、国を被告とする。

 (電波の発射の停止)

第七十二条 電波監理委員会は、無線局の発射する電波の質が第二十八条の電波監理委員会規則で定めるものに適合していないと認めるときは、当該無線局に対して臨時に電波の発射の停止を命ずることができる。

2 電波監理委員会は、前項の命令を受けた無線局からその発射する電波の質が第二十八条の電波監理委員会規則の定めるものに適合するに至つた旨の申出を受けたときは、その無線局に電波を試験的に発射させなければならない。

3 電波監理委員会は、前項の規定により発射する電波の質が第二十八条の電波監理委員会規則で定めるものに適合しているときは、直ちに第一項の停止を解除しなければならない。

 (検査)

第七十三条 電波監理委員会は、毎年一回、あらかじめ通知する期日に、その職員を無線局に派遣し、その無線設備、無線従事者の資格及び員数並びに第六十条の時計及び書類の検査させる。但し、その年に免許を受けた無線局及び外国地間を航行中の船舶の無線局については、この限りでない。

2 電波監理委員会は、前条第一項の電波の発射の停止を命じたとき、同条第二項の申出があつたとき、無線局のある船舶が外国へ出港しようとするとき、その他この法律の施行を確保するため特に必要があるときは、その職員を無線局に派遣し、その無線設備、無線従事者の資格及び員数並びに第六十条の時計及び書類を検査させることができる。

3 前二項の規定により無線局に立ち入り、検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。

4 第一項又は第二項の規定による検査は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (非常の場合の無線通信)

第七十四条 電波監理委員会は、地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合においては、人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために必要な通信を無線局に行わせることができる。

2 電波監理委員会が前項の規定により無線局に通信を行わせたときは、国は、その通信に要した実費を弁償しなければならない。

 (無線局の免許の取消等)

第七十五条 電波監理委員会は、免許人が第五条の規定により免許を受けることができない者となつたときは、その免許を取り消さなければならない。

第七十六条 電波監理委員会は、免許人がこの法律、放送法若しくはこれらの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したときは、三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。

2 電波監理委員会は、免許人が左の各号の一に該当するときは、その免許を取り消すことができる。

 一 正当な理由がないのに、無線局の運用を引き続き六箇月以上休止したとき。

 二 不正な手段により無線局の免許若しくは第十七条の許可を受け、又は第十九条の規定による指定の変更を行わせたとき。

 三 前項の規定による命令又は制限に従わないとき。      

第七十七条 電波監理委員会は、前二条の規定による処分をしたときは、理由を記載した文書を免許人に送付しなければならない。 

 (空中線の撤去) 

第七十八条 無線局の免許がその効力を失つたときは、免許人であつた者は、遅滞なく空中線を撤去しなければならない。

 (無線従事者の免許の取消等)

第七十九条 電波監理委員会は、無線従事者が左の各号の一に該当するときは、その免許を取り消し、又は三箇月以内の期間を定めてその業務に従事することを停止することができる。

 一 この法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したとき。

 二 不正な手段により免許又は免許の更新を受けたとき。

2 第七十七条の規定は、前項の規定による取消又は停止に準用する。 

 (報告)

第八十条 無線局の免許人は、左に掲げる場合は、電波監理委員会規則で定める手続により、電波監理委員会に報告しなければならない。

 一 遭難通信、緊急通信、安全通信又は非常通信を行つたとき。  

 二 この法律又はこの法律に基く命令の規定に違反して運用した無線局を認めたとき。

 三 第二十五条の規定により公示された無線局の無線設備以外の無線設備から電波が発射されたことを認めたとき。

 四 無線局が外国において、あらかじめ電波監理委員会が告示した以外の運用の制限をされたとき。

第八十一条 電波監理委員会は、無線通信の秩序の維持その他無線局の適正な運用を確保するため必要があると認めるときは、免許人に対し、無線局に関し報告を求めることができる。

 (受信設備に対する監督)

第八十二条 電波監理委員会は、受信設備が副次的に発する電波又は高周波電流が他の無線設備の機能に継続的且つ重大な障害を与えるときは、その設備の所有者又は占有者に対し、その障害を除去するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

