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法律第百三号(昭三九・六・一六)

  ◎繊維工業設備等臨時措置法

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 設置及び使用の制限(第三条―第十六条)

 第三章 精紡機の使用の停止(第十七条―第二十六条)

 第四章 繊維工業審議会(第二十七条―第三十四条)

 第五章 雑則(第三十五条―第四十五条)

 第六章 罰則(第四十六条―第五十条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、繊維工業設備の設置及び使用を規制し、並びに過剰精紡機の廃棄の促進等に必要な措置を講ずることにより、繊維工業の合理化を図るとともに、繊維製品の正常な輸出の発展に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「精紡機」とは、リング精紡機、キャップ精紡機、フライヤー精紡機、ミュール精紡機及びポット精紡機をいい、黄麻精紡機及び無機質繊維精紡機を除く。

2 この法律において、「幅出機」とは、クリップ式幅出機、ピン式幅出機(円型のものを除く。)、クリップ式幅出乾燥機及びピン式幅出乾燥機をいい、通商産業省令で定める部分の長さが十三センチメートル未満のものを除く。

   第二章 設置及び使用の制限

 (設置の制限)

第三条 精紡機又は幅出機は、繊維工業設備台帳に登録を受けたものでなければ、設置してはならない。ただし、通商産業省令で定めるところにより精紡機若しくは糸又は幅出機若しくは生地の試験又は研究の用に供するため精紡機又は幅出機を設置する場合は、この限りでない。

 (登録の区分)

第四条 前条の登録は、精紡機にあつてはこの法律の施行の日から三年を経過する日までは別表第一に掲げる精紡機の区分、その日後は別表第二に掲げる精紡機の区分により、幅出機にあつては別表第三に掲げる幅出機の区分により行なう。

2 同一の精紡機又は幅出機については、前項の規定による登録の区分(以下単に「登録の区分」という。)の二以上について前条の登録を受けることができない。

3 この法律の施行の日から三年を経過した日において、別表第一第一号から第三号までに掲げる登録の区分により前条の登録を受けている精紡機は、その日以後は、別表第二第一号に掲げる登録の区分により、別表第一第四号に掲げる登録の区分により同条の登録を受けている精紡機は、その日以後は、別表第二第二号に掲げる登録の区分により同条の登録を受けたものとみなす。

 (使用の制限)

第五条 第三条の登録を受けた精紡機は、その精紡機の登録の区分に係る糸以外の糸の製造の用に供してはならない。ただし、精紡機又は糸の試験又は研究の用に供する場合その他通商産業省令で定める場合において、通商産業大臣の許可を受けたときは、この限りでない。

2 第三条の登録を受けた幅出機は、その幅出機の登録の区分に係る生地以外の生地の精練、漂白、染色又は整理(以下「加工」と総称する。)の用に供してはならない。ただし、幅出機又は生地の試験又は研究の用に供する場合その他通商産業省令で定める場合において、通商産業大臣の許可を受けたときは、この限りでない。

 (登録の申請)

第六条 第三条の登録を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。

 一 精紡機又は幅出機の種類及び型式並びに精紡機にあつては錘の数、幅出機にあつては通商産業省令で定める部分の長さ(以下「働き長さ」という。)

 二 登録の区分

 三 氏名又は名称及び住所

 四 精紡機又は幅出機の設置の場所

 五 精紡機又は幅出機をもつて第十五条第二項の規定による届出に係る精紡機又は幅出機に代える場合は、当該届出に係る精紡機又は幅出機の従前の登録番号

 (登録の基準等)

第七条 通商産業大臣は、前条の申請書を受理した場合において、当該申請が次の各号の一に適合していると認めるときは、登録をしなければならない。

 一 精紡機又は幅出機をもつて第十五条第二項の規定による届出に係る精紡機(第二十一条第一項の規定による命令により糸の製造の用に供することを停止されたもの(以下「過剰精紡機」という。)を除く。)又は幅出機に代える場合(幅出機にあつては、当該届出に係る幅出機と同一の種類の幅出機をもつて当該届出に係る幅出機に代える場合に限る。)において、当該精紡機又は幅出機の錘の数又は働き長さが当該届出に係る精紡機又は幅出機の錘の数又は働き長さの範囲内であり、かつ、当該精紡機又は幅出機について受けようとする登録の区分が当該届出に係る精紡機又は幅出機の従前の登録の区分と同一であるとき。

