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法律第六十三号(昭二八・七・一七)

  ◎産業労働者住宅資金融通法

目次

 第一章 総則(第一条―第六条)

 第二章 公庫の業務(第七条―第十条)

 第三章 雑則(第十一条―第十四条)

 第四章 罰則(第十五条・第十六条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、健康で文化的な生活を営むに足りる産業労働者住宅を建設しようとする者に対し、産業労働者住宅の建設に必要な資金の一部を長期且つ低利で融通することにより、その建設を促進し、もつて産業労働者の福祉の増進と産業の発展に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、左の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 事業者 生産、販売、運送その他の事業を営み、常時五人以上の従業員を使用する者で、国、国がその資本金の二分の一以上を出資している法人及び地方公共団体以外のものをいう。

 二 産業労働者 事業者に使用されている者をいう。

 三 産業労働者住宅 産業労働者の居住の用に供する家屋又は家屋の部分をいう。

 (業務を行う機関)

第三条 この法律による資金の融通に関する業務は、住宅金融公庫(以下「公庫」という。)が行うものとする。

 (資金融通の原則)

第四条 この法律による資金の融通は、一事業者に使用されている産業労働者の住宅不足が甚しい場合において、当該産業労働者のために産業労働者住宅(以下「住宅」という。)を建設しようとする者で、住宅の建設に必要な資金の全額を調達することが困難であるものに対し、その住宅の建設資金の不足額を補足するためのものとして行わなければならない。

 (住宅の敷地の選定基準等)

第五条 この法律により資金の融通を受けて建設する住宅の敷地は、安全上及び衛生上良好な土地であるとともに、その位置は、産業労働者の日常生活の利便の増進及び労働能率の向上に寄与するように選ばなければならない。

2 この法律により資金の融通を受けて建設する住宅は、安全上、衛生上及び耐久上必要な規模、構造及び設備を有するものとするとともに、集団的に建設されるように努めなければならない。

 (地方公共団体の援助)

第六条 地方公共団体は、その公益上必要があると認める場合においては、第七条第一項各号に掲げる者に対して、資金上及び技術上の援助を与えることができる。

   第二章 公庫の業務

 (資金の貸付の範囲)

第七条 公庫は、第一条に掲げる目的を達成するため、左に掲げる者に対し、住宅の建設に必要な資金の貸付を行う。

 一 事業者でその事業に使用する産業労働者に対し住宅を建設して貸し付けるもの

 二 事業者が、その事業に使用する産業労働者のために住宅を建設して貸し付けさせる目的で出資又は融資する会社その他の法人

2 公庫は、前項各号に掲げる者が住宅の建設に附随して新たに土地の取得を必要とする場合においては、土地の取得に必要な資金を当該住宅の建設に必要な資金にあわせて貸し付けることができる。

3 住宅金融公庫法(昭和二十五年法律第百五十六号。以下「公庫法」という。)第十九条の規定は、第一項の規定により貸付をすることができる住宅について準用する。この場合において、公庫法第十九条中「第二十条第一項」とあるのは、「産業労働者住宅資金融通法第九条第一項」と読み替えるものとする。

 (貸付を受けるべき者の選定)

第八条 公庫は、前条の規定による資金の貸付を行う場合においては、貸付の申込をした者について、住宅を必要とする事由、貸付希望金額、元利金の償還の見込その他資金の貸付に必要な事項をそれぞれ充分に審査し、且つ、申込をした者の総数及び申込に係る貸付希望金額の総額を参しやくして、資金の貸付を受けるべき者を公正に選ばなければならない。

2 公庫は、前項の規定により資金の貸付を受けるべき者を選ぼうとする場合においては、住宅の貸付を受ける産業労働者を使用する事業者を管轄する都道府県労働基準局の意見を参しやくしなければならない。

 (貸付の条件)

第九条 第七条の規定による貸付金(以下「貸付金」という。)の一戸当りの金額の限度並びに貸付金の利率及び償還期間は、左のとおりとする。

区分

貸付金の限度

貸付金の利率

貸付金の償還期間

耐火構造の住宅(主要構造部を建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第七号に規定する耐火構造とした住宅をいう。以下本条において同じ。)の建設及びこれに附随する土地の取得を目的とする貸付金

住宅の建設費(建設費が標準建設費をこえる場合においては標準建設費。以下本条において同じ。)又は土地の価額(価額が標準価額をこえる場合においては標準価額。以下本条において同じ。)の六割に相当する金額

年六分五厘

三十五年以内

簡易耐火構造の住宅(外壁を建築基準法第二条第七号に規定する耐火構造とした住宅をいう。以下本条において同じ。)の建設及びこれに附随する土地の取得を目的とする貸付金

住宅の建設費又は土地の価額の六割に相当する金額

年六分五厘

二十五年以内

耐火構造の住宅及び簡易耐火構造の住宅以外の住宅の建設並びにこれに附随する土地の取得を目的とする貸付金

住宅の建設費又は土地の価額の五割五分に相当する金額

年六分五厘

十八年以内

2 公庫法第二十条第三項の規定は前項の場合における住宅の床面積について、公庫法第二十条第四項及び第五項の規定は前項に規定する標準建設費及び標準価額について、それぞれ準用する。

3 公庫法第二十一条第三項、第四項(第五号、第六号及び第八号を除く。)及び第五項の規定は、貸付金の償還について準用する。この場合において、公庫法第二十一条第四項第四号中「第十七条第一項第一号又は第三号」とあるのは、「産業労働者住宅資金融通法第七条第一項各号の一」と読み替えるものとする。

4 公庫法第二十二条の規定は、貸付金の貸付の条件の変更又は延滞元利金の支払方法の変更について準用する。

 (業務の委託)