2 電波監理委員会は、放送の受信を目的とする受信設備以外の受信設備について前項の措置をとるべきことを命じた場合において特に必要があると認めるときは、その職員を当該設備のある場所に派遣し、その設備を検査させることができる。

3 第七十三条第三項及び第四項の規定は、前項の場合に準用する。

   第七章 聴聞及び訴訟

 (聴聞の事案) 

第八十三条 電波監理委員会は、左に掲げる場合は、この章に定めるところに従い聴聞を行わなければならない。

 一 第四条第一項但書(免許を要しない無線局)、第七条第一項第四号(無線局の開設の根本的基準)、第十三条第一項(無線局の免許の有効期間)、第十五条(再免許の手続)、第二十八条(第百条第三項において準用する場合を含む。)(電波の質)、第二十九条(受信設備の条件)、第三十条(第百条第三項において準用する場合を含む。)(安全施設)、第三十一条(周波数測定装置の備えつけ)、第三十二条(計器及び予備品の備えつけ)、第三十五条(補助装置の備えつけ)、第三十七条(無線設備の機器の検定)、第三十八条(第百条第三項において準用する場合を含む。)(技術基準)、第三十九条(無線設備の操作)、第四十条(特殊無線技士の従事範囲)、第四十九条(国家試験の細目等)、第五十条第二項(無線従事者の資格別員数の指定)、第五十二条第六号(目的外使用)、第五十五条(運用許容時間外運用)、第六十一条(通信方法等)、第六十四条第二項(第二沈黙時間)、第六十五条第二項(聴守義務)及び第百条第一項第二号(高周波利用設備)の規定による電波監理委員会規則を制定しようとするとき。

 二 第七十六条第二項の規定による無線局の免許の取消又は第七十九条第一項の規定による無線従業者の免許の取消の処分をしようとするとき。

 三 電波監理委員会の処分に対する異議の申立があつたとき。

2 電波監理委員会は、前項の場合の外、必要と認める事項について聴聞を行うことができる。

 (異議の申立)

第八十四条 この法律又はこの法律に基く命令の規定に基く電波監理委員会の処分に不服のある者は、電波監埋委員会に対して異議の申立をすることができる。

2 異議の申立は、処分のあつたことを知つた日から三十日以内に、理由を記載した申立書を電波監理委員会に提出して、行わなければならない。但し、処分の日から六十日を経過したときは、異議の申立をすることができない。

 (申立の却下)

第八十五条 電波監理委員会は、異議の申立が不適法であると認めるときは、直ちに申立を却下する。

2 前項の規定による申立の却下は、理由を記載した文書で行い、その正本を申立人に送付しなければならない。

 (聴聞の開始)

第八十六条 第八十四条の規定による異議の申立があつたときは、電波監埋委員会は、前条の規定により却下する場合を除き、申立を受理した日から三十日以内に聴聞を開始しなければならない。

第八十七条 聴聞は、電波監理委員会が事案を指定して指名する審理官が主宰する。但し、事案が特に重要である場合において電波監理委員会が聴聞を主宰すべき委員を指名したときは、この限りでない。

第八十八条 聴聞の開始は、利害関係者(異議の申立に係る聴聞の場合は利害関係者及び異議の申立をした者。以下同じ。)に対し、審理官(前条但書の場合はその委員。以下同じ。)の名をもつて、事案の要旨、聴聞の期日及び場所並びに出頭を求める旨を記載した聴聞開始通知書を送付して行う。

2 前項の聴聞開始通知書を発送したときは、事案の要旨並びに聴聞の期日及び場所を公告しなければならない。

 (参加)

第八十九条 前条に定める者の外、聴聞に参加して意見を述べようとする者は、利害関係のある理由及び主張の要旨を記載した文書をもつて、審理官に利害関係者として参加する旨を申し出なければならない。

 (代理人)

第九十条 利害関係者は、弁護士その他適当と認める者を代理人に選任することができる。

 (調査)

第九十一条 審理官は、聴聞に際し必要があると認めるときは、利害関係者を審問し、又は参考人に出頭を求めて審問し、且つ、これらの者に報告をさせることができる。

 (主張と立証) 

第九十二条 利害関係者若しくはその代理人又は電波監理委員会は、聴聞に際し、自己の主張を述べ、証拠を申しいで、又は利害関係者若しくは参考人若しくは電波監理委員会を審問することができる。

