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法律第十七号(昭三四・三・一七)

 ◎首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条―第三条)

 第二章 制限施設(第四条―第十一条)

 第三章 雑則(第十二条―第十六条)

 第四章 罰則(第十七条―第十九条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、工業等制限区域について、大規模な工場、大学その他人口の増大をもたらす原因となる施設の新設を制限し、もつて既成市街地への産業及び人口の過度の集中を防止することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律で「既成市街地」とは、首都圏整備法(昭和三十一年法律第八十三号)第二条第三項に規定する区域をいう。

2 この法律で「作業場」とは、製造業(物の加工業を含み、政令で定める業種に属するものを除く。以下同じ。)の用に供する工場の作業場をいう。

3 この法律で「教室」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学(政令で定める大学を除くものとし、以下単に「大学」という。)又は同法第八十三条第一項に規定する各種学校(政令で定める各種学校を除くものとし、以下単に「各種学校」という。)の教室をいう。

4 この法律で「制限施設」とは、一の団地内にある作業場又は教室で、その床面積の合計がそれぞれ基準面積以上であるものをいう。

5 この法律で「基準面積」とは、作業場については工場の種類に従つて千六百平方メートル以上で政令で定める面積、大学の教室については二千平方メートル、各種学校の教室については千平方メートルをいう。

6 この法律で「学校」とは、大学及び各種学校をいう。

 (工業等制限区域)

第三条 既成市街地のうち、東京都の特別区、武蔵野市又は三鷹市の区域に属する区域を工業等制限区域とする。ただし、政令で定める区域を除く。

   第二章 制限施設

 (新設の制限)

第四条 工業等制限区域内においては、制限施設を新設してはならない。ただし、東京都知事(以下「知事」という。)の許可を受けたときは、この限りでない。

2 次の各号の一に該当するときは、その用途変更、利用、新築及び増築は、制限施設の新設とみなす。

 一 制限施設以外の施設(以前に制限施設であつたことのある施設を除く。)の用途を変更し、又はなんらの用途に供されていない施設(以前に制限施設であつたことのある施設を除くものとし、以下「遊休施設」という。)を製造業又は学校に利用することによつて、その施設を制限施設とするとき。

 二 既存の作業場又は教室と同一の団地内において、作業場若しくは教室を新築し、若しくは増築し、又は作業場及び教室以外の施設(以前に制限施設であつたことのある施設を除く。)の用途を変更し、若しくは遊休施設を製造業若しくは学校に利用することによつて、当該既存の作業場又は教室の床面積を増加させる場合において、増加後の作業場又は教室の床面積の合計がそれぞれ基準面積以上のものであるとき。

 (適用除外)

第五条 前条第一項ただし書の許可を受けて制限施設を新設した者が、当該制限施設の床面積を増加させる場合には、同条第二項第二号の規定を適用しない。

 (経過措置)

第六条 一の地域が工業等制限区域となつた際現にその区域内において施行されている工事(用途変更又は遊休施設の利用のための作業を含む。以下同じ。)に係る制限施設の新設については、第四条第一項の規定を適用しない。

2 一の地域が工業等制限区域となつた際現にその区域内に存した作業場又は教室につき、その後にその用途を変更し、若しくはその施設がなんらの用途に供されなくなつた後これを利用してその施設を制限施設とし、又はその床面積を増加させる場合には、第四条第二項第一号の規定を適用せず、また、その地域が工業等制限区域となつた際におけるその作業場又は教室の床面積を同項第二号に規定する床面積の合計に算入しない。

3 前項の規定の適用については、一の地域が工業等制限区域となつた際現に施行されていた工事に係る作業場若しくは教室又は以前に製造業若しくは学校の用に供されていたことがあり、かつ、一の地域が工業等制限区域となつた際現になんらの用途に供されていなかつた作業場若しくは教室は、その地域が工業等制限区域となつた際現に存したものとみなす。

4 一の地域が工業等制限区域となつた際現にその区域内において作業場又は教室を製造業又は学校の用に供していた者であつて、その地域が工業等制限区域となつた日から起算して六箇月以内に政令で定める事項を知事に届け出たものが、当該作業場又は教室の床面積を増加させる場合には、第四条第二項第二号の規定を適用しない。

5 前項の規定の適用については、一の地域が工業等制限区域となつた際現に製造業又は学校の用に供するため作業場又は教室の工事を施行していた者は、その地域が工業等制限区域となつた際現にその作業場又は教室を製造業又は学校の用に供していたものとみなす。

6 第二条第二項、第三項又は第五項の規定に基く政令の改正により制限施設の範囲が拡張された場合における必要な経過措置については、前五項の規定に準じて政令で定める。

 (許可の申請)