第十条 公庫は、主務大臣の認可を受けて、地方公共団体に対し、第七条の規定による資金の貸付に関する申込の受付及び審査、貸付金に係る住宅の建設工事の審査その他資金の貸付に関する業務を、公庫の業務を委託するに必要で、且つ、適切な組織と能力を有する銀行(日本銀行を除く。)その他の金融機関に対し、資金の貸付及び元利金の回収その他回収に関する業務を、それぞれ委託することができる。但し、貸付の決定については、この限りでない。

2 公庫法第二十三条第二項から第六項までの規定は、前項の規定により委託する場合について準用する。

   第三章 雑則

 (公庫の業務方法書の認可)

第十一条 主務大臣は、公庫法第二十四条第一項の規定により公庫の業務方法書に関し認可をしようとする場合において、この法律に基く業務に係る部分については、あらかじめ、労働大臣に協議しなければならない。

 (公庫の事業計画及び資金計画の認可)

第十二条 主務大臣は、公庫法第二十五条第一項の規定により公庫の事業計画及び資金計画のうち住宅に係るものを認可しようとする場合においては、あらかじめ、労働大臣に協議しなければならない。

 (家賃その他の賃貸の条件等)

第十三条 この法律による貸付金に係る住宅の家賃その他の賃貸の条件は、主として入居者の住居費の負担能力を考慮して、適正に定めなければならない。

2 この法律による貸付金に係る住宅は、産業労働者以外の者に貸し付けてはならない。

 (主務大臣、主務省令)

第十四条 この法律における主務大臣は、建設大臣及び大蔵大臣とし、主務省令は、建設省令・大蔵省令とする。

   第四章 罰則

第十五条 第十条第一項の規定により公庫の業務の委託を受けた金融機関の役員又は職員が同条第二項において準用する公庫法第二十三条第五項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は調査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、三万円以下の罰金に処する。

第十六条 左の場合においては、その違反行為をした公庫の役員又は職員を三万円以下の過料に処する。

 一 この法律の規定(この法律において準用する公庫法の規定を含む。)により主務大臣の認可を受け、又は承認を得なければならない場合において、その認可を受けず、又は承認を得なかつたとき。

 二 第七条第三項において準用する公庫法第十九条の規定に違反して貸付をしたとき。

 三 第九条第一項の規定又は同条第二項において準用する公庫法第二十条第三項の規定に違反して貸付金の限度をこえて貸付を行つたとき。

 四 第九条第二項において準用する公庫法第二十条第五項の規定に違反して公表を怠り、又は不実の公表をしたとき。

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。但し、附則第二項中住宅金融公庫法第十六条の改正規定に係る部分は、昭和二十八年四月一日から適用する。

2 住宅金融公庫法の一部を次のように改正する。

 第一条に次の一項を加える。

2 住宅金融公庫は、前項に規定するものの外、産業労働者住宅資金融通法(昭和二十八年法律第六十三号)に基き、産業労働者住宅の建設に必要な資金を融通することを目的とする。

 第十六条の見出しを「(役職員の地位及び給与)」に改め、同条に次の二項を加える。

2 公庫の役員及び職員は、国家公務員としての給与を受ける。但し、総裁は、公庫の役員及び職員に対して、その受ける俸給の百分の二十に相当する金額をこえない範囲内において、主務大臣の承認を受けて、特別手当を支給することができる。この場合において、主務大臣が承認を与えようとするときは、人事院に協議しなければならない。

3 前項の特別手当は、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)の規定による俸給とはしない。

 第十七条第一項中「第一条」を「第一条第一項」に改める。

 第十七条第三項各号列記以外の部分中「前二項」を「前三項」に改め、同項を第四項とし、第二項の次に次の一項を加える。

3 公庫は、前二項に規定する業務の外、産業労働者住宅資金融通法(以下「融通法」という。)第七条に規定する資金貸付の業務を行う。

 第二十四条第二項中「前条第二項に規定する」を削る。

 第二十八条第三項中「資金のうち、」を「資金を郵便振替貯金とし、又は」に、「必要な金額を限り」を「必要な金額の範囲内において」に改める。

 第三十条中「金融機関」の下に「(融通法第十条第一項の規定により委託を受けた金融機関を含む。)」を加える。

 第三十一条第二項中「この法律」の下に「及び融通法」を加える。

 第三十二条第一項第一号中「若しくはこの法律に基く命令又は」を「若しくは融通法又はこれらの法律に基く命令若しくは」に改める。

 第三十三条第一項中「金融機関」の下に「若しくは融通法第十条第一項の規定により委託を受けた地方公共団体若しくは金融機関」を加える。

3 郵便振替貯金法(昭和二十三年法律第六十号)の一部を次のように改正する。

  第六十三条の次に次の一条を加える。

 第六十三条の二 (住宅金融公庫の償還金)第五十八条から第六十一条までの規定は、住宅金融公庫法(昭和二十五年法律第百五十六号)による住宅金融公庫又は住宅金融公庫から業務の委託を受けた金融機関を加入者とし、当該加入者に住宅金融公庫の貸付に係る償還金を納付するための払込金又は振替金のみを当該口座に受け入れるための取扱について、これを準用する。

 2 前項の償還金を納付するために払い込む場合における払込の料金は、第十八条第一項の規定にかかわらず、十円、即時払の料金は、八円とする。

4 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条第二十三号の二中「住宅金融公庫法(昭和二十五年法律第百五十六号)」の下に「及び産業労働者住宅資金融通法(昭和二十八年法律第六十三号)」を加える。

5 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。

 第十二条第一項第六号の次に次の一号を加える。

 六の二 産業労働者住宅資金の融通に関すること。

(大蔵・郵政・労働・建設・内閣総理大臣署名) 

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