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法律第百号(昭二六・三・三一)

  ◎資金運用部資金法

 (目的)

第一条 この法律は、郵便貯金(郵便振替貯金を含む。以下同じ。)、米国対日援助見返資金特別会計以外の政府の特別会計の積立金及び余裕金その他の資金で法律又は政令の規定による資金運用部に預託されたもの並びに資金運用部特別会計の積立金及び余裕金を資金運用部資金として統合管理し、その資金を確実且つ有利な方法で運用することにより、公共の利益の増進に寄与せしめることを目的とする。

 (資金運用部への預託の義務)

第二条 郵便貯金として受け入れた資金は、郵便貯金の日常の払いもどしに必要な資金を除く外、資金運用部に預託しなければならない。

2 政府の特別会計(資金運用部特別会計を除く。)の歳入歳出の決算上の剰余金を積み立てた積立金は、すべて資金運用部に預託しなければならない。但し、簡易生命保険及郵便年金特別会計の積立金を簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)の規定に基き保険契約者に貸し付ける場合及び郵便年金法(昭和二十四年法律第六十九号)の規定に基き年金契約者、年金受取人又は年金継続受取人に貸し付ける場合においては、この限りでない。

 (国庫余裕金及び特別会計の余裕金の運用)

第三条 国庫余裕金は、資金運用部に預託することができる。

2 政府の特別会計(米国対日援助見返資金特別会計及び資金運用部特別会計を除く。)の余裕金は、資金運用部への預託の方法による外、運用してはならない。但し、国債整理基金特別会計において国債を保有する場合は、この限りでない。

 (資金運用部預託金)

第四条 第二条若しくは前条第一項又は他の法律若しくは政令の規定により資金運用部に預託された資金(以下「資金運用部預託金」という。)の契約上の預託期間(以下本条中「約定期間」という。)は、三月を下らないものとする。

2 資金運用部預託金の約定期間満了前の払いもどしを受けようとするときは、預託者は、その払いもどしを受けようとする日前三十日をこえない範囲内で大蔵大臣が定める期間以前に、あらかじめその旨を大蔵大臣に通知しなければならない。

3 資金運用部預託金には、左の利率により利子を附する。

一 約定期間三月以上一年未満のもの

年三分五厘

二 約定期間一年以上三年未満のもの

年四分五厘

三 約定期間三年以上五年未満のもの

年五分

四 約定期間五年以上のもの

年五分五厘

4 第二項の規定により約定期間満了前に払いもどしを行つた金額に対しては、その金額の預託されていた期間が三月未満のときは利子を附さず、三月以上のときは、前項の規定にかかわらず、その期間に応じ左の利率により利子を附する。

一 預託されていた期間が三月以上一年未満のとき

年三分

二 預託されていた期間が一年以上三年未満のとき

年四分

三 預託されていた期間が三年以上のとき

年四分五厘

5 資金運用部預託金に対しては、その約定期間満了の日又は第二項の規定により期限前の払いもどしをした日の外、約定期間一年以上の資金運用部預託金については、毎年三月三十一日及び九月三十日に、当該預託金の経過預託期間に対する第三項又は前項の規定による利子を支払う。

6 資金運用部預託金に対しては、預託金証書を発行する。

 (資金運用部預託金の取扱手続)

第五条 前条に規定するものを除く外、資金運用部預託金の取扱手続は、大蔵大臣が定める。

 (資金運用部資金の管理及び運用並びに区分経理)

第六条 資金運用部預託金並びに資金運用部特別会計の積立金及び余裕金は、資金運用部資金とし、大蔵大臣が管理及び運用する。

2 資金運用部資金は、他の政府資金と区分して経理するものとする。

 (資金運用部資金の運用)

第七条 資金運用部資金は、左に掲げるものに運用することができる。

 一 国債

 二 国に対する貸付

 三 法律の定めるところにより、予算について国会の議決を経、又は承認を得なければならない法人の発行する債券

 四 前号に規定する法人に対する貸付

 五 地方債

 六 地方公共団体に対する貸付

 七 特別の法律により設立された法人(第三号に規定する法人を除く。)で国、第三号に規定する法人及び地方公共団体以外の者の出資のないもののうち、特別の法律により債券を発行し得るものの発行する債券

