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法律第四十六号(昭三四・三・二六)

  ◎国内旅客船公団法

目次

 第一章 総則(第一条―第八条)

 第二章 役員及び職員(第九条―第十八条)

 第三章 業務(第十九条・第二十条)

 第四章 財務及び会計(第二十一条―第三十条)

 第五章 監督(第三十一条・第三十二条)

 第六章 雑則(第三十三条・第三十四条)

 第七章 罰則(第三十五条―第三十七条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 国内旅客船公団は、国内旅客船の整備について、その資金の調達が困難である海上旅客運送事業者等に協力することにより、民生の安定に必要な航路の維持及び改善に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「海上旅客運送事業者」とは、海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第三条第一項(一般旅客定期航路事業に係る部分に限る。)又は第二十一条第一項(これらの規定を同法第四十四条において準用する場合を含む。)の規定による免許又は許可を受けた者をいう。

2 この法律において「国内旅客船」とは、海上旅客運送事業者の事業の用に供する船舶であつて、もつぱら遊覧の用に供するもの以外のものをいう。

3 この法律において「旅客船貸渡業者」とは、国内旅客船の貸渡(期間傭船を含む。)をする事業を営む者であつて、運輸大臣の指定するものをいう。

 (法人格)

第三条 国内旅客船公団(以下「公団」という。)は、法人とする。

 (事務所)

第四条 公団は、事務所を東京都に置く。

 (資本金)

第五条 公団の資本金は、二億円とし、政府がその全額を出資するものとする。

 (登記)

第六条 公団は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。

2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 (名称使用の制限)

第七条 公団でない者は、国内旅客船公団という名称を用いてはならない。

 (民法の準用)

第八条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、公団について準用する。

   第二章 役員及び職員

 (役員)

第九条 公団に、役員として、理事長一人、理事二人以内及び監事一人を置く。

 (役員の職務及び権限)

第十条 理事長は、公団を代表し、その業務を総理する。

2 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して公団の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。

3 監事は、公団の業務を監査する。

 (役員の任命)

第十一条 理事長及び監事は、運輸大臣が任命する。

2 理事は、理事長が運輸大臣の認可を受けて任命する。

 (役員の任期)

第十二条 役員の任期は、四年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 役員は、再任されることができる。

 (役員の欠格条項)

第十三条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。

 一 国会議員、国家公務員(審譲会、協議会等の委員その他これに準ずる地位にある者であつて、非常勤のものを除く。)、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員

 二 海上旅客運送事業者、旅客船貸渡業者若しくは船舶若しくは船舶用機関の製造若しくは修繕の事業を営む者又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)

 三 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)

 (役員の解任)

第十四条 運輸大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。

2 運輸大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。

 一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。

 二 職務上の義務違反があるとき。

3 理事長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。

 (役員の兼職禁止)

第十五条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。

 (代表権の制限)

第十六条 公団と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が公団を代表する。

 (職員の任命)

第十七条 公団の職員は、理事長が任命する。

 (役員及び職員の公務員たる性質)

第十八条 役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

   第三章 業務

 (業務の範囲)

第十九条 公団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。

 一 海上旅客運送事業者又は旅客船貸渡業者と費用を分担して国内旅客船を建造し、又は改造すること。

 二 前号の規定により建造し、又は改造した国内旅客船を海上旅客運送事業者に国内旅客船として使用させること。

 三 第一号の規定により建造し、又は改造した国内旅客船を海上旅客運送事業者又は旅客船貸渡業者に譲渡すること。

 四 前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

 (業務方法書)

第二十条 公団は、業務開始の際、運輸大臣の指示する方針に従つて業務方法書を作成し、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、運輪省令で定める。

   第四章 財務及び会計

 (事業年度)

第二十一条 公団の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。

 (予算等の認可)

第二十二条 公団は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、事業年度開始前に、運輪大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (決算)

第二十三条 公団は、毎事業年度の決算を翌年度の七月三十一日までに完結しなければならない。

 (財務諸表)

第二十四条 公団は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後二月以内に運輸大臣に提出し、その承認を受けなければならない。

2 公団は、前項の規定により財務諸表を運輸大臣に提出するときは、これに予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添附しなければならない。

 (利益及び損失の処理並びに納付金)

第二十五条 公団は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額のうち、政令で定める基準により計算した額を積立金として積み立てなければならない。

2 公団は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。

3 公団は、第一項に規定する残余の額から同項の規定により積立金として積み立てた額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。

4 前項の規定による納付金に関し、納付の手続その他必要な事項は、政令で定める。

 (借入金及び旅客船債券)

第二十六条 公団は、運輸大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は旅客船債券を発行することができる。

2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができない金額に限り、運輸大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。

3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。

4 第一項の規定による旅客船債券の債権者は、公団の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

5 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

6 公団は、運輸大臣の認可を受けて、旅客船債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。

7 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条まで(受託会社の権限及び義務)の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。