第七条 第四条第一項ただし書の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名及び住所

 二 制限施設の種類及び作業場にあつては工場の種類

 三 制限施設の所在地

 四 制限施設の床面積

 五 工業等制限区域内に制限施設を新設しようとする理由

2 前項の申請書には、制限施設に係る敷地及び建築物の配置図その他政令で定める書類を添附しなければならない。

 (許可の基準)

第八条 知事は、第四条第一項ただし書の許可の申請があつたときは、次の各号の一に該当する場合でなければ、許可をしてはならない。

 一 当該制限施設の新設が、工業等制限区域内における人口の増大をもたらすこととならないと認められるとき。

 二 当該制限施設の新設によつて、工業等制限区域内における住民又は他の事業者がその生活上又は事業経営上現に受けており、又は将来受けるべき著しい不便が排除されると認められるとき。

 三 工業等制限区域外において申請者が当該申請に係る事業を経営することが著しく困難であると認められるとき。

 四 その他政令で定める場合に該当するとき。

2 知事は、第四条第一項ただし書の規定により許可又は不許可の処分をするには、あらかじめ、関係行政機関の長の承認を受けなければならない。

 (許可等の承継)

第九条 第四条第一項ただし書の許可を受け、又は第六条第四項(同条第六項の規定に基く政令でこれに準ずる条項が設けられた場合における当該条項を含む。以下同じ。)の届出をした者がその許可又は届出に係る作業場又は教室(これと同一の団地内にある作業場又は教室を含む。)をその用に供している製造業又は学校につき事業の譲渡又は学校の設置者の変更が行われた場合において、その譲受人又は新たな設置者が事業の譲渡又は設置者の変更が行われた日から起算して六箇月以内に政令で定める事項を知事に届け出たときは、その者は、当該許可を受け、又は届出をした者の地位を承継する。

2 第四条第一項ただし書の許可を受け、又は第六条第四項の届出をした者につき、相続又は合併が行われた場合において、相続人又は合併後存続し若しくは合併により設立した法人が相続又は合併が行われた日から起算して六箇月以内に政令で定める事項を知事に届け出たときも、前項と同様とする。

 (許可の取消)

第十条 知事は、第四条第一項ただし書の許可を受けた者が、正当な理由がないのに一年以内に許可を受けた制限施設の新設の工事に着手しないときは、その許可を取り消すことができる。

2 知事は、前項の規定により許可を取り消すには、あらかじめ、関係行政機関の長の承認を受けなければならない。

 (違反に対する措置)

第十一条 知事は、第四条第一項の規定に違反して新設された制限施設を製造業又は学校の用に供している者に対し、その違反を是正するに必要な限度で、当該制限施設の使用制限を命ずることができる。

   第三章 雑則

 (立入検査)

第十二条 知事は、第六条第四項の規定による届出があつたとき、又は前条の規定による処分をしようとするときは、その職員に、当該届出又は処分に係る工場又は学校に立ち入り、制限施設その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (聴聞)

第十三条 知事は、第十条第一項又は第十一条の規定による処分をしようとするときは、その処分に係る者に対し、相当な期間をおいて予告した上、公開による聴聞を行わなければならない。

2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。

3 聴聞に際しては、その処分に係る者及び利害関係人に対し、その事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。

 (訴願)

第十四条 この法律の規定による知事の処分に対し不服のある者は、内閣総理大臣に訴願を提起することができる。

2 内閣総理大臣は、訴願の裁決をするにあたつては、首都圏整備委員会及びその他の関係行政機関の長の意見を聞かなければならない。

3 前項に規定するものを除くほか、第一項の訴願については、訴願法(明治二十三年法律第百五号)の定めるところによる。

 (国に対する適用)

第十五条 この法律の規定は、前条及び第四章の規定を除き、国に対し適用があるものとする。この場合において、「許可」とあるのは、「承認」と読み替えるものとする。

 (他の法律の適用)

第十六条 この法律は、製造業又は学校につき、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)、学校教育法その他の関係法律の適用を妨げるものではない。

   第四章 罰則

第十七条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第四条第一項の規定に違反して制限施設を新設した者

 二 第十一条の規定による命令に違反した者

第十八条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

 一 第六条第四項又は第九条第一項若しくは第二項に規定する届出に関し、虚偽の届出をした者

 二 第十二条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

第十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

   附 則

1 この法律は、昭和三十四年四月一日から施行する。

2 首都圏整備法の一部を次のように改正する。

  第十六条第一項中「委員会の事務」を「委員会の事務のほか、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律(昭和三十四年法律第十七号)の施行に関する事務」に改める。

  第十七条第三項第二号を次のように改める。

  二 首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律の施行に関すること。

(内閣総理大臣・大蔵・文部・厚生・農林・通商産業・運輸大臣署名) 

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