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法律第六十五号(昭四〇・五・一四)

  ◎消防法及び消防組織法の一部を改正する法律

 (消防法の一部改正)

第一条 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。

  消防法目次中「第四章 消火の設備」を「第四章 消防の設備等」に改める。

  第三条中「消防長を置かない市町村においては市町村長をいう。以下同じ」を「消防本部を置かない市町村においては、市町村長。第六章及び第三十五条の三の二を除き、以下同じ」に、「又は消防署長」を「、消防署長その他の消防吏員」に、「消防の活動に支障になると認める物件」を「火災の予防に危険であると認める物件若しくは消防の活動に支障になると認める物件」に改め、同条第一号中「たき火の禁止」を「たき火、溶接その他これらに類する行為の禁止」に、「たき火の場合の」を「これらの行為を行なう場合の」に改め、同条第三号及び第四号を次のように改める。

 三 危険物又は放置され、若しくはみだりに存置された燃焼のおそれのある物件の除去その他の処理

 四 放置され、又はみだりに存置された物件(前号の物件を除く。)の整理又は除去

 第三条に次の二項を加える。

  消防長又は消防署長は、火災の予防に危険であると認める物件又は消防の活動に支障になると認める物件の所有者、管理者又は占有者で権原を有するものの氏名及び住所を知ることができないため、これらの者に対し、前項の規定による必要な措置をとるべきことを命ずることができないときは、当該消防職員(消防本部を置かない市町村においては、消防団員)に、当該物件について同項第三号又は第四号に掲げる措置をとらせることができる。この場合において、物件を除去させたときは、消防長又は消防署長は、当該物件を保管しなければならない。

  災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第六十四条第三項から第六項までの規定は、前項の規定により消防長又は消防署長が物件を保管した場合について準用する。この場合において、これらの規定中「市町村長」とあるのは「消防長又は消防署長」と、「工作物等」とあるのは「物件」と、「統轄する」とあるのは「属する」と読み替えるものとする。

 第四条第一項中「資料の提出を命じ」の下に「、若しくは報告を求め」を、「消防職員」の下に「(消防本部を置かない市町村においては、当該市町村の消防事務に従事する職員。以下同じ。)」を加え、「防火対象物」を「消防対象物」に改める。

 第四条の二第一項中「若しくは消防署長又は消防本部を置かない市町村においては市町村長」を「又は消防署長」に、「防火対象物」を「消防対象物」に改める。

 第五条中「関係者」の下に「(特に緊急の必要があると認める場合においては、関係者及び工事の請負人又は現場管理者)」を加える。

 第六条第四項中「前条に」を「第五条に」に、「前条の」を「同条の」に改める。

 第九条の二中「別表で定める数量」の下に「(以下「指定数量」という。)」を加える。

 第十条第一項中「別表で定める数量」を「指定数量」に改め、同項ただし書を次のように改める。

 ただし、所轄消防長又は消防署長の承認を受けて指定数量以上の危険物を、十日以内の期間、仮に貯蔵し、又は取り扱う場合は、この限りでない。

 第十条第二項を次のように改める。

 別表に掲げる品名を異にする二以上の危険物を同一の場所で貯蔵し、又は取り扱う場合において、当該貯蔵又は取扱いに係る危険物の品名ごとの数量をそれぞれの指定数量で除し、その商の和が一以上となるときは、当該場所は、指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱つているものとみなす。

 第十一条の次に次の二条を加える。

第十一条の二 製造所、貯蔵所又は取扱所の位置、構造又は設備を変更しないで、当該製造所、貯蔵所又は取扱所において貯蔵し、又は取り扱う危険物の種類又は数量を変更しようとする者は、変更しようとする日の十日前までに、その旨を市町村長等に届け出なければならない。

第十一条の三 市町村長等は、製造所、貯蔵所又は取扱所においてする危険物の貯蔵又は取扱いが第十条第三項の規定に違反していると認めるときは、当該製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者に対し、同項の技術上の基準に従つて危険物を貯蔵し、又は取り扱うべきことを命ずることができる。

