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法律第百三十七号(昭四〇・六・二九)

  ◎理学療法士及び作業療法士法

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 免許(第三条―第八条)

 第三章 試験(第九条―第十四条)

 第四章 業務(第十五条―第十七条)

 第五章 審議会(第十八条―第二十条)

 第六章 罰則(第二十一条・第二十二条)

 附則

   第一章 総則

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、理学療法士及び作業療法士の資格を定めるとともに、その業務が、適正に運用されるように規律し、もつて医療の普及及び向上に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。

2 この法律で「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう。

3 この法律で「理学療法士」とは、厚生大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。

4 この法律で「作業療法士」とは、厚生大臣の免許を受けて、作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいう。

   第二章 免許

 (免許)

第三条 理学療法士又は作業療法士になろうとする者は、理学療法士国家試験又は作業療法士国家試験に合格し、厚生大臣の免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。

 (欠格条項)

第四条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。

 一 罰金以上の刑に処せられた者

 二 前号に該当する者を除くほか、理学療法士又は作業療法士の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者

 三 素行が著しく不良である者

 四 精神病者、麻薬、大麻若しくはあへんの中毒者又は伝染性の疾病にかかつている者

 (理学療法士名簿及び作業療法士名簿)

第五条 厚生省に理学療法士名簿及び作業療法士名簿を備え、免許に関する事項を登録する。

 (登録及び免許証の交付)

第六条 免許は、理学療法士名簿又は作業療法士名簿に登録することによつて行なう。

2 厚生大臣は、免許を与えたときは、理学療法士免許証又は作業療法士免許証を交付する。

 (免許の取消し等)

第七条 理学療法士又は作業療法士が、第四条各号のいずれかに該当するに至つたときは、厚生大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めて理学療法士又は作業療法士の名称の使用の停止を命ずることができる。

2 都道府県知事は、理学療法土又は作業療法士について前項の処分が行なわれる必要があると認めるときは、その旨を厚生大臣に具申しなければならない。

3 第一項の規定により免許を取り消された者であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。この場合においては、前条の規定を準用する。

4 厚生大臣は、第一項又は前項に規定する処分をしようとするときは、理学療法士作業療法士審議会の意見をきかなければならない。

5 厚生大臣は、第一項に規定する処分をしようとするときは、あらかじめ、その相手方にその処分の理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。

 (政令への委任)

第八条 この章に規定するもののほか、免許の申請、理学療法士名簿及び作業療法士名簿の登録、訂正及び削除並びに免許証の交付、書換え交付、再交付、返納及び提出に関し必要な事項は、政令で定める。

   第三章 試験

 (試験の目的)

第九条 理学療法士国家試験又は作業療法士国家試験は、理学療法士又は作業療法士として必要な知識及び技能について行なう。

 (試験の実施)

第十条 理学療法士国家試験及び作業療法士国家試験は、毎年少なくとも一回、厚生大臣が行なう。

 (理学療法士国家試験の受験資格)

第十一条 理学療法士国家試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。

 一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した理学療法士養成施設において、三年以上理学療法士として必要な知識及び技能を修得したもの

 二 作業療法士その他政令で定める者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した理学療法士養成施設において、二年以上理学療法に関する知識及び技能を修得したもの

 三 外国の理学療法に関する学校若しくは養成施設を卒業し、又は外国で理学療法士の免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定したもの

 (作業療法士国家試験の受験資格)

第十二条 作業療法士国家試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。

 一 学校教育法第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した作業療法士養成施設において、三年以上作業療法士として必要な知識及び技能を修得したもの

 二 理学療法士その他政令で定める者で、文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した作業療法士養成施設において、二年以上作業療法に関する知識及び技能を修得したもの

 三 外国の作業療法に関する学校若しくは養成施設を卒業し、又は外国で作業療法士の免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定したもの

 (不正行為の禁止)

第十三条 理学療法士国家試験又は作業療法士国家試験に関して不正の行為があつた場合には、その不正行為に関係のある者について、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができる。この場合においては、なお、その者について、期間を定めて理学療法士国家試験又は作業療法士国家試験を受けることを許さないことができる。