 (調書及び意見書)

第九十三条 審理官は、聴聞に際しては、調書を作成しなければならない。

2 審理官は、前項の調書に基き意見書を作成し、同項の調書とともに、電波監理委員会に提出しなければならない。

3 電波監理委員会は、第一項の調書及び前項の意見書を公衆の閲覧に供しなければならない。

 (決定)

第九十四条 電波管理委員会は、前条の調書及び意見書に基き事案の決定を行う。   

2 前項の決定は、文書により行い、その正本を第八十八条及び第八十九条の利害関係者に送付しなければならない。

3 前項の文書には、聴聞を経て電波監理委員会が認定した事実及び理由を示さなければならない。

 (参考人の旅費等)

第九十五条 第九十一条の規定により出頭を求められた参考人は、政令で定める額の旅費、日当及び宿泊料を受ける。

 (規則委任事項)

第九十六条 この章に定めるものの外、聴聞に関する手続は、電波監理委員会規則で定める。

 (専属管轄)

第九十七条 この法律又はこの法律に基く命令の規定に基く電波監理委員会の処分に対する訴は、東京高等裁判所の専属管轄とする。 

 (記録の送付)

第九十八条 前条の訴の提起があつたときは、裁判所は、遅滞なく電波監理委員会に対し当該事件の記録の送付を求めなければならない。

 (事実認定の拘束力)

第九十九条 第九十七条の訴については、電波監理委員会が適法に認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときは、裁判所を拘束する。

2 前項に規定する実質的な証拠の有無は、裁判所が判断するものとする。

   第八章 雑則

 (高周波利用設備)

第百条 左に掲げる設備を設置しようとする者は、当該設備につき、電波監理委員会の許可を受けなければならない。

 一 電線路に十キロサイクル以上の高周波電流を通ずる電信、電話その他の通信設備(ケーブル搬送設備及び平衡二線式裸線搬送設備を除く。)

 二 無線設備及び前号の設備以外の設備であつて十キロサイクル以上の高周波電流を利用するもののうち、電波監理委員会規則で定めるもの

2 前項の許可の申請があつたときは、電波監理委員会は、当該申請が次項において準用する第二十八条、第三十条又は第三十八条の技術基準に適合し、且つ、当該申請に係る周波数の使用が他の通信に妨害を与えないと認めるときは、これを許可しなければならない。

3 第十四条第一項及び第二項(免許状)、第十七条(変更等の許可)、第二十一条(免許状の訂正)、第二十二条、第二十三条(廃止及び休止)、第二十四条(免許状の返納)、第二十八条(電波の質)、第三十条(安全施設)、第三十八条(技術基準)、第七十二条(電波の発射の停止)、第七十三条第二項から第四項まで(検査)、第七十六条、第七十七条(無線局の免許の取消等)、第八十一条(報告)の規定は、第一項の規定により許可を受けた設備に準用する。

 (無線設備の機能の保護)

第百一条 第八十二条第一項の規定は、無線設備以外の設備(前条の設備を除く。)が副次的に発する電波又は高周波電流が無線設備の機能に継続的且つ重大な障害を与えるときに準用する。

第百二条 電波監理委員会の施設した無線方位測定装置の設置場所から一キロメートル以内の地域に、電波を乱すおそれのある建造物又は工作物であつて電波監理委員会規則で定めるものを建設しようとする者は、あらかじめ電波監理委員会にその旨を届け出なければならない。

2 前項の無線方位測定装置の設置場所は、電波監理委員会が公示する。

 (手数料の徴収)

第百三条 左の表の上欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内で政令で定める手数料を政令で定める期日に納めなければならない。

納めなければならない者

金額

一 第六条の規定による免許の申請をする者

三千円

二 第十条の規定による落成後の検査を受ける者

 

 イ 船舶局

 

   空中線電力五十ワツト以下のもの

三千六百円

   空中線電力二百ワツト以下のもの

六千円

   空中線電力二キロワツト以下のもの

八千円

   空中線電力二キロワツトをこえるもの

一万三千円

 ロ 放送をする無線局

 