 二 精紡機をもつて第十五条第二項の規定による届出に係る過剰精紡機に代える場合において、当該精紡機の錘の数が当該届出に係る過剰精紡機の錘の数に政令で定める比率を乗じて得た錘の数の範囲内であり、かつ、当該精紡機について受けようとする登録の区分が当該届出に係る過剰精紡機の従前の登録の区分と同一であるとき。

 三 精紡機をもつて第十五条第二項の規定による届出に係る過剰精紡機であつて別表第一第二号及び第三号に掲げる登録の区分に係るものに代える場合において、当該精紡機の錘の数が当該届出に係る過剰精紡機であつて同表第二号及び第三号に掲げる登録の区分に係るものの錘の数に前号の政令で定める比率を乗じて得た錘の数の範囲内であり、かつ、当該精紡機について受けようとする登録の区分が同表第一号に掲げる登録の区分であるとき。

 四 幅出機が別表第三第二号に掲げる登録の区分に係るものであるとき。

2 前項第一号から第三号までに規定する第十五条第二項の規定による届出に係る精紡機又は幅出機の鍾の数又は働き長さの計算の方法は、通商産業省令で定める。

3 第一項第一号の規定の適用については、クリップ式幅出機とピン式幅出機と、クリップ式幅出乾燥機とピン式幅出乾燥機とは、それぞれ同一の種類とみなす。

4 通商産業大臣は、第一項第二号の政令の立案をするには、この法律の施行の際現に旧織維工業設備臨時措置法(昭和三十一年法律第百三十号)第二条第一項の登録を受けている精紡機の錘の数並びに昭和三十九年度及び昭和四十三年度における繊維製品の需給状況に基づいて算定される当該各年度において必要となるべき精紡機の錘の数を勘案し、かつ、繊維工業審議会の意見をきいてしなければならない。

 (変更登録の申請)

第八条 第三条の登録を受けた者は、その登録を受けた精紡機又は幅出機の登録の区分の変更の登録(以下「変更登録」という。)を受けようとするときは、次の事項を記載した申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。

 一 精紡機又は幅出機の変更前の登録の区分及び登録番号並びに精紡機にあつては錘の数、幅出機にあつては種類及び働き長さ

 二 変更後の登録の区分

 三 第六条第五号に掲げる事項

 (変更登録の基準)

第九条 通商産業大臣は、前条の申請書を受理した場合において、当該申請が次の各号の一に適合していると認めるときは、変更登録をしなければならない。

 一 精紡機又は幅出機をもつて第十五条第二項の規定による届出に係る精紡機(過剰精紡機を除く。)又は幅出機に代える場合(幅出機にあつては、当該届出に係る幅出機と同一の種類の幅出機をもつて当該届出に係る幅出機に代える場合に限る。)において、当該精紡機又は幅出機の錘の数又は働き長さが当該届出に係る精紡機又は幅出機の錘の数又は働き長さの範囲内であり、かつ、当該精紡機又は幅出機の登録の区分を当該届出に係る精紡機又は幅出機の従前の登録の区分と同一の区分に変更するとき。

 二 精紡機をもつて第十五条第二項の規定による届出に係る過剰精紡機に代える場合において、当該精紡機の錘の数が当該届出に係る過剰精紡機の錘の数に第七条第一項第二号の政令で定める比率を乗じて得た錘の数の範囲内であり、かつ、当該精紡機の登録の区分を当該届出に係る過剰精紡機の従前の登録の区分と同一の区分に変更するとき。

 三 精紡機をもつて第十五条第二項の規定による届出に係る過剰精紡機であつて別表第一第二号及び第三号に掲げる登録の区分に係るものに代える場合において、当該精紡機の錘の数が当該届出に係る過剰精紡機であつて同表第二号及び第三号に掲げる登録の区分に係るものの錘の数に第七条第一項第二号の政令で定める比率を乗じて得た錘の数の範囲内であり、かつ、当該精紡機の登録の区分を同表第一号に掲げる登録の区分に変更するとき。