 第十二条第二項中「権限」を「権原」に改める。

 第十二条の二中第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。

 三 第十一条の三の規定による命令に違反したとき。

 第十三条第一項中「危険物取扱主任者を定め」の下に「、命令で定めるところにより」を加える。

 第十四条を次のように改める。

第十四条 削除

 第十四条の次に次の二条を加える。

第十四条の二 政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、当該製造所、貯蔵所又は取扱所の火災を予防するため、予防規程を定め、市町村長等の認可を受けなければならない。これを変更するときも、同様とする。

  市町村長等は、予防規程が、第十条第三項の技術上の基準に適合していないときその他火災の予防のために適当でないと認めるときは、前項の認可をしてはならない。

  市町村長等は、火災の予防のため必要があるときは、予防規程の変更を命ずることができる。

第十四条の三 同一事業所において政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所を所有し、管理し、又は占有する者で政令で定める数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱うものは、政令で定めるところにより、当該事業所に自衛消防組織を置かなければならない。

 第十六条の二第一項中「(第十四条第四項において準用する場合を含む。)」及び「及び映写技術者試験」を削り、同項及び同条第二項中「危険物取扱主任者等試験委員」を「危険物取扱主任者試験委員」に改める。

 第十六条の三中「製造所、貯蔵所若しくは取扱所の設置」を「危険物を仮に貯蔵し、若しくは取り扱う場合の承認、製造所、貯蔵所若しくは取扱所の設置」に、「危険物取扱主任者若しくは映写技術者」を「危険物取扱主任者」に改め、「若しくは映写技術者免状」を削る。

 第十六条の四第一項中「製造所、貯蔵所若しくは取扱所の」を「指定数量以上の危険物を貯蔵し、若しくは取り扱つていると認められるすべての場所(以下この項において「貯蔵所等」という。)の」に改め、「資料の提出を命じ」の下に「、若しくは報告を求め」を加え、「製造所、貯蔵所若しくは取扱所に」を「貯蔵所等に」に、「取扱が技術上の基準に適合しているかどうかを」を「取扱いについて」に、「関係者」を「関係のある者」に、「危険物を収去させる」を「危険物若しくは危険物であることの疑いのある物を収去させる」に改める。

 第三章中第十六条の六を第十六条の七とし、第十六条の五中「第十一条」を「第十一条から第十一条の三まで」に、「及び第十三条第二項」を「、第十三条第二項、第十四条の二第一項及び第三項並びに前条」に改め、同条を第十六条の六とし、第十六条の四の次に次の一条を加える。

第十六条の五 市町村長等は、第十条第一項ただし書の承認又は第十一条第一項前段の規定による許可を受けないで指定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱つている者に対して、当該貯蔵又は取扱いに係る危険物の除去その他危険物による災害防止のための必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 「第四章 消火の設備」を「第四章 消防の設備等」に改める。

 第十七条の四の次に次の八条を加える。

第十七条の五 消防設備士免状の交付を受けていない者は、第十条第四項又は第十七条第一項の技術上の基準に従つて設置しなければならない消防用設備等の当該設置に係る工事又は当該消防用設備等の整備(他人の求めに応じ、報酬を得て行なわれるものに限る。)のうち、政令で定めるものを行なつてはならない。

第十七条の六 消防設備士免状の種類は、甲種消防設備士免状及び乙種消防設備士免状とする。

  甲種消防設備士免状の交付を受けている者(以下「甲種消防設備士」という。)が行なうことができる工事又は整備の種類及び乙種消防設備士免状の交付を受けている者(以下「乙種消防設備士」という。)が行なうことができる整備の種類は、これらの消防設備士免状の種類に応じて命令で定める。