   空中線電力五十ワツト以下のもの

六千円

   空中線電力五百ワツト以下のもの

一万円

   空中線電力十キロワツト以下のもの

一万九千円

   空中線電力十キロワツトをこえるもの

二万二千円

 ハ その他の無線局

 

   空中線電力五十ワツト以下のもの

四千円

   空中線電力二百ワツト以下のもの

七千円

   空中線電力二キロワツト以下のもの

九千円

   空中線電力二キロワツトをこえるもの

一万五千円

三 第七十三条第一項の規定による検査を受ける者

 

 イ 船舶局

 

   空中線電力五十ワツト以下のもの

千八百円

   空中線電力二百ワツト以下のもの

三千円

   空中線電力二キロワツト以下のもの

四千円

   空中線電力二キロワツトをこえるもの

六千五百円

 ロ 放送をする無線局

 

   空中線電力五十ワツト以下のもの

三千円

   空中線電力五百ワツト以下のもの

五千円

   空中線電力十キロワツト以下のもの

九千五百円

   空中線電力十キロワツトをこえるもの

一万一千円

 ハ その他の無線局

 

   空中線電力五十ワツト以下のもの

二千円

   空中線電力二百ワツト以下のもの

三千五百円

   空中線電力二キロワツト以下のもの

四千五百円

   空中線電力二キロワツトをこえるもの

七千五百円

四 第十八条の規定による検査を受ける者(第七十一条第一項の規定に基く指定の変更を受けたため第十七条第一項の許可を受けた者を除く。)

五千円

五 第三十七条の規定による検定を受ける者

二万円

六 第四十一条の規定による無線従事者国家試験を受ける者

五百円

七 第四十五条第一項の規定による免許の更新を申請する者

であつて同条第二項に該当するもの

百円

八 免許状又は免許証の再交付を申請する者

百円

 (国に対する適用)

第百四条 この法律の規定は、第七章及び第九章の規定を除き、国に適用があるものとする。この場合において「免許」又は「許可」とあるのは、第四章を除き、「承認」と読み替えるものとする。

   第九章 罰則

第百五条 無線通信の業務に従事する者が第六十六条第一項の規定による遭難通信の取扱をしなかつたとき、又はこれを遅延させたときは、一年以上の有期懲役に処する。

2 遭難通信の取扱を妨害した者も、前項と同様とする。

3 前二項の未遂罪は、罰する。

第百六条 自己若しくは他人に利益を与え、又は他人に損害を加える目的で、無線設備又は第百条第一項第一号の通信設備によつて虚偽の通信を発した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

2 船舶遭難の事実がないのに、無線設備によつて遭難通信を発した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。

第百七条 無線設備又は第百条第一項第一号の通信設備によつて日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する通信を発した者は、五年以下の懲役又は禁こに処する。

第百八条 無線設備又は第百条第一項第一号の通信設備によつてわいせつな通信を発した者は、二年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

第百九条 無線局の取扱中に係る無線通信の秘密を漏らし、又は窃用した者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

2 無線通信の業務に従事する者がその業務に関し知り得た前項の秘密を漏らし、又は窃用したときは、二年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

第百十条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

 一 第四条第一項の規定による免許がないのに、無線局を運用した者

 二 第百条第一項の規定による許可がないのに、同条同項の設備を運用した者

 三 第五十二条、第五十三条又は第五十五条の規定に違反して無線局を運用した者

 四 第十八条の規定に違反して無線設備を運用した者

 五 第七十二条第一項又は第七十六条第一項(以上の各規定を第百条第三項において準用する場合を含む。)の規定によつて電波の発射又は運用を停止された無線局又は第百条第一項の設備を運用した者

 六 第七十四条第一項の規定による処分に違反した者

第百十一条 第七十三条第一項若しくは第二項(第百条第三項において準用する場合を含む。)又は第八十二条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。          

第百十二条 左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。     

 一 第六十二条第一項の規定に違反した者

 二 第七十六条第一項(第百条第三項において準用する場合を含む。)の規定による運用の制限に違反した者

第百十三条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

 一 第三十九条の規定に違反した者

 二 第六十四条第一項の規定に違反した者

 三 第七十八条の規定に違反した者

 四 第七十九条第一項の規定により業務に従事することを停止されたのに、無線設備の操作を行つた者

 五 第八十二条第一項(第百一条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者

第百十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従事者が、その法人又は人の業務に関し、第百十条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