 四 一の登録の区分に係る精紡機(過剰精紡機を除く。以下この号において同じ。)又は幅出機の登録の区分を他の登録の区分に変更し、同時に、当該他の登録の区分に係る精紡機又は幅出機(当該一の登録の区分に係る幅出機と同一の種類のものに限る。)を当該一の登録の区分に変更する場合であつて、その変更に係る精紡機又は幅出機の錘の数又は働き長さが等しいとき。

2 前項第一号から第三号までに規定する第十五条第二項の規定による届出に係る精紡機又は幅出機の錘の数又は働き長さの計算の方法は、第七条第二項の通商産業省令で定めるところによる。

3 第七条第三項の規定は、第一項第一号及び第四号の規定を適用する場合に準用する。

 (糸の製造の能力の不足の場合における登録等)

第十条 通商産業大臣は、一の登録の区分に係る糸の製造の能力が著しく不足し、又は不足するおそれがあると認めるときは、繊維工業審議会の意見をきいて、当該登録の区分に係る糸の需給状況及び当該登録の区分に係る第三条の登録を受けた精紡機の錘の数に基づき、当該登録の区分について、第十五条第二項の規定による届出に係る過剰精紡機の錘の数に第七条第一項第二号の政令で定める比率を乗じて得た錘の数の範囲内で精紡機をもつて当該届出に係る過剰精紡機に代える場合に第三条の登録又は第八条の変更登録を受けることができる精紡機の錘の数を定め、これを公告しなければならない。

2 前項の規定による公告においては、次条の申請書を提出すべき期間として十日以上の期間を定めておかなければならない。

第十一条 前条第一項の規定による公告があつた場合において、第三条の登録を受けようとする者は第六条各号に掲げる事項を記載した申請書、第八条の変更登録を受けようとする者は同条各号に掲げる事項を記載した申請書を、前条第二項の期間内に、通商産業大臣に提出しなければならない。

第十二条 通商産業大臣は、前条の申請書を受理した場合において、当該申請が次の各号に適合していると認めるときは、登録又は変更登録をしなければならない。

 一 精紡機をもつて第十五条第二項の規定による届出に係る過剰精紡機に代える場合において、当該精紡機の錘の数が当該届出に係る過剰精紡機の錘の数に第七条第一項第二号の政令で定める比率を乗じて得た錘の数の範囲内であるとき。

 二 精紡機をもつて第十五条第二項の規定による届出に係る過剰精紡機に代える場合において、当該精紡機について受けようとする登録の区分が第十条第一項の規定による公告に係る登録の区分であるとき、又は当該精紡機の登録の区分を当該公告に係る登録の区分に変更するとき。

2 通商産業大臣は、前項の規定により登録又は変更登録をすべき精紡機の錘の数の合計が第十条第一項の規定により公告した精紡機の錘の数をこえるときは、公正な方法でくじを行ない、当該登録又は変更登録をすべき精紡機を定めなければならない。

3 第一項第一号に規定する第十五条第二項の規定による届出に係る過剰精紡機の錘の数の計算の方法は、第七条第二項の通商産業省令で定めるところによる。

第十三条 通商産業大臣は、一の登録の区分に係る糸の製造の能力が著しく不足し、若しくは不足するおそれがあると認める場合であつて、第十条第一項の規定による公告をした場合において前条第一項の規定により登録若しくは変更登録をした精紡機の錘の数の合計が第十条第一項の規定により公告した精紡機の錘の数に達しないとき、若しくは過剰精紡機がないとき、又は別表第三第一号に掲げる登録の区分に係る生地の加工の能力が著しく不足し、若しくは不足するおそれがあると認めるときは、繊維工業審議会の意見をきいて、当該登録の区分に係る糸又は生地の需給状況及び当該登録の区分に係る第三条の登録を受けた精紡機又は幅出機の錘の数又は働き長さに基づき、当該登録の区分について、同条の登録を受けることができる精紡機又は幅出機の錘の数又は働き長さを定め、これを公告しなければならない。

2 第十条第二項、第十一条並びに前条第一項及び第二項の規定は、前項の場合に準用する。

 (登録の効力の承継)