 (省令への委任)

第十四条 この章に規定するもののほか、理学療法士国家試験又は作業療法士国家試験の科目、受験手続、受験手数料その他試験に関し必要な事項並びに第十一条第一号及び第二号の学校又は理学療法士養成施設の指定並びに第十二条第一号及び第二号の学校又は作業療法士養成施設の指定に関し必要な事項は、省令で定める。

   第四章 業務

 (業務)

第十五条 理学療法士又は作業療法士は、保健婦助産婦看護婦法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として理学療法又は作業療法を行なうことを業とすることができる。

2 理学療法士が、病院若しくは診療所において、又は医師の具体的な指示を受けて、理学療法として行なうマッサージについては、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師、柔道整復師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)第一条の規定は、適用しない。

3 前二項の規定は、第七条第一項の規定により理学療法士又は作業療法士の名称の使用の停止を命ぜられている者については、適用しない。

 (秘密を守る義務)

第十六条 理学療法士又は作業療法士は、正当な理由がある場合を除き、その義務上知り得た人の秘密を他に漏らしてはならない。理学療法士又は作業療法士でなくなつた後においても、同様とする。

 (名称の使用制限)

第十七条 理学療法士でない者は、理学療法士という名称又は機能療法士その他理学療法士にまぎらわしい名称を使用してはならない。

2 作業療法士でない者は、作業療法士という名称又は職能療法士その他作業療法士にまぎらわしい名称を使用してはならない。

   第五章 審議会

 (審議会)

第十八条 厚生大臣の諮問に応じて、理学療法士国家試験及び作業療法士国家試験に関する重要事項を調査審議させ、並びに理学療法士国家試験及び作業療法士国家試験に関する事務をつかさどらせるため、厚生省に、附属機関として理学療法士作業療法士審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、前項に規定する事項のほか、文部大臣又は厚生大臣の諮問に応じて、第十一条第一号及び第二号の学校又は理学療法士養成施設の指定並びに第十二条第一号及び第二号の学校又は作業療法士養成施設の指定に関する重要事項を調査審議するものとする。

 (試験事務担当者の不正行為の禁止)

第十九条 審議会の委員その他理学療法士国家試験又は作業療法士国家試験に関する事務をつかさどる者は、その事務の施行に当たつて厳正を保持し、不正の行為がないようにしなければならない。

 (政令への委任)

第二十条 この章に規定するもののほか、審議会の組織、運営その他審議会に関し必要な事項は、政令で定める。

   第六章 罰則

第二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

 一 第十六条の規定に違反した者

 二 第十九条の規定に違反して、故意若しくは重大な過失により事前に試験問題を漏らし、又は故意に不正の採点をした者

2 前項第一号の罪は、告訴を待つて論ずる。

第二十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、一万円以下の罰金に処する。

 一 第七条第一項の規定による理学療法士又は作業療法士の名称の使用の停止命令に違反した者

 二 第十七条の規定に違反した者

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六十日を経過した日から施行する。ただし、第五章の規定は公布の日から、第十条の規定は昭和四十一年一月一日から施行する。

 (免許の特例)

2 厚生大臣は、外国で理学療法士の免許に相当する免許を受けた者又は作業療法士の免許に相当する免許を受けた者であつて、理学療法士又は作業療法士として必要な知識及び技能を有すると認定したものに対しては、第三条の規定にかかわらず、当分の間、理学療法士又は作業療法士の免許を与えることができる。

 (受験資格の特例)

3 この法律施行の際現に理学療法士又は作業療法士として必要な知識及び技能を修得させる学校又は施設であつて、文部大臣又は厚生大臣が指定したものにおいて、理学療法士又は作業療法士として必要な知識及び技能を修業中であり、この法律の施行後のその学校又は施設を卒業した者は、第十一条又は第十二条の規定にかかわらず、それぞれ理学療法士国家試験又は作業療法士国家試験を受けることができる。

