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法律第六十五号(昭二八・七・一七)

  ◎木船再保険法

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、政府が、木船相互保険組合(船主相互保険組合法(昭和二十五年法律第百七十七号)第二条第二項に定める木船相互保険組合をいう。以下「組合」という。)が同法の規定による保険事業によつてその組合員に対して負う保険責任を再保険し、もつて組合の健全な経営を確保することを目的とする。

 (再保険)

第二条 政府は、組合が船主相互保険組合法の規定による保険事業によつてその組合員に対して負う保険責任を再保険するものとする。

 (再保険関係の成立)

第三条 政府と組合との間の再保険関係は、組合とその組合員との間の保険関係の成立により、その成立の時において、成立する。

 (再保険金額)

第四条 再保険金額は、保険金額の百分の七十とする。

 (再保険料率)

第五条 再保険料率は、組合の保険料率に政令で定める割合を乗じたものとする。

2 前項の割合は、すべての組合の保険料の合計額から組合の通常の事務費の合計額を控除した額とすべての組合の保険料の合計額との割合を基準として定める。

 (政府の支払うべき再保険金の金額)

第六条 政府が支払うべき再保険金の金額は、組合が支払うべき保険金の金額の百分の七十とする。

 (再保険料の分割納付)

第七条 政府は、組合が、当該組合の定款で定めるところにより組合員から保険料を分割して徴収するときは、その徴収する当該保険料に対応するように再保険料を分割して納付させてもよい。

 (再保険料の払いもどし)

第八条 政府は、組合が、その組合の定款で定めるところにより保険料の払いもどしをしたときは、政令で定めるところにより、その組合に対し、再保険料の一部を払いもどすことができる。

 (保険関係に関する事項の通知)

第九条 組合は、その組合員との間に保険関係が成立したときは、運輸省令で定めるところにより、遅滞なく、当該保険関係に関する事項を運輸大臣に通知しなければならない。通知した事項に変更を生じたときも、同様とする。

 (保険事故発生の通知)

第十条 組合は、組合が負担した危険の発生によつて損害が生じたと認めるときは、運輸省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を運輸大臣に通知しなければならない。

 (再保険の免責)

第十一条 左の場合には、政府は、再保険金の全部又は一部につき支払の責を免かれる。

 一 組合が法令又は定款に違反して保険金を支払つたとき。

 二 組合が損害額を不当に認定して保険金を支払つたとき。

 三 組合が不正の目的をもつて、前二条の規定による通知を怠り、又は虚偽の通知をしたとき。

 (組合が委付等により取得した権利)

第十二条 政府が組合に対して再保険金を支払おうとする場合において、組合が当該保険関係に係る委付又は代位により取得した権利があるときは、運輸大臣は、その一切の権利の適正な行使が行われるように、その行使の方法について審査しなければならない。

第十三条 再保険金の支払を受けた組合は、当該保険関係に係る委付又は代位により取得した権利を行使した場合には、その行使によつて得た金額から行使に要した費用を控除した額の百分の七十に相当する金額を、遅滞なく、政府に納付しなければならない。

 (報告等)

第十四条 運輸大臣は、この法律に規定する再保険事業の健全な経営を確保するため必要があると認めるときは、組合に対し、その事業に関し、報告を求め、又は帳簿書類の提出を命ずることができる。

 (検査等)

第十五条 運輸大臣は、この法律に規定する再保険事業の健全な経営を確保するため必要があると認めるときは、その職員に、組合の事務所に立ち入り、その帳簿書類その他業務に関係のある物件を検査させることができる。

2 前項の職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係人にこれを呈示しなければならない。

3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のため認められたものと解してはならない。

 (再保険事業に関する事務費の繰入)

第十六条 政府は、この法律に規定する再保険事業の業務の執行に要する経費に相当する金額を、毎会計年度、予算で定めるところにより一般会計から木船再保険特別会計に繰り入れるものとする。

 (短期時効)