第十七条の七 消防設備士免状は、都道府県知事が行なう消防設備士試験に合格した者に対し、都道府県知事が交付する。

  第十三条の二第四項から第六項までの規定は、消防設備士免状について準用する。

第十七条の八 消防設備士試験は、消防用設備等の設置及び維持に関して必要な知識及び技能について行なう。

  消防設備士試験の種類は、甲種消防設備士試験及び乙種消防設備士試験とする。

  次の各号の一に該当する者でなければ、甲種消防設備士試験を受けることができない。

 一 学校教育法による高等学枚又は旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中等学校において機械、電気、工業化学又は建築に関する学科を修めて卒業した者

 二 乙種消防設備士免状の交付を受けた後二年以上消防用設備等の整備(第十七条の五の規定に基づく政令で定めるものに限る。)の経験を有する者

 三 命令で定めるところにより、都道府県知事が前各号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者

  前三項に定めるもののほか、消防設備士試験の試験科目、受験手続その他試験の実施細目は、命令で定める。

第十七条の九 消防設備士試験又は消防設備士免状の交付、書換え若しくは再交付を受けようとする者は、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。

第十七条の十 消防設備士は、その業務を誠実に行ない、消防用設備等の質の向上に努めなければならない。

第十七条の十一 消防設備士は、その業務に従事するときは、消防設備士免状を携帯していなければならない。

第十七条の十二 甲種消防設備士は、第十七条の五の規定に基づく政令で定める工事をしようとするときは、その工事に着手しようとする日の十日前までに、命令で定めるところにより、消防用設備等の種類、工事の場所その他必要な事項を消防長又は消防署長に届け出なければならない。

 第二十一条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。

  消防長又は消防署長は、前項の規定により指定をした消防水利には、命令で定めるところにより、標識を掲げなければならない。

 第二十一条の十六中「(昭和三十七年法律第百六十号)」を削る。

 第二十六条第一項中「通報に応じて」を削る。

 第三十四条中「資料の提出を命じ」の下に「、若しくは報告を求め」を加え、「(消防長を置かない市町村においては、当該市町村の消防事務に従事する職員)」を削る。

 第三十五条の三第二項中「(消防長を置かない市町村においては、当該市町村の消防事務に従事する職員)」を削り、同条の次に次の一条を加える。

第三十五条の三の二 消防庁長官は、消防長又は前条第一項の規定に基づき火災の原因の調査をする都道府県知事から求めがあつた場合において、特に必要があると認めたときは、第三十一条又は第三十三条の規定による火災の原因の調査をすることができる。

  第三十二条、第三十四条及び第三十五条の二の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、第三十四条第一項中「当該消防職員」とあるのは、「消防庁の職員」と読み替えるものとする。

  第四十条第一項中「五万円」を「二十万円」に改める。

  第四十一条第一項中「二万五千円」を「十万円」に改め、同項第二号中「又は第二項」を削る。

  第四十一条の二中「二万五千円」を「十万円」に改める。

  第四十二条第一項中「一万二千円」を「五万円」に改め、同項第六号を次のように改める。

  六 第十四条の二第一項の規定に違反して危険物を貯蔵し、又は取り扱つた者

  第四十二条第一項に次の一号を加える。

  八 第十七条の五の規定に違反した者

  第四十三条第一項中「五千円」を「二万円」に改める。

  第四十四条中「二千円」を「一万円」に改め、同条第一号中「第三条」の下に「第一項」を加え、同条第二号を次のように改める。

  二 第四条、第十六条の四若しくは第三十四条(第三十五条の三第二項又は第三十五条の三の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による資料の提出若しくは報告を求められて、資料の提出をせず、虚偽の資料を提出し、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による立入り、検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

  第四十四条第三号中「第八条第二項」の下に「、第十一条の二」を加え、「又は第十五条第二項」を「、第十五条第二項又は第十七条の十二」に改め、同条第四号中「第十四条第四項」を「第十七条の七第二項」に改め、同条第八号中「第二十一条」の下に「第三項」を加え、同条第十一号中「通報」の下に「又は第二条第九項の傷病者に係る虚偽の通報」を加え、同条第十二号中「第一項」の下に「又は第二項」を加える。