第十四条 第三条の登録を受けた精紡機又は幅出機を譲り受け、又は借り受けた者は、その精紡機又は幅出機について同条の登録を受けた者の地位を承継する。

2 第三条の登録を受けた者について相続又は合併があつたときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、その登録を受けた精紡機又は幅出機についてその者の地位を承継する。

3 前二項の規定により第三条の登録を受けた者の地位を承継した者は、十日以内に、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。

 (変更又は滅失の届出)

第十五条 第三条の登録を受けた者は、第六条第三号又は第四号に掲げる事項に変更があつたときは、十日以内に、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。

2 第三条の登録を受けた者は、その登録を受けた精紡機又は幅出機が滅失したときは、十日以内に、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。

 (撤去命令等)

第十六条 通商産業大臣は、第三条の規定に違反して設置された精紡機又は幅出機の所有者又は占有者に対し、当該精紡機又は幅出機を撤去すべきことを命ずることができる。

2 通商産業大臣は、第三条の登録を受けた者が第五条の規定に違反したときは、その者が当該精紡機若しくは幅出機について受けた第三条の登録を取り消し、又は期間を定めて当該精紡機若しくは幅出機を糸の製造若しくは生地の加工の用に供することを停止すべきことを命ずることができる。

3 通商産業大臣は、前項の規定により第三条の登録を取り消したときは、その者に対し、当該精紡機又は幅出機を撤去すべきことを命ずることができる。

4 通商産業大臣は、前三項の規定による処分をしたときは、その旨を公表することができる。

   第三章 精紡機の使用の停止

 (共同行為の指示)

第十七条 通商産業大臣は、この法律の施行の際現に旧繊維工業設備臨時措置法第二条第一項の登録を受けている精紡機の錘の数が昭和四十三年度における繊維製品の需給状況に基づいて算定される当該年度において必要となるべき精紡機の錘の数に比し過大であるため、精紡機の廃棄を促進しなければ繊維工業の合理化に著しい支障を生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、繊維工業審議会の意見をきいて、この法律の施行の際現に同項の登録を受けている精紡機の錘の数及び昭和三十九年度における繊維製品の需給状況に基づいて算定される当該年度において必要となるべき精紡機の錘の数を基準とし、一般消費者及び関連事業者に対する影響その他の事情を参酌して、糸の製造の用に供することを停止すべき精紡機の錘の数を定め、精紡機を糸の製造の用に供している者に対し、その精紡機を糸の製造の用に供することを停止すること(以下「使用の停止」という。)に関する共同行為を実施すべきことを指示することができる。

2 前項の規定による指示は、この法律の施行の際現に旧繊維工業設備臨時措置法第二条第一項の登録を受けている精紡機について同法第三条第一項の規定による登録の区分により行なう。

3 第一項の規定による指示は、共同行為をすべき期間及び共同行為の内容を定めて、告示により行なう。

 (共同行為の期間及び内容)

第十八条 前条第三項の共同行為をすべき期間は、三年以内とし、かつ、その期間の満了の日がこの法律の施行の日から三年を経過する日以前となるものでなければならない。

2 前条第三項の共同行為の内容は、次の各号に適合するものでなければならない。

 一 前条第一項に規定する事態を克服するため必要な程度をこえないこと。

 二 一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。

 三 不当に差別的なものでないこと。

 四 当該共同行為の指示を受けた者の従業員の地位を不当に害するものでないこと。

 (共同行為の指示の変更等)

第十九条 通商産業大臣は、第十七条第一項の規定による指示に係る共同行為の内容が前条第二項各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、その指示を変更し、又は取り消さなければならない。

 (共同行為の届出)

第二十条 第十七条第一項の規定による指示(前条の規定による変更があつたときは、その変更後のもの。以下同じ。)を受けた者は、その指示に従い共同行為をしたときは、遅滞なく、使用の停止に係る精紡機の登録番号その他の通商産業省令で定める事項を通商産業大臣に届け出なければならない。これを変更し、又は廃止したときも、同様とする。

 (使用停止命令等)