8 第一項及び第四項から前項までに定めるもののほか、旅客船債券に関し必要な事項は、政令で定める。

 (償還計画)

第二十七条 公団は、毎事業年度、長期借入金及び旅客船債券の償還計画をたてて、運輸大臣の認可を受けなければならない。

 (余裕金の運用)

第二十八条 公団は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

 一 国債の取得

 二 銀行への預金又は郵便貯金

 (給与及び退職手当の基準)

第二十九条 公団は、役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定め、運輸大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (運輸省令への委任)

第三十条 この法律及びこれに基く政令に規定するもののほか、公団の財務及び会計に関し必要な事項は、運輸省令で定める。

   第五章 監督

 (監督)

第三十一条 公団は、運輸大臣が監督する。

2 運輸大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公団に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。

 (報告及び検査)

第三十二条 運輸大臣は、必要があると認めるときは、公団に対して業務及び資産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に公団の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により職員が立入検査をする場合は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

   第六章 雑則

 (解散)

第三十三条 公団の解散については、別に法律で定める。

 (大蔵大臣との協議)

第三十四条 運輸大臣は、次の場合には、大蔵大臣と協議しなければならない。

 一 第二十条第一項、第二十二条、第二十六条第一項、第二項ただし書若しくは第六項又は第二十七条の規定による認可をしようとするとき。

 二 第二十条第二項又は第三十条の規定により運輸省令を定めようとするとき。

 三 第二十四条第一項又は第二十九条の規定による承認をしようとするとき。

   第七章 罰則

 (罰則)

第三十五条 第三十二条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした公団の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。

第三十六条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした公団の役員又は職員は、三万円以下の過料に処する。

 一 この法律の規定により運輸大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。

 二 この法律に規定する業務以外の業務を行つたとき。

 三 第六条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠つたとき。

 四 第二十八条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。

 五 第三十一条第二項の規定による運輸大臣の命令に違反したとき。

第三十七条 第七条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。

   附 側

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (公団の設立)

第二条 運輸大臣は、公団の理事長又は監事となるべき者を指名する。

2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、公団の設立の時において、この法律の規定によりそれぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。

第三条 運輸大臣は、設立委員を命じて、公団の設立に関する事務を処理させる。

2 設立委員は、設立の準備を完了したときは、遅滞なく、政府に対して出資金の払込の請求をしなければならない。

3 設立委員は、出資金の払込があつた日において、その事務を前条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。

第四条 附則第二条第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前条第三項の規定による事務の引継を受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。

2 公団は、設立の登記をすることによつて成立する。

 (経過規定)

第五条 この法律の施行の際現に国内旅客船公団という名称を使用している者は、この法律の施行後六月以内にその名称を変更しなければならない。この場合において、第七条の規定は、当該期間内は、これらの者には適用しない。

第六条 公団の最初の事業年度は、第二十一条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和三十五年三月三十一日に終るものとする。

第七条 公団の最初の事業年度の予算、事業計画及び資金計画については、第二十二条中「事業年度開始前に」とあるのは、「公団の成立後遅滞なく」と読み替えるものとする。

第八条 公団は、運輸大臣の指定する旅客船貸渡業者が所有する国内旅客船であつて、昭和三十四年一月一日から公団の成立の日までに製造に着手したものについて、その建造に要した費用の一部を負担することができる。

2 前項の規定により公団が建造に要した費用の一部を負担した国内旅客船は、第十九条第二号から第四号までの規定の適用については、同条第一号の規定により建造した国内旅客船とみなす。

 (登録税法の改正)

第九条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第十九条第一号ノ九の次に次の一号を加える。

  一ノ十 国内旅客船公団自己ノ為ニスル登記又ハ登録

 (印紙税法の改正)

第十条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。

  第五条第六号ノ五ノ六の次に次の一号を加える。

  六ノ五ノ七 国内旅客船公団ノ発スル証書、帳簿

 (所得税法の改正)

第十一条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項第四号の八の次に次の一号を加える。

  四の九 国内旅客船公団

 (法人税法の改正)

第十二条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。

  第四条第二号中「森林開発公団」の下に「、国内旅客船公団」を加える。

 (地方税法の改正)

第十三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十二条の四第一項第二号中「森林開発公団」の下に「、国内旅客船公団」を加える。

 (行政管理庁設置法の改正)

第十四条 行政管理庁設置法(昭和二十三年法律第七十七号)の一部を次のように改正する。

  第二条第十二号中「森林開発公団」の下に「、国内旅客船公団」を加える。

 (運輸省設置法の改正)

第十五条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第十五号の二の二の次に次の一号を加える。

  十五の二の三 国内旅客船公団を監督すること。

  第二十三条第一項第三号の次に次の一号を加える。

  三の二 国内旅客船公団に関すること。

 (離島航路整備法の改正)

第十六条 離島航路整備法(昭和二十七年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  附則第二項中「十年以内」を「昭和三十四年三月三十一日まで」に改める。

(内閣総理・法務・大蔵・運輸大臣署名) 

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