第百十五条 第九十一条の規定による審理官の処分に違反して、出頭せず、陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、又は報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者は、三千円以下の過料に処する。

第百十六条 左の各号の一に該当する者は、三千円以下の過料に処する。

 一 第二十条第三項の規定に違反して、届出をしない者

 二 第二十二条(第百条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して届出をしない者

 三 第二十四条(第百条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、免許状を返納しない者

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して三十日を経過した日から施行する。

 (無線電信法の廃止)

2 無線電信法(大正四年法律第二十六号。以下「旧法」という。)は、廃止する。

3 旧法第六条、第十五条、第十九条、第二十一条、第二十三条、第二十四条第一項、第二十五条、第二十六条及び第二十八条の規定は、公衆通信業務に関する法律が制定施行されるまでは、この法律施行後も、なおその効力を有する。 

 (旧法の罰則の適用)  

4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、旧法は、この法律施行後も、なおその効力を有する。

 (無線従事者に関する経過規定)

5 この法律施行の際、現に無線通信士資格検定規則(昭和六年逓信省令第八号)の規定によつて第一級、第二級、第三級、電話級又は聴守員級の無線通信士の資格を有する者は、この法律施行の日に、それぞれこの法律の規定による第一級無線通信士、第二級無線通信士、第三級無線通信士、電話級無線通信士又は聴守員級無線通信士の免許を受けたものとみなす。   

6 旧電気通信技術者資格検定規則(昭和十五年逓信省令第十三号)廃止の際(昭和二十四年六月一日)、現に同規則の規定によつて第一級若しくは第二級の電気通信技術者の資格又は第三級(無線)の電気通信技術者の資格を有していた者は、この法律施行の日に、それぞれこの法律の規定による第一級無線技術士又は第二級無線技術士の免許を受けたものとみなす。

7 前二項の規定により免許を受けたものとみなされた者は、この法律施行の日から一年以内に、この法律の規定による無線従事者免許証の交付を申請しなければ、不可抗力による場合を除く外、同期間の満了によつて、その免許は、効力を失う。

8 この法律施行の際、現に無線設備の技術操作に従事している者は、この法律施行後一年間は、第三十九条の規定にかかわらず、無線技術士の資格がなくても、無線設備の技術操作に従事することができる。

9 この法律施行後三年間は、第二級無線通信士は、第四十条の規定にかかわらず、東は東経百七十五度、西は東経百十三度、南は北緯二十一度、北は北緯六十三度の線によつて囲まれた区域内において、国際通信を行うため、船舶に施設する無線設備の通信操作を行うことができる。

 (この法律の施行前になした処分等)

10 第五項又は第六項に規定するものの外、旧法又はこれに基く命令の規定に基く処分、手続その他の行為は、この法律中これに相当する規定があるときは、この法律によつてしたものとみなす。この場合において、無線局(船舶安全法第四条の船舶及び漁船の操業区域の制限に関する政令第五条の漁船の船舶無線電信局を除く。)の免許の有効期間は、第十三条第一項の規定にかかわらず、この法律施行の日から起算して一年以上三年以内において無線局の種別ごとに電波監理委員会規則で定める期間とする。

 (既設の高周波利用設備の許可の申請)

11 この法律の施行の際、現に第百条第一項第二号の設備を設置している者は、この法律施行の日から一年以内に当該設備につき同条同項の許可を受けなければならない。

12 この法律施行の日から一箇月以内は、電波監理委員会は、第八十三条第一項第一号の規定にかかわらず、聴聞を行わないで同条同項同号の電波監理委員会規則を制定することができる。

13 前項の規定により制定された電波監理委員会規則は、この法律施行の日から六箇月を経過した日に、その効力を失う。

 (船舶安全法等の改正)

14 船舶安全法の一部を次のように改正する。

  第四条第一項中「無線電信法」を「電波法」に改める。

15 著作権法(明治三十二年法律第三十九号)の一部を次のように改正する。

  第二十二条ノ五第二項中「無線電信法及之ニ基キ発スル命令ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケタル放送無線電話施設者」を「放送事業者」に改める。 

(文部・農林・運輸・電気通信・内閣総理大臣署名) 

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