第二十一条 通商産業大臣は、第十七条第一項の規定により使用の停止に関する共同行為を実施すべきことを指示した場合であつて、当該指示に係る者の二分の一以上がその共同行為を実施しており、かつ、その共同行為を実施している者の当該指示に係る精紡機の錘の数が当該指示に係る者の当該指示に係る精紡機の錘の数の三分の二をこえている場合において、その共同行為をもつてしては同項に規定する事態を克服することが困難であると認めるときは、繊維工業審議会の意見をきいて、当該指示に係る精紡機を糸の製造の用に供している者に対し、その者の当該指示に係る精紡機のうち当該指示の内害を参酌して通商産業大臣が指定するもの(その共同行為を実施している者にあつては、前条の規定による届出に係るもの)について、通商産業省令で、当該精紡機を糸の製造の用に供することを停止すべきことを命ずることができる。

2 前項の規定による命令があつた場合において、その命令に係る精紡機を譲り受け、又は借り受けた者は、当該精紡機を糸の製造の用に供してはならない。ただし、通商産業省令で定める場合において、通商産業大臣の許可を受けたときは、この限りでない。

 (命令の変更又は取消し)

第二十二条 通商産業大臣は、前条第一項の規定による命令をした後において、その命令をする要件となつた事実が変更し、又は消滅したと認めるときは、その命令を変更し、又は取り消さなければならない。

 (私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外)

第二十三条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、第十七条第一項の規定による指示を受けた者がその指示に従つてする共同行為については、適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いるときは、この限りではない。

 (公正取引委員会との関係)

第二十四条 通商産業大臣は、第十七条第一項の規定による指示をし、又は第二十一条第一項の規定による命令をしようとするときは、公正取引委員会に協議しなければならない。

2 通商産業大臣は、第十九条若しくは第二十二条の規定による処分をしたとき、又は第二十条の規定による届出を受理したときは、遅滞なく、その旨を公正取引委員会に通知しなければならない。

 (登録の取消し等)

第二十五条 通商産業大臣は、第三条の登録を受けた者が第二十一条第一項の規定による命令に違反したときは、その者が当該精紡機について受けた第三条の登録を取り消すことができる。

2 通商産業大臣は、第三条の登録を受けた者が第二十一条第二項の規定に違反したときは、その者が当該精紡機について受けた第三条の登録を取り消し、又は期間を定めて当該精紡機を糸の製造の用に供することを停止すべきことを命ずることができる。

3 通商産業大臣は、前二項の規定により第三条の登録を取り消したときは、その者に対し、当該精紡機を撤去すべきことを命ずることができる。

4 第十六条第四項の規定は、前三項の規定による処分について準用する。

 (苦情の申出)

第二十六条 第十七条第一項の規定による指示に係る共同行為の実施に関し苦情のある者は、通商産業大臣に対し、理由を記載した文書を提出して苦情の申出をすることができる。

2 通商産業大臣は、前項の申出があつたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を申出者に通知しなければならない。

   第四章 繊維工業審議会

 (設置)

第二十七条 通商産業省に、繊維工業審議会を置く。

 (権限)

第二十八条 繊維工業審議会(以下「審議会」という。)は、この法律によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、通商産業大臣の諮問に応じ、繊維製品の需給計画、繊維工業設備の更新計画その他繊維工業の合理化に関する重要事項を調査審議する。

2 審議会は、この法律の実施に伴い繊維機械工業その他の関連事業が受ける影響に対処するための措置について、通商産業大臣に建議することができる。

 (組織)

第二十九条 審議会は、委員五十人以内で組織する。

2 専門の事項を調査させるため、審議会に、専門委員を置くことができる。

第三十条 委員及び専門委員は、関係行政機関の職員及び繊維工業に関し学織経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。

2 通商産業大臣は、委員のうち一人を会長として指名し、会務を総理させる。

 (任期)

第三十一条 学識経験のある者のうちから任命された委員の任期は、一年とする。

 (勤務)

第三十二条 委員及び専門委員は、非常勤とする。

 (部会)

第三十三条 審議会に、部会を置くことができる。

2 部会に部会長を置き、会長の指名する委員がこれにあたる。

3 部会に属すべき委員は、会長が指名する。

4 審議会は、その定めるところにより、部会の決議をもつて審議会の決議とすることができる。

 (省令への委任)

第三十四条 この章に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。

   第五章 雑則

 (繊維工業設備台帳)

第三十五条 繊維工業設備台帳は、通商産業省に備える。

 (繊維工業設備台帳への記載)