 八 前号に規定する法人に対する貸付

 九 銀行、農林中央金庫又は商工組合中央金庫(以下本条中「金融機関」という。)の発行する債券(以下「金融債」という。)

2 前項の規定により金融債に運用する資金運用部資金の額は、資金運用部資金の総額の三分の一をこえてはならない。

3 資金運用部資金を金融債に運用する場合においては、一の金融機関の発行する金融債の五割又は一の金融機関の一回に発行する金融債の六割をこえる割合の金融債の引受、応募又は買入を行つてはならない。又、資金運用部が引受、応募又は買入を行う金融債は、利率、担保、償還の方法、期限その他の条件において、資金運用部以外の者の引受、応募又は買入に係るものとその種類を同じくするものでなければならない。

 (資金運用部資金運用審議会の設置)

第八条 資金運用部資金の運用を適正にするため、総理府の附属機関として資金運用部資金運用審議会(以下「審議会」という。)を置く。

 (審議会の権限)

第九条 審議会は、大蔵大臣の諮問に応じ、資金運用部資金の運用の方針及び条件その他の資金運用部資金の運用に関する重要事項を調査審議する。

2 審議会は、資金運用部資金の運用に関し、大蔵大臣に随時意見を述べることができる。

 (審議会の組織)

第十条 審議会は、内閣総理大臣、大蔵大臣、郵政大臣及び委員十人以内で組織する。

2 審議会の委員は、左に掲げる者をもつて充てる。

 一 地方財政委員会委員長

 二 大蔵事務次官

 三 厚生事務次官

 四 郵政事務次官

 五 経済安定本部副長官

 六 会計検査院事務総局次長

 七 日本銀行総裁

 八 学識又は経験のある者 三人以内

3 前項第八号の委員は、内閣総理大臣が任命し、その任期は、二年とする。

4 審議会の委員は、非常勤とする。

 (審議会の会長及び副会長)

第十一条 内閣総理大臣は、審議会の会長として、会務を総理する。

2 大蔵大臣及び郵政大臣は、審議会の副会長として、会長を補佐し、会長に事故があるときは、会長の指名する副会長が会長の職務を行う。

 (資金運用部資金運用計画の諮問)

第十二条 大蔵大臣は、毎年度資金運用部資金の運用に関して必要な計画を定め、あらかじめ審議会の議に付さなければならない。その計画を変更しようとするときも、また同様とする。

 (資金運用部資金運用報告書)

第十三条 大蔵大臣は、毎年度資金運用部資金運用報告書を作成し、当該年度経過後四月以内に、審議会に提出しなければならない。

2 前項の報告書には、当該年度の資金運用部資金の運用の状況及び運用資産の異動に関する重要な事項を記載するとともに、当該年度末現在の資金運用部の貸借対照表を添附しなければならない。

 (審議会の運営に関する細目の政令への委任)

第十四条 前五条に定めるものを除く外、審議会の運営に関し必要な事項は、政令で定める。

 (資金運用部資金の出納執行命令権の委任)

第十五条 大蔵大臣は、資金運用部資金の出納執行の命令を部下の部局の長に行わせることができる。

 (資金運用部資金の運用に関する事務の委任)

第十六条 大蔵大臣は、大蔵省令で定めるところにより、資金運用部資金の運用に関する事務の一部を日本銀行に取り扱わせることができる。

   附 則

1 この法律は、昭和二十六年四月一日から施行する。

2 預金部預金法(大正十四年法律第二十五号)は、廃止する。

3 この法律施行の際大蔵省預金部に属する資産及び負債は、資金運用部に帰属するものとする。

4 前項の規定により資金運用部に帰属した負債のうち旧臨時資金調整法(昭和十二年法律第八十六号)第十条ノ四第一項及び第十条ノ五第一項に規定する証券並びに同法第十三条第一項に規定する貯蓄債券及び報国債券の発行に因る収入金並びにこれらの証券の買入償却益及び支払未済の元本又は割増金(以下「債券収入金等」という。)で、臨時資金調整法の廃止に伴う措置に関する法律(昭和二十三年法律第二十一号)第四項の規定により日本勧業銀行から大蔵省預金部に預入されていた資金は、同項の規定にかかわらず、この法律施行の日にその金額を払いもどすものとする。