4 この法律の施行の際現に病院、診療所その他省令で定める施設において、医師の指示の下に、理学療法又は作業療法を業として行なつている者であつて、次の各号に該当するに至つたものは、昭和四十六年三月三十一日までは、第十一条又は第十二条の規定にかかわらず、それぞれ理学療法士国家試験又は作業療法士国家試験を受けることができる。

 一 学校教育法第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者又は政令で定める者

 二 厚生大臣が指定した講習会の課程を修了した者

 三 病院、診療所その他省令で定める施設において、医師の指示の下に、理学療法又は作業療法を五年以上業として行なつた者

5 前項に規定する者については、第十四条の規定に基づく理学療法士国家試験又は作業療法士国家試験に関する省令において、科目その他の事項に関し必要な特例を設けることができる。

6 旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による中等学校を卒業した者又は省令の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認められる者は、第十一条第一号、第十二条第一号及び附則第四項第一号の規定の適用については、学枚教育法第五十六条第一項の規定により大学に入学することができる者とみなす。

 (登録税法の一部改正)

7 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第八条各号列記以外の部分中「甲種看護婦」を「看護婦」に改め、「厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル男子タル看護人」の下に「、理学療法士、作業療法士」を加え、同条第一号中「保健婦、助産婦、甲種看護婦、厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル男子タル看護人 金千円」を

保健婦、助産婦、看護婦、厚生大臣ノ免許ヲ受ケタル男子タル看護人

金千円

 

 

理学療法士、作業療法士

金千円

 に改める。

 (厚生省設置法の一部改正)

8 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。

  第五条第三十九号の二の次に次の一号を加える。

  三十九の三 理学療法士又は作業療法士の養成施設を指定し、並びに理学療法士又は作業療法士の試験、免許及び登録を行ない、並びに免許を取り消し、及び名称の使用の停止を命ずること。

  第十条第三号中「歯科技工士」の下に「、理学療法士、作業療法士」を加える。

  第二十二条第五項中「及び准看護婦並びに心身に障害のある者に対して医学的管理の下に行なわれる機能回復訓練又は職能訓練の業務に従事する者」を「、准看護婦、理学療法士及び作業療法士」に改める。

  第二十九条第一項の表中

保健婦助産婦看護婦審議会

厚生大臣の諮問に応じて、保健婦国家試験、助産婦国家試験、看護婦国家試験及び准看護婦試験に関する重要事項を調査審議し、並びに保健婦国家試験、助産婦国家試験及び看護婦国家試験の実施に関する事務をつかさどる外文部大臣又は厚生大臣の諮問に応じて、保健婦助産婦看護婦法(昭和二十三年法律第二百三号)第十九条から第二十二条までの各第一号又は第二号の規定による学校又は養成所の指定に関する重要事項を調査審議すること。

 を

保健婦助産婦看護婦審議会

厚生大臣の諮問に応じて、保健婦国家試験、助産婦国家試験、看護婦国家試験及び准看護婦試験に関する重要事項を調査審議し、並びに保健婦国家試験、助産婦国家試験及び看護婦国家試験の実施に関する事務をつかさどるほか、文部大臣又は厚生大臣の諮問に応じて、保健婦助産婦看護婦法(昭和二十三年法律第二百三号)第十九条から第二十二条までの各第一号又は第二号の規定による学校又は養成所の指定に関する重要事項を調査審議すること。

 
 

理学療法士作業療法士審議会

厚生大臣の諮問に応じて、理学療法士国家試験及び作業療法士国家試験に関する重要事項を調査審議し、並びに理学療法士国家試験及び作業療法士国家試験の実施に関する事務をつかさどるほか、文部大臣又は厚生大臣の諮問に応じて、理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年法律第百三十七号)第十一条第一号及び第二号の学校又は理学療法士養成施設の指定並びに同法第十二条第一号及び第二号の学校又は作業療法士養成施設の指定に関する重要事項を調査審議すること。

 に改める。

(大蔵・文部・厚生・内閣総理大臣署名) 

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