第三十六条 第七条第一項、第十二条第一項(第十三条第二項において準用する場合を含む。)又は附則第五条第一項の登録は、繊維工業設備台帳に第六条第一号から第四号までに掲げる事項、登録の年月日及び当該精紡機又は幅出機について定める登録番号を記載することによつて行なう。

2 第九条第一項又は第十二条第一項の変更登録は、登録の区分及び登録番号について繊維工業設備台帳の記載を変更し、繊維工業設備台帳に変更登録の年月日を記載することによつて行なう。

3 通商産業大臣は、第十四条第三項又は第十五条第一項の規定による届出があつたときは、繊維工業設備台帳の記載を変更しなければならない。

4 通商産業大臣は、第十五条第二項の規定による届出があつたとき、又は第十六条第二項若しくは第二十五条第一項若しくは第二項の規定により第三条の登録を取り消したときは、当該精紡機又は幅出機の登録を消除しなければならない。

5 通商産業大臣は、第二十一条第一項の規定により精紡機を糸の製造の用に供することを停止すべきことを命じたときは、繊維工業設備台帳にその旨を記載しなければならない。

6 通商産業大臣は、第二十二条の規定による処分をしたときは、前項の規定による記載を消除しなければならない。

7 前二項に定めるもののほか、第二十一条第一項の規定による命令又は同条第二項ただし書の許可に係る記載に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。

 (繊維工業設備台帳の謄本等)

第三十七条 何人も、通商産業大臣に対し、繊維工業設備台帳の謄本の交付又は閲覧を請求することができる。

 (登録標識)

第三十八条 通商産業大臣は、第七条第一項、第十二条第一項(第十三条第二項において準用する場合を含む。)若しくは附則第五条第一項の登録又は第九条第一項若しくは第十二条第一項の変更登録をしたときは、その登録又は変更登録を受けた者に対し、当該精紡機又は幅出機に取り付けるべき通商産業省令で定める標識を交付する。

2 第三条の登録を受けた者は、その登録を受けた精紡機若しくは幅出機が滅失したとき、又は第十六条第二項若しくは第二十五条第一項若しくは第二項の規定により第三条の登録が取り消されたときは、遅滞なく、当該精紡機又は幅出機に係る前項の標識を通商産業大臣に返納しなければならない。

 (使用停止標識)

第三十九条 通商産業大臣は、第二十一条第一項の規定による命令をしたときは、その命令に係る精紡機に通商産業省令で定める標識を取り付けなければならない。

2 前項の規定により同項の標識の取付けを受けた者又はその標識を取り付けてある精紡機を譲り受け、若しくは借り受けた者は、当該精紡機に係る第二十一条第一項の規定による命令がその効力を有する間は、その標識を取りはずしてはならない。

3 通商産業大臣は、第二十二条の規定による処分をしたときは、当該精紡機に取り付けてある第一項の標識を取りはずさなければならない。

4 前三項に定めるもののほか、第二十一条第一項の規定による命令又は同条第二項ただし書の許可に係る第一項の標識に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。

 (勧告)

第四十条 通商産業大臣は、特定の仕向地に輸出すべき特定の糸又は生地の需給が著しく均衡を失することにより、当該仕向地に輸出すべき当該糸又は生地の販売価格が著しく低下しており、このような状態が継続することは、当該仕向地に輸出すべき当該糸又は生地の正常な輸出の発展を著しく阻害し、又は阻害するおそれがあると認めるときは、第三条の登録を受けた精紡機又は幅出機を設置している者に対し、当該仕向地に輸出すべき当該糸又は生地の出荷数量又は販売価格その他の事項に関し必要な勧告をすることができる。

2 通商産業大臣は、特定の仕向地に輸出すべき特定の生地について前項に規定する事態が生じており、かつ、その事態を克服するため特に必要があると認めるときは、当該仕向地に輸出すべき当該生地の生産業者であつて、第三条の登録を受けた幅出機を設置しているもの以外のものに対し、当該仕向地に輸出すべき当該生地の出荷数量又は販売価格その他の事項に関し必要な勧告をすることができる。

 (報告の徴収)

第四十一条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、第三条の登録を受けた者に対し、その登録を受けた精紡機又は幅出機の設置又は使用の状況に関し報告をさせることができる。