  第四十四条の二中「二千円」を「一万円」に改める。

  第四十五条中「第八条」の下に「第一項」を加え、「乃至第三項」を「若しくは第三項」に、「第十三条、第十五条」を「第十三条第一項、第十四条の二第一項、第十五条第一項」に改める。

  第四十六条中「五千円」を「二万円」に改める。

第二条 消防法の一部を次のように改正する。

  第十四条を次のように改める。

 第十四条 政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、危険物施設保安員を定め、命令で定めるところにより、当該製造所、貯蔵所又は取扱所の構造及び設備に係る保安のための業務を行なわせなければならない。

 (消防組織法の一部改正)

第三条 消防組織法(昭和二十二年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第四条第十三号中「映写技術者試験」を「消防設備士試験」に改める。

  第十八条の二中第八号を第十号とし、第七号の次に次の二号を加える。

  八 市町村の消防の相互応援に関する計画の作成の指導に関する事項

  九 市町村の行なう救急業務の指導に関する事項第二十四条の二の次に次の二条を加える。

 第二十四条の三 消防庁長官は、地震、台風、水火災等の非常事態の場合において、これらの災害が発生した市町村の消防の応援に関し、当該市町村の属する都道府県の知事から要請があり、かつ、必要があると認めるときは、当該都道府県以外の都道府県の知事に対し、当該災害が発生した市町村の消防の応援のため必要な措置をとることを求めることができる。

   都道府県知事は、前項の規定による消防庁長官の求めに応じ当該必要な措置をとる場合において、必要があると認めるときは、その区域内の市町村の長に対し、消防機関(第九条に規定する機関をいう。次条において同じ。)の職員の応援出動等の措置をとることを求めることができる。

 第二十四条の四 消防機関の職員がその属する市町村以外の市町村の消防の応援のため出動した場合においては、当該職員は、応援を受けた市町村の長の指揮の下に行動するものとする。

  本則中第二十六条の二を第二十六条の三とし、第二十六条の次に次の一条を加える。

 第二十六条の二 消防職員及び消防団員には、消防に関する知識及び技能の習得並びに向上のために、その者の職務に応じ、消防大学校、消防学校又は消防職員及び消防団員の訓練機関の行なう教育訓練を受ける機会が与えられなければならない。

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第一条中消防法第十条第一項ただし書及び第十三条第一項の改正規定、同法第十四条の次に二条を加える改正規定、同法第十六条の三の改正規定(危険物を仮に貯蔵し、又は取り扱う場合の承認に関する部分に限る。)及び同法第二十一条の改正規定並びに第二条の規定は昭和四十年十月一日から、第一条中消防法第十七条の四の次に八条を加える改正規定(第十七条の六から第十七条の九までに関する部分を除く。以下同じ。)は昭和四十一年十月一日から施行する。

2 第一条中消防法第十条第一項ただし書の改正規定の施行の際、現に第一条による改正前の消防法第十条第一項ただし書の指定を受けている者は、当該指定を受けた日から起算して十日間(当該改正規定の施行の日前に経過した期間を除く。)に限り、この法律による改正後の消防法(以下「新法」という。)第十条第一項ただし書の承認を受けた者とみなす。

3 この法律の施行の日の翌日から起算して十日以内の期間における新法第十一条の二の規定の適用については、同条中「変更しようとする日の十日前までに」とあるのは、「あらかじめ」と読み替えるものとする。

4 第一条中消防法第十七条の四の次に八条を加える改正規定の施行の日の翌日から起算して十日以内の期間における新法第十七条の十二の規定の適用については、同条中「その工事に着手しようとする日の十日前までに」とあるのは、「あらかじめ」と読み替えるものとする。

5 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(法務・自治・内閣総理大臣署名) 

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