5 日本勧業銀行は、前項の規定により払いもどしを受けた債券収入金等の資金及び同銀行がこの法律施行前に臨時資金調整法の廃止に伴う措置に関する法律第四項の規定により払いもどしを受けた債券収入金等の資金で同銀行が現に保有するもの(以下「債券収入金等の払いもどし金」という。)を管理しなければならない。

6 債券収入金等の払いもどし金の損益の計算の方法及び当該損益の帰属について必要な事項は、政令で定める。

7 前項に規定する事項を除く外、債券収入金等の払いもどし金の取扱について必要な事項は、大蔵大臣が定める。

8 第三項の規定により資金運用部に帰属した資産のうちに、第七条の規定により資金運用部資金を運用することができるもの以外のものがあるときは、その資産の保有については、同条第一項及び第二項の規定の適用については、資金運用部資金を金融債に運用したものとみなす。

9 この法律施行の際政府の特別会計の積立金の運用に係る有価証券及び貸付金(簡易生命保険及郵便年金特別会計の積立金に属する有価証券及び貸付金を除く。)は、その帳簿価額により資金運用部に帰属するものとし、その帳簿価額に相当する金額の当該特別会計に属する資金が、資金運用部に預託されたものとする。この場合において、資金運用部に帰属した有価証券又は貸付金のうちに、第七条の規定により資金運用部資金を運用することができるもの以外のものがあるときは、前項の規定は、その有価証券の保有又は貸付金の貸付について準用する。

10 この法律施行の際簡易生命保険及郵便年金特別会計の積立金に属する有価証券の保有並びにこの法律施行の際同特別会計の積立金に属する簡易生命保険法の規定に基く保険契約者に対する貸付金及び郵便年金法の規定に基く年金契約者、年金受取人又は年金継続受取人に対する貸付金以外の貸付金の貸付については、第二条第二項の規定は、適用しない。

11 簡易生命保険及郵便年金特別会計において、前項の規定により保有している有価証券又は貸し付けている貸付金について償還を受けたときは、その都度、その償還を受けた金額を資金運用部に預託するものとする。

12 他の法令中「大蔵省預金部」とあるのは、「資金運用部」と読み替えるものとする。

13 貯蓄銀行法(大正十年法律第七十四号)の一部を次のように改正する。

  第九条第三項中「第一項」を「前項」に改め、同条第二項を削る。

  第十一条第一項第九号中「若ハ大蔵省預金部」を削る。

14 農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)の一部を次のように改正する。

  第十五条第一項第二号中「大蔵省預金部若ハ」を削る。

15 商工組合中央金庫法(昭和十一年法律第十四号)の一部を次のように改正する。

  第二十九条第一項第二号中「大蔵省預金部若ハ」を削る。

16 普通銀行等の貯蓄銀行業務又は信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)の一部を次のように改正する。

  第二条第三項中「第一項」を「前項」に改め、同条第二項を削る。

17 大日本育英会法(昭和十九年法律第三十号)の一部を次のように改正する。

  第十七条中「大蔵省預金部其ノ他ヨリノ」を削る。

  第十九条第二号中「大蔵省預金部ヘノ預金」を「資金運用部ヘノ預託」に改める。

  第二十三条中「大蔵省預金部ヨリ借入金ヲ為ス場合其ノ他」を削る。

18 簡易生命保険法の一部を次のように改正する。

  目次中「第五章 積立金の運用(第六十九条)」を削る。

  第二条の次に次の一条を加える。

  (保険金等の支払の保証)

 第二条の二 国は、簡易生命保険契約(以下「保険契約」という。)に基く保険金等の支払を保証する。

 第五条中「簡易生命保険契約(以下「保険契約」という。)」を「保険契約」に改める。

  第五章を削る。

19 郵便年金法の一部を次のように改正する。

  目次中「第四章 積立金の運用(第四十二条)」を削る。

  第二条の次に次の一条を加える。

  (年金等の支払の保証)

 第二条の二 国は、郵便年金契約(以下「年金契約」という。)に基く年金等の支払を保証する。

  第五条第一項中「郵便年金契約(以下「年金契約」という。)を「年金契約」に改める。

  第四章を削る。

20 協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)の一部を次のように改正する。

  第四条第二号中「大蔵省預金部への預金又は」を削る。

(大蔵・文部・農林・通商産業・郵政・内閣総理大臣署名) 

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