2 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、第十七条第一項の規定による指示に従い共同行為をしている者に対し、その共同行為の実施の状況に関し報告をさせることができる。

 (立入検査等)

第四十二条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、精紡機又は幅出機を設置している者の工場、事業場、事務所又は倉庫に立ち入り、精紡機、幅出機、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験のため必要な最少限度の分量に限りその者の精紡磯により製造された糸を収去させることができる。

2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (手数料)

第四十三条 次の表の上欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内において政令で定める額の手数料を納めなければならない。

納付しなければならない者

金額

精紡機

幅出機

一 第六条の申請書を提出する者

一錘につき三円

働き長さ十メートル又はその端数につき千円

二 第八条の申請書を提出する者

一錘につき三円

働き長さ十メートル又はその端数につき六百円

三 第十一条の申請書を提出する者

一錘につき三円

 

四 第十三条第二項において準用する第十一条の申請書を提出する者

一件につき一万円に一錘につき五円を加算した額

一件につき一万円に働き長さ十メートル又はその端数につき千円を加算した額

五 附則第五条第一項の規定により届出をする者

一錘につき三円

働き長さ十メートル又はその端数につき六百円

六 第十四条第三項又は第十五条第一項の規定により届出をする者

一件につき五百円

七 第三十八条第一項の標識の再交付を受ける者

一枚につき五百円

八 繊維工業設備台帳の謄本の交付を請求する者

一枚につき十円

九 繊維工業設備台帳の閲覧を請求する者

  一件一回につき十円

 (適用除外)

第四十四条 この法律の規定は、国、地方公共団体及び私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人には、適用しない。

 (異議申立ての手続における聴聞)

第四十五条 通商産業大臣は、この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分についての異議申立てを受理したときは、異議申立人に対し、相当な期間をおいて予告をした上、公開による聴聞を行なわなければならない。

2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。

3 聴聞に際しては、異議申立人及び利害関係人に対し、その事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。

   第六章 罰則

第四十六条 第十六条第一項若しくは第三項又は第二十五条第三項の規定による命令に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。

第四十七条 第十六条第二項、第二十一条第一項又は第二十五条第二項の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。

第四十八条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

 一 第四十一条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 二 第四十二条第一項の規定による検査又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した者

第四十九条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。

 一 第十四条第三項、第十五条又は第二十条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 二 第三十八条第二項の規定に違反して標識を返納しなかつた者

 三 第三十九条第二項の規定に違反して標識を取りはずした者

第五十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前四条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (この法律の失効)

第二条 この法律は、この法律の施行の日から四年を経過した日に、その効力を失う。ただし、その時までにした行為に対する罰則の適用については、この法律は、その時以後も、なおその効力を有する。

 (繊維工業設備臨時措置法の廃止)

第三条 繊維工業設備臨時措置法(以下「旧法」という。)は、廃止する。

 (経過措置)

第四条 この法律の施行の際現に旧法第二条第一項の登録を受けている精紡機は、同法別表第四第一号、第二号、第三号、第九号及び第十号に掲げる登録の区分に係るものにあつては別表第一第一号に掲げる登録の区分、同法別表第四第六号に掲げる登録の区分に係るものにあつては別表第一第二号に掲げる登録の区分、その他のものにあつては同表第三号に掲げる登録の区分により第三条の登録を受けたものとみなす。

2 この法律の施行の際現に旧法第二条第二項の登録を受けている織物幅出機(ピン式織物幅出機であつて円型のもの及び羽二重ロールを除く。以下同じ。)は、別表第三第一号に掲げる登録の区分により第三条の登録を受けたものとみなす。

第五条 この法律の施行の際現に精紡機又は幅出機であつて、旧法第二条第一項又は第二項の登録を受けていないものを設置している者は、この法律の施行の日から二十日以内に、通商産業省令で定める事項を通商産業大臣に届け出たときは、その精紡機又は幅出機について第三条の登録の申請をしたものとみなす。この場合においては、通商産業大臣は、第七条第一項の規定にかかわらず、その精紡機については別表第一第四号に掲げる精紡機の区分により、その幅出機については別表第三第二号に掲げる幅出機の区分により登録をしなければならない。