第十七条 再保険金の支払の義務及び再保険料の払いもどしの義務は二年、再保険料の支払の義務は一年を経過したときは、時効によつて消滅する。

 (審査の請求)

第十八条 組合は、再保険に関する政府の処分につき不服があるときは、運輸大臣に対し、審査の請求をすることができる。

2 前項の規定による審査の請求があつたときは、運輸大臣は、木船再保険審査会の審査を経て裁決する。

3 第一項の審査の請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。

 (木船再保険審査会)

第十九条 運輸省に、木船再保険審査会を置く。

2 木船再保険審査会は、前条第二項の規定によりその権限に属する事項を処理する。

第二十条 木船再保険審査会は、委員四人をもつて組織する。

2 委員は、左に掲げる者につき運輸大臣が任命する。

 一 大蔵省の職員 一人

 二 運輸省の職員 一人

 三 組合の役員 一人

 四 学識経験のある者 一人

3 委員は、非常勤とする。

4 前三項に規定するものの外、木船再保険審査会の委員及び運営に関し必要な事項は、運輸省令で定める。

 (罰則)

第二十一条 左の各号の一に該当する場合においては、その行為をした組合の役員、使用人又は代理人は、三万円以下の罰金に処する。

 一 第十四条の規定による報告をせず、若しくは帳簿書類を提出せず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の記載をした帳簿書類を提出したとき。

 二 第十五条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。

   附 則

1 この法律は、昭和二十八年八月一日から施行する。

2 この法律の施行の際現に組合とその組合員との間に保険関係が存する場合は、この法律の施行により、当該保険関係に関する政府と組合との間の再保険関係が、この法律の施行の日に成立するものとする。

3 前項の規定により成立した再保険関係に係る再保険料は、当該再保険関係に係る組合とその組合員との間の保険関係に係る保険料のうち、再保険関係の成立の日前の期間に係るものに対応する再保険料を含まないものとする。

4 組合は、附則第二項の規定により政府と組合との間に再保険関係が成立したときは、運輸省令で定めるところにより、遅滞なく、当該保険関係に関する事項を運輸大臣に通知しなければならない。通知した事項に変更を生じたときも、同様とする。

5 第十一条(同条第三号の場合に限る。)の規定は、前項の規定による通知に関して準用する。

6 木船保険法(昭和十八年法律第三十九号)は、廃止する。但し、この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

7 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。

  第五条第九号ノ六の次に次の一号を加える。

  九ノ七 木船相互保険組合ノ発スル証書、帳簿

8 通輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第十五号の三の次に次の一号を加える。

  十五の四 木船相互保険組合の設立を認可し、及び木船再保険事業を行うこと。

  第二十三条第一項第七号を次のように改める。

  七 木船相互保険組合の設立の認可及び木船再保険事業に関すること。

  第三十八条第一項の表中水先審議会の項の次に次の一項を加える。

木船再保険審査会

運輸大臣の諮問に応じ木船再保険法(昭和二十八年法律第六十五号)第十八条第二項に規定する審査を行うこと。

9 船主相互保険組合法の一部を次のように改正する。

  第十二条第二項中「百隻以上」を「百隻以上(木船相互保険組合にあつては三百隻以上)」に改める。

  第四十三条に次の一項を加える。

 2 主務大臣は、木船相互保険組合について前項の保険金の削減の認可をする場合には、保険金の削減によつて、木船相互保険組合が組合員に対して支払う保険金の額が政府から支払を受ける再保険金の額を下ることとならないようにしなければならない。

  第五十四条に次の一項を加える。

 5 大蔵大臣は、第十六条第二項第三号に掲げる書類に定めた事項のうち保険料に関する事項(木船相互保険組合に関するものに限る。)について、同条第四項の規定により変更の認可をし、又は第五十一条の規定により変更の命令をしようとするときは、あらかじめ、運輸大臣に協議しなければならない。

(大蔵・運輸・内閣総理大臣署名) 

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