2 前項の規定による届出には、この法律の施行の際現に当該精紡機又は幅出機を設置していることを証する書面を添附しなければならない。

3 第十六条第一項の規定は、第一項に規定する期間(その期間内に同項の規定による届出があつたときは、同項の登録があるまでの期間)内は、同項に規定する者には、適用しない。ただし、その者が当該精紡機を別表第一第四号に掲げる登録の区分に係る糸以外の糸の製造の用に供したとき、又は当該幅出機を別表第三第二号に掲げる登録の区分に係る生地以外の生地の加工の用に供したときは、この限りでない。

第六条 旧法第二条の繊維工業設備台帳のうち精紡機及び織物幅出機に係る部分は、第三条の繊維工業設備台帳とみなす。

2 旧法第十七条第一項の標識のうち精紡機及び織物幅出機に係るものは、第三十八条第一項の標識とみなす。

第七条 旧法によつてした処分、手続その他の行為は、この法律中にこれに相当する規定があるときは、この法律によつてしたものとみなす。

第八条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (通商産業省設置法の一部改正)

第九条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。

  第二十五条第一項の表中

繊維工業設備審議会

繊維工業設備に関する重要事項を調査審議すること。

 を

繊維工業審議会

繊維工業の合理化に関する重要事項を調査審議すること。

 に改める。

別表第一

 一 次に掲げる糸の製造の用に供すべきもの

  イ 組成繊維中における綿以外の繊維の混用率が一パーセント以下の糸

  ロ 組成繊維中におけるビスコース繊維及び銅アンモ二ア繊維以外の繊維の混用率が一パーセント以下の糸

  ハ 組成繊維中における合成繊維及び酢酸繊維以外の繊維の混用率が一パーセント以下の糸

  ニ 組成繊維中における綿の混用率が十パーセント以上の糸(イに掲げるものを除く。)

  ホ 組成繊維中における合成繊維、酢酸繊維、ビスコース繊維及び銅アンモニア繊維以外の繊維の混用率が一パーセント以下の糸であつて、合成繊維又は酢酸繊維の混用率が十パーセント以上のもの(ハに掲げるものを除く。)

  へ 組成繊維中における合成繊維又は酢酸繊維の混用率が三十パーセント以上の糸(ハに掲げるものを除く。)

  ト 組成繊維中における毛の混用率が十パーセント以上の糸(第二号イ及び第三号ロに掲げるものを除く。)

  チ 組成繊維中における絹、ビスコース繊維及び銅アンモ二ア繊維以外の繊維の混用率が一パーセント以下の糸であつて、絹の混用率が十パーセント以上のもの(第三号イに掲げるものを除く。)

  リ 組成繊維中における亜麻、ちよ麻及び大麻の混用率が十パーセント以上の糸(第三号ハに掲げるものを除く。)

  ヌ 第四号に規定する糸

 二 次に掲げる糸の製造の用に供すべきもの

  イ 組成繊維中における毛以外の繊維の混用率が三パーセント以下の梳毛式の糸

  ロ 前号ニからリまでに掲げる糸

  ハ 第四号に規定する糸

 三 次に掲げる糸の製造の用に供すべきもの

  イ 組成繊維中における絹以外の繊維の混用率が一パーセント以下の糸

  ロ 組成繊維中における毛以外の繊維の混用率が三パーセント以下の紡毛式の糸

  ハ 組成繊維中における亜麻、ちよ麻及び大麻以外の繊維の混用率が一パーセント以下の糸

  ニ 第一号ニからリまでに掲げる糸

  ホ 第四号に規定する糸

 四 第一号イからリまで、第二号イ及び前号イからハまでに掲げる糸以外の糸の製造の用に供すべきもの

別表第二

 一 別表第一第一号イからリまで、第二号イ及び第三号イからハまでに掲げる糸並びに第四号に規定する糸の製造の用に供すべきもの

 二 別表第一第四号に規定する糸の製造の用に供すべきもの

別表第三

 一 次に掲げる生地の加工の用に供すべきもの

  イ 織物

  ロ 糸を使用して製造した生地であつて織物以外のもの、不織布及びフェルト

 二 前号ロに掲げる生地の加工の用に供すべきもの

(内閣総理・通商産業大臣署名) 

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